ローメンテなグランドカバーなら竜の髭
竜の髭は植栽と通路の境界やグランドカバーに多く用いられる植物です。常緑で育て方も簡単なため植栽の空いたスペースなどに人気があります。よほどの悪条件でない限り枯れることもなく、手入れもほとんど不要のため忙しい人におすすめの植物です。
竜の髭は植え方や品種を工夫すれば洋風の庭にもなじみレイアウトしやすい植物でもあります。
竜の髭の基本情報
和名 | 玉竜(タマリュウ) 蛇の髭(ジャノヒゲ) 竜のひげ/竜の髭(リュウノヒゲ) |
植物分類 | キジカクシ科(ユリ科) ジャノヒゲ属(オフィオポゴン属) |
原産地 | 日本、朝鮮半島、中国 |
開花期 | 7~8月 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 普通 |
竜の髭という名前は見た目からつけられました。まるで竜の髭のような細長い葉を持つこと由来します。竜の髭にはほかにも名前があり上記のようなものも。いずれの名前も細くやわらかにカールする見た目から連想されたものといえるでしょう。長い葉を持つものは風にそよぐ姿が美しいのも魅力です。
学名は蛇と髭を意味する名前をもとにOphiopogon japonicusとつけられています。
竜の髭の魅力と注意点
竜の髭の魅力を知り、育て方や植え方をマスターすればこれほど便利で使い勝手のよい植物はないと思えるでしょう。駐車場のわずかな隙間、雑草が頻繁にでてくるスペースなどに大活躍してくれます。
一見、地味で魅力が少なく思えるかもしれませんがほかの植物と組み合わせればお互いのよさを引き立てあうような魅力的な植物です。
魅力①常緑
一度植えれば竜の髭は常緑植物なので冬になっても青々とした葉が茂ります。そのためグランドカバーとしても大変人気です。冬から春先にかけても常緑の葉が残っており一年を通じて雑草が生えにくくなるでしょう。
植えっぱなしでローメンテナンスで済むにもかかわらず高いパフォーマンスを発揮をしてくれます。
魅力②日本が原産
原産地は、中国や朝鮮半島そして日本です。そのため日本の気候に適応している植物といえます。四季があり、一年を通じて気温差がある日本の環境においても育て方が簡単。ガーデニング初心者や枯れる心配のない植物を探している人におすすめです。
魅力③簡単で日陰でも育つ
竜の髭は育て方が簡単なうえ、さほど植える場所を選ばないのも大きな魅力です。半日陰~日向の環境を好む植物ではありますが日陰でもたくましく育ちます。そのため、常に日陰となるカーポートのコンクリートの隙間や北側のグランドカバーなどにも最適でしょう。
魅力④増やし方も簡単
竜の髭は匍匐枝や走出枝とよばれるランナーで増えていきます。そのため、株が大きくなってきたところで株分けした新しい苗を別の場所に植えるだけで簡単に植え替えが完了です。
植え付け面積も広くできるでしょう。鉢植えや寄せ植えにももちろん使えます。
魅力⑤草丈が豊富
竜の髭のもとは日本や中国に自生していたジャノヒゲです。ジャノヒゲは葉が長く蛇(ジャ)という名前も納得の見た目をしています。ジャノヒゲに近い系統は草丈が長く、竜の髭のように園芸品種に小型に改良されたものはコンパクトな傾向です。
常緑グランドカバーの性質や強健に育つたくましさを残しながら草丈が種類によって選べるのも竜の髭の魅力といえます。葉色や斑入りが楽しめる種類も豊富です。
注意点①隙間から生える雑草
常緑で植える場所を選ばない竜の髭はグランドカバーに大人気です。しかし、まったく雑草が生えないわけではありません。
竜の髭の葉の隙間から細い雑草がところどころ顔を出すことも。隙間から顔を出す雑草を丁寧にすべて抜き切るのは苦労するかもしれません。ただし州の髭をまったく植えないよりは圧倒的に雑草の量は減ります。
注意点②たくましく育つが踏まれるのには弱い
育て方が簡単で苗を植え付けるだけでたくましく育つ竜の髭ですが、頻繁に人に踏まれるのはやや苦手です。芝生のような感覚で竜の髭を使うのは少しハードルが高いでしょう。外構のスペースや植栽の隙間など人や車に踏まれる心配のない場所に植えるのがおすすめです。
注意点③極度な乾燥地には不適
