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自然素材で日本の美しさを表現。盆景の魅力&基本の作り方もご紹介!

盆景とは、古きよき日本の自然風景をお盆、または花器に表現した芸術品です。中国や日本における盆景の歴史や種類、盆栽や箱庭との違いを詳しく解説!さらには初心者でも試しやすい盆景の作り方や必要な材料をすべて紹介します。自分だけの理想風景を造形しましょう。
2021年9月17日
maa123127
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目次

盆景で自然の美しさを造形しよう

盆景とは

Photo byajs1980518

盆景とは、お盆や器を土台として、自然のさまざまな情景を造形した作品を指します。よく聞く造形物に盆栽という似たものがありますが、盆景は盆栽とは異なる美術品です。知名度は低いですが、日本の園芸ファンの間で流行しつつあります。

盆景は日本のみならず中国やオーストラリア、東南アジア諸国などで愛好家も多く、SNSなどでダイナミックな作品を見てみるのもおすすめです。盆栽同様に作り方もさほど難しくないので、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。

盆景の歴史とは

<歴史1>盆景は中国で生まれた

お盆を利用した芸術品である盆景の歴史は、中国で生まれました。歴史はとても長く、中国の唐・宗の時代(618年から1279年)までさかのぼります。お盆の上に樹木や石を配した造形物が、当時の中国の情景を描いたとされる壁画の中に見つかったのです。

当時の中国では盆景という名称ではなく、盆と使用した樹木名を合わせて「盆梅」などと呼ばれている歴史があります。その後、中国の人々はお盆に大自然を模した作品を作るようになり、総称として盆景と呼ばれるようになったのです。

<歴史2>中国から日本へ

中国から日本に盆景が伝わった歴史は、日本の鎌倉時代(1185年から1392年)頃とされています。当時の日本を描いた巻物に、盆景が描かれているのです。中国から朝鮮半島を経て、盆景の文化が伝わりました。中国と同様に日本国内でも急速に盆景文化が広まり、庶民から富裕層までお盆を使った芸術品を楽しむようになったのです。

<歴史3>日本での盆景の変遷

中国から日本に盆景が伝わった歴史以降、盆景は少しずつ日本独自の歴史文化へと変遷していきます。初めは中国と同じように植物と石のみなど、シンプルな材料を使って仕立てていました。そこに砂を使ったり、植物の枝に手を加えたりするようになります。

中国が盆景で壮大な自然を造形する一方、日本の人々は自分が理想とする庭(箱庭)をお盆の上で表現するようになったのです。また、日本では盆景から植物のみに焦点を当て、理想の樹形に仕立て上げる歴史文化(盆栽)を創り出しました。

<歴史4>現代の盆景

長い歴史を経て、盆景の形は中国と日本それぞれで形を変えてきました。現代の中国国内における盆景は、日本国内の盆景の考え方より大きく広大な盆景です。一方の日本における盆景は、箱庭の意味合いがとても強くでています。

また、中国では盆栽も盆景に含むという文化ですが、日本では盆景と盆栽は違った視点の造形物です。それぞれによさがあり見どころも違うので、別物として楽しむのがよいでしょう。

盆景と盆栽の違いとは

<違い1>盆栽は植物を愛でる

盆景と混同しがちなものとして盆栽がありますが、盆栽はまったく違います。盆栽は植物のみを愛でるという点に違いがあるのです。植物のみを愛でるとはどのようなことかと言うと、樹木の枝の形、葉の付き具合、開花する様子を眺めることを指します。

基本的に盆栽は1種類の植物を1つの鉢に植えるものです。盆景は植物以外の材料(石や岩など)も使用するので、その点にも違いがあるとも言えます。盆栽は植物の美しさを鑑賞する時向けの芸術品です。

<違い2>盆景は景色を愛でる

2つ目の違いとしては、盆景とは景色を愛でるものであるという点が挙げられます。盆栽とは景色ではなく、植物1つを芸術品にしたものです。盆景は植物の他に石や岩、苔や小物などいろいろな材料を使って、自然の景色を創り上げています。盆景は植物ならではの優美性と合わせて、景色全体を眺めて楽しむものなのです。


盆景と箱庭の違いとは

<違い1>箱庭は庭を小型化したもの

盆栽と合わせて盆景と比較される造形品として箱庭があります。箱庭とは、簡単に表現すると庭を小型化したものです。庭を単純に小さくしたものなので、土と石のみを使っているなど素材も多くありません。

