花の色が珍しい白いタンポポとは
主に春になると咲き誇るタンポポ。「タンポポ」と言ったら黄色をイメージする方が多いのではありませんか。日本にはさまざまなタンポポが自生しており、黄色だけでなく白いタンポポが咲く地域も存在します。住む地域によっては白いタンポポの存在をはじめて知ったという人もいるでしょう。この記事では珍しい白いタンポポの開花時期や花言葉、特徴などを解説していきます。
白いタンポポは在来種のタンポポ
日本には多くのタンポポが生育しており、日本に古くからある在来種のタンポポにもさまざまな種類があります。日本で見る白いタンポポは主にシロバナタンポポという在来種です。シロバナタンポポは珍しい白い色をしています。
西日本ではよく見られる白いタンポポ
シロバナタンポポをはじめとして白いタンポポは主に日本の西部でよくみられます。特によく見るシロバナタンポポでは日本の四国、九州地方に分布しているため、一部地域では白いタンポポの方が一般的という認識を持つところもあるほどです。
最もポピュラーな白いタンポポ
シロバナタンポポとは
みられる地域が限定的な白いタンポポの中でも、一番よくみかけるシロバナタンポポは、最もポピュラーな白いタンポポといえるでしょう。シロバナタンポポ(白花蒲公英)は西日本を中心として日本に広く分布、関東地方でもみかける白いタンポポです。花色は白く花粉や雌しべは黄色い色をしており、花の大きさは4~5㎝ほど、高さは30㎝から40㎝程になります。
普段目にするタンポポは外来種
タンポポと聞くと多くの人は黄色の花を想像します。私たちが普段よく見るタンポポはそのほとんどが外来種であるセイヨウタンポポです。セイヨウタンポポは元々ヨーロッパ原産の外来種でしたが日本に伝わり、その繁殖力の強さから広がっていきました。現在は在来種と外来種が交配して生まれた雑種タンポポも増えてきています。
在来種と外来種の見分け方
色も黄色くてよく似た在来種と外来種とは、つぼみの時に花を包んでいる総苞片(そうほうへん)と呼ばれる場所を見ると違いを見分けられます。他のさまざまなタンポポとを見分ける際にも、総苞片は重要なポイントとなる部位です。
在来種の白いタンポポなどでは総苞片が反り返らずに花の部分に付いています。一方在来種とは違い総苞片が外側へ反り返っているのが外来種です。
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白いタンポポはどんな花?
複数の小さな花があつまる
白いタンポポを観察するとたくさんの花びらを持つひとつの花のようです。しかし花びらをよく見るとそれぞれから雌しべが出ています。これは小花(しょうか)といい花びらと思っていたものは実はそれぞれが花なのです。
白いタンポポはこの小花がたくさん集まることで成り立っています。他のタンポポに比べるとシロバナタンポポは小花の数が少なめで、70~80ほどです。
舌のかたちをした花
白いタンポポには頭花が舌状花(ぜつじょうか)だけで構成されているという特徴もあります。舌状花とは花びらの一部が舌のように大きく伸びて広がっているものです。
小花はこの舌状花と、筒のようなかたちをしている筒状花(とうじょうか)という2つの種類に分けられ、コスモスやヒマワリなどはこの両方からなります。白いタンポポを含めタンポポの場合には花が舌状花だけの構成です。
複雑な花の動き
タンポポの花が開いたり閉じたりするのには、太陽の光や気温が関係していると言われています。日の光が差して気温が高いときには花を開き、日が陰って暗くなったり天気が曇っていたりすると花は閉じるのです。日が出ていても気温が低ければ開かず、曇っていても気温が高いと開くこともあります。タンポポが花を開く条件はとても難解ですね。
白いタンポポの葉と茎
光合成を助けるギザギザの葉
