家庭菜園や花壇でよく聞く土壌改良とは
土を入れ替えずに植物のために良い土にする方法
家庭菜園でガーデニングをしていたことがある方なら一度は「土壌改良」という言葉を聞いたことがあると思います。
土壌改良は何年もいろいろな植物を植えていた花壇や庭の土に対して土の再生材をまぜたり土壌改良に効果がある資材を混ぜ込みふかふかの土にしたりする方法で、土をすべて入れ替える必要がなく、身近な場所で売られている資材を混ぜ込むだけで簡単なためガーデニング初心者にもできる庭や花壇の手入れです。
大規模な入れ替えしないから簡単
花壇の土をすべて入れ替えるとなると大変ですが、使い古した土にまくだけでいい状態の土に再生するような製品もあります。また改良材、改良剤と漢字の表記が2種類ありますが材でも剤でも意味は同じで、剤の方「薬剤」のように加工されている事が多く1つの商品で複数の土壌改良材が使われている場合もあります。
商品にもよりますが、本物の薬剤ではないので無農薬栽培を目指していても安心して使えるのでおすすめです。
土壌改良材(剤)の効果1
土をふかふかに
なぜ土壌改良しないといけないかというと、どんなにいい土を使った花壇、庭でも科学的に植物の成長に必要な様々な栄養を含ませた化成肥料などを長期使用しているとだんだん土が固くなってきます。
固まると根が張りにくかったり、水はけも悪くなってきます。固くなると育ちにくくなるため、腐葉土などの土壌改良材を用いて新しい土のようにふかふかで、栄養分が豊富な土壌になるようにします。
水はけを改善
粘土質だと水はけが悪いため、あまりガーデニングには適しません。そこで水はけが良くなるように土壌改良材を使って植物を育てるのに適した状態に土壌を変えていきます。
水はけが良い状態とは土の粒子が適度に塊状になっているもの(団粒構造)で、家庭菜園から花壇までガーデニングすべての分野におすすめです。逆に砂利のようにすぐに水が流れる場合も土壌改良で水持ちを良くしたりします。
土壌改良材(剤)の効果2
植物にあった環境に
土壌改良材には肥料としての効果と一緒に土のPhを調節する効果がある改良材もあります。土を再びつかかえるようにする時に酸度のバランス整えて弱酸性にしたり、酸性が好きな植物のために酸性にしたりします。
家庭菜園で野菜を栽培している方は気付かないうちに土壌改良材を使っているかもしれませんよ。植え付け前に消毒も兼ねて撒いている石灰は土をアルカリ性にする調整剤です。苦土石灰はマグネシウムを含んだ石灰になります。
いい菌を増やす
混ぜ込まなくても古い土の上から撒くだけで土を再び良い状態に再生できるタイプの土壌改良材には、植物にいい働きをする微生物を増やしてくれるものもあります。
例えば植物が栄養を吸収しやすくするためにタンパク質などを分解してくれる微生物、デンプンを分解してくれる微生物などがいてガーデニングでは微生物のバランスがとれた土が大切です。化成肥料ばかり与えていると微生物が減っていき悪い土になってしまいます。
土のバランスが大切
人間の大腸にいる善玉菌、悪玉菌と同じように土の中にはいい菌もいれば悪い菌もいます。いい菌が減ると病気の元となる悪い菌が増えて病気になりやすくなったり、栄養分を植物が吸収できなくなり育ちにくくなるため土のバランスは大切です。化成肥料はいい菌の餌ではないため死滅していきます。
土壌改良材(剤)の種類1
動物由来の材料は家庭菜園から花壇まで使える改良材
肥料には科学的に成分を配合した化成肥料と肥料となる素材をそのまま使用している有機肥料の2種類があります。前述したように化成肥料は微生物がいなくなることから連用は避けて有機肥料を使いましょう。
有機肥料と一言に言ってもいろいろな種類があるので土壌改良材としての効果と共に紹介します。基本的に有機肥料は土の状態をふかふかにして微生物の増加やバランスを整える効果がある改良材です。
土壌改良に有効:牛糞(牛糞堆肥)
牛糞そのままでは肥料として使えないですが、ウッドチップなどを加えて発酵させていくと園芸用品店で売られている牛ふん堆肥になります。
動物由来の肥料としてはあまり有用な成分を含んではいませんが土壌改良材としては非常に優秀で土をふかふかにして根が張りやすくなったり、ふかふかになることで水はけがよくなり通気性もアップします。逆に水はけが良すぎる環境では水持ちをよくしてくれるため改良材としておすすめです。