また、盆景はお盆や浅型の器で仕立てるのに対して、箱庭は名前の通り箱に庭を表現します。盆景よりもシンプルで簡易的な造形品というと分かりやすいでしょう。

<違い2>盆景は箱庭を優美にしたもの

Photo byADD

2点目の違いとして、見た目の優美さが挙げられます。盆景は作成者が理想とする庭や見たい景色を表現したものです。箱庭は実在する庭を再現したもの、という点に違いがあります。

盆景は土や石といった基本的な材料の他、樹木や苔、時には小物を使って、いわば理想郷を造形するのです。そのため、箱庭よりも優美で芸術作品として見どころがあるものと言えます。

盆景の種類とは

盆石

盆景と言ってもさまざまなタイプがあり、まず挙げられるのが盆石です。盆石とは、さまざまなサイズの石や時には岩をも使って、自然の流れを表現した盆景を指します。日本では古くから石を神の象徴物として重宝する文化がありました。同時に盆景作りも流行り始めた時期でもあったので、石を主役とした盆景も作り出されたのです。

盆山

Photo by GeorgeTan#1...INACTIVE NOW

盆山とは、いろいろな石や岩を積み重ねて、山の力強さを演出した盆景です。盆石との違いは、積み重ねるかどうかという点と言えます。盆石は石を複数カ所に配置して、平坦な自然の美しさを作るのが中心です。

対する盆山は、よりダイナミックな自然を表現します。また、盆石は枯山水に近しく、植物や水などを使わずに作ることが多いです。盆山は自然の山が主役になるので、植物や水を合わせて使うという点も、違いがあると言えるでしょう。

盆庭

盆庭は、簡単に言うと箱庭と近しいもので、盆石が少し華やかになった盆景です。盆石は使用する材料は石と砂くらいですが、盆庭になると樹木や苔、場合によって小物なども使用します。盆石よりも豪勢だけれど、盆山と比較すると控えめな印象であるのが盆庭です。

盆景は3つを総合した造形美

盆景とは盆石、盆山、盆庭の3つを総合した美術品と言えます。言い換えるとすべての要素が入っているのが盆景なのです。日本における盆景だと、盆石や盆庭の要素が強いものが好まれる傾向にあります。

対して中国は山水盆景という言葉が定着しているくらいなので、どちらかと言うと盆山の要素が大きい作品が多いです。ただ、最終的には作成者の好みによるところが大きく、1つとして似た作品がないという点が、盆景の見どころと言えるでしょう。

盆景の作り方【材料】

ここからは盆景の作り方を紹介します。材料やイメージ次第でどんな景色でも作り出すことが可能です。使用する材料の種類や、作成後のお手入れ方法に注意すれば、誰でも作り方をマスターできます。世界に1つだけの盆景を造形しましょう。

<材料1>お盆・器


盆景に使うお盆は、砂や石の色など、他の材料との相性を考えて選ぶとよいでしょう。黒や藍色など渋めの色味のお盆を使うと、砂や石が引き立つのでおすすめです。白系のお盆だと明るさが増します。季節によって変えるのもよいですね。

また、盆景に水を使うかどうかでも変わります。水を張りたいという場合は、お盆ではなく生け花用などの浅型の花器がおすすめです。特別な決まりはないので、気に入ったものがあれば食器でもよいでしょう。

<材料2>植物

盆景に使う植物には注意が必要です。基本的に盆景は頻繁に植え替えたりするものではないので、1年中楽しめる植物がよいでしょう。松柏類や雑木類、草物は特殊なお世話が必要なく、丈夫でもあるのでおすすめです。

具体的な種類で言うと、黒松やけやきなどがあります。また、開花する植物の場合は、椿やクチナシなどの常緑樹がよいでしょう。一方でさくらんぼやりんごなど、実がなる植物は育て方が難しいので注意して下さい。

<材料3>石・岩・砂

石、岩、砂は、盆景の主役とも言える材料です。盆景に使用する器と合わせて選ぶように注意して下さい。石や岩は自然のものを使っても構いませんが、購入するのであれば盆栽を扱うお店を探してみるとよいでしょう。

盆景に砂も使いたい場合は、化粧砂がおすすめです。黒色の富士砂が有名ですが、枯山水のようにしたい時は、寒水砂がよいでしょう。また、最近では100円ショップで色付き砂が売っているので、こちらを使ってみるのもよいですね。

