夏至、冬至とは
1年の中で、昼間が1番長く夜が一番短い日を夏至、反対に昼間が1番短く夜が1番長い日を冬至といいます。正午の太陽の位置が一番高い日と低い日です。
カレンダーに書いてあるのを見かけたり、地域によっては冬至の時期にかぼちゃを食べたりゆず湯に入ったりした経験がある方も多いのではないでしょうか。調べてみると意外と奥深い夏至と冬至の仕組みについて、詳しく説明していきます。
天文学による夏至と冬至
夏至と冬至は、南中高度と呼ばれる太陽と地平線の角度を計算します。昼間に真南で最も高い位置(冬至は低い位置)にある時の太陽の高度と、地平線の角度がどのくらいあるのかということです。地球の地軸が23.4度傾いた状態で太陽の周りを廻っているため、現在地の緯度を使って太陽の角度を計算できます。
例えば夏至の場合だと、太陽の南中高度=90-(緯度)+23.4(冬至は−23.4)という計算式を使います。太陽の高さと角度なんてどうやって測るの?と思ってしまいますが、この計算式を使えば誰でも簡単に太陽の南中高度(角度)を知ることができます。
二十四節気の夏至と冬至
旧暦では重要な意味を持つ夏至と冬至
1年の季節を24に分けた二十四節気(にじゅうしせっき)というものがあります。旧暦で使われており季節の変化を表しています。
二十四節気の中に春分、夏至、秋分、冬至と呼ばれる時期があり、このうち夏至と冬至は「二至」と呼ばれておりどっちも大切な時期とされています。二十四節気は1年を24等分しているため、夏至や冬至も1日だけではなくどっちの時期もそれぞれ約15日間続きます。
1年の始まりは冬至からだった?
旧暦では冬至から1年が始まります。現在わたしたちが使用している太陽暦では1年の始まりは1月1日からですが、昔は違ったのです。昼間が1番短くなる冬至を基準として暦を調整しており、季節がずれないようにするために冬至は重要な時期とされていました。
カレンダーというものが普及していない時代には、太陽や月の動きを読むことが人々の生活に欠かせないものだったのです。暦上は、夏至から小暑、大書を経て立秋の時期を迎え、冬至から小寒、大寒を経て立春の時期を迎えます。
中国での夏至と冬至
二十四節気は中国から日本に伝えられた文化です。現在でも中国では、夏至の日にワンタンや麺類を食べる文化が残っています。麦を収穫する時期が夏至前後にあたるため、収穫したばかりの麦でワンタンの皮や麺を作って食べていたとされています。
中国では夏至の日を祝日としていた時代もあり、重要な日とされていました。冬至には、餃子や、四川省では薬膳(漢方)を食べる習慣があります。寒さの厳しい冬を乗り越えられるよう漢方で体を丈夫にするという意味が込められています。
南半球での夏至と冬至
南半球では北半球と季節が反対になるため、6月下旬頃に昼間が短い冬至の時期を迎えます。北欧で1日中太陽が沈まない白夜(びゃくや)の現象が起こるように、南極圏付近では太陽が地平線から出てこない時期があるのです。
この太陽が出てこない現象を極夜(きょくや)といいます。南極点に近くなるほど白夜と極夜の時期も長くなり、緯度が高いところでは半年近く白夜と極夜の時期が続きます。
夏至、冬至の日は毎年変わる
夏至と冬至の日にちは毎年決まって同じ日ではなく、その年によって変わることがあります。2019年は6月22日が夏至、12月22日が冬至ですが、来年の2020年は6月21日が夏至、12月21日が冬至です。
地球の1年が365日なのに対し、地球の公転周期が365.26日のため少しずつ時間にズレが生じるのです。これが4年で1日ズレる計算になるため、うるう年で調節する必要があります。
日の出、日没との関係
夏至の日は日の出の時間も早い?
夏至は1年で1番昼間が長いのですが、実は夏至の日の出が1年で1番早いとは限りません。海上保安庁海洋情報部のサイトによると、わたしたちが普段使っている「日本時」は天文学的には「平均太陽時」と呼ばれており、太陽が実際に動く軌道を平均化したものになります。
地軸の角度が傾いていることと、地球が楕円軌道を描いて公転していることなどが原因です。この地軸の角度と楕円軌道の影響で季節や地域によって日の出と日没の時間に違いが生じます。東京より東にある札幌が、東京よりも日の出の時間が遅いということもあるのです。
日の出と夜明け、どっちが早い?
