ミミズを使ってコンポストを作れる!
「何か環境に優しいことをしたい」「自然に優しい肥料を使いたい」と考えている場合におすすめしたいのが、ミミズを活用したコンポストです。近年は、エコ意識の高まりからミミズを使ってコンポストを自作する人が増えていると言われています。
コンポストとは?
そもそもコンポストとは、生ごみを堆肥化する仕組みのこと。微生物を含んだ土と生ごみを入れて混ぜ合わせることで、自然に生ごみが分解され、肥料となります。定期的に堆肥化を行えば、生ごみを捨てる量を減らせるため、環境によい影響を与えられるのが魅力です。
また、生ごみの処理に使用する燃料エネルギーを削減できるだけでなく、食べ物を最後まで無駄にすることなく使い切れるのも、コンポストが人気を集めている理由として挙げられます。
ミミズを活用してコンポストを作ろう
通常のコンポストは土に含まれている微生物を使いますが、最近は微生物ではなくミミズを活用したコンポストにも注目が集まっています。「ミミズは気持ち悪い」というイメージがあると思いますが、上手に使えば環境によい生活をサポートしてくれる強い味方になるので、ぜひ取り入れてみませんか?
本記事では、ミミズを使ったコンポストの自作方法をご紹介します。必要なものを準備しておけば意外と簡単に自作できるので、ぜひチャレンジしてみてください。
ミミズを使うコンポストの作り方:準備編
まずは、ミミズを用いてコンポストを自作するための準備を整えていきましょう。きちんと準備が整っていれば、簡単に肥料が作れるようになります。基本の方法をご紹介するので、参考にしながら作ってみてください。
必要なもの
まずは、コンポストを作るために必要なものを準備していきましょう。ホームセンターや園芸店、通販などで販売されているものがほとんどなので、気軽に準備できるのが嬉しいポイント。必要なものリストを作って、揃えてください。
専用の箱
自作のために必要となるのが、専用の箱です。簡単にコンポストを作りたい時は、ミミズ用として販売されている専用の箱を使うとよいでしょう。販売されているものではなく身近なものでコンポストを作りたい時は、発泡スチロールの箱がおすすめです。
密閉性が高く、軽いのでミミズを用いたコンポストを作りたい時にぴったり。深さは40cm程度あるものを選びましょう。深さが十分でないと、ミミズが元気に活動できない可能性があるので気をつけてください。
箱用の蓋
ミミズが出ていくのを防ぐために、箱用の蓋も準備します。蓋がついている発泡スチロールを活用すれば、別途蓋を準備する手間が減らせるので便利です。蓋がない時は、同じくらいのサイズの発泡スチロールを準備して、上から被せましょう。
ミミズを育てるための土
次に、箱の中に入れるための土を準備しましょう。庭にある土をそのまま使ってもよいですが、よりミミズが育ちやすくするために、複数種類の土をブレンドするのもおすすめです。
泥炭を乾燥させて砕いたものや、腐葉土などを混ぜておくと栄養たっぷりな土にできます。また、米ぬかもミミズが元気に育つための環境を整えるのに最適です。ミミズが元気か否かでコンポストの質が変わるので、こだわってみてください。
ミミズ
生きているミミズを入れるのが、コンポストの重要なポイントです。ミミズを土の中に入れて生ごみを分解してもらうことで、堆肥化が可能になります。
周りにいるミミズを取ってくる他、通販で販売されているミミズを活用する方法もあるので、好みに合わせて選んでください。虫が苦手な人にはハードルが高いと思いますが、土の中に入れてしまえば目立たなくなるので、頑張りましょう。
スノコ
コンポストを乗せるためのスノコも必ず準備してください。ホームセンターや園芸店の他に、100円均一ショップでも手に入れられます。箱の大きさに合わせてスノコの土台を作るのが、コンポストを上手に自作するためのポイントです。
ネットや新聞紙など
他には、箱を覆うためのネットや、土にかぶせるための新聞紙を準備してください。ネットは、洗濯ネットが使いやすいのでおすすめです。また、箱にサイクを施すための千枚通しも必要なものとして挙げられます。他には、コンポストから出てきた液肥を溜めるための容器も忘れずに。
