さつまいもの収穫後の保存方法を解説!
子供から大人までみんな大好きな食べ物の一つが「さつまいも」です。甘みがあり、焼いても料理に使っても美味しい食べ物になってくれます。そんなさつまいもは家庭菜園で育てている方も多くいますが、あまり知られていないのが収穫後の適切な保存方法です。
今回はそんなさつまいもの、収穫後のよい保存方法をご紹介します。適切な手順で保存すれば数か月は日持ちし、さらに甘みも増します。ぜひ今回の内容を参考にして、保管してみて下さい。
さつまいも収穫直後は食べ頃じゃない?
収穫直後は実は甘みが少ない
収穫後の保存方法の前に、甘みや食べ頃などについて知っておきましょう。家庭菜園でさつまいもを育てたら、待ち遠しいのが収穫です。収穫後にすぐ食べる方も多くおられますが、「甘みをあまり感じなかった…」と思った方も多いのではないでしょうか。
実は収穫直後は甘みが少なく、食べ頃ではないのです。収穫直後はでんぷんが多い状態なのでホクホクとした仕上がりにはなりますが、水分が多いので甘みが少なく感じます。
さつまいもの甘みが増す仕組み
収穫直後はでんぷんが沢山あります。このでんぷんを後に糖へと変えくれるのが「β-アミラーゼ」という酵素です。このβ-アミラーゼという酵素によって、でんぷんが麦芽糖に変化し、甘くておいしいさつまいもになるという仕組みになります。
家庭菜園で作る野菜などは鮮度がよい収穫直後が美味しいことがほとんどですが、さつまいもの場合は仕組みが違いますので覚えておいて下さい。最低でも1~2週間は待ってから食べた方がおいしいです。
さつまいも収穫後の食べ頃は?
β-アミラーゼによって、でんぷんが麦芽糖に変わっていきますが、食べ頃になるまでどれぐらいかかるのでしょうか?一般的には、1ヵ月ほど置くと最も美味しくなるとされています。環境や品種などによって前後しますが、目安として考えておいて下さい。
「1ヵ月保管してから食べようとしたら、カビだらけになっていた!」といったことも起こりえますので、後述する方法を参考にして、カビないよう管理して下さい。
収穫後はいつまで食べられる?
適切に管理した場合、収穫したあと最低3ヵ月はもちます。品種と水分量によりますが、水分量の多めなねっとり系品種であれば、3ヵ月を目安として下さい。
水分の少なめなほくほく系の品種であれば4~5ヵ月は食べ頃と考えて大丈夫です。長期間食べたいならほくほく系の品種を、短期間でいいから甘いお芋が食べたい方はねっとり系を選んでもよいかもしれません。
干しいもにしても保存期間はあまり伸びない
保存食として知られている「干し芋」ですが、実は干し芋の賞味期限はあまり長くありません。お店で市販されている干し芋の場合、未開封であれば2~3ヵ月程度に設定されていることがほとんどです。
もしご自身で収穫した後に手作りで干し芋を作った場合は、1週間程度で食べきることをおすすめします。家で手作りをすると水分が残りやすく、状態が悪化しやすいです。長期保存したい方は、後述の方法で保存してください。
さつまいも収穫後の保存方法
天日干しをして水分を飛ばす
収穫後、まずは水分を飛ばす作業をします。水分がカビや傷みの原因となるため、水分をしっかり飛ばしてください。収穫後のさつまいもをそのまま3日ほど天日干しすれば、余分な水分は飛んでくれます。
この天日干しをする際に注意しなければいけないのが、泥付きのまま天日干しをするということです。少し余計な土を落とす程度なら構いませんが、基本的には泥付き、土付きのまま保管して下さい。
水洗いはカビの原因になる
泥付きのまま天日干しの処理に入りますが、水洗いしてきれいにしてからと考える方も多いはずです。しかり、これが収穫後に最もやってはいけない処理になります。水洗いをすることで水分を吸収してしまい、傷む原因となってしまうのです。
また、水分を吸収するだけでなく、洗うことで傷む部分が増えるという面もあります。泥付きのまま処理していくのは不思議な感じがするかもしれませんが、農家はそのまま処理するのが一般的です。
段ボールと新聞紙で長期保存!
天日干しが終わって水分がなくなったら、日持ちするよう保管していきます。この時に重要なのが、新聞紙です。土がついたままの、収穫後のさつまいもを新聞紙にそのままくるんでください。この新聞紙が水分調節をして、日持ちさせてくれます。
新聞紙でくるんださつまいもを何かしらの容器に入れて保管していきますが、おすすめなのは段ボールです。段ボールも調節してくれます。あとは、ご自身のペースで箱から出しては食べて下さい。
市販のさつまいも購入後も保存可能
家庭菜園で収穫した後の簡単な保存方法を解説していますが、この内容は市販のさつまいもでも同様です。綺麗に洗われてはいますが、そのまま新聞紙でつつんで箱にいれて下さい。発泡スチロールなどでも構いません。
こうすることでより日持ちします。どのご家庭でも簡単にできる方法ですので試してみて下さい。
さつまいもの保存環境と注意点
保存に適した環境は?
