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アラフィフチャリダーが行く!北海道小旅行【第七夜】

駅の構内で朝を迎え、朝日の美しさに息をのみ、北海道の雄大な景色に自分の悩みの小ささに気付いたおとうさん。すでに旅の目的は達成できたようです。旅の目的地、秀岳荘にも辿り着いてあとは帰るだけ。でもお腹ペコペコなのでとりあえず何か食べたい。第七夜スタートです。
更新: 2023年4月11日
おとうさん
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はじめて入った【かつや】

撮影:ライター

さて、あとは帰るだけだ。

ここからの道はなんとなく頭に入っている。

迷うこともないだろう。

それにしてもお腹が空いた。

せっかくなので札幌でおいしい物が食べたい。

できればコンビニではなくおしゃれなお店がいい。

ん~ない…

そもそもこの格好でおしゃれなお店などあるはずがない。

くわえて進む道はイメージしていたより坂が多く、急だ。

お祭りのような人混みをかき分け進むと「かつや」があった。

車で遠出をすると時々見かけていたが値段が高そうで入れずにいた。

しかしここまで基本的に麺類しか食べていない。

多少奮発してもいいだろう。

牛丼じゃないだけ僕の中では十分おしゃれな部類に入る。

メニューを見るとどれも千円以下。それで"肉”が食べられる。

甘くて濃い味のタレが身体に染みわたり、じつに美味い。

栄養補給バッチリ。さあ出発だ。

あ、脂もの食べたあとの一服はやめられない。

札幌の街、なんか坂多くない?

撮影:ライター

国道36号線。

車で札幌に遊びに来た際にいつも通る道だ。

それにしてもこんなに坂道だったかな?

