ガーデニング、よい土とされる条件を押さえておこう!
植物が良く育つ土壌には、いくつかの条件があります。そのため、ガーデニングを行なう場所が決まったら、その土質をきちんと把握することが大切です。土質に見合った改良を加えたり、入れ替えたりして植物にとってより良い環境に整えましょう。ガーデニングの際、土作りは重要です。良い土とは、野菜や花などの植物が健全に育つ土を指します。それは土の硬さや成分やすき込まれた材料などによって変わる酸度、通気性や排水性など良し悪しによって変わります。ではさっそくですが、よい土とされる条件をご紹介いたします。
根が十分に張れる深さと土の硬さであること
一口に「土」といっても粘土質のような重みのある土から、砂のようにサラサラの土まで、様々な種類の土があります。ただ、ガーデニング(特に野菜作り)などには「壌土」といって粘土質と砂との中間ぐらいの手触りの土がよいとされています。これをふかふかの状態になるまで耕すとより植物の根が張りやすくなります。
適切なPh(酸度)であること
土も水と同じようにphといって酸性・アルカリ性など酸度を示す値があります。この土の酸度によって、育ちやすい野菜の種類が変わってきます。例えば酸性の土で育てるのに向いている野菜は、サツマイモやスイカなどがありますが、反対にアルカリ性が強い土では、ホウレン草やインゲンなどを育てるのに向いています。このような酸度を見極めるには近くに生えている雑草を見てみましょう。スギナやオオバコ、スミレ、ヨモギ、ハハコグサなどが生えていたら酸性が強い土の証拠です。酸度を下げるには苦土石灰や消石灰などを用います。もう少し正確に測りたい場合は、土壌酸度計や酸度測定液を購入すると、これから耕す土壌の酸度がわかります。
土の中に微生物が多く含まれていること
本来、土壌には多種多様な微生物が存在しています。1gの土壌に約100万~1000万もの数の微生物が生息しているといわれていますが、この微生物が野菜や花など生長に大きな影響をもたらします。この土壌微生物の種類や個体数のバランスが非常に重要で、このバランスが崩れると植物の病害や生育不良が起こりやすくなります。土壌内を健全に保つためには土壌改良剤を使うのも一つの方法ですし、マリーゴールドなど土壌改善のための植物を植えることで、センチュウなど、植物の根を腐らせてしまう寄生虫を防除することもできます。
通気性と排水性がよいこと
良い土とは土の中まで空気(酸素)がいきわたり、植物の根が呼吸しやすくなっていること、また水はけがよい土のことを挿します。例えば粘土質が多いと通気性が悪くなりますし、植物の根が育ちにくくなります。また水はけが悪く、土中に水を多く含んでしまうと呼吸がしにくくなり、そのうち根が腐ってしまいます。排水・保水をよくする材料を混ぜ、しっかりと耕しましょう。
保肥性が良いこと。
先ほどの通気性と排水性がよいというのに矛盾するかもしれませんが、それがよすぎてもいけません。あまり水はけがよくなると、ある一定期間とどめておきたい土中の肥料なども一緒に流れ出てしまうからです。何事もほどほどに、保つことが重要です。
ガーデニングの土づくりのポイント
ガーデニングに適した土づくり「団粒構造」
土の状態を表す言葉に「単粒構造」と「団粒構造」というものがあります。野菜や花が育ちやすいのは後者の「団粒構造」。これには野菜の生育に必要な水分や肥料分と空気分が十分に保たれています。団粒構造が保たれることで、根の呼吸に必要な酸素が確保され、水やりするごとに新鮮な空気を取り込むことができます。また余分な水が隙間から抜けていきやすくなるのです。
有機物が単粒と単粒を結合させてくれる。
団粒構造の土を作るには単粒同士の土を結合する、いわば接着剤の役割をする材料が必要になります。接着剤となるのが、枯れ葉や雑草、動物のフンなどの有機物で、この有機物が微生物のエサとなり、やがて分解され腐葉土になります。このように分解された有機物は、土の単粒を結合させ、土の弾力性もよくしてくれます。
ガーデニング用の土を作る。団粒構造を促す材料
以下でご紹介する材料はすべて必要なわけではありませんが、現在、ご自身の手元にある土を参考に、また育てる植物に必要な成分を加えたり入れ替えたり、また足りない成分を補っていくといいでしょう。
すべてを揃える必要はない。
