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北アルプスの縦走にトライ!初心者にもおすすめのルートや歩行時間を解説!

北アルプスは富山・長野・新潟・岐阜4県にまたがり、3000m級の山々が連なる日本最大級の山岳域を持つ山脈です。北アルプスには登山の醍醐味である人気の縦走路がたくさんあり、多くの登山者を魅了してやみません。北アルプスの縦走ルートの特徴と魅力を紹介します。
2022年2月24日
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北アルプスとは

3000m級の高山が連なる飛騨山脈

出典:photo-ac.com

北アルプスは正式名称を飛騨山脈(ひださんみゃく)と言い、長野・岐阜・富山・新潟4県にまたがり全長150kmを超える巨大な山岳エリアを誇っています。

しかも日本国内で3000mを超える21座の高山のうち約半数の10座が北アルプスに集中しているのです。最高峰は奥穂高岳の標高3,190mで富士山(3776m)と北岳(3192m)に次ぐ日本3番目の高さを誇っています。

登山者を魅了する縦走ルート

高山が連なる北アルプス山岳エリアには、難易度が多岐にわたる縦走ルートが数多く存在しています。北アルプス山行の醍醐味と言える縦走ルートは多くの登山者を魅了してやみません。北アルプスの山々の稜線をわたる縦走は、標高3000m級の眺望とスリル感をともない、登山者の憧れになっています。

今回は北アルプスの縦走ルートの特徴と魅力、アクセスや歩行時間を考慮し難易度別に人気の北アルプス縦走コースを解説しましょう。

北アルプスを構成する連峰・山脈

北アルプスは、北側から白馬岳などがある「後立山連峰」と立山連峰と燕岳などを有する「常念山脈」に、北アルプス最高峰の奥穂高岳がある「穂高連峰」の3つのエリアで構成されます。3つのエリアはそれぞれ異なる表情があり、縦走ルートも多岐にわたるのが特徴です。北アルプス各エリアの連峰(山脈)の表情の違いや特徴を紹介しましょう。

①後立山連峰

出典:photo-ac.com

後立山連峰は北アルプスの北部に位置し、立山・白馬・剣岳(剱岳)などの高山を擁し、冬の積雪量が北アルプス中最も多く夏には高山植物が多く咲き乱れる美しいエリアです。

早い年には9月に初冠雪が見られ10月に降り積もった雪は初夏まで根雪として残ります。特に剣岳を含む縦走ルートには日本3大雪渓の一つ「剱沢雪渓」があり山行が険しいことで有名です。北アルプスの美しさと厳しさが同居する連峰と言えるでしょう。

②常念山脈

常念山脈は北アルプスの東側を南北に唐沢岳・燕岳・大天井岳・常念岳・霞沢岳と2600m台の山々が連なる比較的おおらかな山岳表情のエリアです。最高峰は標高2922mの大天井岳になります。

穏やかな稜線が続くので高山の展望を楽しみながら初心者でもトライできる縦走コースが多いのが特徴です。北アルプスで最も人気が高い縦走ルート「パノラマ銀座」もこのエリアにあります。

③穂高連峰

出典:photo-ac.com

北アルプス南に位置する穂高連峰は、アクセスがよい上高地が登山口になり、美しい上高地とは裏腹に3000m級の山と鋭い岩壁やキレットが続き、北アルプスで最も難易度が高い縦走コースが多いエリアです。

経験豊富な上級者でも慎重な行動が必要なルートや、日本3大岸壁の屏風岩があり、そのスリルに魅せられる登山者が後を立たないのが穂高連峰になります。北アルプスの魅力と危険が同居する山岳エリアと言えるでしょう。

北アルプスの縦走ルートの特徴と魅力

①パノラマ銀座(表銀座縦走コース)

登山初心者の方には縦走はハードルが高いのでトライは無理と思う方が多いのではないでしょうか。ところが北アルプスのパノラマ銀座には、アップダウンが小さく経験が浅い人でも楽に踏破できる縦走ルートがあるのです。

