もずくの性質や産地などについて知っておこう
もずくといえば、海藻の一種で細長い糸状、または毛糸ほどの太さの食べ物というのが一般的な認識でしょう。このもずくは、日本の沿海ならどこにでも生えている海藻で、分類上はワカメやコンブのような褐藻類です。ワカメと同じように海中では褐色ですが、湯通しすると緑色に変わります。
海岸近くの浅い部分に生え、他の海藻にくっついていることから「藻付く⇒もずく」とよばれました。季節的には冬から春に成長、夏になれば枯れるため、食べ物としての旬は4~7月ごろです。(この記事は2021年9月の情報によります)
生食用のもずくの産地は沖縄県産がほとんど
国内で生食用として流通するもずくは、ほとんどが沖縄県産です。昭和50年代に沖縄で養殖に成功してからは、一気に沖縄産の養殖もずくが各地に広まりました。現在流通するもずくはほぼ沖縄産で90%以上とされ、そのうちの90%以上が養殖もずくです。
沖縄で生産されるもずくはオキナワモズク、イシモズクで、藻に付かない種類です。出荷されるのは生もずくの冷蔵・冷凍、長期保存できる塩蔵品のほか、スーパーでおなじみのパック入りもずく酢になります。
地元産のもずくがスーパーにあるかも
もずくは日本の沿海のどこにでも生えていて、もともとは地産地消の海産物でした。沖縄産が大半を占める現在でも、黒もずく、岩もずくなど各地で地元産のもずくが販売されています。鮮魚売り場をのぞくと、意外に地元産のもずくがあるかもしれません。
見つけたら買って帰って自分の食べ方で味わってみましょう。生のもずくは冷蔵庫なら2週間ほど日持ちし、冷凍すれば半年、冷凍で買ったものは1年は大丈夫です。再冷凍しても味は変わりません。塩蔵品も半年は保存できます。
もずくは健康に役立つ成分が多い健康食品
もずくの大きな特徴といえば、あの独特の食感のぬめりでしょう。昆布やワカメにもある透明なねばねばで、主成分はフコイダンという食物繊維の一種です。このフコイダンには抗潰瘍、抗菌、健胃、免疫力強化作用などが認められていて、特に沖縄産もずくにはこれが多く含まれています。
他にも整腸作用で知られるオリゴ糖、キシロース、アルギン酸、ビタミンA,F,C,Kや各種ミネラルがとても豊富です。常食すれば体の健康維持に役立つ、とても有益な食品といえます。
もずくに期待できる健康増進作用とは?
健康食品としても人気があるもずくですが、そのもずくの成分に期待できる、身体の健康維持・増進に役立つ働きをまとめました。(病気を治す効果ではありません)
整腸作用による便通促進 |
胃の活動活性化 |
ピロリ菌の増殖抑制 |
免疫力増強 |
中性脂肪の吸収抑制・排出促進 |
血圧安定 |
肌の代謝促進 |
抜け毛抑制、髪の成長促進 |
もずくを買ってから調理までには下処理が大切
もずくは生もずくなら水で洗うだけで生食できますが、水分が多く塩分が少ないので傷みやすい食品です。そのため、食品として流通しやすいように冷蔵、冷凍、塩蔵などの方法で保存、運搬されています。
買ったときの状態によっては、調理する前に下処理が必要になることがあります。それぞれの状態ごとに、調理する前に必要な下処理の方法を説明しておきましょう。なお、冷凍もずくの多くは解凍して生もずくとして販売され、冷凍状態でスーパーなどに出ることはあまりありません。
もずくを買ったらやっておくべき下処理
生もずくの下処理のコツは洗いすぎに注意
収穫したままの生もずくは傷みやすいので、必ず冷蔵してください。そして、食べる前には洗うことで、海水由来の塩分や汚れを落とします。この時に長時間かけて流水で洗いすぎると、栄養豊富なぬめりまで流れてしまいます。
有益なぬめりを無駄に流さないためにも、水替えは5回程度にとどめましょう。なお、磯臭さが嫌いなら、湯通しすれば解消できます。ちなみに、生もずくには冷凍もずくの解凍品も含まれますが、品質が変わらないので特に区分されません。
塩蔵もずくを買ったときの下処理の方法