太陽が顔を出す日の出と、夜の終わりに訪れる夜明け、どっちが早いのでしょうか。太陽が地平線から出てくる前に空は明るくなりますが、これは上空の大気が太陽の光を反射しているためです。
薄明(はくめい)とも呼ばれ、この薄明が始まる時刻は太陽の中心の角度(俯角)が7度21分40秒になったときと厳密に決まっています。そのため夜明けが来てから日の出が訪れるということになります。
地域による日の出・日没時間の違い
同じ日本国内でも日の出・日没には違いがあります。東と西どっち側にいるのか、山の山頂と平地の違い、緯度や経度など様々な環境によって日の出・日没の時間は変わります。国立天文台のサイトでは、全国の地域ごとの日の出・日没の時間を調べることができます。
2019年夏至
日の出 | 日没 | |
---|---|---|
札幌 | 3:55 | 19:18 |
東京 | 4:26 | 19:00 |
大阪 | 4:45 | 19:15 |
那覇 | 5:38 | 19:25 |
2019年冬至
日の出 | 日没 | |
---|---|---|
札幌 | 7:03 | 16:03 |
東京 | 6:47 | 16:32 |
大阪 | 7:01 | 16:51 |
那覇 | 7:13 | 17:43 |
夏至と冬至どっちとも、東が日の出・日没が早くて西が遅いという訳ではないことがわかります。日の出と日没の時間は一定ではなく、昼間の時間の長さも場所ごとに変わります。秋の陽はつるべ落としと言われるように季節によっても違いがあります。
夏至の文化
夏至の時期に全国的に共通して行われている文化はなく、古来の風習も地域ごとにかなり違いがあります。
総務省統計局のサイトによると、昔は夏至の時期にちまきによく似ているカクショや、正月のお餅を固くする歯固(はがため)というものを食べる習慣があったそうです。現在の夏の文化といえば、7月の土用の丑の日にうなぎを食べる風習の方が夏至の文化よりも広まっていますね。
冬至の文化
ゆず湯
ゆず湯は体を温める効果があり、血行促進や冷え症の改善などが期待できます。冬至の寒い時期には特におすすめです。柑橘系の爽やかな香りでリラックスしながらゆっくり時間をかけて湯船に浸かり、日頃の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。
かぼちゃ
冬至の日にかぼちゃを食べるという習慣は知っている方も多いと思いますが、地域によって食べ方は様々です。かぼちゃのおしるこや、かぼちゃ粥、かぼちゃ団子、かぼちゃと小豆のいとこ煮など多くのバリエーションがあります。
かぼちゃと小豆を合わせて食べる地域も多く、小豆の赤い色で「魔」を追い払うという意味もあります。かぼちゃはビタミンAやカロテンが豊富なため、冬至の寒い季節の風邪予防にもおすすめです。
夏至と冬至のおすすめ観光①伊勢神宮
伊勢神宮宇治橋の日の出を眺めて早朝参拝
冬至を中心とした11月下旬〜1月下旬の時期にかけて、伊勢神宮内宮宇治橋前の大鳥居の真ん中から朝日が昇る瞬間を見ることができます。この神秘的な光景を見ようと、観光客や参拝客はもちろんカメラマンも日の出前から大勢訪れます。
伊勢神宮は日本神話にも出てくる太陽神、天照大神を祀っており、「お伊勢さん」と古くから人々に親しまれている場所です。冬の朝の澄んだ空気の中、伝統ある伊勢神宮で朝日を眺めながら早朝参拝はいかがでしょうか。御朱印めぐりをしている方にもおすすめです。
夏至と冬至のおすすめ観光②北海道
北海道当別町の夏至祭
北海道石狩郡にある当別町のスウェーデン公園で、後述する本場スウェーデンと同様の夏至祭が行われています。今年で36回目を迎え、フォークダンスやグリーンコンサート(中高生の吹奏楽演奏)、大きなリースの行進、当別町産の新鮮な食材を使用した北欧プレートなどが楽しめるイベントです。
大人も子供もスウェーデンの民族衣装を身につけ、頭に花かんむりをのせて参加します。当別町までのアクセスは札幌市からJRで40〜50分程度なので、人と違う角度から北海道観光を楽しみたいという方や、海外までは行けないけど夏至祭を体験してみたいという方におすすめです。
夏至と冬至のおすすめ観光③イギリス
イギリスのストーンヘンジ
イギリス南部にあるソールズベリーという町の郊外にストーンヘンジという円形になった巨大な石の古代遺跡があり世界遺産にも登録されています。紀元前3000〜1500年ころにつくられたといわれていますが、詳しい年代や建造方法は完全には解明されておらず、謎が多い不思議な遺跡です。
夏至の日には中心の祭壇石とその周りを囲むようにそびえ立つ巨大な石との直線上に太陽が昇り、日の出を見るために多くの観光客が集まります。古代では夏至と冬至はどっちも重要な意味を持つ日で、太陽の強いエネルギーが注ぎ込むパワースポットともいわれています。
夏至と冬至のおすすめ観光③北欧
スウェーデンの夏至祭
スウェーデンでは、夏至の時期(6月下旬)に夏至点を祝う伝統的なお祭りがあります。冬の季節が長く続く北欧スウェーデンの人々にとってはクリスマスの次に大切なイベントであり、前日のミッドサマーイブからお祝いをします。
町の中心からパレードが始まり、バイオリンを演奏する人、荷馬車や馬に乗った人、青と黄色のスェーデン国旗を持つ人などが大勢集まります。メイポール(夏至柱)と呼ばれる数メートルもあるポールを男性たちがゆっくりと立ち上げ、ポールの周りをお年寄りから小さな子供まで伝統的な歌に合わせて踊ります。
夏至の時期は白夜で暗くならないため朝までお祭りが続くこともしばしば。スウェーデン人にとっては家族や友人と過ごす大切なお祭りです。
まとめ
普段あまり意識して過ごすことがない夏至と冬至ですが、古くから日本では大切にされてきた日のうちのひとつです。今年の冬至は、かぼちゃを食べてゆず湯に浸かり、のんびりと季節の移り変わりを楽しんではいかがでしょうか。
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夏至や冬至の日の出や日没を見ながらイベントに参加したりキャンプをしたりするのはいかがでしょうか。よろしければこちらの記事もご覧ください。
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