パノラマ銀座は北アルプスでは比較的低い山々が連なり、稜線も穏やかで途中で休憩する山小屋も完備されています。予定時間をゆったりと休憩を多く取り、眺望を楽しみながら縦走すれば初心者でもOKです。

②裏銀座縦走コース

北アルプスの常念山脈にある裏銀座縦走コースは、高瀬ダムにアクセスして槍ヶ岳(標高3180m)に向かう距離が長い縦走コースです。難易度はパノラマ銀座より高くなりますが、裏銀座と言われるように比較的登山者が少なく静かな縦走山行を楽しみたい人におすすめのルートになります。

北アルプス2番目の標高を誇る槍ヶ岳は、山頂付近に切り立っている難所があるので、慎重な行動と登山経験・技術が求められる縦走ルートです。


③後立山連峰の縦走コース

後立山連峰はそれぞれ変化に富んだ特徴を持つ尾根が山麓に伸びている、北アルプスで最も縦走に適した連峰です。雪が深く夏でも残雪が残る大雪渓や、四季折々の高山植物が豊富に咲き乱れる美しい山肌を縦走する魅力はたまりません。縦走コースも多彩で、それぞれの表情や四季の変化が楽しめるのが後立山連峰です。

④穂高連峰の縦走コース

北アルプスの南側にある穂高連峰はアクセスがよい上高地を登山口にし、途中までケーブルカーで登るルートもあり初心者向きかと思いきや、山頂付近には必ず難所が待ち受けている山岳エリアです。

狭く切り立つ稜線が続き慎重な行動が要求される縦走コースが多く存在します。逆にそのスリル満点の山行の魅力が登山者の心をくすぐり、一度は踏破してみたいという挑戦心を起こさせる北アルプスの縦走コースが多いのも穂高連峰です。

北アルプス縦走ルート【初級者向け】

初級者向けの縦走ルートと言っても、北アルプスは2500mを超える高山が続くハイキングとは違うハイレベルの山行です。無理をしない予定と準備をして縦走に臨むことが非常に大切になります。パノラマ銀座を経由する初級者向け縦走ルートを紹介しましょう。

中房温泉~燕岳~大天井岳縦走ルート

出典:photo-ac.com

POINT縦走ルート情報

  • 歩行合計距離:20.09km
  • コース標準目安時間:2泊3日、約15時間25分
  • 最高標高/最低標高:2878m/1455m、登坂標高差1423m
  • ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力と地図読み能力必要

【1日目その①】燕岳登山口~合戦小屋(2時間50分)

出典:unsplash.com

中房温泉の登山口よりスタートし三大急登と言われる合戦尾根を登りますが、よく整備されている樹林帯なので歩きやすく途中に何ヶ所もベンチが設置されているので、休憩を取りながら登りましょう。約3時間弱で合戦小屋に到着し、夏限定ですがこの山小屋名物のスイカは急登の後の疲れをいやすのに最高です。

【1日目その②】合戦小屋〜燕山荘〜燕岳山頂(2時間25分)

合戦小屋で十分休憩してから燕山荘を目指します。この先の樹林帯を抜けると風が強くあたるので、防風対策をして出発しましょう。約1時間半で燕山荘に到着します。休憩後燕山荘に荷物を置き山頂まで約30分のアタックです。山頂は見晴らしがよく遠く槍ヶ岳も望め、ライチョウもよく見かけます。その後燕山荘に戻り1泊して1日目終了です。

【2日目】燕山荘〜大天荘(3時間40分)

燕山荘を出発すると遠くにあった槍ヶ岳の眺望が次第に近づいてきます。アップダウンが少なく夏にはコクマサが咲き乱れる素敵な縦走路です。そのうち唯一の難所の切通岩が現れますが、傾斜は緩いので鎖と梯子を使い慌てずに登れば問題ありません。

