次世代のシンプルなコンポスト「キエーロ」
キエーロは突き詰められたシンプルな作り方、システムでありながら自然のバクテリアの力を利用し、生ごみ処理をよりスムーズに快適に行えるコンポストとして注目されています。これまでのコンポストより使いやすくベランダにも置けるためSDGsが叫ばれる今、どんな人でも選択できる生ごみ処理機でしょう。
キエーロは別名消滅型コンポストとも呼ばれ、投入した生ごみはいつしか消滅し、後には黒土だけが残ります。
SDGsとは
「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」が2015年9月の国連サミットで採択されました。2016年から2030年までの国際目標になります。17のゴール・169のターゲットから構成され、商品の作り方やそれにかかわる経路、それらを取り巻く環境問題も対象です。
私たちが身近なところから取り組めるのが生ごみの処理問題でしょう。
コンポストとは
コンポストとは生ごみや落ち葉などを黒土と混ぜバクテリアの力を借りて堆肥へと分解するものです。もっとも定番のコンポストは畑など開いたスペースに穴を掘り、上からコンポストをかぶせて生ごみと黒土を投入して分解をうながすタイプ。ほかにもさまざまな作り方をしたコンポストが販売されています。
コンポストについてさらに詳しく知りたい方はこちらもチェック
コンポストの種類やプランターを使ったコンポストの作り方などについて解説した記事はこちらからどうぞ。プランターコンポストの作り方などはキエーロに応用できる点も多くあります。
デザイン性抜群、おしゃれなコンポスト8選! 家庭ごみを簡単処理&環境保護にも◎
コンポストは生ゴミから堆肥が作れます。持続可能な暮らしが求められる今、ゴミ削減に貢献するコンポストの導入はおしゃれでエコな暮らしを始める第一...
生ごみを堆肥化して有効活用!プランターを使ったコンポストの作り方講座!
コンポストは家庭から出る生ごみと土を発酵させて堆肥化する道具。実はプランターを活用すれば簡単につくれます。腐敗が気になる人でも大丈夫な方法を...
キエーロとは
キエーロとはコンポストの1種です。シンプルな構造と作り方で太陽と風、そしてバクテリアの力を最大限に利用して生ごみを分解する処理装置といえます。その簡便さ、シンプルな見た目などがSNSなどで拡散され各自治体でも採用実績が増えてきました。
キエーロの作り方や使い方は葉山在住のご夫婦が開発され登録商標、実用新案登録済み。日本の暮らしに寄り添うコンポストです。
キエーロの特徴
特徴①黒土さえあれば生ごみを分解できる
従来のコンポストであればバクテリアが十分に含まれている堆肥や腐葉土を黒土に混ぜたり、ぬか床などを加えて発酵をうながす必要がありました。
しかし、キエーロに必要なのは容器と黒土、そして分解したい生ごみだけです。このように作り方や使い方がシンプルなのもキエーロの特徴といえます。
特徴②分解されても土はあまり増えない
これまでのコンポストは生ごみが分解されるとそれだけ堆肥が増えました。家庭菜園などをしていて、生ごみを分解して得られる堆肥の使い道がある人は重宝しますが次から次へと出る堆肥を持て余す人がいるのも事実です。
しかしキエーロは消滅型生ごみ処理機とも呼ばれ、バクテリアが完全に生ごみを分解してしまうので土が新しく増えることはなく、最初に設置した容器のサイズで完結します。
特徴③地面に穴を掘る必要がない
従来の多くのコンポストは地面に穴を掘り、そこへコンポストをかぶせる使い方をします。そのため固い地面にある程度の大きさの穴を掘るのに苦労することもありました。
キエーロは木材などで土を囲う容器を作り、そこで黒土を充填して使います。そのため大きな穴を掘る労力が必要ありません。
特徴④虫や臭いが発生しづらい
生ごみ処理で多く問題となるのが臭いや虫の発生でしょう。コンポストに生ごみを入れてバクテリアの分解を待つうちに虫が大量に発生してしまったという声も耳にするかもしれません。キエーロは正しく使えば虫や臭いの発生が少ないコンポストです。
特徴⑤廃油や汁物も分解できる
生ごみ処理機やコンポストの種類によっては処理する生ごみに油や水分が多く含まれているとうまく処理できないものもあります。
しかし、キエーロは揚げ物で出た廃油や食べ残してしまったシチューなど水分の多い物であっても分解可能です。処理する生ごみに対して圧倒的に黒土の比率が高い容器のため、ごみに対するバクテリア量が多くスムーズに分解できます。
特徴⑥作り方も簡単
シンプルな構造のキエーロは作り方も簡単です。廃材を使用したり、使いたいスペースに合わせて設計することも可能で自分の暮らしに合った作り方ができるのもキエーロの魅力といえるでしょう。
1つ自作すれば作り方の要領もつかみやすく、2つ目、3つ目とローテーション用キエーロを作る人も多くいます。
キエーロの処理能力は?
