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さつまいもの育て方と栽培方法!家庭でもできる失敗しない方法とは?

はじめは救荒作物でとり入れられたさつまいもです。今では健康食材として知られています。食物繊維をはじめとしてビタミンが豊富です。さつまいもは育て方が簡単でNASAで長期旅行の宇宙食に使えないか研究対象にされました。ポイントを押さえれば初心者でも育て方は簡単です。
2020年8月27日
ka123eru
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さつまいもとは

さつまいもは中央アメリカやメキシコ周辺を原産地として、3千年前にはアンデス地方ですでに作られていたことが知られている作物です。 ヨーロッパへはコロンブスが伝えました。そこからのちに植民地として支配していた東南アジアやアフリカなどにも伝えられたそうです。 東南アジアではそれ以前から作られていたのではないかという説もあります。日本には江戸時代に青木昆陽によって、救荒作物に最適ということで全国に広められました。日本へは中国を経て琉球、薩摩を経て伝わったとされ名前になっています。

さつまいもの性質

さつまいもはほとんど種をつけません。そのため根の一部がふくらんで芋になりでんぷんを蓄積し、翌年のための栄養源となります。 あたたかい地域を好み、霜に直接あたるとつるが枯れます。特有の甘味はアミラーゼによる分解で生じた麦芽糖による甘味です。

野菜としてのさつまいも

植え付けて間がないのでまだ茎の先端が伸びはじめていません。

さつまいもは種ではなく芋からはえた苗を植え付けて育てます。したがって早出しする地域では、冬の時期から温度を確保した温床に芋をならべて水やり、芽出しをして苗を確保します。 やせ地でも育つほど養分を吸収する力が強いです。そのため肥料がいりません。植え付けが簡単でよく根付き、旺盛に生育します。暑さに強く乾燥にも耐えます。 基本的に栽培の際に水やりはいりません。つねに湿っている場所は栽培にむかず、水はけのよい場所が栽培の適地です。

さつまいもを育てやすい気候

さつまいもはあたたかい地域で盛んに栽培されています。つるが地面を覆うために一番暑い時期でも育てるうえで草取りの手間はほとんどいりません。 根付けば乾燥に耐えます。病害虫が少ない点も特徴です。収穫時期までほとんど病気の心配がなく育てやすいです。 つるで地面を這いながら伸び収穫時期まで背が高くないので、西南日本で襲来の多い台風の被害にほとんどあいません。

育てやすいさつまいもの栽培品種

芋から芽が伸びはじめています。

さつまいもの人気の栽培品種を紹介していきます。用途や好みに応じて品種を選ぶとよいでしょう。家庭菜園初心者が失敗しにくく、プランターや肥料袋でも栽培できるものを選びました。 植え付ける苗で購入することになりますから品種をよく確かめて購入してください。

ベニアズマ

どの地域でも家庭菜園ではおなじみの品種です。さつまいもといえばこのベニアズマの姿を描く人が多いでしょう。赤い皮、黄色い実は標準的なさつまいものイメージです。赤い皮の栽培品種のなかでは収穫量もあり初心者がつくりやすい種類です。 まずさつまいもを家庭菜園で作ってみようと思う初心者の方には栽培が簡単で失敗しにくくおすすめです。

ベニハルカ

ベニハルカはベニアズマと同じく皮が赤い品種です。まだ世に出てからそんなに時間が経っていない品種です。この芋の特徴は「甘さ」です。収穫してから置いておくほどに甘味がのってきます。 ポイントをおさえればねっとりと蜜のしみでる焼き芋をつくることができます。のちに示すアンノウベニ(安納紅)とともにこれからの食用のさつまいもを代表する品種になっていくでしょう。

コガネセンガン

「黄金千貫」と書きます。皮、実ともに白い芋です。さつまいもでんぷん、芋焼酎原料用の芋としてたくさん栽培されています。肥料が入っている土でもつるボケしにくく安定した収穫量を確保しやすい品種です。初心者にも簡単に失敗しにくい栽培品種です。


