カブトムシの育て方は?
カブトムシは夏時期に森などで捕まえてくるか、もしくは購入して家にやってきますよね。大抵の場合は成虫の状態で家に来ることになりますが、生きていられる期間はあまり長くありません。
それでも、育て方次第で僅かながら寿命を伸ばすことが出来ます。また、繫殖をさせることで長い間楽しむことも出来ます。
カブトムシの幼虫から成虫までの流れ
カブトムシの一生は約1年間
今回は長生きさせる為の方法を解説していきますが、まず、どのように一生を終えていくのかを学んでいきましょう。8月から9月頃に繫殖活動をして、卵は一週間程で孵化し、9月から4月くらいまでを幼虫状態で過ごします。
そこから5月頃に蛹時期を過ごし、6月に成虫となるという流れです。オスの方が寿命が短く、産卵活動がある分、メスの方が少し長生きです。
長生きさせるには管理が大切
どんなに頑張って飼育したとしても限界はあり、基本的には約1年程で寿命がきてしまいます。ほとんどの場合は秋時期にもなれば死んでしまうのです。しかし、卵の時期から出来るだけ心地よい環境で育ててあげることで、大きく成長し、長生きするようになります。出来るだけ長生きさせ、冬頃まで育てられるかチャレンジしてみましょう。
カブトムシの育て方①用意するもの
用意するもの①飼育ケース
今回は育て方を一から徹底的に解説する為、用意するべき必要なものもご紹介していきます。まずは「飼育ケース」を用意しましょう。
通常、1匹につきSサイズの飼育ケースがあれば問題なく飼育出来るのですが、長生きさせるには心地よい環境が必要で、その為にはMサイズのケースを用意してあげたいところです。広々とした家の方が心地よく過ごせるのです。
用意するもの②発酵マット
長く育てるには、マットにもこだわりましょう。普通の土などを使ったりせず、販売されている発酵マットを使いましょう。おすすめは「きのこマット」で、こちらは栄養価が高く、幼虫が大きく育ってくれます。
用意するもの③転倒防止アイテム
長生きさせる為には、出来るだけ元気な状態をキープする必要があります。そこで、転倒防止の為の止まり木を入れてあげましょう。よくひっくり返ってしまう虫ですので、起き上がる際にかなりの体力を使います。中々起き上がれないと疲れてしまい、それを繰り返していると寿命が縮んでしまうのです。必ず止まり木を入れましょう。
用意するもの④霧吹きと新聞紙
元気に長く生きる為には、最適な温度・湿度の状態を保ってあげなければいけません。その上で必要になるのが「霧吹き」です。霧吹きはいつでもお手軽に湿度を上げることが出来ますので、是非用意しておきましょう。
上の画像の霧吹きはとてもオシャレなものですが、もっとシンプルな、普通のもので構いません。ただし、元々洗剤が入っていたりしたものは使わない方が良いでしょう。
用意するもの⑤繫殖で使うスプーン
繫殖させて増やす場合はスプーンも用意しましょう。上の画像のような素敵なものを使っても良いですし、プリンを食べる時に使うような使い捨てのスプーンでも構いません。スプーンを使うことで卵・幼虫を傷つけずに扱うことが出来ます。
用意するもの⑥エサ
長生きさせるにはエサを絶対に切らさないことが基本です。常にエサの管理を怠らず、腐っていない新鮮なエサを与えましょう。また、どんなエサを与えるかも重要なポイントです。
一般的には昆虫ゼリーが使われますが、最も長生きするエサはバナナとされています。果物の方が腐りやすいので管理が大変になりますが、手間をかけられる方はバナナを与えましょう。逆に、水分量の多いスイカ・メロンなどを与えると寿命が短くなりますのでご注意下さい。
カブトムシの育て方②マットのガス抜きと加水
成虫購入前にガス抜きをしておく
成虫が家に来る前に、マットの準備をしておきましょう。購入したものをそのまま使おうとする方もいるようですが、実はそれはNG。発酵マットはそのまま使うと再発酵して熱を持ったり、色々な問題が起きてしまうのです。処理は時間がかかりますので、成虫を購入する一週間前くらいから準備を始めましょう。
マットのガス抜きと加水の方法
まずはガス抜きですが、これは非常に簡単で、大きな容器やビニールシートなどにマットを広げて日陰で一週間ほど放置しておくだけです。これでガスが抜けます。ガスが抜けたら水を少しずつかけて、加水をしていきましょう。
理想の水分量は「握った時に水がにじまず、形が残る程度」です。加水したら更に数日放置して、熱が発生したりしなければ完了です。
カブトムシの育て方③室温・湿度調整
最適な温度は25度前後
夏の暑い時期に野外で過ごす昆虫ですので、ある程度の暑さには耐えることが出来ます。とはいえ、いつもは森の中の日陰などで暮らしていますので、実は直射日光の当たる猛暑環境は苦手なのです。出来ればエアコンを用意してあげましょう。
目安として、大体25度くらいにしておけば問題ありません。私たち人間も25度くらいが過ごしやすいので、エアコンをつけたままにしておくと良いでしょう。
