お伊勢さんとは
お伊勢さん参りと伊勢神宮
お伊勢さんと親しまれている伊勢神宮は、三重県伊勢市にある神社です。最近は平成天皇が退位をご報告に参拝されたことで話題となったお伊勢さんですが、伊勢神宮の歴史や由来をよく知ってお伊勢さん参りを何倍も楽しんでみましょう。
皇室の宗廟
伊勢神宮は、皇室の先祖とされる皇祖・天照大神(アマテラスオオミカミ)を祀り祭祀を行う皇室の宗廟です。「お伊勢さん」の愛称のほかに「大神宮さん」などと呼ばれ、日本国民に敬われ親しまれてきました。
神宮とは
伊勢神宮は正式名称を「神宮」といい、ほかの神宮と区別するために伊勢神宮という名称で呼ばれています。神宮とは皇室の先祖を祀る神社のことを指しますが、そのなかでも伊勢神宮は日本全国にある全ての神社において別格と位置付けられています。
お伊勢さんの由来と歴史
約2000年の歴史
伊勢神宮が創建されたのは第11代目天皇・垂仁天皇の代だとされており、最初に建てられたとされる内宮は約2000年、外宮は約1500年の歴史があるとされています。
内宮と外宮
お伊勢さんは、内宮と呼ばれる皇大神宮と、外宮と呼ばれる豊受大神宮を中心として構成されています。皇大神宮と豊受大神宮は伊勢神宮の中でもご正宮やご本宮などと呼ばれ、一番格式の高いとされるお宮です。
125社で構成される
さらに内宮にも正宮のほかに10の別宮が、外宮には4つの別宮で構成されています。別宮というのは正宮に次ぐ格式の高いお宮で、正宮に関係が深く縁の深い神様たちが祀られています。さらにはそれぞれ摂社や末社、所管社が合わせて109あり、合計125社で構成されています。
お伊勢さんの歴史・内宮
皇大神宮
内宮の正宮である皇大神宮(こうたいじんぐう)には、皇祖である天照大神を祀られています。天照大神は太陽の神様で、初代天皇・神武天皇の先祖といわれています。
元々は皇居で祀っていた
もともとは代々天皇によって皇居にて天照大神と天照大神から授かった三種の神器を祀っていました。しかし10代目天皇・崇神天皇の時代に疫病が流行したことを機に、皇祖を祀るのにふさわしい場所に移すことを決め、まずは現在の奈良県桜井市に移しました。
天照大神の教示
それから次代の垂仁天皇25年、命を受けた倭姫命が新たなふさわしい場所を求めて奈良を出発し、伊賀や近江、美濃を通って伊勢国まできたとき天照大神より教示を受け、伊勢の地にお宮を建立したのが起源だと言われています。
お伊勢さんの歴史・外宮
豊受大神宮
外宮の正宮である豊受大神宮(とようけだいじんぐう)には、豊受大神という神様が祀られています。豊受大神は日本神話にはトヨウケビメと記されている神様で、天照大神の食事を司る神様だといわれています。
内宮建立から482年後
内宮が建立されてから482年後、21代天皇・雄略天皇が天照大神から「高天原にいるときと比べていまは一ヶ所にいることが苦しく、安らかに食事ができない。丹波国から豊受の大神を迎えてほしい」と教示を受け、豊受大神宮を建立したと言われています。
日別朝夕大御饌祭
日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)とは、外宮で毎日朝夕の二度行われている祭事です。豊受大神宮にある御饌殿にて、前日から身を清めた神主たちが天照大神に御飯や神水、御塩などを捧げます。捧げるお米や野菜などは伊勢市内で作られたものです。
お伊勢さん参りとは
江戸時代からお伊勢さんブームに
伊勢神宮はそれまで天皇以外の参拝は禁止されていましたが、江戸時代に入るとお伊勢さん信仰の民衆化が促され、お伊勢さん参りは江戸時代にブームを巻き起こしました。江戸時代には、数百万という参拝客が全国各地から参集したと言われています。
おかげ参り
お伊勢さん参りは「おかげ参り」とも呼ばれていました。参拝という目的がなければ旅ができなかった江戸時代、民衆がお伊勢さんへ参拝に行くことは、日常の世界から抜け出すハレの日という意味でもありました。そんな民衆の「お伊勢さんのおかげ」という気持ちが由来になっているといいます。
お伊勢さんの正しい参拝方法は?