大天井岳の東斜面をトラバースしてつづら折りに登っていけば、北アルプスの大パノラマが展望できる山頂に到着です。10分ほど下った大天荘に宿泊します。

【3日目】大天荘〜燕岳登山口へ下山(6時間30分)

大天荘で宿泊し登りの疲れをしっかり取ってから、来た道を戻り下山します。宿泊せずに下山してはと考える方が多いのですが、実は下山途中の滑落事故が非常に多いのです。それは下りは登りより楽だと甘く見ることから起きます。

特に初級者の方は無理をしない予定で、しっかり疲れを癒してから下山しましょう。そうすれば下山路に広がる北アルプスの雄大な眺めを楽しむ余裕ができ、縦走の充実感が湧いて来ます。

北アルプス縦走ルート【中級者向け】


①燕岳~大天井岳~常念岳縦走コース

多少足に自信があるある方で北アルプスのロングコースにトライしたい人におすすめの縦走ルートです。前述の初級者向け縦走の燕岳〜大天井岳登頂よりさらに足を伸ばし常念岳まで挑む中級者向けの2白3日のロング縦走ルートになります。

POINT縦走ルート情報

  • 歩行合計距離:24.11km
  • コース標準目安時間:2泊3日、約17時間25分
  • 最高標高/最低標高:2878m/1337m、登坂標高差1541m
  • ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力と地図読み能力必要

【1日目・2日目】燕岳登山口~燕山荘〜常念小屋(12時間15分)

1日目は前述の初級者向きで紹介した同じルートで燕山荘に1泊します。2日目は大天井岳までは同じルートで山頂登頂後に引き返さずに東大天井岳〜横通岳を経て常念小屋に向かうコースです。起伏が少ない稜線を空中散歩のように進み、東大天井岳からの槍ヶ岳の眺望は絶景ポイントになります。横通岳を下り常念小屋に宿泊して2日目終了です。

【3日目】常念小屋~常念岳山頂〜一ノ沢登山口へ下山(5時間10分)

常念小屋から常念岳山頂までは急登でガレ場が多く、足場が不安定なので荷物を軽くして登るのをおすすめします。山頂の360度の大パノラマは北アルプスの主稜線がすべて望め圧巻です。常念小屋まで戻り一ノ沢登山口へ向けて下山します。沢沿いの狭い登山道なので足元に注意して下山しましょう。

②野口五郎岳〜烏帽子岳(裏銀座縦走1泊2日プラン)

出典:photo-ac.com

裏銀座縦走コースは最低でも4日かかる超ロングコースですが、このコースは短い日数でいいとこ取りをするルートです。高山植物の宝庫と言われる野口五郎岳から烏帽子岳を縦走する、1日10kmを歩く健脚者向きのコースになります。

POINT縦走ルート情報

  • 歩行合計距離:23.65km
  • コース標準目安時間:1泊2日、16時間35分
  • 最高標高/最低標高:2901m/1256m、登坂標高差1360m
  • ハシゴ、くさり場を通過できる身体能力と地図読み能力必要

【1日目】高瀬ダム~野口五郎小屋(9時間10分)

乗合タクシーで高瀬ダムに行き登山口よりスタートします。北アルプス3大急登のブナ立尾根を登りますが、整備されているので心配ありません。途中で烏帽子小屋で休憩を取り、稜線を登り三ヶ岳から稜線ルートまたは、お花畑ルートを経由し登り切れば野口五郎小屋に到着。そこから山頂をアタックし、絶景を眺めたのち山小屋に戻り宿泊します。

【2日目】野口五郎小屋~烏帽子岳~高瀬ダム(7時間25分)

翌朝、野口五郎岳に別れを告げ烏帽子岳を目指し、1日目に休憩した烏帽子小屋まで戻ったら、今度は烏帽子岳山頂にアタックします。山頂までは険しく狭い難所が多く最後の岩場のクサリ場を登れば山頂です。狭く危険なので十分注意してください。滑落に気をつけて下山します。

