一番早い新幹線を知ってる?
一体どのくらいの時速が出てしまうのか、その興味が尽きない新幹線。まずはかんたんに、新幹線の歩んできた歴史を振り返ってみることにします。(当記事は2019年7月29日時点の情報をもとに掲載しています。)
1960年代に登場した新幹線
満州に走ったあじあ号に始まる日本の高速鉄道開発は、第二次大戦前に構想された弾丸列車計画により、早さの追求が進みました。始めて国鉄による0系新幹線が東海道新幹線に開業したのは、1966年の東京オリンピックに合わせた年。営業速度は東京~新大阪間で、当初から世界一の時速200kmに達しました。
最速を塗り替えてきた新幹線の歴史
この国の高度成長に歩調を合わせ、新幹線は山陽、東北へと延伸をし始めます。長らく時速は210km時代が続きましたが、1985年以降には徐々に平均速度を上げ始めました。21世紀初頭になると山陽新幹線で始めて時速300kmの最高速度を達成、日本各地のアクセスはますます時短するに至りました。
さらに加速していく新幹線
すでに時速300km時代に突入した新幹線は、年月を経てますますその通過速度を加速しようとしています。JR東日本では、東北新幹線の営業速度を時速360kmまで引き上げる計画があるほどで、近未来に開通するリニアも気になるところ。では現時点で、一体どの新幹線が一番早いのかという話になります。
新幹線の平均速度の算出方法は?
ネットに乗ってない新幹線の平均速度
深淵なネットには平均速度の情報が普通にあると思いきや、新幹線情報を探してみても、ほとんど見当たらないと言って過言ではありません。最高時速や営業速度の情報は一般的でも、平均の早さはあまり興味が持たれていないようです。無いなら自力で求めるしかないわけで、平均速度の算出を試みました。
算出方法
平均の早さを出すのには、必要な知識と情報があります。それはまず平均速度を算出する計算式、そして各新幹線の区間距離、その区間の到達時間といった情報。それを元に、各新幹線の平均時速を算出しています。ただしどこからどこの区間、何時発の列車を選ぶかにより、若干時間も変動してきます。
平均速度の計算
距離(km)÷時間(分)×60=平均速度
新幹線時速ランキング⑦E7・W7系(北陸)
E7・W7系(最高時速260km、平均速度180km)
豪雪のエリアを通る北陸新幹線が開業したのは、アメリカの探査機が火星に到着した1997年のことでした。この路線で時速260kmの営業速度で2014年から走っているのが、E7系・W7系の、かがやきなどの種類です。建設中の路線ですが、将来的には東京から大阪までを北回りで繋ぐ大動脈となります。
E7・W7系のスピードと特徴
このE7系およびW7系の2種は、東西のJRで呼称が異なるだけで、ほぼ同一規格の新幹線です。和風をコンセプトにしていることも珍しい特徴で、営業速度の最高時速は260kmと控えめながら、東京~金沢の区間をわずか2時間28分で結びます。山岳が影響してか、平均速度は約180kmと比較的に遅めです。
E7・W7系新幹線の基本情報
【営業開始】2014年3月15日
【路線】北陸新幹線、上越新幹線
【区間】北陸・長野新幹線:東京駅~金沢駅、上越新幹線:東京駅~新潟駅
【種類】かがやき、はくたか、つるぎ、あさま
新幹線時速ランキング⑦800系(九州)
800系(最高時速260km、平均速度202km)
全路線の中でも比較的に開業年が新しめなのが、鹿児島へとつながっている九州新幹線。この路線に2004年から走っている車両は、800系と呼ばれる種類で、見るたび違うデザインなことでも旅客を楽しませます。さくら、つばめの愛称を持っている800系の最高速度は、北陸新幹線と同じく時速260kmです。
800系のスピードと特徴
