【連載】<前編>香りのいいバラの切り花はどれ?花屋で買える香りの種類を紹介

【連載】<前編>香りのいいバラの切り花はどれ?花屋で買える香りの種類を紹介

今回の日曜連載は、香りのいいバラの切り花について。前編でバラの香りの種類についてと、特に香りのいいダマスク香の品種の中からお花屋さんでも手に入れやすい3種をご紹介。次の後編では、ミルラ香やティー香の切り花品種や、日持ちする管理方法をご紹介します。

記事の目次

  1. 1.秋はバラの季節
  2. 2.バラの香りの種類とは
  3. 3.バラの香りの種類と特徴
  4. 4.バラの香りの種類と特徴:ミルラ香とは
  5. 5.切り花のバラは香りがしない?
  6. 6.切り花で買えるバラの香りは?
  7. 7.花屋で買える香りのいいバラの切り花<前編>
  8. 8.花屋で買える香りのいいバラの切り花1
  9. 9.花屋で買える香りのいいバラの切り花2
  10. 10.花屋で買える香りのいいバラの切り花3
  11. 11.続きは後編で

秋はバラの季節

バラの種類が増える季節

出典: https://unsplash.com/photos/pm8R5NWzDpk

バラといえば春のイメージが強いですが、秋も旬の時期です。切り花のバラも春と秋には出回る品種が多くなります。今回は、そんな旬のバラの中から香りのいいバラにスポットを当ててご紹介。店頭に並ぶ品種が少し増えるこの季節、バラの美しさはもちろん、その香りにも注目してみませんか。

香りのいいバラの魅力とは

出典: https://unsplash.com/photos/hEsOY7FcjxI

知れば知るほど面白いのがバラという植物で、一言にバラの香りと言ってもいろんな香りの種類があります。香りの特徴ひとつを取り上げてもとっても奥が深くて、さすが「花の女王」の世界。まずは簡単にバラの香りとその特徴について、解説していきます。

バラの香りの種類とは

7つの分類

フリー写真素材ぱくたそ

バラには、ヨーロッパと西アジア、中国の原種がかけ合わさって多種多様な品種が生まれてきたという歴史があります。現在切り花として主に出回るのは、モダン・ローズと呼ばれる系統の中のハイブリットティーローズという系統のバラたちで、その中でも7種類の香りによって分類されています。

香りの種類と特徴一覧

分類 特徴
ダマスク・クラシック ヨーロッパの原種系のバラの香り
甘く、華やかな香り
ダマスク・モダン クラシックの甘く華やかな香りの中に
すっきりとした香り
ミルラ アニスに似た香り
東洋っぽい香りの中に濃厚な甘い香り
ティー チャイナ系ローズが起源の紅茶に似た香り
さっぱりとした甘さの香り
フルーティー リンゴや桃のようなフルーティーな
甘く爽やかな香り
ブルー 青紫色系のバラ独特の香り
爽やかな甘さの香り
スパイシー クローブに似た香り
甘さの中にスパイシーさがある香り

バラの香りの種類と特徴

ダマスク香

Photo by ai3310X

ダマスク香は、まさにバラ!といった豊潤で華やかな甘さの香り。ダマスク・クラシックとダマスク・モダンという分類に分けられ、モダンはクラシックにほかの香り成分も含有された、洗練された情熱的な香りと表現されます。クラシックの品種は現在ほとんど出回っておらず、ダマスク・モダンが主流です。

ティー香

Photo byskeeze

ティー香とは中国原産の原種系の香りで、ダマスク香とはまったく違った香りの成分で構成されているんだとか。紅茶に似た香りと表現されますが、ダマスクの甘い甘い香りとは違って、すっきりとしています。現代のバラの多数がティー香と言われ、切り花でもティー香の品種が多め。

フルーティー香

Photo by Chris Hunkeler

ダマスク・クラシック、ダマスク・モダンの香りが変化した成分と、ティー香の成分が混ざり合った香りと言われています。桃やリンゴなどの、みずみずしいフルーツの甘い香りに似ています。柑橘系の香りを持つものも。切り花のバラではあまり多くない系統です。

ブルー香

Photo by T.Kiya

青系のバラを作出するときに生まれた、青バラ特有の香りです。ダマスクモダンとティーの香り成分が混ざり合っており、甘い香りの中に爽やかなウッディな香りがあると言われています。流通数は多くありませんが、青系バラの切り花でも楽しめます。

スパイシー香

Photo by anro0002

ダマスク香を基調として、クローブに似た甘くスパイシーな香りがするのが特徴的なバラです。カーネーションに似た香りとも言われます。日本にも自生するハマナス(ロサ・ルゴサ)がこの香りの代表的な品種です。切り花で出回るバラでは特に少ない香りの系統です。

バラの香りの種類と特徴:ミルラ香とは

ミルラってなに?

