そもそもオーロラとは何か
見たこと無くても、オーロラは空に映し出される幻想的な現象だと知っています。しかし実際のところ、見えたオーロラの正体が何なのか、一般に詳しい人は少ないかも知れません。
太陽が地球磁気圏に影響して発生する
オーロラの発生原理を簡単に言えば、太陽フレア、太陽風といった、太陽から放たれて地球に流れるプラズマが、大きく影響しています。地球の磁気圏のプラズマシートと呼ばれる場所に太陽のプラズマが溜まると、地球の大気中の粒子と衝突することの作用で、うごめく幻想的な光を放ちます。
謎が多いオーロラ
オーロラは17世紀から研究がされていますが、21世紀に入っても完璧に解明された現象ではありません。たとえば太陽のプラズマが地球のプラズマシートに入り込む理由だとか、ブレイクアップ(オーロラ爆発)と呼ばれる、突如始まる大規模なオーロラショーの理由も定かでありません。
オーロラの発生条件
寒い日に発生しやすい条件
寒い日にオーロラが出ると誤解する人が多いですが、実はオーロラの発生条件に低い気温は含まれていません。しかし北欧では、寒くて空が澄んでいる日にオーロラがよく見えるのは事実です。
オーロラ発生の時期は1年中
冬によく見えたと言われて評判のオーロラですが、実は時期を問わず、1年を通じて発生する現象です。春夏秋冬、季節は違っても、太陽フレアや太陽風は常に地球に降り注ぐため、オーロラは季節に関係ないのです。ただし太陽活動によっては、長い時期に渡り発生しないこともあり得ます。
オーロラ発生の時間帯
オーロラが見えるのは、ある程度空の暗さと大きく関係しているため、良く見える時間帯も決まっています。空が暗くなる20時以降、特に21時から早朝の夜明け前までの時間帯です。暗い空、深夜から早朝の時間という条件が、見えたオーロラを際立たせてくれます。
実は昼間の時間帯も発生している
オーロラは暗い時間だけに発生するものだと、思いこんでいる人もいるかもしれません。しかし実はオーロラは朝でも真っ昼間の時間でも発生しています。ただ日中は太陽が明るく照らすために、淡いオーロラの光は、砂にまぎれたヒラメのごとく見え辛くなっているだけです。
オーロラと人類史
オーロラという名前の由来は
17世紀の頃にオーロラが世に知られると、欧州の研究者がローマ神話における暁の女神アウロラ(Aurora)の名前を付けました。この命名者はフランスの物理学者ピエール・ガッサンディが有力ですが、天文学の父と言われる、イタリアのガリレオ・ガリレイだとも言われています。
不吉の象徴
まだオーロラという名前が無かった古代から、人類はオーロラを観測してきました。昔の欧州人は壮大なオーロラが見えた時、神の戦いの姿や、良くない兆しとして捉えていました。古代中国でも赤い龍や蛇の神として、不吉の象徴であると認識されていました。
「日本書紀」に記録されたオーロラ
古くから日本では、赤く見えるオーロラのことを「赤気(せっき)」と呼び、やはり凶兆であると認識していました。最古の記録となるは「日本書紀」の推古天皇の時代にあります。「天に赤気があり、その形は雉の尾に似ていた。長さは一丈」などと、見えた時の詳しい記録があります。
オーロラが見える通常範囲
日本列島の大部分で普段からオーロラが観測不可能なのは、地球上空では、いつもオーロラが発生する範囲がおおむね決まっているためです。
オーロラ帯で発生する
オーロラが発生する場所は、オーロラ帯という帯状でドーナツ型の地帯と決まっています。北半球でいえば、地磁気の緯度で、北緯65度から78度付近にかけてのあたりです。ここは太陽からのプラズマ粒子が地球の磁力線に入り込みやすい場所です。
北海道はオーロラ帯に含まれない
日本人の感覚として、北海道は地球のかなり北に位置している印象があります。しかし北海道最北端の北緯45度の稚内ですら、オーロラ帯には含まれていないのです。しかし北海道がオーロラ帯にないからといって、諦めることはありません。
北極と南極で同調するオーロラ
オーロラは北極に近い高緯度地域と共に、南極に近い高緯度地域でも発生しています。その際に見えるオーロラは、南北で同じような動き方を見せる様子が観測されています。これは北極から南極まで同じ磁力線でつながる、共役点があるためだといいます。
オーロラ観測が頻繁にできる諸国
オーロラ帯に属していない日本と違って、世界には毎日の夕焼けと同じように、日常的に観測できている諸国があります。
北ヨーロッパ
北部ヨーロッパは、常にオーロラが発生する条件を揃えている地域。北欧のスウェーデン、ノルウェー、フィンランドのオーロラは特に有名です。大西洋のアイスランド、バルト諸国も見えるし、東西に長いロシアはオーロラ大国です。首都や大都市部でも観測できるのが欧州の特徴です。
北アメリカ