 

<材料4>苔

盆景を作る際、苔は必須材料というわけではありません。ただ、苔を使ったほうがより自然な景色に近づくのでおすすめです。苔にもいくつか種類があるのですが、管理が簡単なタイプを選ぶように注意して下さい。

盆景に向いているのはすな苔と言えます。花のような形をしているのが特徴で、乾燥にも丈夫です。ふわりとした感触のおきな苔もよいでしょう。一方で、ぜに苔やかまさわ苔などは水はけがよくないので、盆景には避けるように注意して下さい。

<材料5>お好みの小物

盆景は石や植物など自然に存在するものさえ揃えれば作れますが、小物類を追加するとリアリティが増します。例えば、人型のフィギュアや小さな橋、ミニハウスなどがよいでしょう。動物を置いたりするのもおすすめです。ただし、盆景の主役はあくまでも自然なので、小物を多く使い過ぎないよう注意しましょう。

盆景の作り方【手順】

<作り方1>完成形をイメージする

材料を揃えたら盆景を実際に作っていきます。盆景に手を入れる前に、どのような盆景を作りたいのか、紙などに書いてイメージするのが大切です。やり直しはきくものの、紙に起こしたほうが失敗しません。どこに何を置くかなど、細かく考えてみましょう。

<作り方2>お盆に植物を配置する

イメージ図ができたら、まずはお盆に植物から配置していきます。盆景を初めて作る方は盆栽用の用土で固定するのがおすすめです。自分で土を配合する場合は、赤玉土を多めにして腐葉土や鹿沼土を混ぜるとよいでしょう。

植物の扱いに慣れている場合は、石や岩に固定する作り方も挑戦してみて下さい。この場合は石に接着剤で針金を固定し、針金で植物をおさえます。お盆に直接置くよりも、自然な風景を造形できるのでおすすめです。

<作り方3>石を配置する

盆景に植物をレイアウトしたら、石や岩、砂を配置していきます。基本的には大きなものから置いていくように注意して下さい。大きなもののほうが目を惹きやすいので、先に配置するとバランスを取りやすくなります。

また、大きなものは後方に置くと奥行のある盆景を演出できるのでおすすめです。盆景に砂を敷く場合は、表面に楊枝などで模様を描いてもよいでしょう。枯山水のような日本庭園らしい盆景を表現できます。

<作り方4>苔を張る

苔を張るのは盆景作りの終盤です。盆景に苔を張るには用土が必要なので注意して下さい。植物を配置する時と同様の用土で構いません。地面に苔が張っている様子を表現したい場合は、お盆に薄く用土を敷き、苔の裏面にも薄く用土を付けて配置しましょう。

石や岩に張る場合も基本的なやり方は同様です。石に用土を付け、苔を張ります。直接お盆に張るよりも不安定なので、少し多めに用土を付けるように注意しましょう。


<作り方5>小物を配置する

最終工程として小物を配置していきます。作り上げた盆景に合った小物を置いていきましょう。灯篭や橋、風車などを置くと古風な日本らしい盆景ができます。その他、キャラクターものの人形などを置くと箱庭に近い現代らしい盆景の完成です。気分によって配置を変えてみるのもよいですね。

盆景の作り方【手入れ方法】

水のあげ方

盆景に植物や苔を使っている場合は、水やりが定期的に必要です。基本的な水のやり方は盆栽と同じですが、じょうろなどであげないように注意して下さい。あげる量が多すぎると、盆景の景観が崩れたり、植物の根が腐ったりします。

霧吹きなどで少量ずつあげるのがちょうどよいです。用土や苔の表面を触って、少し湿る程度にしましょう。また、植物を使っている場合は、3日に1回数時間程度日光に当ててあげるのがおすすめです。

剪定

剪定も盆景に植物を使っている場合のみの作業となります。頻度としては1年に1回程度で十分でしょう。基本的には葉が生い茂っていたり、枝の伸びがよすぎる場合のみとして下さい。頻繁に剪定を繰り返してしまうと、根が疲れてしまうので注意しましょう。

まとめ

盆景は園芸趣味の中でも芸術的な要素が高いものです。難易度が高いイメージですが、材料さえ揃えば気軽に造形できるのが魅力と言えます。特別なお世話も必要ないので、室内で自然を感じたいという方は、本記事を参考に盆景作りをしてみましょう。

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