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根っこの健康を維持する、盆栽土の作り方を解説!種類や樹種別の配合方法も!

この記事では、盆栽のにあった土「盆栽土」の作り方を初心者向けに詳しく解説しています。盆栽の根っこの健康を維持する盆栽土の条件、混合する用土の種類や古い土の再生方法、黒松や真柏など人気の樹種別に用土の配合方法を説明しています。
更新: 2023年5月30日
相田ゆり
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目次

盆栽の用土「盆栽土」の作り方を解説

Photo byilyessuti

この記事では、盆栽の用土「盆栽土」の作り方を詳しく解説していきます。盆栽の根っこの健康を維持するためにはどのような用土の条件がよいのか、また、用土の種類や樹種(黒松や真柏など)による配合の方法を初心者向けに説明します。

盆栽ときくと、初心者には敷居の高そうなイメージですが、簡単にスタートできます。まずは盆栽土作り方から始めてみましょう。

根っこの健康を維持する3条件

Photo by ume-y

せっかく始めた盆栽です。長く、健康に育ってほしいですね。植物を健康に育て、健康を維持するためには「根っこ」が重要です!

根っこの環境は植物の健康に関係します。根っこはその植物を支える土台となり、根っこから水分や栄養分を吸収しています。つまり根っこの環境を良く改善、維持することで、盆栽の健康な状態を維持できますね。

根っこに良い環境は?

Photo byMichi-Nordlicht

根っこがは土の中にあるので、地上に比べ酸素が取り込みにくい環境にあります。そのため酸素をとりこめる、通気性が必要です。そして水分や栄養分を取り込むために保水性と排水性の良い環境をととのえてあげましょう。

次に、根っこのために大切な3つの条件、「通気性」「保水性」「排水性」について解説します。

条件1.酸素のために通気性

フリー写真素材ぱくたそ

植物の生育には「酸素」、「水」、「光」が必要です。酸素は、葉や根っこから吸収されます。土の中では深くなるほど酸素が少なくなり、根っこが生えにくくなります。酸素が適度にある土の中で、根っこは健康に育ちます。

土の配合に注意

盆栽土は適度に通気性のある土になるように土を配合します。通気性のある土は、土の中に適度なすき間があり、そこに新しい空気(酸素)を取り込むことができます。

また、用土の条件だけでなく、鉢の素材を変える、鉢底石を増やす、鉢の下からの通気性をよくして酸素を取り込みやすくする方法もあります。

条件2.保水性で水枯れ防止

Photo by Atsushi Tadokoro

保水性とは土の中に水分をためる性質です。植物の根は土の中の水分を養分と一緒に吸い上げて育ちます。そのため、土の中にはその植物が必要な、適切な量の水分がないと健康には育ちません。

雨が降らない日が続きすぎる、気温が高すぎる、水やりを長い期間していないなどの理由で土の中の水分がなくなると水枯れがおき、枯れてしまいます。保水性がある土にすると、水枯れのリスクが減ります。

条件3.排水性は根腐れ対策に

Photo byigrow

排水性は土が乾きやすくなる性質です。適切に排水性があることで、根からだけではなく、物理的に土が乾き、空気が入り込む隙間がうまれます。空気が入ることで、根から酸素を取り込めます。

土に排水性があることで根腐れを予防できます。根腐れするとうまく土の中から酸素や水分、養分を吸い上げることができなくなり、健康な状態ではなくなってしまいます。そのため、排水性も健康な根っこを保つ条件のひとつです。

デメリットも

しかし、排水性が良すぎるとデメリットもあります。排水性が良すぎる土は乾燥しやすく、水切れのおこしやすい土です。水やりの回数もおおくなるため、管理が難しくなります。その植物にあった土にととのえてあげましょう。

盆栽土の作り方は?

Photo byterimakasih0

盆栽土の作り方は簡単です!