外宮から内宮へ
お伊勢さん参りは、外宮から内宮の順に参拝するのが正しい参拝方法です。また、外宮・内宮それぞれの中では、まずは正宮を参拝してから別宮を参拝するのが習わしです。正宮はどちらも参道から入って一番奥に配されています。
祭りに由来する
外宮から参拝するのは、伊勢神宮のお祭りに由来するといいます。伊勢神宮のお祭りは外宮、内宮の順で行われるため、祭りにならって参拝順も決まっているそうです。伊勢神宮では以下のように説明されています。
神宮のお祭りは、「外宮先祭(げくうせんさい)」といって、まず外宮から行われます。外宮の豊受大御神さまは天照大御神さまのお食事を司る神さまですので、内宮に先だって神饌(しんせん)と呼ばれる神さまのお食事をお供えします。
別宮も巡ってみよう
お伊勢さんの別宮や末社は、すべて同じ敷地内にはあるわけではありません。特に内宮の別宮とされる瀧原宮・瀧原竝宮・伊雑宮の3つは離れた場所に位置しています。お伊勢さん参りをするのなら、別宮も合わせて巡ってみましょう。
お伊勢さん参り1:基本の参拝方法
手水舎で身を清める
お伊勢さん参りに限りませんが、参拝するときはまず手水舎で身を清めます。柄杓を使って左手・右手の順番で手を清め、左手で口をすすぎます。そしてもう一度左手を洗い、その残った水で柄杓の柄を洗い流すのが正しい方法です。口をすすぐ際、柄杓に直接口をつけてはいけません。
二拝二拍手一拝
神社を参拝するときの作法として「二礼二拍手一礼」というのが聞き慣れた言い回しですが、お伊勢さんでは深いお辞儀のことを「拝」といい、「二拝二拍手一拝」と呼ぶそうです。2回深くお辞儀をし、2回手を鳴らし、最後にもう一度深くお辞儀をします。
撮影禁止ルール
内宮外宮それぞれの正宮を参拝するときには、撮影を禁止されています。内宮正宮は石段の下、外宮正宮では板垣の外までは撮影してもよいとされています。別宮などでは特別禁止されていませんが、迷惑にならないよう気をつけたいところです。
お伊勢さん参り2:外宮の場所と参拝方法
まずは外宮から
外宮はJR東海参宮線、近鉄山田線の伊勢市駅より徒歩5分の場所にあります。入口は、駅から続く表参道と、駐車場のある北御門口の2か所あります。由来ははっきりとしないそうですが、内宮は右側通行、外宮は左側通行になっています。
清盛楠・勾玉池
表参道から続く火除橋を渡った右手に大きな楠があります。平清盛が伊勢神宮に訪れた際に冠をぶつけたという逸話に由来して清盛楠という名がついたといいます。その向かい側には勾玉池という勾玉の形をした池があり、6月頃には花菖蒲が見ものです。それらを見ながら正宮へと向かいます。
正宮・豊受大神宮からお参り
一番奥にある正宮・豊受大神宮からお参りします。豊受大神は天照大神の食事を司る神様であり、衣食住に加えあらゆる産業の神様として信仰されています。四重の垣根の中に豊受大神を祀る正殿があります。作法にならって参拝しましょう。
お伊勢さん参り3:外宮別宮
多賀宮
豊受大神宮を参拝した後、まずは多賀宮(たかのみや)を参拝します。多賀宮は、穏やかな豊受大神のもうひとつの側面である荒御魂を祀っています。荒御魂とは神様の荒々しい姿のことで、とても強い力を持っていると言います。
土宮
土宮(つちのみや)に祀られる神様は、大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)です。古くから外宮の土地の鎮守の神様として祀られていましたが、豊受大神鎮座の後、この土地の地主神として別宮が設けられました。また、この別宮だけが東向きになっています。
風宮
風宮(かぜのみや)は級長津彦命(しなつひこのかみ)、級長戸辺命(しなとべのみこと)という雨風を司る神様を祀っています。雨風は農作物に関係するとして、五穀豊穣や長寿の神様として別宮に祀られています。
月夜見宮
月夜見宮(つきよのみや)は、月夜見尊(つきよみのみこと)とその荒御魂が一緒に祀られているお宮で、外宮から少し離れた場所にあります。もともとは2つの殿舎でしたが、室町時代に炎上して以降は1つの殿舎に祀られています。
お伊勢さん参り4:内宮の場所と参拝方法
外宮からバスで20分
外宮から内宮まではバスで20分、最寄りの駅は近鉄鳥羽線の五十鈴川駅から徒歩で30分、バスで10分ほどです。入口である宇治橋の周りに2か所、少し離れたおかげ横丁の近くに6か所の駐車場があります。
五十鈴川御手洗場
外宮同様、手水舎で心身を清めたのち、内宮の正宮である皇大神宮からお参りするのが正しい参拝方法だと言われています。しかし内宮では、古来から手水舎としての役割があった五十鈴川御手洗場で身を清めるならわしがあります。
