インターバルウォーキングで筋力アップ!
インターバルウォーキング(インターバル足歩)は信州大学の能勢博教授が、スポーツ選手が行う"インターバル・トレーニング"からヒントを得て2001年に開発した運動です。一定速度のウォーキングとは異なり、「早歩き」と「ゆっくり歩き」を数分ずつ交互に繰り返すことで、体力が最大20パーセント上がるといわれています。
マシーンも道具も要らない「誰でもどこでも簡単にできる運動」を取り入れてみてはいかがでしょうか。
インターバルとは?
インターバル(英語のinterval)とは、「間隔」「幕間」「休憩時間」などを意味します。休憩時間という意味もあるように、インターバルウォーキングでも緊張しっぱなしの状態が連続するのではなく、ひと息つきながら歩いてもOK、というように解釈できそうです。
早歩きをずっと続けるのは大変ですが、ゆっくり歩きを挟みながらの歩行は、運動が苦手な人でも安心して取り組めそうな気がします。
インターバルウォーキングの健康効果
インターバルウォーキングが開発された背景は、通常のウォーキングだけでは改善されなかった筋力の向上が、ウォーキングとマシーントレーニングの組み合わせによって改善されたことにあります。マシーンは大掛かりのため、マシーンと同様の健康効果を気軽に得られる運動として考え出されたのです。
インターバルウォーキングは、能勢教授によるといろいろな健康効果が指摘されており、体力の向上以外にメンタルに関しても期待されています。
①体力向上と関節痛の改善
インターバルウォーキングの最大の健康効果は、体力の向上があげられます。体力は、足腰などに筋力が付いた結果として持久力も付くという相乗効果によってもたらされるものです。
関節痛の改善も指摘されており、インターバルウォーキングを行った人の半数が膝関節痛の症状が緩和されたと報告されています。さらに膝関節の人工手術を行った患者が12週間継続したことで、下半身の筋力アップなどに効果があったそうです。
②生活習慣病や骨粗しょう症の改善
インターバルウォーキングを実践することで、高血圧や高血糖・肥満などの生活習慣病が改善されたという報告もされています。さらに骨粗しょう症も改善され、腰椎の骨密度と大腿骨頭部の骨密度がアップしたとの報告もあるのです。
高齢者は生活習慣病や骨粗しょう症になる傾向が多くいため、インターバルウォーキングを実践する価値が非常に大きいといえそうです。
③うつや睡眠に関する心理的効果
インターバルウォーキングは、心理的な側面にもよい影響を与えてくれるようです。ウォーキングは気分転換などによいといわれていますが、インターバルウォーキングはさらに、うつなどの気分障害や睡眠の質を改善する効果が指摘されています。
認知機能の改善もいわれており、特に軽度認知障害の人たちの改善が多く見られたそうです。この他、インターバルウォーキング後に糖質や乳タンパクを摂取すると熱中症予防も期待できるといわれています。
インターバルウォーキングのやり方
①正しい姿勢と視線
ウォーキングの基本でもある姿勢は、前かがみにならないように背筋をまっすぐに伸ばします。横から見たときに、頭頂部からくるぶしまでが一直線になるように立ってください。感覚としては、頭頂部が糸で吊られているイメージを持つとよいとされています。
視線は約25メートル先に置くとよいとされています。感覚としては、見える範囲でよいので前方をまっすぐ見るイメージです。
②足の踏み出し方と着地法
脚はできるだけ歩幅を広くし、腰を使って大股に踏み出してください。男性は普段よりもプラス5センチメートルで女性はプラス3センチメートルが目安です。
蹴るほうの足は、指で地面を押し出すようにします。注意点として、着地するのは必ず"かかと"からとなり、つま先は上げてください。「1.2.3」と数えながら3歩目で大きく踏み出すとよいそうです。
肘の角度
このときの注意点は、肘(ひじ)の角度にあります。肘は90度に曲げて後ろに引き、上半身運動にもなるように前後に大きく振ってください。そして、インターバルウォーキングは「ややきつい」と感じるスピードから始めます。
③速歩とゆっくり歩きを繰り返す
速歩を3分間行った後は、ゆっくり歩きも3分間行います。これを1セットとし、1日に5セット以上、1週間に最低で4日継続すると健康効果が期待できるそうです。
1日で15分以上が目安のため一度で行おうとせず、朝・昼・夜の時間が空いたときにこまめに実施するのでも構いません。60分以上の速歩を一週間、5か月継続することがポイントです。平日に行えないときは、土曜と日曜に30分ずつ速歩を行うのもよいとされています。
2分ずつの5セットでもよい
インターバルウォーキングのやり方は3分ずつの5セットとされていますが、慣れる前は2分ずつの5セットでもよいそうです。