北米大陸、カナダの北部全域は、オーロラ帯に所属している地域です。また、アメリカのアラスカも、1年中時期に関係なく、オーロラが見える場所として有名です。北アメリカ大陸では大都市部ではあまり見られませんが、雄大な自然と一体として観測ができます。
南半球の諸国
南半球がわでオーロラが観測できやすい国もあります。それは南極大陸に近い、オーストラリア南端のタスマニア島、ニュージーランド南端、それに南アメリカ大陸の南端、チリやアルゼンチンです。
オーロラの形状
オーロラのカーテン
地球の磁力線の形に沿って発生しているオーロラで、よく知られているのがカーテンのひだのような形です。地上から100キロ~1,000キロの高さに発生し、東西には数千キロにも伸びています。色は下部が緑色で、上部が赤く見えるのが一般的ですが、黄色やピンクや紫など様々な色も見られます。
オーロラの形の分類
毎日発生しているオーロラは、いつも違う形を見せています。オーロラの形の分類では、最大のものがカーテンであり、それ以下バンド(帯)やコロナ(放射状)、小規模に見えるものとしてアーク(弧)やトーチ(松明)、点滅型などがあります。
北海道で見えそうなオーロラの姿
北海道で特徴あるオーロラカーテンを目撃できるかと期待が膨らみますが、そんな期待を持って良いのでしょうか。
北海道で見えるのは赤色を中心とする
もし今後北海道や本州でオーロラが見られるとすれば、むかし赤気と呼ばれて恐れられた、赤い色をメインとするオーロラです。この赤い色は、オーロラの全体の上半分に見られる色合いです。
しかし北海道なら緑のオーロラも
北海道から見ると、オーロラのカーテンの緑色は、地平線で隠れてしまっているのが通常です。北欧で見られるような、光のカーテンを目撃するのは難しいことです。しかし近年も極めて稀に、北海道北部で緑の部分もきちんと確認されたことがあります。
北海道でオーロラが見える条件
太陽プラズマ量が増えた時
北海道の低緯度地帯で、わずかでもオーロラが見られるとしたら、それは太陽の活動が活発化した時。その時には上空の太陽フレアやプラズマ量が膨大に増えているはずです。
北海道の寒い冬の星空が見える時
それに加えて、北海道が寒い季節で空が暗くなり、またたく星空が確認できる時間帯など、すべての気象条件も整っていることが必要です。そんな晴れた夜、21時から早朝4時ころまでの暗い時間帯がオーロラ観測に最適です。
日本で近年見えたオーロラ
日本では稀にしか観測できない
1958年2月11日、北海道、東北地方、長野県など広い範囲でオーロラが観測されていました。1989年と2001年にも、北海道から近畿地方にかけての広い範囲で、オーロラが見られました。2001年~2004年にかけては、北海道の各地でオーロラを見ることができました。
2015年の北海道は複数日見えた
最近に北海道でオーロラが見えたのは、2015年のことでした。この年は春先の3月15日に見えたのを始めとして、6月23日、12月21日と、年に3日も見る機会があったのです。年に3回も見えることは、北海道でもたいへん珍しいことでした。
日本でオーロラ見えた最南端
2001年11月25日のオーロラは、日本の南方まで見えるほど規模が大きいものでした。琵琶湖のほとり、滋賀県の信楽町で、北の空にうっすらと色づいたオーロラが観測されています。これが日本国内での、オーロラが見えた最南端記録となっています。
北海道でオーロラ観測できそうな場所
オーロラ観測率が日本最高なのは間違いない北海道では、どこに行けばオーロラを肉眼で見やすいのかも考えてみるべきです。
北海道の北部は確率が高い
過去に北海道でオーロラ観測がされた場所は、2001年~2003年にかけては、最北端の稚内、東部の陸別町などでした。オーロラ帯に近い北海道北部なら、確かにオーロラ遭遇率は上がるのは間違いないことです。
気象と地形の影響
北海道でのオーロラ観測は、気候に左右されて雲が多いと見えず、北に山岳があっても見えません。北に山や建物がない高台で、晴れた夜が望ましいです。北海道ならどこでも良いというものではないと考えられます。
標高が高いほどオーロラが見えやすい
標高が高い場所に行くことで、平野部では見えることのない、北の空の領域が見えるようになります。だから冬の北海道でたまたま登山をして、たまたま夜中に北の空を見たら、たまたま赤く色づいていたなんてことは考えられます。
オーロラ観測率を上げる方法
【北海道】陸別町のオーロラ こんな場所でプロポーズされたかったらRT pic.twitter.com/2alKnJrJiW
— プロポーズされたい景色 (@beautifulviewer) May 2, 2018
冬の寒い時期、オーロラがよく見えやすい稚内や陸別町に長い時期、滞在するのはどうでしょうか。オーロラを見るため、いっそのこと北海道の稚内や陸別町あたりに住んでしまうという手もあります。
とは言え1年に1度あるかないかの確率