収穫したもずくに塩をまぶして加工したのが塩蔵もずくで、細菌の繁殖を抑えて傷まないようにした保存方法です。表面に塩の結晶ができるほど大量に塩分を含むので、まず洗うことで表面の塩を落とし、そのあと20分ほど水道水に漬けて塩出しします。
あまり長く漬けると栄養豊富なぬめりも流れてしまうので、時間を見ながらやってください。塩を抜いたあとは通常の味付けで生食できます。余った分は必ず冷蔵し、2~3日中には食べきるようにしましょう。
もずくの食べ方:定番の酢を使ったレシピ③選
では本題のもずくのおいしい食べ方を紹していきましょう。まずはもずくの食べ方の定番、酢の物です。もずくと酢は相性がいいので、甘酢や土佐酢のもずく酢に何か1~2品加えるだけでバリエーションがいくらでも作れるでしょう。
もずくの酢を使った食べ方①キュウリの酢の物
定番のもずくの食べ方でももっとも簡単な、きゅうりとカニカマの酢の物です。暑い夏の最中でも、酢の物を食べると身体がスッキリするおすすめの一品で、材料の量を多めにすると作り置きもできる重宝なおかずになります。
もずく酢3連パック
きゅうり1本
かにかま1/2~1パック
もずくの食べ方簡単レシピ
きゅうりは細切りまたはスライス、カニカマも細く割きます。蓋つきの保存パックにもずくと他の材料を入れ、軽く混ぜ合わせて20分ほど冷蔵庫でなじませれば完成です。冷蔵庫から出してよく混ぜてから食べてください。豆腐やご飯に乗せるのも美味しい食べ方です。
もずくの酢を使った食べ方②もずくとタコの酢の物
こちらもとても簡単な、もずくの酢とゆでタコを使った食べ方です。きゅうりを塩もみして切り、タコをブツ切りにしてもずくと混ぜ合わせるだけというシンプルな食べ方です。食べる前によく冷やすのが食べ方のコツで、暑い夏には冷たくて美味しい酢の物です。
ゆでたこ1パック
きゅうり1本
もずく2パック
もずくの食べ方簡単レシピ
パックのゆでタコは、そぎ切りよりブツ切りの方が味がよくおすすめです。きゅうりは板摺して(塩をまぶしてまな板の上で転がして柔らかくする)、切れ目5本で一切れになるようブツ切りにします。
もずくは市販のパックをそのまま使ってください。以上を全部混ぜて冷蔵庫で冷やしたら完成です。つまみにも最適な食べ方ですが、丸一日寝かすとよりおいしくなります。倍量作って2日に分けて食べましょう。
もずくの酢を使った食べ方③もずくと長芋の酢の物
こちらはスーパーのもずく酢ではなく生食用のもずくを使います。米酢や醤油、だし汁で味付けする食べ方なので、スーパーの甘い酢が苦手な人に好評です。長芋を入れたボリュームがある食べ方なので、おかずの一品としてたっぷり作るといいでしょう。
生もずく120g
長芋100g
みりん小匙2
砂糖小匙1
・だし汁80ml
・米酢大匙3
・薄口しょうゆ大匙1
・しょうが汁小匙2/3
針生姜適量
もずくの食べ方簡単レシピ
まずみりんを電子レンジで30秒ほど加熱してアルコールを飛ばします。砂糖を入れて熔かし常温に冷ましてください。皮をむいた長芋は細切りやサイコロに切ってもいいですが、冷凍用バッグに入れて包丁の背などでつぶすと味がよく回ります。
冷ましたみりんに・印の材料を入れてまぜ、もずくと長芋を加えてさらにまぜたものを冷蔵庫で冷やしてください。器に移して、針生姜を載せてでき上がりです。この食べ方のポイントは針生姜なので、忘れずに加えてください。
もずくの食べ方:汁物にして食べるレシピ③選
もずくの食べ方で、簡単なのは汁物の具材に入れる食べ方でしょう。生食用のもずくがあれば、特に加工しなくてもそのまま入れるだけで美味しくいただけます。湯通しすると緑色になるので、彩が出て見た目にもきれいな食べ方です。
ただし、時間をかけると独特の歯触りが失われ、色も黒っぽくなってしまいます。そのため、煮込みや鍋に入れる食べ方はおすすめできません。
汁物に入れるもずくの食べ方①朝食などの味噌汁