必要なものが揃ったら、いよいよ自作にチャレンジしていきましょう。必要なものさえ準備できていれば、簡単に自作できるようになります。
作り方①:箱の上下に穴を空ける
最初に、準備しておいた箱の蓋に千枚通しを使って穴を開けます。蓋の穴は、通気口としての役割があるので、きちんと開けておきましょう。穴を開けずに蓋をして密閉すると空気がなくなり、ミミズが全滅してしまう可能性があります。
また、箱の下部にも穴を開けてください。この穴は、ミミズによって分解された液肥を下に落とすための役割があります。全く穴を開けていないと、分解された肥料が出てこなくなるので注意が必要です。
ミミズが出てこない程度の穴を開けよう
穴を空ける時は、ミミズが出てこない程度の大きさにすることも大切です。大きな穴にするとミミズが出てきてコンポストとしての効果がなくなってしまうので、気をつけましょう。千枚通しを使えばミミズが通れない程度の穴を簡単に開けられるので、コンポスト作りに役立ててみてください。
作り方②:ネットに土とミミズを入れる
続いて、ネットを箱の中に広げ、土を入れます。最初にネットを広げておくことで、開けておいた穴から土が漏れ出るのを防ぐのがポイント。また、ネットで保護をしておけば、ミミズ以外の虫がコンポストに入り込むのを予防できます。
好みの種類の土を入れたら、その上にミミズを入れましょう。ミミズを満遍なく入れたら、ネットの口をふんわりと閉じて、蓋をしてください。ミミズは繁殖力が高いので、最初は少なくても生ごみを与えるごとに増えていきます。
作り方③:スノコの上に乗せる
できあがったコンポストは、直接地面に置かないようにしてください。地面に置いておくと、分解によって出てきた液肥が流れ出て、地面に染み込んでしまいます。また通気性が悪くなり、コンポストの内部が蒸れる原因にもなるので、必ずスノコの上に乗せましょう。
作り方④:箱の下に容器をセットする
スノコの下に、堆肥化した液肥を受けるための容器をセットします。穴の下を中心に、容器を置くようにしてください。容器の位置がズレていると、いつの間にか肥料が流れ出てしまうことがあるので気をつけましょう。容器のセットができたら、コンポストの完成です。
ミミズを使うコンポストの作り方:堆肥化編
続いては、堆肥化するまでの工程をチェックしていきましょう。基本の作り方を覚えておけば、簡単にコンポストを活用できるようになります。生ごみの量を減らし、環境に優しい生活を楽しむために役立ててみてください。
作り方①:4日〜7日に1回生ごみを入れる
できあがったコンポストには、4日〜7日の頻度で生ごみを入れます。最初に生ごみを入れたら、しばらく様子を見ましょう。ミミズがきちんと食べていれば、7日もするとほとんどの生ごみがなくなっているはずです。
生ごみの姿が見えなくなったタイミングで、新たな生ごみを入れてください。これがミミズの餌となり、最終的には堆肥化に繋がるようになります。
作り方②:新聞紙を被せる
生ごみを入れた後は、新聞紙を被せるのもポイントです。新聞紙に含まれている成分が堆肥化をサポートすると言われています。また、新聞紙を被せておくことでミミズ以外の虫が発生するのを予防することも可能です。
しっかりと虫の発生を防ぎたい時は、新聞紙の上からさらにネットを被せるのがおすすめ。万全の状態を整えて、コンポストを作っていきましょう。
作り方③:出てきた液肥を使う
生ごみの分解が進んでいくと、最初に開けておいた穴から少しずつ液肥が出てきます。定期的にスノコの下に設置した容器を確認して、液肥が溜まっているか見てみましょう。
液肥が溜まっていたら、ガーデニングや家庭菜園に使えます。原液のままだと濃すぎるので、10倍くらいに薄めて使うようにしてください。水やりの際に与えるのがおすすめです。
ミミズコンポストの作り方のポイント
とても簡単に自作できるコンポストですが、意識しておきたいポイントがいくつかあります。ポイントを把握しておけば、コンポストの失敗を防げるでしょう。ミミズを活用して環境に優しい肥料を作るための参考にしてみてください。
