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アラフィフチャリダーが行く!北海道小旅行【第六夜】

齢46歳Webライター。分け合って旅に出ています。しかも学生の様に自転車に荷物載せて。優しさに触れたり公園でインスタント麺を食べた初日の夜は何と無人駅に泊まりました。駅のトイレで歯を磨いて、頭洗ったり体を拭いたり。ドキドキワクワクの2日目、ご覧ください。
更新: 2023年4月10日
おとうさん
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キャンプより快適?無人駅で迎える初めての朝

撮影:ライター

旅が始まって最初の朝を迎えた。

旅と言ってもあと2,3日で終わる。

それだけに一秒一秒が愛おしい

もぞもぞと芋虫の様にシュラフから這い出る。

駅の構内という特殊な環境。

寝心地はどうかと心配したが、平らな地面と揺れない壁、何より雨を確実に防いでくれる安心感は心強かった。

ステーションビバーク、アリだな。

疲れていても寝られない。真正の不眠症

初めてのステーションビバーク。

テントで迎える朝より快適だったが、僕はそれでも寝れない真正の不眠症。

旅の興奮もあるだろうが、家で寝る時と同じく何度も目が覚めた。

「いや、駅の構内じゃ寝られないでしょう」と思われるかもしれない。

しかしキャンプ好きなら分かってもらえるはずだ。

テントに潜る、シュラフに包まれる安心感を。

フカフカのベッドが苦手な僕にとって硬い土やコンクリートは都合がいいのだ。

昔シェルパ斎藤が言っていた。

「テントには母体回帰効果がある」と。

コーヒーとインスタント麵と紫煙

撮影:ライター

朝4時。辺りはまだ暗い。

就寝時は点いていた電気も自動で消えていた。

煙草を吸いに構内を出る。

最近の駅は、構内どころか駅そのものに灰皿が無い。

入口の階段に腰掛け、少しずつ明るくなる紫色の空とオレンジ色の街路灯を眺める。

自転車に括り付けているパニアバックからコーヒーセットを取り出す。

「インスタントコーヒーでいいんじゃない?」と言われそうだが、ゴメン。朝のドリップコーヒーは譲れない。

重くはないが嵩張るコーヒーセットを取り出す。豆を挽く。いつもより響く豆の音。

いつもはドリップスケールで計って淹れるがさすがにそこまではしない。

シェラカップで適当に淹れる。

もちろん美味い。

朝食はインスタント麺。

昨日の夜スパゲッティだったので。

ローテーションではない。

変化だ。

味?こんな環境で食べて不味いはずがない。

朝日に息を飲む

撮影:ライター

駅構内に持ち込んだ自転車を運び、グローブを履き、頭に手ぬぐいを巻いて前を向く。

朝日。

家では毎朝3時に目が覚める。目が覚めたら朝活と称してパソコンに向かっている。

朝日は毎日見ている。

それとは違う朝日。

当然だ。

モニターとレースカーテン越しに見るそれと、不安と高揚感越しにみるそれが同じはずがない。

同じであってたまるか。

俺は今旅に出てるんだ。

自分を変えるんだ。

the北海道な道 はんはんは♪~ははは~♪んはは!


撮影:ライター

なんだ?いきなりテンションたけぇな?

そう言わずに、この景色を見て欲しい。

思わず脳内で玉置浩二の田園を再生してしまわないか?

でも青春時代を長渕剛と共に過ごした僕のライブラリーに、そのレコードはストックされていない。

だから頬杖ついたあの子はずっと石ころ蹴飛ばしているし、道を外れて途方に暮れっぱなしだ。

それでいい。

僕は蹴飛ばされて転がる石だ。

ライク ア ローリングストーンだ。ボブディランだ。

気の向くままに転がって行こうじゃないか。

道の駅あびら D51ステーション

撮影:ライター

道の駅あびら D51ステーションに着いた。

出発前の計画では初日でここまで来るはずだった。

まあそんなことはどうでもいい。

テッチャンじゃないのでよくわからないが、機関車が展示されている。

男子はいつになっても特殊車両に惹かれる。

差別ではない。主観を含んだ印象だ。

近寄れないがせっかくなので写真を撮ってトイレに行って出発。

ハラヘッタ…コンビニ…

なんかお腹すいた。

朝食べたのが5時ころでそこから何も食べてない。たしか時間は10時ころだったと思う。

何か作ればいいんだろうけど、水も場所もない。

この先に行けば三川という町がある。

田舎だがコンビニ、せめてセーコーマートくらいはあるだろう。

行動食には手を付けたくない。あれは栄養を補給するもので、腹を満たすものではない。いまは腹が減っているのだ。

三川の町に入った。コンビニ、コンビニ…

ない!

気が付いたら北広島市に向かう国道274号に出てしまった。

この先は北広島市に出るまでますます何もない。

しかたない、秘蔵のウィダーインゼリーを飲もう。

心洗われる景色 僕は何に悩んでいたんだろう

撮影:ライター

国道274号に出た。

ここは札幌に続く道なので交通量が多い。登り坂を慎重に進む。

キツくはないが、ずっと登り坂。

本来なら息が切れるはずだが不思議とそれがない。

周りが気に囲まれてるせいで、酸素が濃いのか?