新聞紙にくるんで箱に入れたさつまいもを、家の中のどの場所に置いておくかも問題です。まず貯蔵に適した温度は15度ほどとされています。冷暗所が丁度適していますので、床下収納や、エアコンのかからない廊下などに置いておくと安心です。
温度が高くなり、20度を超えてしまうと芽が出やすくなります。暖かい場所は避けて保管するようにしてください。
収穫後のやってはいけない保存方法
野菜はとりあえず冷蔵庫に入れておくイメージがあるかもしれませんが、さつまいもの場合、冷たい気温で保管してしまうと腐っていきます。10度以下になると低温障害が起きてきますので、冷蔵庫には入れないで下さい。
ただし、場合によっては冷蔵庫も活用できますので、後述して解説していきます。
収穫後のさつまいもを冷蔵庫で保管する方法
1:気温が高い場合は野菜室も検討
さつまいもの収穫は涼しい秋時期に行われることがほとんどですが、もし廊下などの涼しい環境での保管が難しい場合は冷蔵庫の野菜室を活用して下さい。冷蔵室では低温障害で腐っていってしまいますが、野菜室であれば2週間ほど保存できます。
この場合も新聞紙にくるんでから入れて下さい。室温が20度を超えていなければ常温保管で問題ありませんので、20度を超えている状況でのみ、野菜室に入れます。
2:生のさつまいもをカットして冷凍
収穫した後のさつまいもを冷凍して保管するのもおすすめの方法です。そのまま冷凍すると後で使いにくくなってしまいますので、カットしてから冷凍して下さい。ただし、1週間ほどは常温保管して甘みを出しておいた方がおいしく食べられます。
収穫後にしばらく常温保管してから、水洗いしたさつまいもをカットし、水分をキッチンペーパーなどで取ってから袋に入れて密封して冷凍、という流れです。カット済みなのですぐに使えるのがポイントになります。
3:すぐ使えるように熱を通して冷凍
生のまま冷凍ではなく、すぐ食べる、すぐ使う用に冷凍するのであれば熱を通してしまいましょう。カットしてからレンジで加熱などして熱を加え、あとは同じように冷凍します。この場合も保存期間は1ヵ月ほどと見てください。
使う時はもう熱を通してありますので、少し調理するだけですぐ食べられます。
4:マッシュしてから冷凍
熱を通した上に、さらにマッシャーでつぶして冷凍しておいても1ヵ月ほどは保存できます。解凍する際は自然解凍でもレンジ解凍でも大丈夫です。マッシュしておけば離乳食などにもすぐ使えますので、予定があればおすすめになります。
家庭菜園で甘みの強いさつまいもを作る方法
1:甘みの強い品種を選ぶ
家庭菜園で甘みの強いさつまいもを収穫する場合、作り方の前に、甘みの強い品種を選ぶことが重要です。甘みの強さで有名になった安納芋をはじめ、品種で糖度は大きく変わりますのでいろいろ検討してみて下さい。
ねっとり系で甘いさつまいもが好きな方に人気なのが「紅はるか」です。こちらは「はるかに甘い」ことから名づけられた程の美味しさがあります。ほくほく系であれば「紅あずま」が育てやすく、料理にも使えますのでおすすめです。
2:つるぼけに注意する
美味しいさつまいもを収穫するなら、植え付けの後よりも前に注意が必要です。さつまいもは肥料分が多すぎると「つるぼけ」と呼ばれる、つるばかりが成長する現象が起きます。つるは立派に成長するのに、芋には全然栄養がいかない状態です。
こうならないためにも、さつまいもは肥料を少なめにすることが重要で、前作になにか作物を育てていたなら、肥料を入れずに育ててください。特に窒素が多すぎるとつるばかりが伸びてしまいます。
3:植え方を変えてみる
家庭菜園で中々甘い芋が収穫できない場合は、植え方も変えてみて下さい。一般的には、苗を斜めに植える「斜め植え」が行われますが、この斜め植えは芋が沢山できる特徴があります。
対して、苗を垂直に植える「垂直植え」は、芋の個数はあまりできませんが、栄養分がより凝縮されるため、甘みが強いです。個数が欲しいなら斜めに、甘みが欲しいなら垂直植えを検討して下さい。
まとめ:収穫後は上手に保存しよう!
さつまいもは長期保存できる!
今回はさつまいもの収穫後の保存方法をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたか?さつまいもの甘みを出すには、実は収穫後の保存期間が重要です。方法は簡単ですので、家庭菜園で育てている方はぜひ試してみてください。
また、そもそも甘い品種を育てることも大事なポイントになりますので、いろいろな品種を検討してみるのもおすすめです。
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今回はさつまいもの収穫後の保存方法についての解説をお届けしましたが、暮らしーのではこの他にもさつまいもに関する記事を多数ご紹介しています。もっとさつまいものことが知りたい方はぜひチェックしてみて下さい。
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