ポイント①:堆肥化しやすい種類のごみを入れる
生き物であるミミズには、好き嫌いがあります。どんな種類の生ごみでも食べてくれるわけではないので、なるべくミミズが好むものを入れましょう。おすすめは、野菜のクズや茶殻、炭水化物などです。
また、油を入れるのは避けてください。ミミズの生育が悪くなり、全滅の原因になります。
ポイント②:生ごみを細かくする
食べやすくするために、ごみを細かくするのも重要なポイントです。大きなごみだと分解までに時間がかかり、液肥が作れない可能性があります。
あらかじめ細かくしておいた生ごみを土の上に乗せていきましょう。ミミズが食べやすいかどうかをきちんと意識しておくことで、コンポストとしての役割を果たしてくれるようになります。
ポイント③:生ごみを入れすぎない
「大量のごみを入れれば、その分だけたくさんの肥料ができる」と思いがちですが、この方法はNGです。大量の生ごみを入れることでミミズの処理能力が追いつかなくなることがあります。また、ミミズにとって居心地の悪い環境になってしまうこともあるでしょう。
特に、コンポストに入れて最初のうちは、あまり生ごみを食べないことがあります。少量の生ごみから始めて、徐々に量を増やすようにしてください。
ポイント④:雨があたらない場所に置く
基本的に、コンポストは屋外に置きます。その際に気をつけておきたいのが、雨があたらない場所に置く、ということです。知らない間に大量の雨があたってしまうと、ミミズが弱る原因になります。屋根のある場所に設置するようにしてください。
ポイント⑤:気温によって設置場所を変える
気温が低くなることが多い冬場は、なるべく太陽の光が当たる場所に置きましょう。寒すぎると、ミミズが弱ることがあります。また、気温が高くなる夏場は風通しがよく、直射日光が当たらない場所に設置するのがおすすめです。
ミミズコンポストで作った肥料の効果
自作したコンポストから出てきた肥料には、さまざまな効果が期待できます。どのような効果があるのかチェックして、ガーデニングや家庭菜園に役立てていきましょう。主な効果について、ご紹介します。
効果①:植物の生育をサポート
コンポストの内部で分解された肥料は、とてもたくさんの栄養を含んでいます。水やりの際に液肥を薄めて入れることで、植物の生育をサポートする効果を期待できるのが嬉しいポイント。特に春から秋にかけての生育期に液肥を与えると、元気に育ってくれます。
効果②:土が柔らかくなる
たっぷりの栄養を含んだ肥料を与えると、土が柔らかくなる効果も期待できます。硬い土は根が張りにくく、植物が弱る原因になることも。定期的に肥料を与えることで土を柔らかくして、植物が育ちやすい環境を作ることが大切です。
効果③:水分を溜め込みやすくなる
栄養を含んだ土は、水分の溜め込み率も上がります。きちんと水分を溜め込めるようになると、頻繁に水やりをしなくてもよくなるでしょう。また、根を通して植物に水分や栄養が行き渡りやすくなります。コンポストで作った肥料をぜひ活用してみてください。
ミミズを入れたコンポストを活用しよう
日常的に出る生ごみは捨てるしかないと思いがちですが、コンポストを自作することで、環境に優しい肥料を作れるようになります。ミミズを活用する際には、元気に生ごみを食べてくれる環境を整えることが大切です。
ミミズの様子を見ながら少しずつ生ごみを与えるのがポイント。また、炭水化物や野菜など、食べやすい生ごみを選ぶようにしましょう。できあがった肥料はガーデニングや家庭菜園に役立てて、環境に優しい生活を楽しんでくださいね。
ミミズコンポストが気になる方はこちらもチェック!
ミミズを使う以外にも、さまざまな方法でコンポストを取り入れられます。関連記事でもコンポストについて詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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