湿度管理もとても大切
真夏の生き物ということで、カラッとした乾燥環境が好みというイメージを持つ方もいるかもしれませんが、日陰の湿った環境で生きている昆虫ですので、ある程度の湿度を保ってあげる必要があります。
直射日光に当てない限りはすぐにマットも乾燥しませんが、やはり時間が経つと乾燥してしまいます。ビチャビチャにはせず、適切な湿度にしてあげましょう。
カブトムシの育て方④購入・捕獲
初心者は購入するのがおすすめ
成虫をどうやって手に入れるのかということですが、捕獲してくるのも一般的ではあるものの、やはり購入するのがおすすめです。上手に捕獲出来る方は簡単に捕まえられますが、一度も捕獲したことが無い方は、場所も方法も分かりませんよね。
夏時期になるとホームセンターで沢山販売されていますので、出来れば少し早めの7月頃に購入して下さい。
カブトムシを捕獲する場合
野外で捕獲した天然のものが良いという方もいるかと思います。野外で捕獲する際に大切なのが、カブトムシがいる木を探すことです。クヌギの木にいることが多いので、もしご近所にクヌギの木が生えている林などがあればチャンスですね。
夜行性ですので、昼間にトラップをしかけておいて夜に見に行くと容易に捕まえられます。下記リンクでトラップを紹介していますので参考にしてみて下さい。
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幼虫も販売されている
幼虫もたまに販売されています。幼虫から飼育していくと、成長していく様子がしっかり分かりますので、楽しみが増えますね。ただし、幼虫はやはり弱い状態ですので、初心者にはあまりおすすめではありません。購入するとしても、ある程度のサイズまで成長したものを購入するのがおすすめです。
カブトムシの育て方⑤飼育ケースに入れる
適切な環境を作ってから入れる
全ての準備が整ったら、いよいよ飼育開始です。先に用意しておいたマットを飼育ケースに敷き詰めて、成虫を入れましょう。マットはただ入れるだけではなく、手を使ってほんの少しだけ押し固めましょう。
カブトムシはマットに潜ったりしますので、固めすぎないようご注意下さい。入れる量はお好みで大丈夫ですが、潜れるだけの深さは作ってあげて下さい。
転倒防止をしっかり行う
マットを敷き詰めたら、装飾品にもなる止まり木などを入れていきましょう。それ以外にも、周囲に落ち葉やチップなどを入れることで素敵なケースとなります。
落ち葉などは拾ってきても構いませんが、もし拾った落ち葉に抵抗がある方は、お店で販売されていたりもしますので利用しましょう。100円均一のお店でもよく販売されていますのでチェックしてみて下さい。
1つのケースに一匹が基本
カブトムシのオスはよくケンカをします。長生きさせたい場合は、ケンカして体力を減らさないよう、穏やかに過ごす為に1ケースにつき1匹だけ育てて下さい。
カブトムシの育て方⑥日頃の管理
エサを切らさないよう注意
ケースにマットを入れ、止まり木なども入れたら、後はエサを入れて環境作りは完了です。エサは一般的な昆虫ゼリーで構いませんので、切らさないようにしましょう。
特に産卵期には沢山エサを食べたりしますので、無くなっていないかよくチェックしてあげて下さい。バナナなどを使う場合は腐りに注意が必要です。暑い時期は腐りやすいのでご注意下さい。
エサの交換頻度
もし昆虫ゼリーを使って飼育していくのであれば、交換頻度は大体三日に一回くらいになります。ゼリー自体の賞味期限は長いのですが、封を開けると劣化が早くなり、劣化したものを放置しておくと環境悪化に繋がります。
コバエの原因ともなりますので、常に新鮮なものを与えましょう。
カブトムシの育て方⑦繫殖方法
繫殖方法①一週間交尾させる
成虫を購入して飼育を開始し、一週間ほど経って環境に馴染んできたら、交尾をさせましょう。オスは非常に性欲が強いので、メスと一緒のケースに入れればスムーズにペアリングされます。
繫殖方法②別々のケースに移す
オスとメスをペアにして、一週間ほど同じケースに入れておけば、ほぼ交尾は完了しています。そのまま一緒のケースに入れておかず、別々のケースに移してあげましょう。
メスはもう産卵モードに入っているのに、オスがまた交尾をしようとしてしまい、邪魔になることがあります。落ち着いて産卵出来るようにしてあげましょう。
カブトムシの育て方⑧産卵後の作業
産卵場所がおかしいものを保護
交尾が完了してしばらくすると、メスが産卵を始めます。産卵場所は基本的にマットの中です。メスがマットに潜っては産卵をし始めるのですが、必ずマットの中に産卵をする訳ではなく、マットの上だったり、昆虫ゼリーの上で産卵を始めることもあります。
幼虫はマットを食べて大きくなっていきますので、昆虫ゼリーの上は良くない状態です。そういった場所で産卵した場合、卵を保護してあげましょう。
割り出しとは?