頻繁に見た目が変わる理由は、九州新幹線が商品やイベントの宣伝をするラッピングの装飾が日常的なためです。時速は260kmまでしか上がりませんが、平均速度は202kmとかなりの早さがあります。800系は他の新幹線にない検測機能を備えているのも、他にはない特筆ポイントです。
800系新幹線の基本情報
【営業開始】2004年3月13日
【路線】九州新幹線
【区間】博多駅~鹿児島中央駅
【種類】さくら、つばめ
新幹線時速ランキング⑤検測車両
イースト・アイ(最高時速275km)
乗客が利用する新幹線よりも、実は検測車両のほうが通過速度が早いのをご存知でしたか。日本どころか世界で一番早い検測車両が、JR東日本がE3系をベースに開発したイーストアイ。最高速度は実に時速275kmにまで達し、東北、北陸、北海道など東日本全域の検測を担っている存在です。
ドクターイエロー(最高時速270km)
ちなみに検測車両といえば、見ると幸せになれると囁かれるドクターイエローは知名度抜群です。この検測車両の早さも、北陸や九州の新幹線の上を行く時速270kmです。ドクターイエロはー昔から東海道・山陽新幹線の検測を担い、今では北海道から九州まで全域を駆け巡っています。
検測車両の基本情報
【営業開始】1960年代
【路線】イーストアイ:東日本、ドクターイエロー:日本全域
新幹線時速ランキング⑤E3系(秋田・東北)
E3系(最高時速275km、平均速度164km)
フル規格の新幹線と異なって車体がミニタイプなのは、東北地方を走るE3系です。1997年に始めて登場したのは秋田新幹線こまちで、在来線を走るとして話題でした。最高時速は275kmとフル規格に劣らぬ通過速度を見せます。秋田のやまびこ、山形のつばさが基本ですが、近年は珍しい車両も登場しました。
E3系のスピードと特徴
地上の線路を通る時の最高時速は130kmに抑えられ、東北新幹線に合流するとE5系等と連結して平均速度を高めます。そのため全区間の平均は164kmと遅めです。秋田新幹線の一部が観光列車とれいゆで、優雅な旅路を提供中です。2016年には観光列車の現美新幹線として、上越区間で走行を始めています。
E3系新幹線の基本情報
【営業開始】1997年3月22日
【路線】東北新幹線、秋田新幹線、山形新幹線
【区間】東北新幹線:東京駅~秋田駅、山形新幹線:仙台駅~山形駅、秋田新幹線:盛岡駅~秋田駅
【種類】やまびこ、なすの、つばさ、とれいゆ、GENBI SINKANSEN(現美新幹線)
新幹線時速ランキング④N700系(東海道・山陽)
N700系(最高時速300km、平均速度221km)
当初からの大動脈だった、東海道・山陽新幹線を走っている主力の車両といったら、独特な顔つきをしたN700系。最高速度は時速300kmを記録する、日本有数の平均速度を出すタイプです。ひかりやこだまなどが知られ、九州新幹線ではみずほ・さくらを中心として営業しています。
N700系のスピードと特徴
もっとも通過速度が早い300kmに達するのは、山陽新幹線のルート。この区間での平均速度は221kmに達します。東海道では時速285kmと若干控えめな最高速度です。老朽化に対応し、2013年より改良型のN700Aが導入され、デザインが異なるN700系の一種のひかりレールスターも存在感があります。
N700系新幹線の基本情報
【営業開始】2007年7月1日
【路線】東海道・山陽新幹線、九州新幹線
【区間】東海道新幹線:東京駅~新大阪駅、山陽新幹線:新大阪駅~博多駅、九州新幹線:博多駅~鹿児島中央駅
【種類】のぞみ、ひかり、こだま、みずほ、さくら、つばめ、ひかりレールスター
新幹線時速ランキング②E6系(秋田・東北)
E6系(最高時速320km、平均速度163km)