白いタンポポの葉は細長く先端が尖ってギザギザとしています。このような葉のギザギザの切れこみは、葉が重なってもその切れこみから下の葉まで日の光が届くようにするためです。これにより白いタンポポは効率的に光合成しています。
寒さに耐えるためのロゼット
他にも特徴としてあげられるのはロゼットという葉の付き方です。葉は地面から生えているようですが、葉の下には短い茎がありその茎から多数の葉が地表に這うように密接し放射状に生えています。葉が地面に近いことで風に当たりにくくなり、寒さや乾燥から葉を守っているのです。
ユニークな花茎の動き
タンポポは花が咲き終わると花茎が地面に倒れこみます。倒れたばかりの頃はまだ花びらも残った状態なので、枯れてしまったようですが倒れた状態でも種子が少しずつ熟していて綿毛を飛ばす準備をしているのです。数週間すると再び花茎は立ち上がり、高さも花が咲いていた時よりも高く丈夫になっています。
茎から出る白い液とは
タンポポの茎を折ったり切ったりすると中が空洞になっていて、白いベタベタとした液が出てきます。この白い液体はラテックスと呼ばれるもので、ラテックスとは天然ゴムの成分を持つものです。
液はベタベタとして葉を食べようとする虫の口の動き悪くし、食害から身を守っています。ゴムの成分を持つので、この液体を利用した天然ゴムの生産の研究も発表されているのです。
白いタンポポの種
花が咲き終わると、今度は種子を飛ばすため綿毛へと変化します。私たちがよく種と呼ぶ、綿毛の先に付いたかたい部分は、一見すると種のようですが「そう果」と呼ばれ実は果実です。そう果はかたく乾燥していて、本当の種子はこのそう果の中に入っています。シロバナタンポポではそう果の色は褐色で、長さは4㎜ほどです。
いろいろな白いタンポポ
日本で咲く白いタンポポは、その他の種も多くは一部の地域でのみ生育します。しかしほとんどは詳しいことがわかっていません。シロバナタンポポが咲く地域とは違うところでみられる白いタンポポもあります。その姿は似ていて違いを見分けるのも難しいですが、探してみるのも楽しいですね。
①キビシロタンポポ
キビシロタンポポは中国地方から四国、九州地方に分布し、特に岡山県から広島県東部でよくみられる白いタンポポです。白から淡いクリーム色の花色で、花茎の高さはシロバナタンポポに比べると短くて15㎝ほど。総苞片は緑色ですが外片の縁が赤っぽい色をしています。
②オクウスギタンポポ
オクウスギタンポポは東北地方でみられる白いタンポポです。淡いクリーム色の花でシロバナタンポポに比べると淡い印象で、中心部は黄色い色をしています。総苞外片にある角状突起が小さく目立たない印象です。
③ツクシシロタンポポ(ケイリンシロタンポポ)
白色の花で、シロバナタンポポにそっくりな白いタンポポ。主に九州地方に分布しています。朝鮮半島に分布するケイリンシロタンポポの仲間とする説もある種類です。頭花は4~5㎝、総苞は淡い緑色をしており、シロバナタンポポに比べると外片が長くなっています。
④ウスジロカントウタンポポ
カントウタンポポの群生の中にまれに生える白いタンポポです。関東から中部でみられます。頭花の大きさは4~5㎝、花色は淡黄白色。カントウタンポポに非常によく似た総苞片をしながらも、交配できるのかはわかっていません。
白いタンポポの開花時期
白いタンポポが見られる場所
シロバナタンポポの他、白いタンポポは主に西日本に生育するものが多いものの、関東地方でみかけることもあります。最近では気候の影響もあり東北地方でみたという声もあるようです。
里山など標高の低い場所に生えるため、黄色のタンポポに紛れて咲いていることもあるでしょう。山里などの標高がやや高い場所でみられる種類もあります。草地や田畑の畦などを探してみると咲いているのを見つけられるかもしれません。
開花時期は春
シロバナタンポポをはじめ、白いタンポポが開花する時期は春頃の2月から5月にかけてです。シロバナタンポポでは他のタンポポよりも早い時期の冬に開花することもあり、夏頃にはあまりみられなくなります。在来種の多くは春に開花が集中するためタンポポには春のイメージを持つ方が多いでしょう。