牧草ロールが点在する畑にでた。

美瑛とまではいかないが丘陵がきれい。

今度は松山千春だ

 

果てしない大空と広い大地のその中で

凍えた両手に息を吹きかけて、しばれた体を温めて

生きることが辛いとか、苦しいだとか言う前に、力の限り生きてやれ

 

そうだ僕は生きている。ここに立っている

辛いこともあるけど、しばれた体を慰めてくれる人がいる

生きることが辛いとか、苦しいと感じることもあるけれど、大地にしっかり立って、力の限り生きてやろう。

道の駅マオイの丘公園とセイコーマートの弁当

撮影:ライター

急な下り坂をブレーキ一杯握りしめて降りたら、マオイの丘という道の駅に着いた。

ようやく何か食べられる。

と思ったらまだやってない…

ヤバい…本気でハラヘッタ…

どこか道を逸れてもいいからお店が無いかと地図を広げる。

少し先にセーコーマートがあるようだ。

もう動けない。

セーコマに着いた。

しかしお昼前の中途半端な時間で、お弁当が補充されていない。

仕方なしに残っていた鳥からげ弁当を買う。

北海道だけどザンギじゃない。

予想外に辛くてヒーヒー言いながら、コンビニコーヒーで流し込む。

ホッとにしてしまったことを後悔しながら……


僕のコンビニへのこだわり

セーコーマートの略称は地方や人によって様々だ。

僕はセーコマ。

セーコマのCMではセコマと言っているのでそれが正式なのだろう。

でも僕はセーコマと呼ぶ。

セブンイレブンはセブンイレブンで、決してセブンとは言わない。

つまらないと言わないでくれ。それが意地とこだわりというものだ。

いや、下らねぇな……

あいすの家とエトセトラ

撮影:ライター

あいすの家とエトセトラっていうアイス屋さんを発見。

交通量が多く、路肩が狭い。かと言って歩道は片側で途中で切れるという、田舎ならではの道を慎重に走っていたら突然出てきた。

駐車場整理をしているおじさんがいたので「イベントですか」と尋ねたら「あと30分で開店だよ」と。

検索してみるとどうやら人気のアイスクリーム屋さんのようだ。

気になるお店があったらすぐに検索する辺り、時代だなと感じた。

10分前になるとお店の前には行列ができた。

カップルや家族連れの中に汚い格好をしたハゲが立つ。

北海道旅行=ソフトクリーム

撮影:ライター

美味い。

いかにも北海道のソフトクリームといった感じの濃厚な味。

今日の予定はゴールである秀岳荘に着けば、あとはテキトーだ。

時間的には昼頃に着く。

疲れもあるが、少しのんびりしていくことにした。

緑と都会を抜ける北広島自転車道

撮影:ライター

秀岳荘の他にもう一つ楽しみにしていた場所がある。

それが北広島自転車道だ。

始まりと終わりがどこか分かりにくいが、北広島市から札幌の中心部近くまで繋がっているようだ。

自転車道というくらいなので、車を気にせず安全に走れるのだろう。

都会が苦手なので、出来れば車でも札幌は走りたくないのだ。

アイス屋さんを出発して少し行くと、車がガンガン走る急な上り坂に差し掛かった。

突入に逡巡して他のルートがないかウロ付いていると「北広島自転車道」の看板が目に入った。

意気揚々と突入。

基本的に登りだが、よく整備された林の中を走る。

木漏れ日が眩しく、日陰が気持ちよい。

いつまでも走っていたくなる。

中間点と思わしきところに休憩所があった。

自転車の駅と看板があり、トイレと自販機。水飲み場があった。

コーヒー飲みたかったけど秀岳荘でお金を使いたかったので水で我慢した。

たかだか100円なんだけどね。

その先はずっと下り。

けれど市街に入ったせいか、ウォーキングやランニングの人が増え、スピードは出せない。

「北広島っていい街だなあ」とか思いながらゆっくり走る。

着いたぜ秀岳荘!


撮影:ライター

自然の中を走ってきた北広島自転車道もいつか都会の色が濃くなってきた。

地図を見る限り秀岳荘は近いはず。

でもイマイチ分からない。

ここで旅人スタイルのスキル発動。

人に聞く!

「秀岳荘ってどうやって行きますか?」

「秀岳荘?わかんないな」

自分にとって特別でも他の人とっては興味が無い。普段の生活でもよくあることだ。

誰に聞いても分からないので、適当に国道に出る。

国道5号線を進めばあるはずだ。

ここでも歩道を走る。

札幌の主要道、車がバンバン走る国道を、大量の荷物を積んだ自転車で走る勇気を僕は持ち合わせていない。

交差点ごとの信号とお祭りがあるかのような人込みを抜けて、辿り着いた。

秀岳荘。

北海道では有名なアウトドアショップだ。

アウトドアに興味を持ち始めた頃、ここを偶然見つけて入った時は夢の国に来たような気持ちになった。

あれから時間が経ち、中級者の域に入った僕に夢の国はどう映るのだろう…

あれ?これ持ってる。これ知ってる、これ俺のスタイルに合わない。

どうやら少年は大人になってしまったようだ。

春に履けたシューズが秋にはサイズアウトしていまった様に。

旅の折り返し 帰るまでが遠足です

なんだか拍子抜けしてしまった。一通り見て満足したので店を出ることにした。

でもここから本当にノープラン。

帰るには帰るんだがどのコースで帰るか決めてない。

とりあえず今日中に札幌は抜けたい。

中山峠に行くのはしんどいので、やはり国道36号線を南下するしかない。

時刻は13時過ぎ。お腹も空いて来たので何か食べたい。

帰るまでが遠足と小学校の遠足で言われた。

気を引き締めてペダルを踏む。

あと半分だ。

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