土壌改良材(剤)の種類2
植物由来の材料は土壌改良や土作りにも
動物由来の土壌改良と比べると大量に使っても土壌を汚染することは少なく土壌改良に使いやすいことから人気です。前述したように腐葉土は植物の葉が微生物に分解されできた土で雑木林の土と同じようなものです。
また腐葉土のように植物が分解された土を腐植土と言って植物を育てる時に最適な土壌となります。植物由来の土壌改良材も種類がたくさんあるので紹介します。
土壌改良材として人気:腐葉土
土壌改良材として売れていますが、土壌改良材と意識するより土作りの際に基本用土として入れることが多い土です。
土壌改良材としての効果は、微生物がたくさんいる、土がふかふかになるため通気性、排水性、水持ちを改良する効果があり古くなった土を入れ替えなくても混ぜ込むだけで、微生物を増やし再生できるので優秀です。自作することも可能ですよ。
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土壌改良材としても人気:バーク堆肥
堆肥とありますが、肥料として使うのは難しいためバーク堆肥も土壌改良がメインになります。腐葉土は葉を分解した土壌でしたが、バーク堆肥は木の皮できていて針葉樹より広葉樹のほうがしっかり発酵しているのでおすすめです。
米からできた土壌改良材:もみ殻
稲から脱穀して玄米を作る時にでる廃棄物がもみ殻です。もみ殻には生のままと低温で炭化させたもみ殻くん炭の2種類があります。他の植物性土壌改良材と比べると分解されにくいため長く土壌改良材としての水はけ、通気性を確保できます。
炭になったもみ殻くん炭は保水力もアップしてphの調整、炭にできた無数の小さな穴が微生物の住処になることから土壌改良材としてさらに使えるようになります。臭いもほとんどしないので花壇におすすめです。
土壌改良材(剤)の種類3
石なども土壌改良材に
人工的に作り出した石なども土壌改良材として発売されています。先程まで紹介してきた土壌改良と比べると石なので微生物の餌として使うことができないため、肥料としての効果はありませんが分解されないので定期的に土壌に混ぜ込まなくても土壌改良材の効果があります。
土壌改良材としてよく使われることから腐葉土と比べるあまり聞かない名前ですが、園芸用品や100円ショップなど身近な場所で手に入りますよ。
ゼオライト
顕微鏡で拡大して見ないと確認できな非常に小さな穴が無数にある鉱石です。自然界にある天然のゼオライトだけではなく人工石として作られガーデニングだけではなく工業用としても使われています。
ゼオライトを土に混ぜることで無数の穴のおかげで通気性、排水性が増すだけではなくカルシウムなどの栄養分をゼオライトが取り込んで徐々に外に排出することから保肥力を高めてくれます。価格も安く無臭で使いやすい土壌改良剤と言えるでしょう。
パーライト(黒曜石系)
こちらも石が原料となっている土壌改良材で2種類に分類できます。古代から石器として使われていた黒曜石を使ったパーライトは排水性を高めてくれるので水はけの悪い粘土質のような場所に混ぜ込むのに適しています。
直接土壌に混ぜ込まなくてもプランターの場合底石の代わり使うことで土壌改良の効果がありますよ。触れた水がイオン水になることで、より植物を元気に育てることができると言われています。
パーライト(真珠岩など)
同じパーライトでもこちらは派手に穴が空いていて大小様々な穴が繋がりながら形を形成しています。見た目も黒曜石系パーライトより比較的穴がわかりやすいです。
黒曜石のパーライト以外は保水力に効果あるため砂利のように水がすぐ排出されるような土地の土壌改良にぴったりです。黒曜石、真珠岩ともに色に大きな違いはないのですが使い方に違いがあるので注意してくださいね。
バーミキュライト
アコーディオンのように膨張した石で簡単に薄く割れ金箔のようにも見えます。石を原料とした土壌改良剤で、市販の花の土に混ぜられていることが多く排水性や通気性があります。
phも中性で酸性を好む植物の土壌改良材としても使いやすく、加熱処理して作られることから切り口から病原菌が入りやすい挿し木でも使える土としても発売されている身近な園芸用品です。