拡大する外来種
日本に渡ってきた外来種やその後の交配で増えた雑種は、繁殖力がとても強く生息地を拡大しています。外来種や雑種は花粉がなくても種子を作ることができるためです。種子も小さく軽いため、弱い風でも遠くまで飛んで行けます。そして春頃に開花が集中する在来種とは対照的に、1年中芽を出し、開花するのです。
外来種はアスファルトの隙間からでも生えていくような強い生命力を持ち、都市部などの悪い環境でも適応できます。開発などにより生育場所を奪われた在来種に代わって外来種が根付いていきました。
白いタンポポの花言葉
花言葉は「私を探して、そして見つめて」
白いタンポポには「私を探して、そして見つめて」という花言葉がついています。これは見かけるのが珍しい白いタンポポらしい花言葉ですね。黄色く咲き乱れるタンポポの中にひとつ咲く白いタンポポや、隠れてひっそりと咲いている白いタンポポが連想されます。
恋愛にちなんだタンポポの花言葉
黄色いタンポポの花言葉には「愛の神託」「真心の愛」「別離」などの花言葉がつけられています。これは古くからタンポポを使ってしていた恋占いが由来です。綿毛を息で吹いて飛ばして綿毛がどれくらい残ったかで占い、一息ですべて吹き飛ばせれば叶うといわれました。
綿毛にちなんだ花言葉
また「別離」という花言葉は綿毛が風に飛ばされていく様子が由来とされています。花言葉はどれも恋愛に関わるもので、白いタンポポの花言葉も恋愛をイメージさせる言葉です。たくさんの人たちの中から自分を探し出して見つめてほしい、という願いも込められているのかもしれませんね。
白いタンポポは育てられる?
なかなか見ることが難しい白いタンポポを自分で育てたいという方もいらっしゃるでしょう。タンポポは温暖な気候や湿った場所を好むため、寒冷地ではあまり栽培に向きませんが、環境を整えることに注意すればタンポポは野に咲くほど生命力が強いため、育てるのはあまり難しくはありません。
発芽のためのポイント
在来種は気温が高過ぎると発芽しないので、種付けは4月初旬ごろがよいでしょう。シロバナタンポポは発芽率が悪く、土へ直接種をまくと発芽しにくいです。小皿などに湿らせたティッシュペーパーや脱脂綿を敷いてその上に種を置き、ラップをかぶせる方法で発芽しやすくなります。乾燥を嫌うため、脱脂綿はいつも湿らせた状態にするよう注意しましょう。
種をまいても発芽しない場合は休眠状態かも
野に咲くタンポポの種子が綿毛で飛ばされ土へと降り立っても、すぐには発芽しません。そのまま土で厳しい夏の暑さや寒い冬を越します。このとき種は休眠状態となっており、夏や冬を越して春を迎えると発芽するのです。種をまいてもなかなか発芽しない場合、種が休眠しているのかもしれません。
種が夏の暑さや冬の寒さにさらされることで休眠を終え発芽することもあります。採取した種を使って発芽しない場合、春に採取した種なら次の秋や春にまくなど一定期間置いてからまいてみるのもよいでしょう。
乾燥は大敵
発芽したら植木鉢などに移します。タンポポは成長すると根がとても太く長くなるので、使用する植木鉢は大きめのものを用意すると安心です。タンポポは乾燥に弱いため、発芽して土に移してからも、土が乾かないように水やりは欠かさず行いましょう。ベランダなどに植木鉢を置く際にも、湿度の高い場所を選んで置くようにすると乾燥を防げますよ。
珍しい白いタンポポを探してみよう!
白いタンポポは珍しいと感じるかもしれませんが、もしかしたら気づいていないだけで身近に咲いているかもしれません。多くのタンポポは春に咲くので、他の黄色いタンポポに紛れていることもありますよ。タンポポの花が咲く春にはぜひ白いタンポポを探して見て下さいね。
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