運動能力は個人差があり、これまでにウォーキングもしてこなかった人は3分がきつく感じられるかもしれません。少しずつ「早歩き」に身体が慣れてくるまで焦らずに実践してください。反対に体力がある人は5分間隔でも構わないそうです。
インターバルウォーキングの注意点
①「早歩き」は慌てないこと
インターバルウォーキングは「早歩き(速歩)」のときに転びやすい点が注すべきこととして指摘されてます。慣れてきたら早歩きにスムーズに移行できますが、慌てずに足がもつれない程度のスピードで行ってください。
また、早く歩こうとしていつの間にか前かがみになる傾向も指摘されています。猫背でのウォーキングは、上半身の重みが腰やひざに必要以上の負担をかけてしまい、痛みの原因になってしまうのです。
早歩きの目安
早歩きのスピードは個人差があるため、目安としては「息が弾んで動悸がする程度」とされています。この状態が3分以上続くと、多くの人は継続が困難に感じるそうです。
3分の計測は時計を使うのもよいですが集中力が途切れてしまうため、おおよそでよいといわれています。つまり「これ以上きつい」と感じる"臨界点"でゆっくり歩きに切り替えればよいといえそうです。
②猫背は腕を後ろに引いて防止
ウォーキングだけではなく、普段の生活でも気が付かないうちに猫背気味になっていることがあります。そのようなときは腕を後ろに引くことを意識すると、自然に背筋が伸びて美しい姿勢をキープできることでしょう。
運動しているとき以外、例えば通勤通学や買い物中なども少し意識し、なるべく正しい姿勢で歩くように心がけてください。
③5か月間継続すること
インターバルウォーキングは道具も要らず、誰でもどこでも簡単に取り組めるのが最大のメリットです。しかし最低5か月以上を継続しないと、インターバルウォーキングの効果が出ないといわれています。
インターバルウォーキングは少ない時間で大変な負荷を掛けない点も特長ですが、5か月間継続するのが意外に大変かもしれません。健康を維持するためには、インターバルウォーキングを習慣づけるしかないといえます。
インターバルウォーキングの前準備・後準備
①靴と服装を用意する
インターバルウォーキングなどの運動時の靴と服装は、何よりも動きやすさが鉄則です。靴は底がやわらかくて曲がりやすく、"かかと"にクッション性があるものがベストとされています。服装はジャージなどでもよいですし、通気性と発汗性のよいものがおすすめです。
②ストレッチ運動を必ず行う
インターバルウォーキングを始める前は、ケガや疲れを予防するために必ずストレッチ運動を行ってください。脚を使うため、特に下半身をやわらかくするストレッチを念入りに行いましょう。
一つの目安ですが、インターバルウォーキングを始めとするあらゆる運動によい時間は、筋肉がやわらかくなっている午後3時から午後6時とのことです。肉離れなどのケガか起きにくく、高齢者でもケガの不安が少なく歩けるといわれています。
③飲料水などを準備する
インターバルウォーキングを行うときは飲料水も用意すると便利です。自宅の近くを30分ほどインターバルウォーキングするだけなら問題ありませんが、野山などに遠出して行うときは、コンパクトなリュックなどに飲料水やタオルなども詰めて持参するとよいでしょう。
インターバルウォーキングだけは道具は不要ですが、ウォーキング以外の楽しみも何か組み合わせると、5ヶ月以上長続きさせられるかもしれません。
④運動後に乳製品を摂る
インターバルウォーキングを終えた後は、運動後30分以内に乳製品を摂ると太ももの筋肉が効率的に太くなる点が指摘されています。私たちの身体は、負荷のかかる運動によって損傷した筋肉を修繕する仕組みがあり、乳製品などのアミノ酸を含んだ食品を摂り入れることで修善をサポートしてくれるのです。
インターバルウォーキングをしたあとも、30分以内にコップ1~2杯の牛乳を飲むとよいといわれています。
インターバルウォーキングで健康に!
インターバルウォーキングは、いつでもどこでも誰でも手軽に始められる運動です。やり方は、「早歩き」と「ゆっくり歩き」を各3分×5回=30分行うだけとなります。慣れないうちは3分がきついと感じる人は、2分から始めるのもよいそうです。
注意点は「早歩き」のときに慌てて転倒しないようにするくらいです。5か月継続することで飛躍的な体力の向上が期待できるといわれています。ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
ポールウォーキングが気になる人はこちらをチェック!
インターバルウォーキングも人気がありますが、より全身運動となるポールウォーキングも注目されています。ポールを使うことで腕を大きく振るため、上半身の運動にもなるそうです。こちらもぜひチェックしてみてくださいね。

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出典:.photo-ac.com