アンノウベニ

安納紅と書いたほうがピンとくる方が多いかもしれません。焼き芋といえば安納芋というぐらいに名前が知られるようになりました。 種子島の安納地区で栽培されたいもが正式には「安納芋」です。安納芋はアンノウコガネ(黄色)とアンノウベニ(オレンジ色)の2種で、両者は実の色がちがいます。 いずれも焼き芋にするとその真価を発揮します。ベニハルカとならぶ甘さと評されています。育てる難易度はさつまいものなかでは中程度です。

ヤマガワムラサキ

「山川紫」と書きます。皮は赤みを帯びていて一見するとふつうのさつまいもです。しかし切ってみると中の実は鮮やかな紫色です。 アントシアニンの紫色はさまざまな料理や菓子に使われています。甘くないタイプなのでその用途はいろいろとありそうです。最近ではアヤムラサキなどさらに色素の濃い品種が登場しています。

さつまいもの利用

出典: https://www.amazon.co.jp/李王家-さつまいも春雨-100g×4個/dp/B00GTEY96W/ref=sr_1_4?ie=UTF8&qid=1509263956&sr=8-4&keywords=さつまいも+春雨

さつまいもでんぷんで作られるはるさめです。このほかにじゃがいもでんぷんや緑豆で作るはるさめがあります。

さつまいもは米とともにほぼ100%近くの自給率を維持してきた作物です。最近でも90パーセント以上を示しています。 さつまいもの用途は芋焼酎の製造、さつまいもでんぷんの製造、加工食品に使われています。食用がそれにつづきます。 さつまいもでんぷんはじゃがいもでんぷんとともに「ふつうはるさめ」の原料です。はるさめにはほかに「緑豆はるさめ」があります。蒸した芋を薄切りにして乾燥したものが乾燥芋です。

さつまいもの栄養

48年前NASA(アメリカ航空宇宙局)のアポロ11号は月面に到達しました。

食物繊維、糖質、さらにビタミンCやビタミンB1が豊富です。カロテンやカリウムが多いのも特徴です。 生育が旺盛なこともあり、栄養に富み生産量が多いことからNASA(アメリカ航空宇宙局)がさつまいもを長期の宇宙旅行の際に、栽培しながら得られる食品として研究したことがあるぐらいです。

おいしい焼き芋の原理

さつまいもは火を通して熱をじわじわとおすと芋にふくまれるアミラーゼがでんぷんにはたらおて麦芽糖が生じます。さつまいもにふくまれる酵素であるアミラーゼは、70度ぐらいまでの高温に耐えてでんぷんを分解する反応をすすめます。 石焼き芋ではこのあたりの温度をしっかり長時間維持します。こうしてじゅうぶんに甘さののった焼き芋ができます。 いっぽう電子レンジで短時間で調理するとなかなか甘くなりません。これは芋の内部がすぐに高温に達してしまいアミラーゼがそのはたらきを失ってしまうからです。

さつまいものおやつ

焼き芋のほかに蒸し芋やゆで芋でも食べられます。また蒸したのちに薄く切った乾燥芋は長く保存でき、しかも再加熱するとさらにおいしく食べられます。 さつまいもはスイートポテトなどの洋菓子やきんとんなどにも利用できます。細切りにして揚げ、砂糖をからめると大学芋や芋けんぴです。 もちとゆでた芋をまぜてこねる、あるいはゆでたさつまいもに片栗粉と砂糖などでさつまいももちになります。

さつまいもの料理

秋になるとさつまいもがおいしくなります。さつまいもは火が簡単にとおるので煮物にしやすいです。油で揚げて天ぷらにするのもよいです。また炒め物やサラダなどにも利用できます。 いずれもさつまいものもつ自然な甘味を生かす使い方が合っています。

初心者向けの簡単で収穫まで失敗しにくい育て方

さつまいもは栽培を失敗しにくい作物ですが、ポイントがあります。そこで初心者の方に向けてポイントを示します。初心者の方にとって水やりや肥料が基本的にいらない点がとくに簡単で失敗しにくいところです。 しおれた苗を見て心配になり頻繁に水やりしたくなりますが、それほど気にしなくてもだいじょうぶです。ポイントとしては土地、栽培に適した温度、苗、植え付け方、肥料の種類があります。順をおって示します。