北アルプス縦走ルート【上級者向け】

北アルプス南部の穂高連峰は、アクセスがよい上高地が登山口でありながら、北アルプスで最も難易度が高い縦走コースが存在するエリアです。上級者でも予定を立て挑まなければ失敗する可能性もあるので注意してください。穂高連峰の上級者向け縦走コースを紹介しましょう。

槍ヶ岳〜北穂高岳〜涸沢岳〜奥穂高岳〜前穂高岳縦走コース

北アルプスの3000m級5座を縦走するルートは、北アルプスのみならず全国でも超難関コースの一つです。険しい稜線が続きアップダウンも激しく、北アルプスの象徴で日本3大キレット「大キレット」の難所を越えなければなりません。上級者でも予定を立て準備が必要なコースです。

POINT縦走ルート情報

  • 歩行合計距離:37.06km
  • コース標準目安時間:3泊4日、27時間〜28時間
  • 最高標高/最低標高:3190m/1511m、登坂標高差1679m
  • 岩場、雪渓を長時間継続して通過できる技術が必要
    ルートファインディングの技術に加え、撤退などの判断能力ができる

【1日目】上高地〜横尾〜槍沢ロッジ(4時間50分)

出発地点の上高地にアクセスし、よく整備されたコースを梓川に沿って横尾まで歩きます。平坦でアップダウンが少ないので景色を楽しみながら進みましょう。横尾から少し歩き、橋を2つ渡ると林の中に初日に宿泊先の「槍沢ロッジ」が現れます。以降の難所に備え宿泊して体力をしっかり温存しましょう。

【2日目】槍沢ロッジ〜槍ヶ岳〜南岳〜南岳小屋(9時間30分)

最初は樹林帯ですが、次第に樹木がなくなり石が転がる危険な急斜面になってきます。ジグザグの斜面を登ると槍ヶ岳山荘に到着です。ここからはハシゴやクサリ場の難所が連続します。槍ヶ岳山頂の感動を味わったのち落石に注意しながら南岳に向かいましょう。天狗原との分岐から南岳の山頂を過ぎれば、2日目の宿泊地南岳小屋に到着です。

【3日目】南岳小屋〜大キレット〜北穂高岳〜穂高岳山荘(6時間)

3日目は日本三大キレットの「大キレット」に挑戦するのでヘルメットは必須です。両側が切れ落ちた断崖絶壁に築かれた登山道を鎖とハシゴを頼りに進み、アップダウンを繰り返して北穂高岳を目指します。北穂高岳山頂を極めた後は穂高岳山荘に宿泊し疲れを休ませましょう。

【4日目】穂高岳山荘〜奥穂高岳〜前穂高岳〜岳沢小屋〜上高地(7時間)

岩場の斜面を北アルプス最高峰の奥穂高岳を目指し、山頂の大パノラマを堪能したのち前穂高岳を目指します。吊り橋のような「吊尾根」の岩稜を進み、紀美子平から斜面を登れば前穂高岳の山頂です。北アププス最難関を踏破した達成感はたまりません。岳沢小屋を経由して上高地まで下山します。

北アルプス縦走ルートで登山の醍醐味を!

北アルプス縦走ルートのまとめ

出典:photo-ac.com

北アルプスは3000m級の山々が連なる日本最大級の高山山岳エリアです。その北アルプスの高山の稜線を渡り踏破する縦走ルートは初級者向きから上級者でも難所になるコースまで多岐に渡っています。

北アルプスは2500mを超える高山が連なる山岳なので、事前に登山計画(予定)を立ててからトライすることが大切です。ここまでの記事を参考にしてぜひ魅力溢れる北アルプスで縦走登山の醍醐味を堪能してください。

北アルプスの山小屋や魅力が気になる方はこちらをチェック!

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