一切経山について
一切経山は吾妻連峰の活火山
一切経山は福島県猪苗代町の吾妻連峰に含まれ、少量の噴煙を上げ続ける活火山です。かつて空海和尚が「一切経」という経典を山中に埋めたという逸話があり、そのことから一切経山という名前がついたと言われています。
登山の起点となるビジターセンターから見る一切経山は遮るものがなく、赤茶色の山肌と吹き上がる白い噴煙が印象的です。山頂一帯にはほぼ植生なしですが、緑豊かな山麓にはさまざまな植物が咲き誇っています。
一切経山は登山初心者にもおすすめ
一切経山の登山口になる浄土平にはビジターセンターやレストハウスがあり、初心者さんでも登山の基点として安心して利用できます。短時間で往復できるルートからがっつり歩く周回ルートまで、登山ルートはさまざまです。
そのため、初心者さんでも自分のレベルに合わせた登山を楽しむことができます。短時間で山頂まで行ける一切経山は標高2,000m近いので初心者だからこそきちんと準備しておくことが必要です。
一切経山の登山におすすめの時期
一切経山の山開きは、毎年6月の第1日曜日となっています。そのため、一切経山の登山が楽しめるのは6月から10月下旬です。5月まではまだ雪が残っていることもあるため、山開きしてすぐの登山には充分注意してください。
6月には雪も溶け切って、湿地帯には高山植物が芽吹きはじめます。一切経山の登山に特におすすめの時期は秋です。9月下旬から10月上旬にかけての一切経山は、見事な紅葉に包まれる人気のスポットです。
一切経山の初心者向け登山ルート2選
初心者向けの最短ルート
はじめに、一切経山の初心者さん向けの最短で山頂まで行けるルートをご紹介します。道の傾斜も緩く登山道としてきちんと整備されているため、初めて登山する初心者さんだけでなくサクッと登りたい方にもおすすめです。
浄土平～酸ヶ平
ビジターセンター脇の道が登山口です。少し進んだ浄土平湿原には高山植物が生い茂っています。登山道は初心者さんでも歩きやすいようにきちんと整備されているため、コースアウトする心配もありません。
ダイナミックな火山を眺めることもできます。火口から上がる噴煙は大迫力です。しばらく登り坂が続きますが、途中から傾斜が緩くなってきます。酸ヶ平の分岐地点を直進すると鎌沼方面ですが、右折して山頂へ向かいましょう。
酸ヶ平～一切経山山頂
分岐点を曲がると酸ヶ平避難小屋があります。木造の無人小屋ですが、バイオトイレが設置されていて初心者さんにぴったりの休憩小屋です。山頂の近くは足場が悪いので注意してください。下山するときは特にスリップしやすいので、ゆっくり進みましょう。
山頂はとても広く、お弁当やおにぎりを持参してここでお昼を食べるのもいいでしょう。山頂からは周辺の吾妻連峰の雄大な景色が広がっていて、写真映えすることでも人気です。
初心者でもしっかり歩きたい人向け周回ルート
初心者だけど最短ルートでは少し物足りないという方には、一切経山山頂まで登った後に東吾妻山にも登るルートがおすすめです。アップダウンがある長距離コースですが、傾斜は緩くてコースも分かりやすいので初心者さんでもリラックスしつつ満足できるルートとなっています。
一切経山～東吾妻山
酸ヶ平の分岐まで戻って西へ進むと湿原を散策する木道歩きが続き、鎌沼を過ぎたところに十字路があります。東吾妻山へは直進です。山頂までは少し傾斜があって、時期によっては薮が生い茂っていることもあるでしょう。
東吾妻山の山頂も広いので休憩するのにぴったりです。初心者さんこそこまめな休憩を取りましょう。山頂からの眺めは最高で東北の山々が見渡せて、日本百名山としても有名な磐梯山が堂々とそびえ立っています。
登山道について
- 各登山道は初心者さんでも歩きやすく整備されています
- 自然保護のため木道以外には立ち入らないでください
- 薮を通る際にはダニに刺される可能性があるので肌を隠しましょう