朝食の定番・味噌汁は忙しい朝に作るものなので、手軽さが一番大切です。その味噌汁の具材におすすめなのがもずくで、洗うだけでいい生のもずくがあれば簡単にできてしまう食べ方になります。乾燥ワカメも足して、見た目もきれいで具材たっぷりの味噌汁を作ってみましょう。
もずく(味付けなしの生もずく)300g
ワカメ(乾燥)1掴み
水4カップ
だし3袋(12g)
味噌お玉4分の1~好みで調整
もずくの食べ方簡単レシピ
まず鍋に水を入れて沸騰させます。次にだしの素と水で戻したワカメを入れて煮立たせ、続けてもずくを入れます。磯の匂いが苦手なら先に湯通ししましょう。そして分量の味噌を少しずつ溶かしながら入れたら完成です。
インスタント味噌汁並みの簡単さで。もずくとワカメの味噌汁ができました。手元にネギがあれば、刻んで入れると見た目も香りも一層引き立ちます。生もずくのプリプリした歯ごたえを生かすためにも、煮すぎないようにしてください。
汁物に入れるもずくの食べ方②もずく雑炊
さっぱりしたもずく入りの雑炊は、胃腸の調子がよくないとき、食慾がない時などにおすすめです。あれこれ具材を入れず、もずくの絶妙な食感が楽しめる食べ方になります。シンプルな内容の雑炊なので、作る時間も10分ほどとお手軽にできる雑炊です。
ごはん茶碗2杯分
生もずく50g
だし汁5カップ
酒大さじ1弱
おろししょうが少々
塩小さじ1/3
しょうゆ(薄口・ポン酢など好みで)大さじ1
長ネギ8cm
もずくの食べ方簡単レシピ
あっさり味のもずく雑炊で手間もかかりません。ご飯は水で洗うのが雑炊の基本で、もずくは磯臭さが気になれば湯通しして、食べやすい長さにカットします。鍋に醤油以外の材料を全部入れて煮立て、ご飯を入れてもう一度煮立てたら最後にもずくです。
軽く混ぜてから火を止めて、醤油を加えて器に移してください。食べる前に長ネギのみじん切りを載せて出来上がりです。シンプルな食べ方ですが、火を止める前に溶き卵を回し入れるとボリューム感が出ます。
汁物に入れるもずくの食べ方③もずくとオクラのスープ
おかずの一品におすすめのもずくスープです。卵とオクラが入るので、もう一品おかずが欲しい時にピッタリの食べ方でしょう。オクラがなければナメコヤシメジでも美味しく食べられるスープで、手間がかからず手軽に作れます。
生もずく120g
オクラ20g
溶きたまご2個分
・鶏がらスープの素4g(小さじ1 1/2)
・塩小さじ1/5
・薄口しょうゆ小さじ1/3
・酒大さじ2/3弱
水600cc
もずくの食べ方簡単レシピ
オクラはまな板の上で塩をまぶして転がす(板ずり)と、産毛が取れて柔らかい口当たりになります。薄く輪切りにしてください。鍋に定量の水を沸かし、・印の調味料を入れます。塩の半分は最後の味調整用に残します。
沸騰した鍋にもずくとオクラを入れ、柔らかくなったら溶き卵を回し入れます。ふんわり仕上げるためかき混ぜないのがコツです。塩の残りで味を調整してください。
もずくの食べ方:おかずで食べるレシピ③選
もずくといえば酢で食べるもの。そう思っている方もたくさんいますが、もずくには食べ方のバリエーションが本当に豊富です。メインのおかずにもなり得る食べ方も多いので、そのほんの一部を紹介していきましょう。
おかずで食べるもずくの食べ方①もずくの玉子焼き
みんなに好かれる玉子焼きですが、いろいろ具材を入れるのもさらにおいしくなる食べ方です。ヌルヌルプリプリしたもずくを使えば、新食感の玉子焼きになります。もずくだけでも十分ですが、さらに身近な具材をあれこれ加えてもおいしいおかずの出来上がりです。
卵2個
もずく50g
ニラ1/3束または小口切のネギ
シラス大さじ2
すりごま大さじ2
だし醤油か麵つゆ小さじ1
豆乳か水大さじ1
もずくの食べ方簡単レシピ
もずくの玉子焼きの作り方はいたって簡単です。普通の玉子焼きと同じように、材料を混ぜ合わせて玉子焼き器で焼くだけでできあがります。小型のフライパンがあれば、ふたをして弱火でじっくり焼いてください。表面が固まり始めたらひっくり返して両面を焼けば、丸型の玉子焼きになります。
