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鹿沼土とは?他の土との違いや特徴、使い方を解説!活用方法も!

鹿沼土は少し黄色くて、もってみると軽いのに驚きます。栃木県の鹿沼地帯で採掘されている土なのが名前の由来ですが、身近な庭の土と何が違うのでしょう。鹿沼土の成分や性質は、実はこの土地に秘密があるのです。その特徴を紹介しながらガーデニングでの活用法を解説します。
2020年8月27日
donjoyou
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鹿沼土は赤城山の噴火物が風化したもの

鹿沼土は、この一見、穏やかな赤城山が、数万年前に火山噴火したときに噴き出た浮石(ふせき)が、風化してできたと言われています。孔(あな)がいっぱい開いた土というより黄色い軽石です。この孔が開いた軽石という特徴が鹿沼土のいろいろな恵をもたらしました。こうした浮石の堆積は他にも北海道駒ヶ岳や九州の桜島や霧島周辺他にあります。

鹿沼土の採掘

北海道や南九州のものが比較的近年の火山活動によるものなのに対し、鹿沼土は噴石の時代が古く、しっかり風化しているので良質と言われ人気が高いです。写真のように堆積している層が表層に近いため、露天掘りのように採掘されています。

採掘された鹿沼土は写真のように袋詰めにされ全国津々浦々に移送され、家々のガーデニングで様々な使い方がされています。下記の袋に表示されている硬質というのは、形が崩れにくいように乾燥させ、含有する水分量を減らしたものです。ふるいにかけて粒の大きさを大・中・小に分類されています。硬質と書かれていない粒の大きさが混在しているものに比べ価格は高めです。

価格はまちまちですが。こちらのメーカーの品物は700円台です。

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栃木県内は鹿沼土を使った栽培が盛ん

栃木県は鹿沼土の地元ですから、栽培や成長に相性の良い鹿沼土を使った山野草やツツジ、蘭、松の盆栽が盛んです。下の写真の上から那須八幡のつつじ群落、日光植物公園の山野草、そして蘭の花々です。

鹿沼土の成分や特徴


(1)無数の細かい孔(アナ)が開いてます

鹿沼土の最大の特徴は噴火で噴出した軽石という小さな孔が無数に開いていることです。この孔に水や植物が必要とする養分を含み易いのです。水や養分をあげると数日間、この孔に保水したり溜め込んでくれることが第一の特徴です。しかも水分が入ると黄色っぽくなるので、乾燥しているのか、水が足りているのかを色で簡単に判断することができるのです。下の福寿草と、もう一つ下の月美人の土の色の違いで水分量が見て取れますね。月美人は乾燥しています。

(2)粒の表面が凸凹して隙間があります

保水性があることによって水分が孔に入ってサラッとし、しかも表面が凸凹して粒子間のすきまがあるので通気性が良いのです。この通気性の良さが第二の特徴です。下の写真の月美人のように乾燥を好む多肉植物やサボテンの栽培に向いています。また根腐れしにくいので苗を育てるのに重宝がられています。

(3)酸性土壌です

山の土壌は普通、弱酸性ですが、活火山の周辺の土は一般的に酸性が強いと言われています。鹿沼土は火山の噴火から生じた土なので酸性でph4~5。他の土のphもちょっと見てみましょう。木炭はアルカリ性でph8~9、腐葉土や川砂、たい肥は中性でph6~7、田の土はph5.5~6.5、山砂はph5~6と弱酸性、ピートモスph3.5~4.5で酸性といった具合です。作物や栽培する対象によって色んな土をブレンドしたり調整して使うのです。

松は酸性土壌を好みます。松林を山間部に多く見かけるのもうなずけます。松の盆栽も同じで、根元に苔むしたコケも実はpH5~5.5の酸性土壌に合った植物です。

鹿沼土の利用 (1) 保水性、排水性、通気性を生かす

鹿沼土とブレンドして強い団粒構造に

ガーデニングで腐葉土や堆肥を入れて土壌を改良しますが、その目的の大きな一つが土の細かな粒子がわずかな隙間をもった塊を何重にも層にして集まった団粒(だんりゅう)構造を持たせるためです。団粒構造をもつことで保水性や排水性、通気性が高まり植物や元気に生育しやすくなるのです。

左は土の粒(茶色の丸)が一つずつのままの単粒構造。右側が団粒構造で、いくつかの土の粒が隙間をもちながらくっついて塊を作っています。同じように、その塊がまた他の塊と隙間をもって少し大きな塊を作っているのです。