一切経山周辺の初心者向け散策ルート4選
浄土平湿原散策コース
一切経山の散策ルートの中で最もお手軽な初心者向けルートで、コースタイムは1周20分ほどです。広々とした駐車場はすでに標高1,600mの高所で、ビジターセンターに隣接しているため木道や初心者さんには嬉しい解説板もきちんと整備されています。
5月から9月までさまざまな高山植物を観察することが可能です。また、車イスの方でも安心してご利用いただけるようにバリアフリーの木道も整備されています。
吾妻小富士コース
小型の富士山を思わせる吾妻小富士は、地元の人々に古くから親しまれている名山です。駐車場脇の登山口から階段を登ること10分で山頂に到着し、直径約500m・高低差約70mの火口がお目見えします。
火口壁を一周すると見える浄土平や福島盆地など景色も抜群です。コースタイムは1時間ほどで、初心者さんには時計回りに進むのがおすすめ。登山道は滑りやすく、強い風が吹くことも多いので注意してください。
強風注意
- まっすぐに立っていられないほどの強風が吹くことがあります。風に押されて火口に転落しないよう十分に注意してください。
桶沼コース
桶沼は一切経山からスカイラインを挟んで浄土平の南側にあります。木々に囲まれている火口跡は水をたたえており、新緑や紅葉の時期には特に綺麗な景色を見ることが可能です。
登山口は3か所ありますがいすれも沼畔で合流していて、合流地点には斎藤茂吉の歌碑があります。コースタイムは片道20分ほどで往復しても1時間はかかりません。時間があるときはその先の兎平や鳥子平まで足を伸ばしてみるのも初心者さんにおすすめです。
鎌沼コース
ビジターセンターが起点のこのルートは1周約5.1kmで浄土平との標高差は約190mです。コースタイムは2時間弱と決して軽装では臨めないルートではありますが、自然の中を歩くことで初心者さんでもリラックスできます。
高山植物や水苔類、美しい水が映える鎌沼や低層湿原の景色が綺麗な酸ヶ平などの見どころも多く、森林生態系保護地域に指定されているエリアです。安全のためルート上から逸れないよう気を付けてください。
一切経山の登山にあたって
一切経山へのアクセス
一切経山の登山口となる浄土平へ行くルートは、磐梯吾妻スカイラインのみです。最寄りの福島西ICまたは福島飯坂ICから浄土平までは1時間ほどとなっています。ICの出口から磐梯吾妻スカイラインまでは案内板が出ているので安心です。
ただし、一切経山の周辺は路面の積雪や凍結などで危険な状態になりやすいエリアです。11月中旬から4月下旬までは冬季の通行止め期間になっているので、一切経山にはアクセスできません。
一切経山の駐車場について
一切経山に登山の際は浄土平のビジターセンターやレストハウスの駐車場をご利用ください。また、浄土平まではバスを使うことも可能です。最寄りの福島駅から浄土平までは路線バスが出ており1時間ほどでアクセスできます。
バスが出ていると運転が不慣れな人や土地勘がない人でも迷わずに行けるので初心者さんでも安心。交通の便がいいのは何よりありがたいです。
| 駐車場入場可能台数 | 300台 |
| 駐車場利用料金 | 500円 |
一切経山に登山するときの初心者向け注意点
登山する際は初心者さんこそきちんと装備を整えて充分なトレーニングをしてください。登山道には分岐点も多いので遭難しないよう地図やコンパスなども必須です。もしものために登山届の提出や山岳保険にも加入しておきましょう。
また、今回紹介したルートは初心者向けではありますが、自分の体力やその日の天候などによって難易度が変わります。自分の体力に合わせた登山計画で、一切経山の登山を楽しんでください。
登山時の注意点
- 活火山のため当日の噴火警戒レベルによっては入山できない場合があります