土壌改良材(剤)の種類4
ph調整をする土壌改良材
アルカリ性だったり、酸性だったりする土を植物の種類に合わせたちょうどいい状態のphに調整する土壌改良材を紹介します。混ぜるだけで古くなった土を再生するというわけではないの注意しましょう。
ピートモス
ブルーベリーの用土で使われるピートモスは酸性です。土に混ぜ込むことであたりのphを下げてくれる効果上がります。繊維しかないような素材なので保水力もあるのですぐに乾く場所にも有効です。
〇〇灰
石灰、苦土石灰、消石灰、草木灰などはアルカリ性になります。草木灰は肥料としても効果がありますが、連用するとアルカリ性になるので注意しましょう。
土壌改良のおすすめの方法1
栄養もなく水はけが悪い場所の土壌改良
水やりをしてもすぐに染みていかず、水たまりのように溜まってしまう土を改良する時におすすめなのが、腐葉土、バーク堆肥、もみ殻に肥料を加える方法です。これらの資材で大きな粒子ができたり、ふかふかになることで水が染みやすくなります。
方法は土に混ぜ込んでいくで、入れ替える必要はありません。混ぜ込む量は2割程度ぐらいからがおすすめです。石などの鉱物できた土壌改良剤は肥料としての効果はなく微生物の餌になりません。
栄養分があるけど水はけが悪い
逆に栄養分がたくさんあるような場所でさらに肥料としての効果は少ないですが、肥料となる牛ふん堆肥などを混ぜ込んで土を再生させていくより、ゼオライトのように穴が空いている石を使い水はけを良くしていきましょう。
ふかふかにしつつ水はけを改善したいなら分解されにくい(栄養になりにくい)もみ殻を使ってみるのもいいかもしれませんね。土壌の状態を見ながら適材を使うのが土壌改良のポイントです。
土壌改良のおすすめの方法2
ph調整をするには石灰
日本の土壌はほとんどが酸性に傾いていています。理由は酸性雨による影響と雨が多い日本の環境が原因と言われていて二酸化炭素や硫黄が結びついた酸性の雨が地面に降ることで酸性になります。
さらに土はもともと酸性でカルシウムなどの養分があるとphがあがってくるのですが、雨によって流れてしまうことが多いというのも原因となります。植物が育ちやすいは弱酸性となっているので石灰などアルカリ性のものを使って土壌改良します。
土壌改良は植える前にしておこう
窒素と石灰は化学反応を起こして気体となり抜けてしまうので、まず植え付ける2週間ぐらい前に土壌に混ぜ込んから2週間ぐらい経った後他の資材をいれていきます。
あとからphを調整したい場合は石灰ではなくもみ殻くん炭などのアルカリ性の肥料を使うようにしましょう。こちらも土壌に混ぜ込んでいくだけなので、すべて入れ替えなくてもしっかりphを調節してくる効果があります。phを調整する時は土壌のphを測りましょう。
土壌改良のおすすめの方法3
撒くだけでいい土の再生材
いろいろな土壌改良材が混ぜれていたり有用な微生物をたくさん配合した「土の再生材」と呼ばれる製品がたくさん発売されています。混ぜたりするのが面倒な方におすすめです。
混ぜなくてもいい製品と混ぜて使う製品があるのでパッケージをよく見て確かめてくださいね。含まれている材料は製品によって違いますが土をふかふかにして保水、排水性を高めつつ微生物が入っているようなことが多いです。
土壌改良のおすすめの方法4
土壌改良材を使わない方法
土壌改良材を使わない方法としては土の上下を入れ替えるという方法もあります。これを天地返しといって寒さにあてて病気の元なる菌などを死滅させ、土をほることで柔らかくする効果もあります。
越冬する虫の幼虫も天地返しをすることで発見でき、資材を投入せずにできる土壌改良の唯一の方法でおすすめですよ。この際にふるいにかけて草の根などを取り除くと一石二鳥です。
土壌改良と方法のまとめ
土壌改良と土作り
土壌改良は土作りとよく似ています。土作りはあらかじめ植物を育てやすい環境を作ります。土壌改良は土の状態を改善して植物を育てやすい環境にすることで共に同じ資材を使うのでよく似ていてガーデニングを楽しむには大切です。植物によって好きな土壌が違うのでそれぞれに合った環境にしましょう。
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