バラの香りをおうちで!【後編】
秋はバラが旬の季節
秋は、春に次いでバラの品種が増える旬の季節。今回の日曜連載は、先週に引き続き香りのいいバラの切り花特集です。前編では、バラのダマスク香・ティー香・ミルラ香・フルーティー香・ブルー香・スパイシー香という香りの分類についてと、ダマスク香のする人気の切り花品種をご紹介しました。
前編記事はこちらから
【連載】<前編>香りのいいバラの切り花はどれ?花屋で買える香りの種類を紹介
今回の日曜連載は、香りのいいバラの切り花について。前編でバラの香りの種類についてと、特に香りのいいダマスク香の品種の中からお花屋さんでも手に...
香りのいいバラの切り花品種を紹介
後編では、香りのいい切り花品種紹介の続編。比較的お花屋さんで並ぶことの多い、人気の品種をご紹介します。また、香りのいい切り花品種が少ないと言われるスプレーバラからも2種類ピックアップしました。バラの品種が増える旬の秋、ぜひお花屋さんで探してみてくださいね。
日持ちさせる方法も紹介
また、香りのいいバラの切り花を選ぶときのコツや、日持ちさせるコツも併せてご紹介。香りのいいバラは日持ちが悪いとも言われますが、ポイントさえ抑えれば日持ちして長い間楽しませてくれます。バラの香りをおうちに飾ったり、大切な人へのプレゼントにしてみたりして秋を楽しんでみては。
花屋で買える香りのいいバラの切り花4
シェドゥーブル
こちらは、強いミルラ香のする品種。さらにシェドゥーブルはクォーターロゼット咲きと呼ばれる咲き方の品種の中で、世界初の白色品種でもあります。クォーターロゼット咲は花弁が非常に多く、咲き進みにつれてどんどん華やかに開いていくのが魅力です。
日持ちする品種
濃厚な甘さの香りの中にスモーキーな、ちょっとクセのある香り。1本でもふわ〜っといい香りのする、おすすめの品種です。ブライダルにもとても人気で、比較的お花屋さんに並んでることの多い品種です。花びらが散りにくいので日持ちし、満開になるまでたっぷり楽しめます。
花屋で買える香りのいいバラの切り花5
アンブリッジローズ
イギリスのデヴィット・オースチンという育種家が生み出したイングリッシュローズは、オールドローズの香りのよさや花姿を残しながらモダンローズの強健さを備えた人気の種類。アンブリッジローズはそんなイングリッシュローズのひとつで、ピーチピンクがかわいい品種です。
ミルラ香のイングリッシュローズ
こちらも強いミルラ香のバラ。ティー香も少し混ざります。花の中心が色が濃い目で、外側にいくにしたがって少し薄くなるグラデーションがとてもかわいく、カップ咲きから咲き進む姿も見応えがあります。ただ少し開くのが早いのが難点。
花屋で買える香りのいいバラの切り花6
クリスタルドレス+
クリスタルドレス+は、ティー香を感じられる品種のバラ。ティー香はすっきりとした甘さで、紅茶の飲み終わりにふわっと感じる香りに似ていると言われます。ダマスク香やミルラ香に比べると爽やかな香りで、甘い香りが苦手な方でも好まれるかも。
日持ちするニュアンスカラー
クリスタルドレス+は、ベージュがかったピンクのニュアンスカラーがなんともかわいい品種。透明感のある、美しい花色です。ブライダルなどでも人気。ティー香の種類に多くみられる剣弁高芯咲きで、花びらもしっかりしていて日持ちしやすい品種です。
花屋で買える香りのいいバラの切り花7
アルンウィックキャッスル
こちらもティー香の品種。アルンウィックキャッスルはイングリッシュローズで、カップ咲きのアプリコットピンクのバラです。ティー香にダマスク香も混ざるので、少し甘めの香り。花色のオレンジ〜ピンクのニュアンスにぴったりの香りです。
ダマスク香が混ざることで芳潤な香りに
カップ咲きのイングリッシュローズのティー香にはほかにも、キャラメルアンティークやジャンヌダルクなどの品種があります。ティー香自体はそこまで香りが強い種類ではないため、ダマスク香やフルーティー香が混ざることでよく香りを感じられる品種が多いようです。
花屋で買える香りのいいバラの切り花8