・腐葉土 腐葉土は、堆肥の1種で主に落葉樹の葉っぱや枯れ落ちた樹木の葉っぱが、長い年月をかけて土状になったものです。 ・赤玉土 「関東ローム層」といって、東京周辺の土を指し、火山灰が積み重なってできた「赤土」を乾燥させた土のことです。褐色で粒状、肥料を含んでいないということや手が汚れにくいという特徴があります。 ・パーライト パーライトは、真珠岩・黒曜石などの鉱物を高温で熱して、発泡させた白色粒状の土で、表面に細かい穴が開いており、空気をたくさん含むので水に浮くほど軽いのが特徴です。 ・バーミキュライト 酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの鉱物を高温処理し、膨張させた人工土で、無菌で無肥性、高い断熱性があります。 ・黒土 黒色がかった火山灰土のことで、赤玉土や鹿沼土が採取されるのと同じ、関東ローム層の表層部分から採取することができます。 ・ピートモス 長年にわたって蓄積した苔類が主な原材料とし、泥炭を園芸用に処理したものです。土を酸性にする特徴があるので、アルカリ性が強すぎる土に混ぜて使うこともできます。 ・川砂 川の底や河川敷に積もっている砂で、肥料分を含んでおらず、水はけがよい性質を持っています。サボテンや山野草、東洋ランなど水はけのよい土を好む植物を植え付ける土に向いています。 ・鹿沼土 赤玉土と似ていますが、少し黄色がかった色をしています。多肉植物を育てるのに向いています。孔隙があり通気性がいいのが特徴です。
ガーデニングに適した土ができあがったら有機肥料を与える
構造のよい土ができあがったら、有機肥料などを与え、ミミズやダンゴムシがたくさん棲みつくような土を目指しましょう。
効果的な材料はこちら
・たい肥 藁・落葉・野菜くずなどを腐敗させ、熟成させた肥料で、土中の微生物を増やし、水はけや通気性をよくする働きがあります。 ・消石灰 速効性の高い石灰質肥料で、酸性土壌の改良に役立ちます。消石灰をまいてから2~3週間ほど間をあけてから種まきや植付けをします。 ・元肥 種まきや苗木を植え付ける前に土壌に与えておくと、植物の栄養補給になります。効果がゆっくりと持続する速効性肥料を与えておきます。 ・追肥 植物の生育に応じて与える肥料で、主に速効性のある液体肥料や化成肥料などが使われます。 ・培養土 肥料・腐葉土・石灰などを一定の割合で混ぜ合わせた土で、配合などは少しずつ違います。
ガーデニングの土に必要な堆肥の作り方
身近な材料で作れる堆肥
土に混ぜ込む堆肥は落ち葉など、身近な材料で作ることができます。堆肥に向く落ち葉は、クヌギやケヤキ、サクラ、カエデ、コナラ、ブナなどです。また落ち葉の他には藁や刈草、生ごみ、米ぬか、鶏糞などがあります。 では作り方をご紹介いたします。 1.囲いを作り、材料を30cmくらいの厚さに積んで、米ぬかや鶏糞をまきます。 2.上からよく踏みつけ、水をたっぷりあげて土を2~3cmかけます。 3.1と2の作業を1段としてサンドイッチ状態に重ね、積み終わったらビニールシートをかけておきます。 4.1か月ほどしたら、中のものは外へ、上のものは下にと入れ替えします。 5.土の温度が下がり、においがなくなったらできあがりの証拠。その他土に白いカビ状のものが生えてきたり、キノコが生えてくる、虫が棲みつくようになれば堆肥として使える状態です。
ガーデニングでの土の耕し方
畑や花壇などに地植えする場合は、鉢植えやプランターなどに比べて、植え替えや土の入れ替え頻度が少なくなりがちです。定期的な土の入れ替えなどが少ないと、同じ土を使って栽培を続けることになるので、最初に土作りがもっとも肝心になってきます。 ここではガーデニングで一般的な土の耕し方をご紹介いたします。 【一般的な土の耕し方手順】 1.植え付けの2週間前に土を掘り返し耕し、雑草や小石を取り除いておく。 2.1㎡あたり100g~120gの苦土石灰を混ぜて土をいったん寝かせる 3.1週間後、腐葉土や堆肥を3割ほど混ぜて再度土を寝かせる 4.植え付け当日、肥料を入れてよく混ぜ、必要であれば畝を仕立て、苗を植え付ける。
注意点1. 雑草を取り除く時
雑草はすべて取り除く必要はありませんが、雑草のほとんどは生命力が強く、日照や風通しをさえぎったり、土中の栄養分を吸い取ったりして植物の生育を妨げることが多いです。抜くときは根の部分まで丁寧に除去しましょう。