メスの産卵が終わったら、割り出しという作業をします。割り出しとは、産卵を終えたらマットを全て出して広げ、卵を全て違うケースに入れたりする作業を指します。
そのまま割り出しをせずに飼育することも出来るのですが、幼虫同士でトラブルが起きることがあったり、現在どのような状態か把握しづらくなるといったデメリットがあります。
幼虫が小さい間は小さな容器へ
ケースからマットを出すと、卵が約30個くらい出てきます。その卵を一つ一つ、別の容器に移してあげましょう。おすすめなのはプリンカップと呼ばれるもので、透明で小さなケースに「きのこマット」を敷き詰めて、指で少しくぼみを作り、卵を置いて、土を優しくかぶせてあげましょう。
卵の孵化率は大体50%~60%くらいですので、15個くらいの卵が孵化するイメージですね。
カブトムシの育て方⑨幼虫の管理
幼虫はマットがエサとなる
卵の状態で一週間ほど過ごし、遅い個体でも10日程で孵化が始まります。一旦孵化すると、幼虫は周辺のきのこマットを食べてすくすくと成長していきます。凄いスピードで成長していきますので、見ていて楽しい時期ですね。
幼虫は最終的にかなりの大きさまで育ちますので、マットを食べる量も想像以上です。少なくなったらすぐにマット交換をしてあげましょう。
マット交換時の注意点
マットを交換する際にいくつか注意して頂きたいことがあります。まず、幼虫は弱い状態ですので、直接手で捕まえたりせず、スプーンでマットごとすくってあげましょう。
また、急激な環境の変化はストレスに繋がりますので、元々のマットを三分の一くらい残してあげるのも大切です。その際、マットに糞も沢山あると思いますので、糞は取り除いてあげましょう。
成長するに従ってケースを交換
幼虫がまだ成長しきっておらず小さい時期であれば、プリンカップで十分に育てていけます。しかし、ある程度の時期まで来るとプリンカップでは狭くなってしまいますので、別のケースに移してあげて下さい。
飼育ケースでももちろん構いませんし、瓶のような容器でも構いません。狭い環境は成長を止めてしまう可能性がありますので、出来るだけ余裕のあるケースを使用したいですね。
カブトムシの育て方⑩冬の過ごし方
幼虫は冬に動かなくなる
カブトムシはどうやって冬を乗り越えているのか不思議に思っていた方もおられるようですが、冬は幼虫の状態で、ひっそりと過ごして乗り越えています。外の寒い空気に触れている訳ではなく、土などの中で暖かい状態で過ごしているのです。
とはいえ、冬は寒いので食欲も減り、動きもあまり無くなります。暖かくなるとまた元気に動き出しますので、冬は見守ってあげましょう。
エサ切れと乾燥にだけ注意する
冬は食欲も減ってしまいますので、特に何かしてあげたいことはありません。とはいえ、全く食べない訳ではありませんので、マットが減っていたら交換は必要です。
一番気をつけてあげたいのが乾燥で、冬はエアコンをつけることが多いので乾燥しやすくなります。冬はあまり動きはしませんが、ちゃんとチェックして手間をかけてあげましょう。
カブトムシの育て方⑪さなぎ時期
5月に頃にさなぎになる
冬を乗り越え、春になるとまた活発に動き、成長していきます。そして、5月頃になると幼虫の動きが固まってきます。これは「蛹化」が始まっている証拠であり、段々と蛹に近づいているのです。その頃、幼虫は蛹として過ごす為の「蛹室」を作り始めます。
この蛹室で約一か月ほど過ごし、成虫となるのです。5月頃はもう蛹室を作っている可能性がありますので、蛹室を壊さないようマット交換は避けましょう。
蛹室を壊さないこと
幼虫の成長を見守るのもとても楽しいものですが、出来れば成虫となるまでの蛹の状態も見たいですよね!しかし、運よくケースの壁際で蛹室を作らない限りは見れない場合がほとんどです。
そこで、どうしても蛹室を見たくてマットを掘って蛹室を壊す方がいますが、それはいけません。非常にデリケートな状態ですので、壊さないようにして下さい。
さなぎを見たい場合は?