さつまいもの育て方:適地


さつまいもは基本的に場所を選びません。はじめて家庭菜園をする場所で育てることができます。ただし湿り気の多い場所は好みません。水やりはいらず、湿度のためにつるぼけといってつるばかりが伸びていもがつかない現象が起こりやすくなります。 日の当たる場所を好みます。つるが1株で1坪ほどに広がりますから、ほかに野菜を育てていてスペースが限られているときには注意が必要です。水やりは必要ですがプランターや袋栽培でも失敗せず簡単に初心者でも育てることができます。 それから以前から野菜を作っている場所では肥料が残っていないほうがいいです。とくに窒素肥料が多く残っているとつるぼけになり芋がつかない失敗をする可能性が高まります。 リン酸とカリが残っている場所は心配いりません。むしろカリウムはさつまいもにとって芋の生長に必須です。したがって残肥がある場所では肥料を勘案してやることが必要です。

さつまいもの育て方:温度

さつまいもは高温を好みます。生育の適温は25度以上です。少々の夏の暑さにも耐えます。 いちばんのポイントは苗の植えつけ時期です。さつまいもは低温には強くありません。あまりに早く露地に植え付けますと、まだ寒さが残る時期には苗がかなり傷むことがあります。 初心者の方は西日本ですとゴールデンウイーク明けの頃から1か月が植え時と思えば失敗しません。これはプランター栽培でも同様です。

さつまいもの育て方:苗の確保

さつまいもの苗は連休の前の頃から売り出されます。しかし急いで買うことは必要ないです。 連休からしばらくのあいだは特殊な品種でないかぎり、いずれかの苗は大きな園芸店やホームセンター、農協のショップなどで売り出されています。最近では販売所や道の駅などでも売られていることがあります。 苗は根がついていないものを束にして売られています。葉が7,8枚で苗の長さが30センチ以上あるものを選びます。葉がしおれているものでかまいません。 購入後にバケツの水に根元側の切り口をつけていれば葉はもとどおりになります。この状態で植え付けます。

苗の確保:温床による方法

芋を並べて1か月たったところです。芽がたくさん出ています。

温床で苗を得たい方は、3月ごろから確保していた芋を温床(30度を確保したもの)に並べます。乾燥しないようにしますと1か月以内のうちに根と茎がそれぞれ出てきます。 露地に植え付ける場合には外気がじゅうぶん暖かくなっていることが必要です。そのため温床に芋を入れる時期は念入りに計画しておきます。 苗は30センチほど伸びたら根もとからハサミで切り取ります。同時に何本か取ることができます。しばらく置くと再び同じ芋から苗を得ることができます。順次植え付けていきます。温度が足りないときにはビニールトンネルで覆い温度を確保します。

さつまいもの育て方:植え付け場所の準備

さつまいもを植える場所は苦土石灰を1平方メートルあたりひとつかみ(100グラム程度)入れたうえで、鍬で15センチほどの深さまで耕します。 この際に堆肥か腐葉土をバケツ1杯まぜておくと同時に土作りができます。1週間から2週間そのままおいておくと芋が植え付けられます。60センチの幅で高さ10センチほどの畝にしておくとすぐに植え付けられます。 基本的に肥料はいりませんが芋用の肥料として売られているものならば、元肥で畝の中央に鍬で溝をあけて少量入れてもかまいません。この肥料には芋の生育に必要なカリウムが確保されています。 それとは別に自前で肥料が準備できるときは堆肥か腐葉土、草木灰をその溝に入れるとよいです。

さつまいもの育て方:苗の植えつけ方

さつまいも苗は購入して植え付ける前日までは上に示したように水につけておきます。植え付ける場所は、上に示したように60センチの幅で畝をつくります。苗は株間35センチで苗を畝に対して平行の方向に植え付けます。 葉の部分と茎先は土の表面に出るように、茎の部分はなるべく土に深く入るように押し込みます。葉の付け根のあたりから芋になる根が2つずつ出てきます。したがってその部分がしっかり土に埋まるようにします。 土を軽く手で押さえたあとたっぷり水やりします。早いと3日ほどで、おそくとも10日ほどで根づきます。それまでは水やりをします。根がありませんからしおれていますがけっこう根は出るものです。