行けども行けども急で長い坂。しかも信号があるのでリズムに乗れない。

まあ帰るだけだ。ゆっくり行こう。

コンサドーレ札幌のホーム 札幌ドーム

撮影:ライター

連続する長くて急な坂を走り、休憩したいなと思っていた頃遠くに何やら異様な物体が見えてきた。

分かりやすく表現するとマンガや映画になった、【20世紀少年】の終わりの始まりに登場したロボットみたいだ。

まぁ細菌をまき散らすことはないので近づくと、札幌ドームだった。

札幌ドームはJ1のコンサドーレ札幌の本拠地。昨シーズンまでは日本ハムファイターズのホームでもあった。

これも車で通る際に見ていたが、近くでゆっくり見るとその大きさに思わず声が出る。

大きな建物を見る機会のない田舎者は、こんなものを建ててしまう人間の力に恐怖を感じてしまう。

三井アウトレットパーク北広島店

撮影:ライター

札幌ドームをあとにして少し進むと今度は三井アウトレットパーク北広島店が見えてきた。

ここはモンベルをはじめ、アウトドアショップが入っているので本当によく来る。

子供用品から若者が着る服、女性のファッションも数多く取り扱ってるので家族で一日中楽しめる。

屋内施設なので、北海道の冬でも長い時間遊べるのがまたうれしい。

坂の連続で疲労困憊。寄って行こうかとも思ったが、汚い格好をしていたし、そろそろ寝床を探さないといけない時間なので先に進むことにした。

三井は家族と来る場所だ。

限界だ 今日はここまで!道と川の駅花ロードえにわ

撮影:ライター

その後も長く急な道が続く。

市街地を外れ信号は少なくなったが、疲労も手伝い、軽い峠じゃないかと思うような坂が連続する。

大雪に備えた広い路側帯のある国道だが、疲れた身体で平均速度80㎞以上の車が走る道を走りたくない。

ギアを一番軽くしてたいして景観のよくない道を休み休み走る。

そろそろ限界!と思ったら再び市街地に出た。


と思ったら

「道と川の駅花ロードえにわ」だ。

ここの道の駅は、パンがおいしいと妻のリクエストで何度か来たことがある。

「今日はここで寝るか」

そう思って妻に電話をしながらテントを張る場所を探す。

スマホを顔まで持ち上げるのも面倒で、ワイヤレスイヤホンで話すのだが、風体の影響も含め観光客にちょいちょい横目で見られる。

しかしそんなことを気にしていてはこの手の旅はできない。そもそも駅で寝たり、道の駅でテントを張ったりできないのだ。

パンを買いに寄ったときは感じなかったが、ここの道の駅はものすごく広い。

洋風の花壇がたくさんあり、きれいな花が咲いていた。

妻と話しをしながら、人の目につかなくて、かつ平らな芝生を探す。

花壇の中をドンドン奥に進み、人気のない建物の陰に目星をつけた。

「今日のキャンプ地はこことする」

北海道の人気ローカル番組の銘台詞を吐いてテントを設営。

すると

「ちょっとちょっとお兄さん!ここでテント張ったらダメさ」

アラフィフでも世間的には自転車乗って旅する人は「お兄さん」だ

「あら、そっかい、ごめんね」

こういう時に「ごんぼほっても」(北海道弁で駄々こねても)仕方ない。

素直に謝罪し「やべえな…どうすっかな…」と思いながら途中まで立てたテントを片づける。

すると先ほどのおじさんが

「行くと来ないんでしょ?ここらにホテル何件かあるから、チラシ持って来た」

「いや、どっか公園か駅ないっすかね」

「いや、あんた疲れた顔してる。今日はゆっくり寝た方がいい」

初対面の人にそこまで言わせてしまうほど疲れ切っていた僕は、チラシの中から一番安いホテルに泊まることにした。

謎の宿泊施設 恵庭RBパーク

撮影:ライター

チラシで電話番号を確認し、予約。夏休みでも何とか取ることができた。

そのホテルは道に駅からすぐ近くにあった。

あったと言っても外観からはホテルに見えず、近くのお店で聞いても「わかんねえな」と言われる始末。

それっぽい建物に入り「恵庭RBパークを探しているのですが」「ここだよ。電話の人かい?」と何とか見つけて本日の宿に到着。

外観は特別新しくはないが、中はきれいで、研修に使われる施設のようだ。宿泊棟はオートロックで仕切られている。

昨今のホテル同様タバコは喫煙室で吸うが、部屋から離れていないので苦にならない。

とりあえず駐輪場から部屋まで荷物を運ぶ。

それにしてもこの荷物を積んでここまで来たのか?あまりの重さに我ながら驚く。

とりあえず風呂。さすがに疲れたのでユニットバスにお湯を張って筋肉をほぐす。

あまりの気持ちよさにそのまま寝てしまいそうになった。

ホテルなのでテレビもフカフカのベッドもあるが、どちらも僕にはあまり意味がない。

家にいてもテレビはほとんど見ないし、駅のホームで熟睡できるくらいなのでベッドは返って居心地が悪い(家ではせんべい布団だ)

せっかくキレイにメイクされたベッドだが、その下に銀マットと寝袋といういつものスタイルで寝る。もちろん朝までグッスリだ。

この日の夕食は目の前にあったコープさっぽろの【のり弁】

ここで力説しておく。コープさっぽろの弁当はかなりうまい。しかも安い。

北海道を訪れた際はぜひ食べてみて欲しい。

ヘタなコンビニや弁当チェーン店よりも安くてうまいのだ。

三日目の予定

実は恵庭には以前から行きたい場所があった。

それはコーヒー好きには有名なとあるカフェ。

僕もライターのお仕事をしている過程で色々調べているときに知った。

恵庭からは帰る気になれば一日で帰ることができる。

旅をもう一日延ばす口実にもそのカフェに行ってみたいのだ。

3日目の朝はのんびり

出典:pixabay

少し乾燥しているのに目をつむれば、空調の効いたホテルの朝はやはり快適だ。

快適すぎる人目につかない寝床は物足りなささえ感じる。と言えば旅人を気取りすぎか。

昨日の晩御飯と一緒に買ってあった安い食パンを、マーガリンも塗らずに牛乳で流し込む。

冷蔵庫という文明の利器を最大限に活かした生活だ。

先に書いたとおりに今日は予定が決まっている。

お店が開くまで少し時間がある。

テレビをつけたが、相変わらず政治家の問題発言に訳知り顔のおじさんが目くじらを立てている。

うんざりしながらさっきと同じボタンを押し騒音を消す。

気が向いてベッドに飛び乗ったら思いのほか気持ちよく、少しウトウトした。

(以上【おとかみ春樹】でした)