Photo byLeo_65

バラの香りの中でも、なんとなく難しいのがミルラ香という種類です。ミルラというのはミイラの保存にも使われた没薬(もつやく)のことで、カンラン科ミルラノキ属の樹木から取れる樹脂のこと。東洋的と表現されることの多い、甘さとスモーキーさが混ざり合ったクセのある香りが特徴です。

ミルラ香とはガーデン・ミルラのこと

Photo by Elena Regina

しかし実はバラにおけるミルラ香というのは没薬のミルラではなく、ガーデン・ミルラ(スイートシスリー)というセリ科の植物に由来した名前。ガーデン・ミルラは同じセリ科のアニスと似た香りがする植物で、アネトールという成分を含むのが特徴です。アネトールはほかにも、ウイキョウや甘草、八角にも含まれています。

ミルラ香=アニス香

一方、ミルラ香のあるバラにはパラ・メトキシスチレンという物質が含まれています。これがアネトールと非常に似た構造をしていることから、アニスに似た香りがすると言われています。日本ではミルラ(没薬)香という訳が広まっていましたが、最近はミルラ香もしくはアニス香とも表記されています。

ミルラ香≠没薬の香り

出典: https://unsplash.com/photos/JVqVrFOCd4Q

ガーデン・ミルラの葉には没薬に似た香りがあったためにこの名前がついたと言われているためまったく違う香りではありませんが、没薬の香りを想像してミルラ香のバラを嗅ぐとちょっと印象が異なるかも。どちらもちょっとクセがあって好みが分かれる香りではあります。

切り花のバラは香りがしない?

イメージするバラの香りとは違うかも

出典: https://unsplash.com/photos/-2eJaLtf_bI

実はお花屋さんに並ぶ切り花のバラは、あまり香りがしない品種がほとんどです。たいていはまったくしないか、レベルとしては微香で、ほのかに香るかな?という印象です。たいていのバラの切り花は、イメージする「バラの香り」とはちょっと違うかもしれません。

切り花品種は香りに特化してない

というのも、切り花として日持ちの良さ・色の美しさ・咲き方に特化して品種改良されたバラたちにおいては、香りが重要視されてこなかったからです。香りが強い切り花はマナーの点からも少し使いにくい部分があるので、需要があまり多くないという実情はあります。

日持ちして香りが強い品種もある

出典: https://unsplash.com/photos/PrLLdlurHEs

また、香りが強いバラは香りの作成にエネルギーを使うため、日持ちしにくいとも言われてきました。しかし、日持ちは香りのしないバラとそんなに変わらないながら、香りのいいバラの切り花も結構あるんです。ただし流通量はそこまで多くないので、出会えたらラッキー!

切り花で買えるバラの香りは?

ティー香のバラが多数

出典: https://unsplash.com/photos/Y7iHt3LRWGg

バラの切り花で多いのは、ティー香です。切り花のバラは、生産性と見た目の良さから、四季咲き性で大輪品種のハイブリットティーと呼ばれる系統の品種が多く出回ります。1本の茎に1輪の花がつくスタンダードタイプのバラはほとんどがハイブリットティー系統で、ティー香がするのが特徴です。

香りが強くはない

しかしティー香はもともとそんなに香りが強い系統ではないので、切り花品種はわずかに香る程度がほとんど。ティー香の特徴であるすっきりとした甘さというよりは、ちょっと青っぽい、植物っぽいみずみずしい香りがするかな?という印象です。中にはティー香で香りが強い切り花品種もあり、それらからは甘さもしっかり感じられます。

切り花で香りがいいのは?

Photo byMonfocus

切り花のバラで「バラのいい香り!」と思わせるほどの強い香りを放つ品種は、ダマスク香かミルラ香の品種が代表的です。ティー香やフルーティー香は上記の2つに比べると香りの強さはやや抑えめ。スパイシー香で強香の切り花は少なく、ほかの香りに混ざることが多いようです。ブルー香は、青紫系のバラで楽しめます。

スプレーバラには香りがしない?