ルールマジク
静岡県の市川バラ園のオールドローズコレクションのひとつです。モモやアンズのような甘さの中に爽やかさのあるフルーティー香がします。ルールマジクとはフランス語で「マジックアワー」の意。夕暮れの混ざり合う空の色のようなニュアンスカラーが美しい品種です。
ルールマジクイエローも
上品な色合いがシックな印象で、秋らしさも感じさせてくれるバラです。ルールマジクの姉妹品種で、黄色系のニュアンスカラーが美しいルールマジクイエローもあります。香りのいい切り花品種で黄色系は少ないですが、こちらは香り高いフルーティー香を楽しめます。
花屋で買える香りのいいバラの切り花9
パフューパープル
紫色が美しいパフューパープルは、青系のバラ特有のブルー香を楽しめる品種です。ぎっしりと重みのあるカップ咲きで、上品な紫色が高級感のあるバラ。母の日などの贈り物にもぴったりの装いです。茎が細いこともありますが、比較的日持ちします。
鎮静効果のある香り
ブルー系の香りは、ダマスクモダンとティーの香りが混ざったような香りで、鎮静効果などがあると言われています。ダマスク香やティー香に比べて少しグリーンっぽい香りやレモンのような香りを感じます。ほかにもブルーパフュームなどの品種がよく出回ります。
花屋で買える香りのいいスプレーバラは?
香りの強い種類は少ない
1本の茎に何輪もお花が咲くスプレーバラはボリュームもあり、いくつもお花が咲くのを楽しめるコスパのよさがありますが、香りの強い種類はあまりありません。香りの強い品種も生まれることがありますが、なかなか定番化することがないようです。
新品種などもチェックしてみて
今回はそんな数少ない香りの強いスプレーバラの中でも、2020年現在出回っている品種をご紹介します。ご紹介するほかにも、時期や産地によってティー香の香りが強い品種や新品種なども生まれていますので、お花屋さんにもおすすめを聞いてみてくださいね。
花屋で買える香りのいいスプレーバラの切り花1
フェアビアンカ
こちらもデイビット・オースチン作出のイングリッシュローズのひとつで、クリーム〜ピンク色のふわっとした色合いのスプレーバラです。スプレーバラと言っても1輪1輪が大きくボリュームがあり、日持ちも比較的悪くありません。
出回ることの多い品種
フェアビアンカは、甘く優しいうっとりするミルラ香が特徴的です。1本花瓶に飾っておけばたっぷり香りを楽しめます。人気品種で年中出回っており、香りのいいスプレーバラの中ではお花屋さんに置いてあることが多い種類のひとつです。
花屋で買える香りのいいスプレーバラの切り花2
ペシェミニョン
アプリコットカラーが美しいペシェミニョンは、フルーティー香とスパイシー香が楽しめるスプレーバラ。最初はリンゴやラフランスのような甘いフルーツの香りで、花が開くにつれクローブのようなスパイシーな香りが混ざる品種です。
開ききった姿もかわいい
ペシェミニョンは花びらの枚数も少なく、開ききるとお花の芯が見えるのもかわいい品種。以前はよくお花屋さんでも見かける品種でしたが、近年はあまり見かけなくなってきました。スプレーバラで香りのいい品種は少ないので、出会えたらラッキー。
日持ちするバラの見分け方
質のよいバラの見分け方
ここからは、バラの切り花を買うときに気をつけたいポイントをご紹介します。香りのいいバラは咲き始め〜5分咲きが香りを楽しめる頃で、開き具合は特に重要。そのほかのポイントも香りのないバラでも基本的には同じですので、ぜひ参考にしてみてください。
花びらの開き具合
まずひとつめのポイントは、お花の開き具合。花びらが開ききっているもの、お花の下の部分を優しく触って花びらがパカパカしているものは避けます。3〜5分咲きくらいのお花を選びます。お花の下の部分に触って硬いなと思うくらいのものがおすすめです。繊細なので、優しく触りましょう。
茎の太さ
次に、茎の太さ。太い茎のほうが水揚げがよく、日持ちします。花首(花のすぐ下の部分)の茎が硬くしっかりしているものを選びます。香りのいいバラは茎が細いものも多いですが、中でもしっかりした茎のものを選びましょう。しかし花首周辺は繊細な部分なので、ツンツンと触るくらいにしてください。