コーヒー好きには有名な珈琲きゃろっとを訪ねる

撮影:ライター

恵庭市にある有名なカフェ。

それは珈琲きゃろっと。

「コーヒー サブスク」で検索すると必ず上位に来る。その実店舗が北海道恵庭市にあるのだ。

ベッドから起きて少し時間が早かったけれど珈琲きゃろっとを探すことにした。

と思ったら10分もしないで見つかる。

花に水をあげていたマダムに聞くと10時からだという。聞けば店のオーナー。

「どこからいらしたの?」という問いに僕は立派な花壇に咲く花の名前を聴きながら答える。

歩道の縁石かに腰掛け煙草を吸いながら開店を待っていると、先ほどのマダムが「これ食べて」とくまモンのイラストがついたクッキーを持って来てくれた。

店は外から見るより手狭だ。

コロナ対策で奥のイートインは使えないようだが、許可をいただいてキレイにディスプレイされた店内を撮影させていただいた。

僕ははじめて訪れる喫茶店ではブレンドを頼むことにしている。

ブレンドは店主の目指すコーヒーが表現されている。

っていうと何だかコーヒー通っぽいでしょ。

マスターにも「通ですね」と言われ意気揚々と店を出る。

マダムが手入れした花を見ながら一口。

86℃前後で淹れられた甘みの強いコーヒー。うまい。

そのことを「よろしければ帰ってから飲んでみてください」とドリップバッグを持って来た店員に言うとさすがに驚いていた。通っぽいでしょ。

相変わらずどこに行こうか決めかねている

珈琲きゃろっとをあとにして、再び国道36号。

実はこの先どうするか、ここに来ても決めかねていた。

先ほど書いたように、帰る気になれば今日中に帰れる。

しかし今日中に帰るとなると、交通量の多い国道、しかも大半は来た道と同じ道を通る。

人力移動の旅を経験した人なら分かってもらえると思うが、同じ道を引き返すことほど苦痛なことはない。

お昼ご飯に立ち寄ったすき家で地図を広げていると、千歳空港のある千歳市から支笏湖に向かって自転車道があることがわかった。

支笏湖にはキャンプ好きには有名な、モーラップキャンプ場もある。

よし、支笏湖に行って今日はモーラップキャンプ場でキャンプをしよう。

そう、この旅で僕はまだテントを張っていないのだ。

旅人の燃料事情


すき家を出て隣にあったガソリンスタンドでバーナー用のガソリンを補給する。

CB缶ならコンビニで手に入るが、ゴミと使い切りの問題がある。

その点タンクにガソリンバーナーはタンクにつぎ足し使うので、最後まで使いきれるし、ゴミ問題もない。

アウトドア好きは環境問題にも関心を持っていたい。

移動距離の限られる人力の旅で、燃料をつぎ足し使えるガソリンバーナーは強い味方だ。

レギュラーガソリンを使えるモデルならガソリンスタンドで問題なく、かつ安く補給できる。

この時はたしか満タンで200円しなかった。それで3泊くらいは余裕なのだ。

北海道の田舎でもさすがにガソリンスタンドくらいはある。

北の大地を旅したいと思っている人は参考にしてほしい。

支笏湖自転車道 3時間の登り坂

撮影:ライター

千歳市街地を走る。

青カン(道民は道路標識をこう呼ぶ)に支笏湖の文字。

看板通りに住宅街をしばらく走る。

「そろそろ自転車道あるはずなんだけどな」

地図を確認すると自転車道の入口はとっくに過ぎていた。

適当に探すと林の向こうにそれっぽい道が見えた。

ギヤをローに入れて草むらを強引に分け入り、何とか支笏湖自転車道に入ることに成功。

北広島自転車道と違い、人の気配が全くない道が続く。

ゆるい登り坂を進むと道がいきなり無くなった。

しかたがないので車道を走る。

この道はドライブコースらしく、乗用車がかなりのスピードで走っていく。

しかも道幅はかなり狭い。

「はぁ~こえ~な~」と独り言を言いながら顔を上げると、反対車線に歩道があった。

車が頻繁に行き交う間隙を縫い反対車線に渡る。

天気は霧雨。

登りだからまだいいが、これが下りだったらかなり寒いし、落ち葉で覆われた自転車道はかなり滑るはずだ。

くま~~~~

撮影:ライター

それにしてもずっと登りだ。

それもそのはず。

支笏湖は100名山に数えられる樽前山の麓にある。言ってみれば峠の様なものだ。

けれどランドナーのタイヤはロードバイクよりも一回り小さい。

そのお陰で最高速度こそ劣るが、登り坂は楽に登ることができる、

まさに旅自転車だ。

「そう、俺はランドナーに乗った旅人なんだ」と自分を奮い立たせ約2時間坂を登り続けた。