基本の盆栽土として、赤玉土の小玉を70%~80%、桐生砂または鹿沼土を20%~30%、腐葉土や堆肥を10%程度の割合で混合してみてください。そこから植物や環境にあわせてその植物が好む土に用土を数種類カスタムするのがいいでしょう。

ワンポイント

植え付けのとき、元肥や殺虫剤を一緒に混ぜ込みます。植物を植え付けた直後は鉢から水がしたたるまで、たくさん水やりをします。次回からは表面の土が乾いたら水やりをしましょう。盆栽土や気象条件により、水やりの頻度は変わります。

初心者には市販の盆栽土も◎

盆栽専用の土も販売されています。初心者の方やお忙しい方などは市販の盆栽用土がおすすめです。しかし、盆栽土の作り方としては混ぜ合わせるだけ。とても簡単に盆栽土を作れます。そのため、作り方を覚え、ご自身で植物にあわせてその植物の好む用土の配合が可能ですよ。


盆栽土の中身を解説

Photo byTio_Tono

市販の盆栽土の中身は赤玉土をベースに、桐生砂、腐葉土など数種類の用土が配合されています。野菜用の培養土や草花の培養土と比べ、排水性が良くなるように配合されています。

草花の培養土と違い、排水性を高めるために桐生砂や鹿沼土、ひゅうが土、川砂・山砂が入っています。保水性を高めるためには赤玉土や腐葉土が入っています。

草花用の培養土を持っている人は

もしお手持ちの草花用の培養土を使い、盆栽用土にしたいなら、排水性を高めるために、桐生砂や鹿沼土、ひゅうが土などをその植物の好む条件の土になるように混合してみてください。

次に土の種類別に役割を詳しく説明していきます。植える植物にあわせて、ご自身で独自に混合したり、市販の培養土に条件にあう用土を配合してみてください。

赤玉土

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赤玉土は盆栽だけではなく園芸において広く使われています。粒の大きさで大玉、中玉、小玉、細粒にわけられ販売されています。販売されている園芸用土にはpHが表記されていて、赤玉土はpH6の弱酸性です。

赤玉土には保水性、排水性があります。やや粘土質のため、盆栽用土としては排水性を高めるために、桐生砂や鹿沼土と混合して使います。盆栽土として小玉~細粒をおすすめします。

桐生砂

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桐生砂は通気性と排水性があり、通気性と排水性を高めたいときおすすめです。赤玉土やほかの用土と比べ、粒そのものが固く、通気性、排水性が失われにくいです。

桐生砂そのものに保水性もあります。盆栽土として赤玉土と混ぜて使われることが多い用土です。pH6程度の弱酸性で、多くの植物に対応しています。

鹿沼土

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鹿沼土は多孔質(穴がたくさんあいている)で排水性と通気性があります。酸性の土なので、酸性を好む植物におすすめです。反対に、酸性を嫌う植物にはあまり向きません。

盆栽でもよくみられる、ツツジやサツキ、シャクナゲは酸性の土を好む植物です。鹿沼土を配合してあげることをおすすめします。

腐葉土

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腐葉土は木の葉や木の幹を発酵させた堆肥です。腐葉土には2種類あり、腐葉土100%と表示されている商品は、木の葉のみを発酵させた比較的分解の早い堆肥です。通気性、保水性、排水性の3条件を向上させてくれます。また、堆肥中の微生物の働きにより、盆栽土に配合すると、ふかふかな土にしてくれます。

ひゅうが土

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ひゅうが土は軽石の一種で、ボラ土とも呼ばれ、とても軽い土です。排水性を改善したい場合に配合します。鹿沼土のように多孔質ですが、ひゅうが土はpH値が6程度で、酸性を嫌う植物に配合されます。

川砂・山砂

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川砂、山砂は排水性、通気性を向上させてくれます。保水性はないため、根腐れ防止に使用します。乾燥を好む植物に向いています。天然のものと違い、園芸用の川砂、山砂は加熱殺菌されているため、植物の根からの病気防止になります。

水苔

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水苔は主に盆栽土の上にのせて使います。保水性、保温性があり、乾燥が苦手な植物や、冬場の凍結防止に使用されます。園芸用では乾燥させて販売されているため、水でやわらかくなるまで戻して使用します。

乾燥していない生きている種類の水苔も園芸店や通販で販売されています。生きている水苔は自分で増やし育てることもできます。

盆栽土の配合(ブレンド)方法は?