黒土が100リットル入るサイズ(ベランダdeキエーロ/高さ79cm、幅94cm、奥行き47cm、重量27kg)で1日に約500gの生ごみを処理できます。
キエーロの使い方
手軽に生ごみ削減に貢献できるキエーロ。容器型なので設置も手軽です。必要な材料は黒土だけなので設置した日から生ごみ削減に挑戦できるでしょう。キエーロの使い方はほかのコンポストとやや異なります。
適切に運用すればスムーズに生ごみの分解が進み、臭いや虫の発生も抑えられるので使い方を知ることは重要です。
使い方①生ゴミをためる
キエーロはある程度まとまった量の生ごみを投入して使います。1度に投入する生ごみの目安は500g。世帯であれば1日の最後に出た生ごみをまとめてキエーロに入れるのがよいでしょう。1日に出る生ごみの量が500gに満たない場合は蓋つきのステンレス容器やプラスチックバケツに生ごみをためます。
生ごみの水気は切らなくてOKです。前述したように水気の多い汁物や廃油が混ざっていてもそのままで構いません。
使い方②キエーロ内に穴を掘る
生ごみが500g前後たまったら穴を掘ります。深さは20~30cmほど。投入する生ごみが十分覆える深さが必要です。毎日の生ごみ量が多く、溜めることなく生ごみを投入する場合、キエーロ内にいくつか穴を掘るスペースを決めて毎日投入する穴を変えましょう。
使い方③穴に生ごみを入れて砕く
堀った穴に入れた生ごみは細かくショベルなどで裁断します。細かく生ごみを砕き、表面積を大きくして土とよく混ぜ合わせましょう。黒土中のバクテリアがこの工程によってごみの表面に付着します。汁物や廃油を処理するときはこの工程で一緒に混ぜ合わせましょう。
使い方④乾いた黒土で穴を覆う
しっかりと生ごみを細かくし、黒土と混ぜ込んだら穴を乾いた周りの黒土で埋めます。土の表面からごみが露出しているとそこから臭いや虫の発生源となるため使い方でもこの工程は重要です。
黒土と生ごみを混ぜ合わせる工程ではバクテリアの活動を活発するためにある程度の水分が必要ですが、その周りの土は乾燥している状態がベストといえます。
どのくらいの期間で分解される?
キエーロのサイズやごみの量、周りの環境によってバクテリアの活動が異なるため厳密には言えませんが、バクテリアの量が増え分解サイクルが完成したキエーロであれば夏場は4日間から5日間、冬場は2週間から3週間程で分解されます。
自作もできるキエーロの作り方
キエーロの使い方は「穴を掘って生ごみを埋める」という実にシンプルものでした。コツは生ごみにたっぷりとバクテリアを触れさせること、その付近には適度な水分があること、そしてそれ以外の部分は乾いた黒土で覆われているようにすることです。
システムがシンプルなキエーロは自作もできます。作り方も非常に簡単なため、廃材を利用すればなおのことSDGsな取り組みになるでしょう。作り方・自作方法を紹介します。
自作キエーロの作り方ポイント
キエーロを自作するにあたり、どんなキエーロにも共通する大切な作り方のポイントがあります。これらの作り方のポイントを押さえたうえでキエーロの設計を行いましょう。
作り方で重要なポイントは通気性があること、日光が差し込み気温が上がりやすい構造であること、充填する黒土の重さを支える耐久性があることです。
直置きキエーロの作り方
直置きタイプのキエーロは底板がなく、地面に直接置くものです。このキエーロの構造としては従来のコンポストに近いものといえます。黒土を充填した後は移動が困難なため置き場所を決めてから黒土をキエーロに充填しましょう。
キエーロの蓋の作り方ですが、中の黒土の温度が日光に上がりやすいように透明パネルにし、風が通り抜けやすいように蓋をやや斜めにつけて本体と隙間を設けるのがポイントです。
ベランダキエーロの作り方
底があるキエーロは全面が木材で覆われており土が流出しません。そのためこちらの作り方はベランダなど置くのにおすすめ。底があるキエーロは中の通気性をよくするためにブロックなどで底上げして風通しよくするのが作り方のポイントです。
このとき、キエーロの底板には充填した黒土の重さに耐えうる十分な厚みと強度があるものを選びましょう。蓋の作り方は直置きキエーロと同様、日光と空気が入るようにします。
衣装ケースキエーロの作り方