北海道は日本で一番オーロラが見える可能性を秘めています。しかしこれまでにわかった通り、北海道のオーロラは数年に1度あるかないかという確率なのです。当たり年になっても年に数回という希少さです。もしオーロラを目の当たりにしたら、今では凶兆どころか凄くラッキーな感じです。
北海道での観測は情報収集が大切
北海道でのオーロラは、数年に1度あるかどうかのスペクタクル。出会うために一番重要だと考えられるのが、情報収集です。
太陽活動の情報を得る
日本の宇宙科学研究所は、太陽活動を常時観測し続けています。もしオーロラのブレイクアップが起きそうな時や、特大の太陽フレアが地球を直撃したり、プラズマが多い時には、オーロラ関係の情報も出ているかもしれません。
科学ニュースにも予報が出る
日本でオーロラが見られるのは一大事件なので、専門の機関だけでなく、通常のニュースサイトでも情報を出していることがあります。時期を問わず、毎日暇な時間に科学や気象のニュースチェックをしていることで、オーロラ遭遇率を格段に高められます。
天気予報も見逃さない
オーロラが見えることが確実な情勢になっても、雲行きが怪しくなれば、ただ雲の動きを見つめるばかりです。当日の天気の条件が晴れているかどうか、オーロラ発生情報と合わせてチェックしておくべきです。
オーロラ撮影をする方法
北海道で、オーロラが目前に煌々と浮かび上がっている状況に直面しても、実はカメラで撮影する時の特有な難しさがあります。
オーロラ撮影が難しい理由
北海道で見られるオーロラは極めて弱い光であり、街の明かりを撮影したり、明るい部屋で撮影をするのとは勝手が違います。普通のデジカメやスマホで撮影しても、光が弱いために映らない可能性が高いです。
弱光のオーロラ撮影時の工夫
暗い場所でオーロラ撮影をするには、シャッタースピードを10~15秒程度まで落とす必要があります。光を捉える能力(ISO感度)を高く調節できるカメラ、広角の明るいレンズを選び、三脚を使うのがベストです。これにより、うごめくオーロラも、比較的にはっきりと映し出せます。
日本で確実にオーロラ見る裏技
日本で見えたりするかはっきりしない、いい加減な性格のオーロラ。だから裏技で、オーロラ見た気分を味わってください。
プラネタリウムに行ってみる
全国のプラネタリウムでは、北欧や北米に現れるオーロラを再現した映像を見られることがあります。円形のスクリーンに映し出されるオーロラの姿は、実際に目の前に現れたかのようなリアリティーを感じる時間です。オーロラを投影するプログラムを見つけ出したいですね。
人工オーロライベントに行く
近頃は時々、時期を問わず色んな場所で、人工オーロラのイベントを開催しているのはご存知ですか?これはレーザーを使って、屋外の空中にオーロラに似た光を投影するものです。実際のオーロラに近いものから、完全にオーロラとは言えないようなカラフルな光を見られることもあります。
北海道で無理ならオーロラツアーへ
日本で首を長くしてオーロラを待ち続けても、一向に現れない時期のほうが長いのは確実。だから実物をすぐに見たいなら、世界のオーロラツアーに出かけてください。
ツアー目的地の多くは北欧と北米
【オーロラ企画実現への道】イエローナイフ(カナダ)/最もオーロラ鑑賞に最適な場所。なんと3晩連続でオーロラ鑑賞すると90%の成功率。《鑑賞期間》8月初旬から10月前半、11月下旬から5月初め《ツアー料金》25万~35万pic.twitter.com/LbHDv3AfUV
— ゆうとんbot (@yu___ton_bot) May 3, 2018
1年を通じてオーロラが発生しやすい北欧諸国や、アメリカ大陸のアラスカやカナダ北部は、各旅行会社がオーロラツアーを行う場所です。ツアーは春から冬まで、お好きな時期を選ぶことができます。
オーロラツアーの特徴
オーロラツアーでは、確実性を高めるために最短でも4泊以上の滞在日数を確保しています。ツアー中の時間は、街や自然の名所を巡ったり、スキーやハイキングや美味しい料理など、オーロラと一緒に観光も充実します。
オーロラツアーの予算
北米大陸や北欧のオーロラツアーは、最安ならば4泊6日で20万~35万円程度のお値段です。贅沢なツアーになると、6泊~7泊で70~90万円程度のツアーまでも用意されています。高額を出しても見に行きたい、そんなオーロラに魅了された人が続出中です。
いつか北海道でオーロラに出会いたい
オーロラとは太陽と地球が生み出す、人を幻惑する自然現象であり、北海道でも目撃が困難なこともわかりました。しかし北海道なら日本の他の場所より、オーロラ観測の条件が揃っているのも事実です。前もって情報の収集と準備を怠らず、いざ顔を見せたなら撮影も実現したいものですね。
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