- 登山の途中で天候が悪化した場合などは無理せず下山してください
- 足首まである登山靴や厚手の靴下、雨具や防寒具、ヘッドランプや帽子、ザックや速乾性の衣類、食料や水など充分な装備で登山に臨みましょう
- 万が一遭難した場合は最寄りの山小屋に避難して救助を待ってください
一切経山の見どころ
魔女の瞳
一切経山の見どころの目玉は山頂からの景色です。山頂から見下ろす五色沼はとても絶景となっています。この沼は別名「魔女の瞳」とも呼ばれており、さまざまな色に変わって見える不思議な沼として人気です。
そのカラクリの秘密は太陽の光にあり、光の当たり方やその度合いによってその時その時の美しい姿を見ることができます。そのため、一切経山の魔女の瞳は行くたびに違った顔を見せてくれるでしょう。
五色沼について
- 一切経山山頂の魔女の瞳は裏磐梯にある五色沼湖沼群とは異なる
- どちらも人気スポットですが混同注意
秋の紅葉も人気
一切経山周辺を通る磐梯吾妻スカイラインは高速道路からのアクセスが抜群で、雄大な景色の中を走るドライブも人気です。中でも秋が深まるころに車窓から見える紅葉は、初心者さんにもおすすめの絶景となっています。
浄土平に着いてからも、山頂までの道はまるで紅葉のトンネルです。赤や黄色に染まった山肌と魔女の瞳が一緒に見られるのは秋だけとなっています。紅葉が楽しめる秋の登山こそ初心者さんにおすすめです。
一切経山周辺の宿泊施設
相模屋旅館
相模屋旅館の温泉は湯量がとても豊富で、神経痛やリュウマチによく効く硫黄泉です。夜は頭上に広がる満天の星空がとても綺麗で、朝は湯舟から朝日を臨めます。登山初心者の場合思った以上に疲れていることもあるので、福島ならではの景色を楽しみながら疲れを癒してください。
相模屋旅館
- 住所〒960-2157
福島県福島市土湯温泉町字野地2 - 電話番号0242-64-3624
花月ハイランドホテル
花月ハイランドホテルは、高原にある温泉リゾートです。客室からは福島市内を一望することができ、特に夜景が綺麗で人気があります。天然100％の硫黄泉の温泉を楽しむことも可能です。一切経山に登った後は安らぎのひとときをお過ごしください。
花月ハイランドホテル
- 住所〒960-2261
福島県福島市町庭坂字神ノ森1-20 - 電話番号024-591-1115
高湯温泉安達屋旅館
高湯温泉安達屋旅館の館内は、アンティークな雰囲気が漂っていてとてもおしゃれです。自然豊かな中でゆっくり旅の疲れを癒せる大露天風呂「大気の湯」と、温かみのある囲炉裏をみんなで囲んで食べる夕食が自慢のお宿となっています。
高湯温泉 安達屋旅館
- 住所〒960-2261
福島県福島市町庭坂字高湯21 - 電話番号024-591-1155
初心者におすすめの一切経山に登ってみよう
初心者でも東北の自然を感じられる一切経山の登山
今回は福島県にある吾妻連峰の一切経山について、初心者さん向けの登山ルートをご紹介しました。一切経山は初心者さんでも気軽に楽しむことができる活火山となっています。
魔女の瞳や景色を堪能しつつ高山植物を見るのもよし、東北の雄大な自然や山々に囲まれて歩くのもよしです。歩き疲れた身体を周辺の温泉で休めるのもいいでしょう。一切経山はさまざまな魅力が詰まっていて、初心者さんにもおすすめの山です。
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今回は、登山初心者におすすめの山として福島県にある吾妻連峰の一切経山についてお話してきました。初心者におすすめの登山ができる山は、ほかにもたくさんあります。登山初心者におすすめのほかの山が気になる方は、ぜひこちらの記事もチェックしてみてください。
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出典：unsplash.com