葉っぱや萼
ほかにも、葉っぱが濃い緑色でピンとしているか、萼(ガク)がピンと張っているかなどもチェックポイントです。花びらは、傷がないか、特に花弁の多い品種は腐って茶色に変色している部分がないかもチェックしましょう。また、花びらが肉厚なものは比較的ゆっくり開いて日持ちします。
日持ちするバラの見分け方
- 3〜5分咲き程度
- 茎が太め
- 葉っぱや萼の色が濃い緑
- 萼がピンと張って上を向いている
- 花びらの傷や腐り具合
日持ちする管理方法1:水揚げ
まずは葉っぱとトゲを取る
まずお花屋さんで切り花のバラを買ってきたら水揚げを行いますが、その前に葉っぱとトゲを整理します。これはお花屋さんで処理してあることが多いですが、花瓶の水に浸かる位置にある葉っぱはハサミで取り除き、トゲもできるだけ取ります。トゲの多い品種は花屋さんに取ってもらっておくのがおすすめです。
基本の水揚げ
葉っぱを整理したら、水揚げを行います。家庭でできる基本の水揚げ方法は、水を張ったバケツや洗面器に切り口をつけ、水の中で茎をカットする水切り。水を吸い上げる面積が多くなるように、切り口を斜めにカットします。切れ味のよいハサミを使うのがポイントです。
しっかり水揚げする方法は
バラがちょっと元気がない場合には、新聞紙でお花がしっかり上を向くように少しきつめに巻いてから水切りをして、新聞紙が濡れないギリギリまで水を入れてそのまま2時間ほどつけておきます。新聞紙はバラを逆さまにした状態で巻くと葉っぱもしっかり上を向けやすくなります。
日持ちする管理方法2:花瓶の水
花瓶の水は気持ち少なめに
花瓶の水は、葉っぱが水に浸からないように気をつけて、バラの長さの1/3〜1/4程度を目安に入れます。水に使っている部分の茎は腐りやすいので、あまり水を多く入れないことがポイントです。ちょっと少ないかな?くらいの量でこまめに替える方が日持ちします。
切り花延命材が効果的
バラの切り花は、切り花延命材を花瓶の水に入れると効果があります。お花屋さんやホームセンターなどで購入可能です。延命材にはお花がきれいに咲く栄養素や、お水の雑菌を増やさない効果があります。延命材を入れた場合には、4,5日を目安にお水を交換します。
延命材の代用品
延命材がない場合には、水はなるべく毎日替えるのがおすすめです。また、延命材の代わりに漂白剤や中性洗剤を1,2滴垂らすと殺菌効果を得られます。たくさん入れると逆効果になるので、量はほんの少しにするよう注意しましょう。
さいごに
出会えたらラッキーなバラたち
香りのいい種類のバラはそんなにたくさん出回らないため、出会えたらラッキー。時期や産地によっても香りの強さは変わるので、ぜひお気に入りの香りを探してみてくださいね。定期的に出荷される品種は少ないので、確実に手に入れたいならお花屋さんに相談するかネット通販がおすすめです。
過去の連載はこちらから
今回の日曜連載は2週にわたって香りのいいバラの種類についてご紹介しました。この連載は花屋勤務の経験をもとに、お花屋さんに並ぶ切り花を中心にいろんなテーマでお花についてお送りしています。過去の連載もぜひご覧になってくださいね。
【連載】9月が旬のお花は?今買える切り花の種類を花屋目線で紹介!
9月に実際にお花屋さんで買える切り花の種類をご紹介。9月が旬のお花たちの花言葉や誕生花に加え、日持ちさせるポイントやおすすめの飾り方も合わせ...
【連載】ガーベラの豊富な種類を紹介!かわいい人気品種や長持ちの方法も
カラーバリエーションはもちろん、変わり咲きから巨大輪までこんなにたくさん種類がある!今回は花屋ではド定番のお花・ガーベラの魅力を一から大解説...
【連載】ワイルドフラワー・ネイティブフラワーとは?花屋で買える切り花はどれ?
ワイルドフラワー・ネイティブフラワーとはいったいどんなお花?人気の秘密とは?特徴や種類などを徹底解説。切り花としてお花屋さんで買えるおすすめ...