木材などを使ったものより手軽なのが衣装ケースを流用する作り方です。ベランダのスペースが限られるため小さなキエーロにしたいという場合は衣装ケースやプラスチックケースが作り方も簡単でおすすめ。ただし、木製キエーロよりも通気性が劣るため臭いが発生しやすいという側面があります。蓋や側面に穴をあけるといった作り方の工夫が必要です。
また、プラスチックは紫外線によって劣化しやすいため定期的に点検しましょう。
キエーロの作り方ポイントまとめ
- 作り方ポイント①通気性のある素材か
- 作り方ポイント②日光が取り込みやすくバクテリアが活動しやすい温度になるか
- 作り方ポイント③通気性がよく土の乾燥が保てるか
- 作り方ポイント④水分バランスが取れる土の量が保てるサイズか
- 作り方ポイント⑤生ごみを十分に埋められる深さが確保できるか
- 作り方ポイント⑥大量の黒土を入れても壊れない耐久性があるか
キエーロの使い方・作り方のコツ
キエーロの基本的な使い方、手軽にできる自作方法について紹介しました。キエーロをいざ導入してみたもののうまく分解されず臭いや虫が発生したり、作り方でつまずくこともあるかもしませんね。最後に使い方や作り方のちょっとしたコツについてご紹介します。
使い方・作り方のコツ①日当たりと風通しのよい場所を選ぶ
キエーロの置き場所は日当たりがよく風通しのよい場所を選びましょう。バクテリアが活動しやすい温度になるように1日最低2~3時間は日光に当たる場所にします。また、作り方でも説明したように、風通しのよいことも重要です。適度に土が乾燥していないと臭いや虫の原因となります。
使い方・作り方のコツ②生ごみは細かく砕いて処理する
生ごみの表面にたくさんのバクテリアが付着した方が分解は順調に進むため、生ごみの表面積を増やすために細かく砕く作業は重要です。骨や卵の殻、トウモロコシの皮といった繊維質の多い物の分解には時間がかかるのでより細かく砕くかそれらは可燃ごみとして別に捨てるのがいいでしょう。
また、運用開始当初はバクテリア数が少ないので分解に時間がかかる傾向にあります。
使い方・作り方のコツ③しっかりと乾いた土で覆う
虫や臭いが頻繁に発生する原因の1つが十分に土で生ごみが覆えていないことです。土から生ごみが露出しているとそれが臭いの原因となり、臭いが虫を呼び寄せ、訪れた虫が生ごみに卵を産み付けるという負のスパイラルにおちいります。乾いた土で十分に生ごみを埋めましょう。
また、自作する場合は生ごみを十分に埋められる深さ(20cm)は確保するのも大切な作り方のポイントです。
使い方・作り方のコツ⑤サイズ設定
キエーロの作り方で重要なのがサイズ設定。キエーロが消滅型生ごみ処理機として機能するのはバクテリアと生ごみ量、そして周りの水分量や気温のバランスが取れた作り方だからこそです。
あまりに小さいサイズではバランスが崩れやすく臭いや虫が発生しやすくなります。キエーロのサイズは容量60Lが最低ラインとも。自作する場合はサイズや水分バランスなどを見ながら設計・調節しましょう。
キエーロでSDGsに参加しよう
キエーロは使い方、作り方もシンプルでまさに現代の社会にうってつけの次世代型生ごみ処理機です。消滅型なのでつぎつぎ投入しても土は増えずベランダなどスペースが限られた家庭でも持続可能。まさにSDGsな装置といえるでしょう。
使い方でも作り方でも重要なのはバクテリアの環境を考えること。冬場は気温が下がってバクテリアの活動が落ち込むため寒冷地では断熱材を取り入れるのもおすすめの作り方です。
キエーロの作り方について気になった方はこちらもチェック
キエーロの作り方を知って一からの自作に挑戦したい方におすすめの記事はこちらから。ホームセンターでも手軽に手に入るSPF木材やはじめてのDIYにおすすめの工具を紹介しています。
SPF材とは?DIYでよく見かける2×4材の基礎知識と良質な木材の選び方!
2×4工法にも良く使われるSPF材は、大手ホームセンターなどでも手軽に購入できます。SPF材は、価格も安くDIYには最適な木材です。材質もや...
初心者向け電動ドリル・インパクトドライバーおすすめ20選!DIYが快適に!
DIYの経験がなくこれから始めようと思っている方、電動ドリルドライバーとインパクトドライバーの違いを知っていますか?そこで電動ドリルドライバ...