Photo byFree-Photos

植物の好みに合わせて、赤玉土や桐生砂を大きな容器の中で、均一になるように混合してください。一般的に販売されている盆栽土は赤玉土を70%~80%、桐生砂や鹿沼土を20%~30%で混合されている場合が多いです。そのほかにもいくつかの種類の用土が混合されています。

季節や樹種、その植物の様子によって堆肥や肥料(元肥、追肥、お礼肥料など)、殺虫剤、活力剤を配合してください。


古い盆栽土は再利用できる?

Photo byanncapictures

使用した古い盆栽土は再利用できます。

使い終わった盆栽土をふるいにかけ、茎や根を取り除きます。次に、黒いビニール袋に土をいれ、湿る程度の水を入れ、袋を閉め、直射日光に1週間程度当てます。直射日光が害虫や病害菌を殺菌してくれます。殺菌後は堆肥や肥料を入れて再利用できます。

土のリサイクル材や土壌改良剤として、殺菌の工程を省いてくれる商品も販売されています。

盆栽の種類と特徴

盆栽といっても大きく分類すると5種類にわけられます。まず樹と草ものの2種類にわけられ、樹は松柏(しょうはく)、花もの、実もの、葉ものの4種類です。

この「松柏」「花もの」「実もの」「葉もの」「草もの」の5種類を詳しくご紹介します。

5種類は見頃が違う

Photo byilyessuti

この5種類の盆栽は季節ごとに楽しめる時期が違います。

「花もの」は早春~初夏、「実もの」は秋~冬、「葉もの」は新緑の芽吹くころ~紅葉、落葉後も美しく楽しめます。「松柏」は常緑のため、四季を通して楽しめます。「草もの」は樹種による開花期間、見ごろ時期が違い、組み合わせる楽しみがあります。

1:松柏(しょうはく)

Photo byilyessuti

松柏(しょうはく)と呼ばれる盆栽は、ザ・盆栽!植物としてはマツ類の常緑の針葉樹を指すことが多いです。そのため、ゴツゴツと太い幹に短くスッと伸びた細い葉がクラシカルでシックな印象です。樹形も楽しめる盆栽です。

松柏で人気の品種には、黒松、五葉松、真柏があります。スギやイチョウ、ヒノキも松柏に分類されます。

2:花もの

Photo byilyessuti

花ものは花の咲く、華やかな盆栽です。花ものの多くは早春~初夏にかけ咲きますが、花のつぼみ、花が朽ちていく様も趣きがあり、キレイです。また、花だけでなく盆栽として幹や枝も楽しむことができます。

花ものはサクラ、ウメ、サツキ、サルスベリ、ツバキなどがあり、大きな樹木のイメージがある樹種も盆栽としてコンパクトに生育できます。

3:実もの

Photo by Alexandre H. Sato

実が結実した姿が美しい実ものは、季節を感じる盆栽です。結実しじょじょに色付いていく様子は秋から冬にむかって変わる四季を感じさせてくれます。春や夏にも結実する樹種もあります。

実ものには姫りんごやクチナシ、カリン、ウメモドキ、ムラサキシキブ、グミ、カキなどが分類されます。

4:葉もの(雑木)