正宮・皇大神宮からお参り
正宮である皇大神宮には皇祖・天照大神が祀られており、三種の神器の1つである八咫鏡が御神体とされています。皇大神宮の周りは五重の垣根に囲まれており、写真撮影は石段の下までと決められています。
お伊勢さん参り5:内宮別宮
荒祭宮
荒祭宮(あらまつりのみや)は天照大神の荒御魂を祀っている、内宮の別宮のうちで一番格の高い別宮です。荒御魂とは神様の荒々しい状態であり、天照大神の特別な働きをする状態だとされていますので、強いパワーを秘めていると言われています。
風日祈宮
風日祈宮(かざひのみのみや)は、内宮神楽殿向かいの風日祈宮橋を渡ったところにある別宮です。外宮の風宮と同じく雨風にまつわる級長津彦命(しなつひこのかみ)、級長戸辺命(しなとべのみこと)を祀っています。
月読宮・月読荒御魂宮・伊佐奈岐宮・伊佐奈弥宮
月読宮(つきよみのみや)は、内宮から外宮へ続く御幸道路にあります。天照大神の弟神・月読尊(つきよみのみこと)が祀られており、外宮別宮の月夜見宮と同じ神様です。月読尊と荒御魂に加え、月読尊の両親である伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)も祀られており、計4つの別宮がここにあります。
倭姫宮
倭姫宮(やまとのひめのみや)は第11代垂仁天皇の皇女で、天照大神の教示を受けて伊勢の地に皇大神宮を建てられた人物とされています。内宮の別宮ですがこちらも御幸道路にあり、敷地内にはお伊勢さんの歴史や由来がよくわかる博物館なども楽しめます。
瀧原宮・瀧原竝宮
瀧原宮(たきはらのみや)・瀧原竝宮(たきはらならびのみや)は、内宮の別宮ですが、伊勢市内ではなく度会郡大紀町にあります。車で下道だと約1時間かかり電車などで行くには少し時間のかかる場所ですが、周辺には末社もあります。神様はどちらも天照大神です。
伊雑宮
伊雑宮(いざわのみや)は志摩市にある別宮で、こちらも天照大神が祀られています。創建の由来や歴史ははっきりしませんが、志摩は古くから海産物に富む地域で、伊雑宮は地元の人々によって海の幸・山の幸の豊穣を祈られてきたお宮です。
お伊勢さん参りの所要時間は?
外宮を参拝するには
伊勢神宮では、外宮を簡単に周って30分、じっくり周って60分のコースを推奨しています。30分のコースでは、お札やお守りなどが置いてある神楽殿を含め、豊受大神宮と第一別宮である多賀宮を参拝できます。60分のコースでは、外宮敷地内の別宮ほか、敷地内にある末社などもゆっくり参拝できます。
内宮を参拝するには
内宮の参拝は、60分で皇大神宮と荒祭宮、風日祈宮を周ることができます。内宮の敷地内にある末社や由緒のある場所もゆっくりと周るには、90分を目安にしましょう。初めてお伊勢さん参りをするのであれば、内宮はゆっくりと時間をとって周るのがおすすめですよ。
お伊勢さんに行ってみよう
お伊勢さんの神聖な空気を味わう
お伊勢さんはどのお宮も自然豊かな森に囲まれており、とても神聖な空気が流れる場所です。正しい参拝方法や由来を知って、ゆっくりと時間をかけてお伊勢さん参りのハレの日を味わってみましょう。正宮や別宮だけでなく、末社などの由来なども調べてみるととても楽しめますよ。
お伊勢さんについて気になる方はこちらをチェック!
お伊勢さん参りでしっかりとお伊勢さんを参拝したあとは、お守りやお札を選んでみたり、おかげ横丁でグルメを楽しんでみたりしましょう。歴史ある伊勢のグルメなどが楽しめます。お伊勢さん参りについてほかにも記事がありますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
伊勢神宮のお守りの効果や種類は?期待できるご利益や値段含めてご紹介!
一生に一度はお参りしたいと古くから大人気の伊勢神宮。最近のパワースポットブームで参拝者も増えているそうです。伊勢神宮のお守りの効果や種類は?...
伊勢神宮のおかげ横丁の楽しみ方!おすすめの食べ歩きグルメとお土産をご紹介!
三重県の伊勢神宮は日本人みんなの御祖伸である天照大御神が祀られており、伊勢の強力なパワースポット。そして神宮の内宮からほど近くにあるおかげ横...
伊勢神宮(内宮・外宮)周辺の安い駐車場10選!料金と混雑状況をご紹介!
人生一度は訪れてみたい観光スポット「伊勢神宮」。ここでは伊勢神宮の外宮・内宮それぞれの便利でおすすめの駐車場をご紹介。伊勢神宮周辺には無料駐...