さつまいもの育て方:その後の管理

いったん根づけば水やりは必要ありません。すぐに茎の先の芽が生育をはじめます。雨で土が流れやすくなりますから土寄せをたびたび行います。 最初のうちはなかなか大きくなりませんから心配になりますが、土中では根がさかんに伸長しているはずです。根の伸長のあとに茎の伸長と覚えておくといいです。 あとは雑草が旺盛に出てくる時期ですから草取りを忘れずに行ってください。

さつまいもの育て方:追肥

砂の多い土地の場合には肥料分が確保できないことがあります。その場合にはカリウムを確保する目的で、草木灰を中心に少量だけ追肥します。よく肥えた土の場合にはさつまいもの生育には追肥は必要ないと思っていてさしつかえありません。

さつまいもの育て方:つるの管理


さつまいもは暑くなってくると旺盛につるを伸ばしはじめます。最初に予定していなかった場所までつるが伸びてくることがあります。限られたスペースで菜園づくりをしている場合にはつるを都合のよい場所や方向にもっていってかまいません。 つるの下に根が伸びて一部が地面に入っている場合でも伸びたつるの先ならば移動してかまいません。こうした作業をつる返しといいます。場所の心配がいらず周囲も無肥料の状態ならばそのまま放置しておいてかまいません。 芋の若い葉はゆでると食べられます。独特の風味があり、栄養素が豊富に含まれています。

さつまいもの育て方:病虫害

さつまいもについてはまず病気の心配はいりません。ときには虫食いが葉に見つかることがあります。虫食いが集中する場所があるときには、その周囲に芋虫がいることがありますので捕獲して処分します。 大きな芋虫ならばエビガラスズメの幼虫かもしれません。芋の葉が好物です。大きいのでびっくりします。

プランターや肥料袋でも簡単につくれる

さつまいもは実は家庭菜園において野菜用プランターや肥料袋でも作ることができます。赤玉土に3割ほど腐葉土か完熟堆肥をつめて草木灰をひとつまみ加えた土を入れます。 そこに芋の苗を上に示した方法で2本植え付けます。水やりは土の表面が乾いたらやります。ほかの育て方は上の方法と同様です。 プランターや袋での栽培はベランダなど限られたスペースや畑が空いていないとき、簡単に失敗なく初心者でも育てることができます。ただしコンクリートのベランダは乾きやすいので、水やりに注意します。芋のなる時期は畑とほぼ同じです。

さつまいもの収穫:時期

8月の盆の頃になるとつるの伸びが落ち着いてきます。その頃には芋が大きくなりはじめています。西南暖地では9月から、西日本では10月には収穫を迎えます。基本的には霜がおりる前に収穫を終えます。 ただし収穫時期を遅らせるほどコガネムシの幼虫が芋の表面を傷つけるリスクが高まります。とくにたい肥や腐葉土を入れた場合には気をつけてください。芋の傷が気にならない場合にはそのままにしておいてかまいません。

さつまいもの収穫:方法

芋を収穫する場合には芋が十分に膨れているか探り掘りをしてみます。十分ならば、まずつるの根元を鎌やはさみで切り落としとりのぞきます。こうしてつるの根元だけ残しておけばいつでも掘り起こすことができます。 鍬を入れるときには芋を傷つけないように遠くから入れていき、そこから芋を探って掘り起こしていきます。慣れてくると見当がつくのではかどります。 掘ったいもは両端を鎌で切り落とし、そのまま明るい日かげにおいて乾燥させると日持ちします。1,2週間以上置いたほうが甘味が増しています。

さつまいもの保存方法

長く保存するつもりならばいものつるごと保存してもかまいません。その場合には寒さに備えて新聞紙でくるみ段ボールに入れて家、納屋、倉庫の中のなるべく寒くない場所に置くと長持ちします。 10~15度を確保すると翌春の時期まで簡単に芋を保存することができます。それより低温になるとくさってしまいます。 むかしは土中に穴を掘りわらなどを厚くかぶせて水が入らないようにして畑で保管していました。

まとめ

さつまいもは場所をとりますが、家族で栽培を楽しめる作物です。芋ほりは子供たちには楽しい思い出になるでしょう。そして甘くておいしい芋が収穫できるところも特徴です。 庭や畑を準備したばかりの家庭菜園初心者の方に適しており、水やりや肥料やりで失敗せずにできる野菜のひとつです。ぜひともチャレンジしてみてください。