Photo by hinatashinkyoto

葉ものは広葉樹が多いです。広葉樹は四季での変化が大きく、春から芽吹き、新緑、紅葉、落葉と姿が変化していきます。冬に落葉しても趣深い姿です。

葉ものはカエデ、モミジ、イチョウ、ケヤキ、コナラなと、比較的育てやすいとされているため、初心者におすすめです。

5:草もの

Photo byhempelfrankfurt

草ものは山野草や宿根草、一年草などの樹木ではない草花を盆栽として仕立てたものです。種類が多く、初心者にも育てやすいものが多くおすすめ。

草もの盆栽として、スミレ、リンドウ、フクジュソウ、ダイモンジソウ、ユキノシタ、キク類、シダ類、ススキなどバラエティー豊富です。

人気樹種におすすめの盆栽土の配合方法

Photo bycongerdesign

ここからは人気のある樹種別におすすめの盆栽土の配合方法をご紹介します。樹種により、好む用土は違います。その樹種にあわせて作り方を変え、配合してあげましょう。

ここでは、人気樹種である、黒松、五葉松、真柏、八重桜、葉ものなどの盆栽土の作り方について紹介していきます。

黒松

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黒松は水はけのよい、乾き気味の土を好みます。そのため、赤玉土60%、桐生砂30%、山砂・川砂10%での配合がおすすめです。

また、日向が好きですが、半日陰から日陰でも育ちます。もし日当たりが悪い場合は赤玉土を増やし、排水性を改善するとよいです。風通しの良い場所も好みます。
 

五葉松


五葉松も黒松同様、水はけのよい乾き気味の土を好みます。そのため、赤玉土60%、桐生砂30%、山砂・川砂10%での配合が良いです。

日あたりのよく、風通しのよい場所を好みます。土はやや乾き気味を好みます。

真柏(しんぱく)

赤玉土70%、山砂30%がおすすめです。真柏は比較的保水性が高い土が好きなので、桐生砂をよりも山砂がおすすめです。

水やりにより、成長速度を管理しやすい植物です。そのため早く成長させたいときは、根腐れしない程度にたくさん水やりしてください。

八重桜

八重桜は柔らかく、肥料分の多い土が好きです。そのため、赤玉土60%、桐生砂20%、腐葉土20%の配合がおすすめです。シンプルな配合である赤玉土70%、腐葉土30%の配合もおすすめします。腐葉土が土を柔らかくしてくれます。

肥料を好むため元肥や追肥などこまめに施していきましょう。

モミジ、カエデなどの葉もの(雑木)

赤玉土70%、桐生土30%で配合した盆栽土がおすすめです。葉もの盆栽(雑木盆栽)は枝の成長を盆栽土の粒大きさで左右されます。そのため粒の細かい用土は細かい枝に、粒の荒い用土は太い枝に成長します。

お好みの樹形になるようにカスタムしてみてください。

サツキ

酸性の土を好みます。そのため、赤玉土50%、鹿沼土30%、ピートモス20%の保湿性、排水性のよい土がおすすめです。

鹿沼土は酸性度が高く、サツキが好みます。他の植物と混植する場合、酸性を好む植物と組み合わせましょう。

ツツジ、シャクナゲ

酸性の土を好みます。そのため、赤玉土40%、鹿沼土20%、ビートモス30%、バーミキュライト10%で配合してください。鹿沼土により酸性の土になります。水切れを嫌うため、ビートモスやバーミキュライトで保水性を高めると良いです。

日当たりの良い場所が好きですが、表面の土が乾ききる前に水やりしてください。

長寿梅

長寿梅は水切れに弱く、保水性のよい土を好みます。そのため、赤玉土70%、桐生砂または川砂30%の配合がおすすめです。長寿梅は日光が好きなので、日当たりの良い場所に置いてあげましょう。

水切れに弱いため、こまめに水やりをして、水切れをおこさないように育てることがおすすめです。

まとめ

Photo byJmboyle85

盆栽土の作り方はいくつかの用土を混ぜ合わせるだけと、簡単です。そして植物も生き物です。同じ樹種でも個体差があり、同じ環境の条件下でも生育に違いがあります。テキストの目安やマニュアルだけにこだわらず、ようすを観察して、その植物にとって快適な環境になるようにととのえてあげましょう。

紹介した用土の詳しい使い方が気になる方はこちらをチェック!

盆栽土を作る時、お好みの樹種にあわせて用土を買うと思います。用土にはここで紹介した使い方以外にも、さまざまな活用方法があります。関連記事で特徴や活用方法を紹介しているので、チェックしてみてくださいね!