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切り花のバラは、スタンダードタイプのほかに、1本の茎が枝分かれして数輪のお花が咲くスプレータイプがあります。スプレーバラはフロリバンダという系統であることが多く、特に切り花品種では香りが強い品種はほとんどありません。香りのあるスプレーバラ品種は少数で、出会える確率は低いかも。

花屋で買える香りのいいバラの切り花<前編>

まずはダマスク香の品種をご紹介

出典: https://unsplash.com/photos/arui-GR8JXo

ここからはお花屋さんで出会える香りのいいバラの品種を、前編と後編にわたってご紹介します。まず前編は、香りのいいバラの代表種・ダマスク香のする品種を3種ピックアップ。ダマスク香は一般的に想像されるバラの香りのイメージに近いので、香りが好きな方へのプレゼントにはぴったりです。

プレゼントには留意しましょう

ただしダマスク香は特に甘い香りが特徴的で、あまり香りが強いと苦手に思う方もいます。相手の香りの好みがわからない場合には本数を減らして使うなど、配慮するとよいかも。また、香りの強いお花はお見舞いやご仏前には不向きともされています。プレゼントにするときには、贈るシチュエーションに注意して選びましょう。

花屋で買える香りのいいバラの切り花1

イヴ・ピアッチェ

Photo by T.Kiya

香りが強い切り花のバラの中では、出会える確率が高いのがこのイヴ・ピアッチェ。イヴ・ピアジェとも表記されます。濃いピンク色の花びらが幾重にも重なり合っていて、シャクヤク咲きと呼ばれる豪華な咲き方をするバラです。咲き始めのまんまるフォルムもかわいらしい。香りがとても甘く、とても強いのが特徴です。

時期や産地によって違う表情も

時期や産地によっては花弁の縁にフリルがかかっていたり、全体的に濃いピンクだったり、縁だけ少し濃い目のピンクがのっていたりと表情もさまざま。イヴ・ピアッチェは香りが強い品種ながら、花弁に厚みがあって比較的日持ちするのが特徴的です。自宅用にもプレゼント用にもおすすめです。

花屋で買える香りのいいバラの切り花2

日本産のイヴシリーズ

イヴ・ピアッチェの交配種で、静岡県の市川バラ園作出のシリーズです。ピアッチェより淡く透明感のあるピンク色が美しいイヴ・ミオラは、ダマスク香にフルーティー香も混ざる品種。グレイッシュなピンクのイヴ・シルバは、ダマスク香にスパイシー香が混ざります。ほかにもイヴ・クレール、イヴ・シャンテマリーなど計6品種があります。

大人気品種

流通が多いお花ではない上、ウェディングでも人気なので店頭で出会えることは少ないですが、中でもイヴ・ミオラやイヴ・シルバはたまに見かけることのある品種です。イヴ・ピアッチェと比べると花弁も薄く繊細な印象。それゆえ日持ちも少し短めですが、咲き開くまでの花姿や香りの変化を存分に楽しめます。

花屋で買える香りのいいバラの切り花3

美咲

滋賀県にあるローズファームケイジが作出する和ばらシリーズは、繊細で優美で、工芸品のような美しさのバラが揃います。切り花としてはそんなにたくさん出回りませんが、店頭で比較的見かけることが多いのがこの美咲。淡いピンクが上品なバラです。

オンラインでも購入可能

上品な花姿から香る、フルーティー香も混ざった豊かなダマスク・モダンの香りが特徴。特別な日にプレゼントしたい、素敵なバラです。オンラインでは、ローズファームケイジのHPから購入することも可能です。和ばらの切り花単品や和ばらのみで作った花束、苗も販売しています。

続きは後編で

後編では日持ちする切り花の見分け方なども

出典: https://unsplash.com/photos/JEZMkQ30tC0

次週更新の後編では、ダマスク香に次いで香り高いミルラ香の品種をはじめ、ティー香・フルーティー香・ブルー香の品種と、数少ない香りのいいスプレーバラの品種もご紹介します。また、日持ちするバラの切り花の見分け方や管理の方法なども併せてご紹介しますので、ぜひ次もチェックしてみてくださいね。

過去の連載はこちらから

この日曜連載では、お花屋さんで買える切り花たちを中心に、季節ごとにいろんなテーマでお送りしています。旬のお花の紹介や、季節のお花の楽しみ方なども記事にしていますので、ぜひ過去の連載もご覧になってくださいね。

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しまうま花屋
ライター

しまうま花屋

花屋・園芸店勤務で培った知識を生かしてガーデニングやお花に関する記事をメインに書いています。現在、花屋勤務は子育てでお休み中。日曜連載では、花屋の観点からお伝えしたいお花の楽しみ方や買い方のコツなどをぽつぽつと書いています。


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