日陰であっても枯れることなく育つ竜の髭ですが、極度な乾燥は苦手です。砂漠のようにいつもカラカラしているような場所では枯れることもあります。水はけがよすぎるような場所は苗の植え付け前に土壌改良剤を加えるなど工夫するとよいでしょう。
注意点④花や実は控えめ
竜の髭の花は7~8月、実は10~3月ごろまで楽しめます。竜の髭の花や実は艶やかで派手なものではありませんが、花は里山に人知れずそっと咲くような趣ある姿です。実はコバルトブルーで秋~冬に実るため花が少なくなる季節をそっと彩ってくれるでしょう。
竜の髭の育て方
竜の髭の種は販売されておらず、苗を購入して植え付けるのが一般的な植え方になります。また、あとでご紹介するように株分けによって増えやすいのでご近所の方から株分けして苗をもらえることもあるかもしれません。
育て方①用土
竜の髭の植え付け時期は真夏・真冬を除くすべての季節で可能です。苗が出回るのは春と秋ごろになります。植え付ける用土ですが水はけがよければ痩せた土地でも育つのでさほど気にする必要はありませんが、極度に水はけが悪い場所や乾燥する場所に植え付けるなら土壌改良剤を使用しましょう。
水はけが悪い場合は腐葉土、バーク堆肥、パーライトを混ぜます。逆に乾燥しすぎて水持ちが悪い土には堆肥や腐葉土の割合を増やしましょう。
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育て方②植え方
植え方ですが、場所はあまり選びません。日陰でも強健に育ちますが葉の色を鮮やかにしたかったり、花や実付きをよくしたいのであれば半日陰以上の場所がおすすめです。
植え方は基本的な植物の植え方と同じで構いません。植える場所が決まったら、苗より一回り大きな穴を掘り植え付けましょう。植え付け後はたっぷりと水やりをし根付くまでは水切れに注意します。
植え方のコツ
植え方のコツは、穴をしっかりと掘って竜の髭の根が土から露出しないようにすることです。穴の深さが足りなかったり土が足りなかったりして株元から根が露出しているとそこから乾燥したり傷がついて苗を弱らせてしまいます。
育て方③水やり
苗を地植えし、しっかりと根付いた竜の髭に水やりはほとんど不要です。水はけがよすぎて常に乾燥するような場所では葉の様子を見ながら時折水やりをすれば十分でしょう。鉢植えや寄せ植えの場合は土が乾燥してきたら鉢底から水が染み出てくるまでたっぷりと与えます。
育て方④肥料
苗を地植えした場合、肥料はほぼ不要です。用土に腐葉土や堆肥などの有機分がある程度含まれていれば追肥せずとも元気に育つでしょう。鉢植えや寄せ植えで苗を育てている場合や、地植えであっても何年も植えっぱなしで葉が黄色く変色したようなときは緩効性肥料を追肥します。
置き肥といって根から離れた場所に緩効性肥料をぱらぱらと散布しましょう。緩効性肥料を与える時期は春と秋です。
竜の髭の植え替え・増やし方
植物は定期的な植え替えが必要です。とくに鉢植えの場合は根詰まりを起こすため新しい土を入れて鉢を大きくする植え替えは重要。地植えであっても竜の髭のようにコンクリートの隙間など狭い場所に植えることの多い植物は苗の成長とともに植え替えるのがおすすめです。
また、一般的な竜の髭の増やし方は株分けになります。そのため、植え替えと一緒に株分けすると作業が簡便にできるでしょう。増やし方も簡単です。
植え替えの方法
竜の髭が大きくなり今あるスペースいっぱいにまで育ったら植え替えしましょう。鉢植えであっても地植えであってもスペースいっぱいに育った苗は植え替えて根を更新することで健康な株になります。
植え替えする竜の髭の苗を土から掘り起こし、根を水で洗いましょう。土を落ちたら根の先端を2/3~1/2ほど切り戻しその後の発根がうながします。カットしたら新しい鉢やスペースに苗を植え付けましょう。植え方は通常と同じです。
植え替え時期
鉢いっぱいになった竜の髭を植え替えたり、植え替えと同時に株分けをするのにおすすめの時期は3~5月、9~11月ごろ。植え替えや株分けは根に大きなダメージが加わります。そのため気温によるダメージをなるべく減らすため真夏と真冬は避けましょう。
植え替えしないとどうなる?