これって鹿沼土の特徴そのものですね。そこで様々な性質を持った土と鹿沼土をブレンドすることによって目的にかなった土を作ったり、土壌を改良することができるのです。


家庭菜園で鹿沼土と他の赤玉土などを混ぜ合わせて、お好みの土づくり。

赤玉土の弱点を補強する鹿沼土

同じように団粒構造を持った土に赤玉土があります。この赤玉土は関東ローム層の粘土質の土を焼いて粒状にしたものです。価格が安いのに保水性に優れ、排水性もいいのですが、粒状が崩れやすいのが弱点です。目詰まりすると排水性や通気性が悪くなるので鹿沼土とブレンドして使われます。種をまいたり、苗を育てる培養土は、鹿沼土や赤玉土、たい肥、腐葉土、砂、肥料などを程よく混ぜて水はけ、保水性、通気性の良い栄養のある土が作られています。

鹿沼土の利用 (2) 酸性土壌を生かす

四季の花々 山野草の庭づくり

火山列島の日本の土壌は関東ローム層が元もと火山灰であったように、山だけでなく丘陵や各地の平地も弱酸性の土壌が少なくありません。そうした各地に生えている山野草やツツジは目を楽しませてくれます。庭にツツジを植えたり、蘭を鉢植えしたり、小さな可愛らしい山野草を花壇で栽培するときに欠かせないのが酸性度の鹿沼土です。

草丈:70~100cm 開花期:6~8月 植え付け適期:3月~5月 日照:日向または半日陰むき 用途:花壇、鉢植え 栽培方法 十分に日が当たり、排水のよいところに

◎酸性の土壌で栽培する花……鹿沼土の使い方の一例です  鹿沼土8:ピートモス2(強い酸性土)……シャクナゲの花  鹿沼土だけ(酸性土)……サツキ、ツツジ、  鹿沼土6:腐葉土2:砂土2(酸性土)……日本ラン  鹿沼土3:赤玉土3:腐葉土2:川砂2(酸性土)……山野草  

庭先からキッチンに ブルーベリーの栽培

ブルーベリーの苗を植えたけど上手く育たないという悩みをよく聞きます。ほとんどの原因は植えた庭が酸性の土壌でない場合です。庭先で上手に育てるコツは、大きい穴に腐葉土と緩効性の肥料を入ておき、酸性の強いピートモスを6割と鹿沼土4割を水でこねるようにタップリ含ませて苗の根先はもちろん周囲を十二分に囲ってあげることです。

このセットのように同じ系統の別の種類を二本以上植えると実がいっぱいなります。

鹿沼土の利用 (3) 無菌状態を生かす

鹿沼土は、ほぼ雑菌がない状態なので挿し木に向いています。さらに水はけがよいのに保水力も抜群で、通気性があるため新しく生えた細い根に十分な空気を供給してくれるので挿し木に最適です。

木香薔薇 、ジャスミン 、カモミール、オレガノ 、ローズマリー、フェンネル を挿し木してみました。


鹿沼土の利用上の注意点  

1.大粒、中粒、小粒、みじん粉を使い分けましょう

バラバラの粒の鹿沼土が袋詰されたものは、粒の種類や価格がまちまちです。中には非常に細かなみじん粉が含まれていることもあります。これを混ぜると、むしろ水はけ、保水性、通気性を悪くしますのでご注意を!フルイに掛けて取り除いておきましょう。

〇大粒は盆栽向きです。大きい分、水はけがよく、孔が大きく、粒間の隙間も多いので水や空気を多く含み盆栽に向いています。 〇中粒・小粒は挿し木に向いています。粒がちょうどよく寄せ合って挿し木をしっかりと支えてくれます。根がその間をじゃまされずに伸ばせます。 〇小粒は種の大きさにもよりますが種まきに合ってます。無菌、保水、通気性は言うまでもありませんが、粒にじゃまされずに芽が出せて、細い根もほどよい粒子の隙間に伸ばせます。

大粒の鹿沼土が使われいます。

2.酸性土に向かない植物もありますよ

鹿沼土は繰り返しになりますが酸性度です。野菜は一般的に弱酸性で育ちますが、鹿沼土では酸性度が強すぎます。使う時は併せて苦土石灰も撒いておきましょう。写真のトマト、ズッキーニ、二十日大根も弱酸性の土壌で育ちます。どれも美味しそう!

鹿沼土は栄養分は含まれていません。必要に応じて腐葉土やたい肥、いろな種類の土や必要な肥料と混ぜた使い方をしましょう。鹿沼土とのブレンドによる野菜が求める土づくりは、奥が深くて楽しいですよ。写真は家庭菜園での絹さや 、リーフレタス 、人参 、豆苗の栽培。どれも収穫が楽しみですね。