適度に切り分けて、大葉に大根おろしを載せたり、紅ショウガを添えると見た目もきれいなおかずの出来上がりです。焼くときにごま油を使うと、中華風味の玉子焼きになるでしょう。
おかずで食べるもずくの食べ方②もずくの天ぷら
もずくの天ぷらは、ちょっと意外な食べ方という印象を持たれるかもしれません。もともとはもずくの産地沖縄の郷土料理ですが、TVのケンミンショーなどの影響で知名度も高くなりました。分厚いころもが特長のもずくの天ぷらは、沖縄ではおやつとしての食べ方もあるようです。
もずく240g
小麦粉大さじ2
(衣の材料)
天ぷら粉大さじ6
水150cc
本だし小さじ1
塩ひとつまみ
揚げ油適量
もずくの食べ方簡単レシピ
ざっと水洗いした生もずくはざるでよく水を切り、小麦粉をまぶします。別の容器に衣の材料を入れて混ぜ合わせますが、ダマができないよう、少しずつ水を加えてください。混ざったら、おたまですくって熱した油で揚げていきます。
油の温度は180°以上の高温にしてください。入れるもずくは少なめにしないと、からっと揚がりません。両面がキツネ色になればできあがりです。塩でも天つゆでもお好みで、もずく独特の食感を楽しみましょう。
おかずで食べるもずくの食べ方③もずくのチヂミ
韓国風お好み焼きのチヂミの具材にもずくを使う食べ方になります。お好み焼のようなどっしり感がなく、軽い食感のチヂミにもずくのプチプチ感がうまくマッチした逸品です。軽い昼食やビールのおともによく合い、子供にも間違いなく喜ばれるでしょう。
生もずく100g
玉ねぎ1/2個
カニカマ2〜3本
小麦粉50g
とき卵1個分
本だし大さじ1
ごま油大さじ2
水100cc
もずくの食べ方簡単レシピ
まず小麦粉に水を少しずつ入れて、ダマに注意しながら生地を作ります。水を切ったもずくや具材、とき卵や本だしなどの材料を全部入れてよく混ぜてください。フライパンに油を全部入れて熱します。油の量は多めで、天ぷらを揚げるのに近い焼き方になります。
熱くなったフライパンに材料を流し入れ、キツネ色になれば裏返して両面が同じように焼けたら完成です。食べる時にはポン酢が一般的ですが、マヨネーズでもおいしくいただけます。
もずくのおいしい食べ方は工夫次第で無限大
もずくのおいしい食べ方についてみてきました。紹介できたのはほんの一部だけで、食べ方は本当に無限にあるようです。土佐酢や黒酢だけがバリエーションではなく、天ぷらや玉子焼きにも抵抗なく溶けこめる食材でした。
磯臭さやヌルヌルに抵抗がある人でも、湯通しすれば問題ないでしょう。ちょっと工夫すれば誰でも抵抗なく食べられて、しかも栄養豊富です。ほとんどのスーパー、鮮魚店で手に入るので、まずは買ってみて自分なりに食べ方をアレンジしてみましょう。
いろんな海藻の食べ方が気になる方はこちらもチェック!
この記事で、もずくの食べ方のバリエーションの多さに驚かれた方も多いでしょう。普段食べている海藻でも、知らない食べ方がたくさんあるものです。そんな情報が気になった方のために、参考になる記事を紹介しておきます。一度覗いてみてください。

糖の吸収を抑える、めかぶの栄養成分と効果を解説!吸収率の良い食べ方もご紹介!
めかぶは低カロリーで食物繊維が豊富な海藻です。栄養成分も多く、さまざまな料理やレシピで使うことができます。今回はめかぶの栄養やその効果につい...

下ごしらえは冷水でするのがコツ!簡単に美味しく調理できる、めかぶの食べ方講座!
めかぶは、いろいろな食べ方ができる海藻です。本記事では、めかぶの美味しい食べ方をご紹介。生もずくの下ごしらえ方法から人気レシピまで、いろいろ...

ヘルシー・簡単・美味しい!食感を生かした茎わかめのレシピ5選!おつまみにも◎
ヘルシーな食材茎わかめは部分によって食感の違いを楽しめます。調理方法や食べ方により戻す時間にも気をつけて下ごしらえしましょう。茎わかめの簡単...