注意点2.性質の異なる土を運んで混入する
土壌を改良するために性質の異なる土を運んで混入することが必要になる場合があります。約30cmを目安に土を掘り起こし、植える植物の種類や状況に応じて腐葉土など、土作りに必要な材料を混ぜ合わせ、土に適度な空気を含んだ状態でふかふかの状態になるよう耕します。土に十分な栄養分を浸透させるため、ガーデニングを行う1か月前に行うようにするといいです。
天地返しを行う
土壌の上部分が砂質、下部分が粘土質といった具合に、土壌の質が異なっている場合は、上層部と下層部の土を適度に混ぜ合わせる「天地返し」が必要になります。天地返しをすることで、下層の空気や温度を入れ替えることができるので、土全体がリフレッシュさせることができます。
ガーデニング、土の状態を把握する
プランターや鉢栽培の際は、その都度植え替えが必要になります。種や苗木、屋内、ベランダ、野外などさまざまな場所によって土作りを行う必要があります。
種まき用の土の作り方
清潔で水もちや水はけのよい土がおすすめです。赤玉土やバーミキュライト、ピートモスだけを単体で利用するもしくは混ぜ合わせます。
ベランダ用の土の配合割合とおすすめ成分
ベランダ用では赤玉土5:腐葉土3:バーミキュライト2というような成分と割合で混ぜた土をおすすめします。風通しがよく乾燥しやすいベランダでは保水性をよくするために基本の配合成分にバーミキュライトを加えるとよいでしょう。
室内用土では清潔感に気を付ける
室内に土を持ち込むとコバエやカビなどが発生しやすくなるので、赤玉土5:腐葉土2:ピートモス3という配合成分と割合で混ぜた土がおすすめ。ピートモスは無菌で清潔なため、室内用培養土にむいています。
日陰用土は通気性を良くするよう心掛ける
日陰が多い場所では、土が乾きにくくなるので、軽石などを混ぜると通気性がよくなります。おすすめの成分と配合割合は、赤玉土5:腐葉土3:軽石2です。
酸性を好む植物
ブルーベリーや多肉植物など、酸性土を好む植物には、鹿沼土6:ピートモス4の割合で混ぜて使うと、酸性度合いの強い土ができあがります。鹿沼土は土の形が崩れやすい性質があるため、年に1回、土の入れ替えをしましょう。
根腐れした植物の再生に向いた土作り
小粒の赤玉土2:腐葉土1:軽石1という割合で混ぜるとおすすめです。排水性に優れ、さらに乾きやすい用土を目指しましょう。この基本のブレンドであれば大体の植物は育てられます。より水はけをよくしたい場合はバーミキュライトを加える、また保水性をよくしたい場合はパーライトを加えて調節すると土の状態がよくなります。
ガーデニングの土作り、酸度を確かめるのも重要。
比較的雨が多い日本ではほとんどの土が酸性になっています。ところが、野菜は弱酸性~中性度合いで好むため、土を中和させる必要があります。
酸性~アルカリ性に中和させる
酸性の土をアルカリ性に中和させる場合は、石灰や苦土石灰を施します。 ここで苦土石灰と消石灰の特徴についてご紹介いたします。 【苦土石灰の成分と特徴】 ・アルカリ分が53% ・苦土(マグネシウム)を含んでいる ・1㎡あたり100gの割合で使うのが基本 ・種まき(苗の植え付け)4~5日前に使用しても問題ない 【消石灰の主な成分と特徴】 ・アルカリ分が80%以上 ・カルシウムを含む ・基本としては1㎡あたり、50gが基本 ・1度にたくさん使うと土が固くなる恐れがある ・植え付け2週間前以上に使わなければ障害が起こりやすい いずれも有効期間は約6か月とされています。苗の植え替えや土の入れ替えのタイミングで施すようにします。
ガーデニングの土、真冬の作業について
寒さが厳しい期間は土を寒さにあてて、病害虫を減らすことができるので、良い土を作るためのいい機会でもあります。この時期に雑草などを片付け、スコップで深く掘り起こし、土の塊は砕かずそのままにしておきましょう。土の塊は寒さで土の水分が凍ったりしてだんだん細かくなり、この寒さで病害虫はいなくなります。
ガーデニングにおいて土は大事!
ガーデニングの際に、野菜や花などがよく育つ土の性質や配合の割合がおわかりいただけましたでしょうか。土作りは最初は大変かもしれませんが、一度基礎を作っておくと後の手入れが楽になるので、これから初めて植物を育てられるという方は挑戦してみてください。