その茜色のかっこいい見た目で人気者といえば、東北新幹線で疾走しているE6系です。現在の最高速度はミニ新幹線ながらも時速320kmを記録、後に紹介するE5系と並んで日本で一番早い新幹線です。2013年に秋田新幹線のこまちに変わり、スーパーこまちとして導入されました。
E6系のスピードと特徴
在来線をE6系が通過する場合には時速130km、東北新幹線に入ると超高速の320kmへ突入します。したがって秋田~東京間の平均速度は163kmと平凡です。東北新幹線ではE5系と連結して走る様子が見られます。現在は秋田新幹線を中心としますが、今後山形新幹線のほうにも導入される見通しです。
E6系新幹線の基本情報
【営業開始】2013年3月16日
【路線】東北新幹線、秋田新幹線
【区間】東北新幹線:東京駅~盛岡駅、秋田新幹線:盛岡駅~秋田駅
【種類】スーパーこまち、はやぶさ、やまびこ、なすの
新幹線時速ランキング②H5系・E5系(東北・北海道)
H5系・E5系(最高時速320km、平均速度239km)
現時点の通常営業の路線で、日本で一番早い種類の代表格となるのが、常磐グリーンを貴重としてとても鼻が長いこの種類。E5系とH5系の速度は、時速320kmに達しています。東京駅から東北地方を縦断する東北新幹線でははやぶさをメインとし、北海道新幹線でも同様に駆け抜けています。
H5系・E5系のスピードと特徴
現在は時速320kmの早さに留まっているE5系ですが、将来的には時速360kmまで引き上げ、世界でも指折りの通過速度を実現する見通しです。H5系車内は縄文やアイヌの文化を貴重としているなど、特別なコダワリが見えます。営業中新幹線の中では平均速度も最速で、239kmを計測します。
H5系・E5系の基本情報
【営業開始】E5系:2011年3月5日、H5系:2016年3月26日
【路線】東北新幹線、北海道新幹線
【区間】東北新幹線:東京駅~新青森駅、北海道新幹線:新青森駅~函館北斗駅
【種類】はやぶさ、はやて、やまびこ、なすの
新幹線時速ランキング①・L0系(中央リニア)
L0系(最高時速505km、平均速度392km)
トンネルなど諸問題が山積な中、2027年の開業を目指して本州で建設が進んでいるのが、磁気浮上式のリニア中央新幹線です。実験線L0系の通過速度は時速500kmを超えています。現時点で乗り込めるのは山梨県の実験線のみですが、開業すると東京~名古屋~新大阪の区間を、世界一早い営業速度で結びます。
世界で一番早いリニアの体験乗車
他の新幹線より極端に長い鼻を持ったL0系は、年に数日間だけ体験乗車をする機会があります。公式サイトから試乗を申し込むと、抽選で合否が決定します。山梨県の実験線にてL0系に乗り込めば、あっさりと時速500~505kmの世界を体験できます。それだけに、応募の倍率はかなり高めです。
L0系のスピードと特徴
磁気で浮上しての営業速度が最高で505kmになる中央新幹線は、とにかくものすごい早さです。東京から大阪までの438kmを、わずか1時間7分で結ぶので、平均速度も時速392km世界一。2015年の走行試験では603kmを記録していますが、この早さは鉄道の有人走行では世界で一番とギネス認定されています。
L0系新幹線の基本情報
【営業開始】山梨リニア実験線:1996年(中央リニア新幹線:2027年予定)
【路線】中央リニア新幹線
【区間】大月~都留
【種類】L0系実験車両
一番早い新幹線に乗ってみよう
各地の旅行も兼ねて
ギューンと唸りを上げながらとんでもない通過速度を誇る新幹線は、旅のお供として今や欠かせない乗り物です。こうして一番早い営業速度のランキングを見ると、新幹線の見た目だけではない違いが見えてくるようです。スピードにこだわるなら、リニアに乗る試乗は実現したいものですね。
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