鉢植えはやがて根が鉢いっぱいに増えて根詰まりします。根詰まりすると土や根の状態が悪くなり生育が落ち込んでしまうでしょう。地植えであっても狭いスペースに植えている場合は株が込み合ってきます。今以上に苗を大きくしたくない場合であっても定期的に掘り起こして根をカットすることで鉢の大きさと苗の健康をキープしやすくなるでしょう。
竜の髭の増やし方:株分け
株分けは植え替えと同時に1つの苗から新しい苗を作り出せる方法です。もとの苗は株分けによってサイズダウンするため鉢のサイズを大きくせずに済んだり、新しい苗が増えるので新しく植えられる場所が増やせたりするメリットがあります。
株分けの方法ですが、掘り起こした苗の根を洗い、根をカットした後に苗を傷つけないように1/2~3/1サイズに分割するだけ。株分けは手軽で成功率の高い増やし方です。
竜の髭の増やし方:株分けの時期
竜の髭の株分けをする時期は植え替えを同じく真夏と真冬を避けた3~5月、9~11月ごろがベストです。寒冷地であれば早霜、遅霜の心配がなくなったころを見計らってするのがよいでしょう。株分けしたあとは根付くまで水切れには注意します。
竜の髭の種類
育て方も増やし方も簡単な竜の髭。濃い緑色の葉を持つイメージがありますが、前述したように竜の髭は種類が豊富にあります。ナチュラルガーデンやイングリッシュガーデン風にもなじむものから、定番の和風の庭に似合うもの、グランドカバーに特化した矮性品種なども人気です。
種類①玉竜
玉竜
玉竜は竜の髭の中でもグランドカバーとして不動の地位を誇る人気品種です。別名はチャボリュウノヒゲで、草丈5~15cmの矮性品種。背丈が出ないためさまざまなスペースに植えられます。また、密に生えそろうのも人気の理由。マット状に広がりグランドカバーとして活躍するでしょう。
種類②白竜
白竜
白竜は名前からもわかるように白の斑入り品種です。定番の玉竜よりもやわらかで繊細な印象があるため洋風の庭にもなじみます。草丈は20cmになり、風にそよぐ様が優雅です。通常の竜の髭と同じくどんな環境でも育てやすく、増やし方も株分けで構いません。
種類③黒竜
黒竜
白竜と対をなすような存在が黒竜です。こちらも名前が特徴をよく表していますね。黒みがかった葉が大変美しく、モダンな庭との相性抜群です。草丈は白竜同様に20cmほど。どんな環境でもたくましく育ちます。
黒竜ほど黒色が強い葉も珍しく、いい庭のアクセントとなってくれるでしょう。植え方次第では植栽にコントラストを生み出し、引き締まった空間づくりに貢献します。
種類④かぐや竜
かぐや竜
かぐや竜は明かるいライトグリーンの葉が魅力の品種です。育てやすさや苗の強さは竜の髭のままなので黄金葉玉龍などと呼ばれることもあります。常緑なので冬にこういったライトグリーンの葉が残っているのは大きな魅力といえるでしょう。日陰を好むため、半日陰~日陰での管理がおすすめです。
竜の髭は枯れる心配不要の常緑植物
植える場所を選ばず、育て方増やし方まで簡単な竜の髭はガーデニングの強い味方です。品種や植え方次第ではどんな庭にも似合うのが大きな魅力といえるでしょう。
よっぽどのことがない限り枯れることもないため、いろいろな品種を楽しんでみるのもおすすめです。植栽や寄せ植えのアクセントにも、グランドカバーにも活躍してくれる竜の髭を使いこなしましょう。
竜の髭について気になった方はこちらもチェック
リュウノヒゲのことをジャノヒゲという名前で呼ぶことがあります。広義的には同じ仲間になりますが、草丈などで区別することも。ジャノヒゲとリュウノヒゲの違いや特徴、増やし方について解説した記事はこちらからご覧ください。
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