さすがに疲れてきて休憩したいなと思っていたらベンチがあったので腰を下ろす。

そうしたら写真の看板だ。

「熊注意って」

たしかに怖いのは怖いのだが、もしこの状況で熊が出たってどうしようもない。甘んじて食べられようではないか。

「したけどなこと言ったってどもなんねえべや」ともう一本火をつけた。

本当はモーラップキャンプ場に行きたかったけど

撮影:ライター

さらに一時間登る。

途中「ここから車道と離れる。熊注意」の看板。さらに「どもなんね」

支笏湖と苫小牧市街の分岐に来た。

迷う。

道にではない。

今日、どこで寝るかだ。

いかにも旅人らしい悩みだ。

モーラップキャンプ場も魅力だ。

しかし一泊目で体験したステーションビバークを、もう一度どうしてもやりたい。

天気は雨、おそらく支笏湖の景色は望めないし、キャンプはいつでも来られる。

よし、最後の夜はもう一度ステーションビバークだ。

3時間かけて登った坂を1時間で下る

支笏湖と苫小牧市街への分岐を苫小牧側に進む。

この道は何度か通ったことがある。

支笏湖でキャンプをした事はないが、苫小牧市街から支笏湖に続く道は信号もなく、ドライブに最適な道だ。

自転車道は道幅が広く段差もない。所々に車の侵入を防ぐ策はあるが、それさえ気を付ければ3時間かけて登った分を一気に駆け降りる。

一つ山を登ったせいか天気もいくらか回復した。

危険の少ない道なので、最高速度への挑戦などをしてみる。確か40km/hほど出たはずだ。

それにしても眠い

出典:pixabay

自転車で下り坂を走るのは楽しい。ましてや深い木々の中を1時間以上走るのだ。想像に難くないだろう。

でもどういうわけか眠たくて仕方がない。

これは北海道縦断の帰路でも経験したのだが、その時は家に帰れる安堵感からだと思っていた。

しかし体力の衰えた今推測すると、恐らく極度の疲労から体がムリヤリ休もうとしている気がした。

副交感神経が交感神経を勝っているのかもしれない。

下り坂は楽しいが、スピードが出る分神経を使う。そのなかで眠いのだ。

これ以上は危険だと判断し、ちょうどよくベンチがあったので少し寝ることにした。

Google先生に案内され不安になる


今日の寝床は決まった。

どこの駅かはこの記事の最後までお楽しみだ(おおよそWeb記事の構成ではない)

国道36号線は何度も通った道だが、途中の小さな無人駅までは把握していない。

ここはイマドキらしく、Google先生に聞いて案内してもらうことにした。

しかし、Google先生の道案内は最短距離を示すので、普通通らない細い路地も通らされる。

不安に駆られながら画面の隅に表示される方位磁針を信じて進む。

今度はしか~~~~

 

「だいじょうぶか~ホントにこの道か~」と独り言を言いながらドンドン進む。

すると策に囲われた古い集合住宅の跡地に出た。

するとその先になんと十数頭の鹿がこっちを見ていた。

鹿そのものは僕の住む町でも頻繁に見る。

しかし多くても2~3頭だ。

それも多くの場合い、車の中から見るだけだ。それを柵の向こうとは言え、疲労困憊で自転車に乗った状態で。

たとえ鹿でもこの状況、この頭数を見れば、熊なみに怖い。

写真を撮れば「いいネタ」になったのかもしれないが、その時は「こえ~~~」と思ってしまいその場を去ったが、いまになるともったいないことしたなぁなどと職業病的なことを思ってしまう。

発表!今日の寝床はJR錦岡駅

撮影:ライター

Google先生に振り回されながらも、何とか国道に出た。

どっちみち国道に出るならGoogle使わなくても良かったなと思いながらも、駅自体がどこにあるのかは分かっていない。

先生の案内通りに、国道からもう一度線路を渡り、山側へ進む。

そこに現れたのが今日の寝床、錦岡駅。

ここも小さな小さな無人駅だ。

暗くなる前に荷物を運ぶ。例によってトイレで体を拭いたら少し休む。

住宅街なので思いのほか乗客が多く、すぐにシュラフを広げるわけにはいかない。

今日はここまで

少し長くなってしまった。最後まで読んでくれてありがとう。

旅もあと一日。

次回はたぶん最終回。

ここまで来たら最後まで読まないとスッキリしないだろう。

期待に応えられるよう精一杯書くので、期待して待っていて欲しい。

前回のお話はこちら

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