蛹室を壊してしまうとカブトムシが死んでしまうこともあります。ですので安静にしておかなくてはいけません。それでもどうしても見たい場合は、マットの上から少しずつ少しずつ掘っていき、蛹室を上からチェックさせてもらいましょう!
大きく穴を開けず、ほんの少しだけ見るのが大切です。無事に見えて確認出来たら、蛹室の上に何かをかぶせて、蓋をしてあげましょう。
カブトムシの育て方⑫成虫になってから
成虫になっても成熟した訳ではない?
いよいよ、カブトムシ飼育のメインである成虫時期です。さなぎから羽化して成虫になるととても嬉しいですよね。しかし、いざ成虫となったのに、あまり動かない・エサを食べなくて不安になるかもしれません。
実は成虫となったばかりの頃はまだ動きが鈍いのです。そして、ある程度経つとエサを口にします。エサを口にすると「成熟」と呼ばれる状態になり、立派な成虫となります。ここからは適切な温度・湿度管理をして、バナナなどを与えて長生きさせていきましょう!
近親交配に注意
成虫となったら、また繫殖させることが出来ます。その際に気をつけたいのが「近親交配」です。親が一緒な個体同士をペアリングしてしまうと、障害を持った個体が産まれやすくなるのです。近親交配は避けた方が無難でしょう。また、成虫を長生きさせることだけを考えるのであれば、交尾をさせない方が長生きする確率が高まります。
カブトムシの育て方 注意点
割り出しで卵を傷つけるケースが多い
今回解説させて頂いた中で、最も気をつけたいのが「割り出し作業」です。割り出しは卵に触れますが、卵は大変傷つきやすいものですので慎重に扱いましょう。必ずスプーンですくうようにして下さい。もし不安であれば、幼虫となってから割り出しをするという手もあります。
コバエは一度発生すると止まらない
カブトムシ飼育でかなり厄介な問題となるのが「コバエの発生」です。これは、何も対策をしなければほぼ起きてしまいますので、対策をしましょう。ケースと蓋の間に新聞紙やディフェンスシートを挟むことで、乾燥を防ぎつつコバエの繫殖を防ぐことが出来ます。
空中にぶら下げるコバエ殺虫剤などはカブトムシも殺してしまいますので使ってはいけません。
カブトムシを構いすぎないこと
子供たちはカブトムシが大好きですので、購入したら手に持ったり、他のオスと戦わせたりしたくなりますよね。それは醍醐味ではありますが、長生きさせたいのであれば、あまり良いことではありません。
また、私たちが起きている時間帯は、カブトムシにとってはお休みする時間帯でもあります。出来ればそっとしておきたいところなのです。
まとめ:カブトムシの育て方
今回の「カブトムシの育て方!夏から冬まで長生きさせる飼育方法や繁殖のコツを解説!」はいかがでしたでしょうか?
成長の流れや、育て方、繫殖の方法などを一から詳しく解説させて頂きましたが、全体の流れは把握出来ましたでしょうか?成虫だけを育て、長生きさせるだけであれば、温度・湿度管理とエサ選び・交尾をさせないことで長生きする可能性が高まります。
繫殖させるのであれば、幼虫時期から成虫に成長するまで、大切に育てることで寿命を伸ばすことが出来ます。頑張って冬時期まで育ててみましょう!
カブトムシの育て方が気になる方はこちらもチェック!
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