ふきのとうの天ぷら以外の食べ方とは
ふきのとうとは、キク科の多年草ふき(蕗)の花のつぼみです。早春を告げる花であると同時に、日本原産の山菜として昔から親しまれてきました。現在も春の山菜といえば、一番に名前があがるほどポピュラーです。
ふきのとうは春の山菜のなかでも、収穫時期が特に早い食材でもあります。独特の香りと苦味は「春のごちそう」として古くから食べられてきました。
ふきのとうの食べ方のポイントは香りと苦味
春に採れる山菜は、強い香りと苦味を持つものが多いですが、ふきのとうも例にもれません。独特の香りと苦味を美味しさへと昇華させることが、ふきのとうの食べ方の重要ポイントといえます。
ふきのとうの食べ方といえば、一番に名前があがるのが天ぷら。衣の油分とサクサク食感が苦味をほどよく緩和します。調理も短時間ですむため香りも損ねません。しかし、天ぷら以外にも美味しい食べ方は存在しますので紹介していきます。
ふきのとうの美味しい食べ方【和食5選】
和の食べ方①ふき味噌
ふき味噌は天ぷらと並んで「ふきのとう料理の定番」と呼ばれるほど親しまれてきた食べ方です。調理に用いる油も味噌も、ふきのとう独特の香りや苦味とは相性抜群の組み合わせですよ。シンプルにご飯に乗せるだけでも立派なおかずに変身します。
ふき味噌の魅力として、食べ方のアレンジがきくこともあげられるでしょう。おにぎりの具材、お酒のおつまみ、パスタ、冷奴や刺身と和えるなど、さまざまな食べ方がありますよ。
材料 (作りやすい分量)
ふきのとう80g
オリーブオイル大さじ1
★味噌(お好みの物で)大さじ2
★みりん大さじ1
★酒大さじ1
★砂糖大さじ4
★いりゴマ大さじ1
調理の仕方
ふきのとうは冷水で洗ってみじん切りにした後、色が変わるまでオリーブオイルで炒めます。ここまでの調理を灰汁が回らないうちに、短時間で行うのが美味しい食べ方のポイントです。
ふきのとうの色が変わったところで、味噌、砂糖、みりん、酒を入れて、焦げないように混ぜあわせながら、とろみがつくまで中火で炒め続けます。とろみがついたらいりゴマを入れて火を止め、器に盛りつけて完成です。
和の食べ方②ふきのとうのゴマ和え
短時間で調理できて、味つけもシンプルなゴマ和えは「おかずをあと一品」というときに便利な食べ方です。ゴマ独特の香りと風味も、ふきのとうによくあいます。甘味を強めに調整すれば、苦味も緩和されて食べやすくなりますよ。
ゴマ和えの美味しい食べ方のポイントは「ふきのとうを茹で過ぎない」「食べる直前に和える」です。茹で過ぎたり、和えてから食べるまでに時間がかかると、水っぽくなってしまうので注意しましょう。
材料 (2人分)
ふきのとう10個
お酢少々
すり胡麻大さじ2
砂糖大さじ1
鰹だし(顆粒でOK)3g
醤油大さじ1
調理の仕方
鍋に湯を沸かして酢を加え、ふきのとうを2分茹でた後は冷水につけて粗熱を取り、水気を取り除きます。下ごしらえしている間に、合わせ調味料として砂糖、醤油、すりゴマ、カツオ出汁を混ぜあわせておきます。水気を取ったふきのとうを、合わせ調味料と手早く和えたら完成です。
和の食べ方③ふきのとうのおひたし
和食のサブおかずの定番であるおひたしも、ふきのとうの味わいを深める食べ方です。作り方がシンプルなので、最初からサブのおかずとして出すのはもちろん「あと一品」という緊急時にも重宝します。
おひたしの美味しい食べ方の一番のポイントは、ふきのとうの茹で時間です。茹で過ぎるとふきのとう独特の味や食感が落ちます。みりんや醤油の量を加減すると美味しさもアップしますよ。
材料
ふきのとう大どんぶりいっぱいくらい
とろろ昆布あれば。なくてもOK
しょうゆ大さじ4
酒大さじ3
本みりん大さじ3
かつお節ひとつまみ
調理の仕方
ふきのとうはさっと茹でた後ザルにあげ、冷水で粗熱を取ったら絞って水気を取り除きます。その間にみりん醤油を作りましょう。鍋に酒、みりん、醤油、カツオ節を入れ、火にかけてアルコール分を飛ばしたら、粗熱を取ってキッチンペーパーやふきんでこし取ります。
みりん醤油、下ごしらえが終わったふきのとう、あればとろろ昆布を保存用密閉袋に入れて空気を抜いて一晩置けば完成です。
和の食べ方④ふきのとうの肉巻き
ふきのとうを美味しくする食べ方のひとつが肉巻きです。肉の油とうま味が、ふきのとう独特の香りと苦味によく調和します。調理方法もシンプルでボリューム満点のおかずになるため、夕食にもぴったりです。
肉巻きの美味しい食べ方のポイントとして、タレの存在も外せません。肉巻きのタレの配合は目安です。甘い味が好みなら、砂糖の量を増やしたり、みりんを足したりして、一番好みにあった配合を見つけるとよいでしょう。
材料 (2人分)
ふきのとう10個から〜
バラ肉5枚〜
油少量
水溶き片栗粉小さじ2
しょうゆ大さじ2
酒大さじ2
砂糖大さじ1.5
調理の仕方
ふきのとうを冷水で洗って絞ってから、半分に切った豚バラ肉で巻いていきます。その後、油をひいたフライパンで焼きますが、油を少なめにすることと、巻き終わりを下にして焼くことが調理のポイントです。
肉に焼き目がついてきたら、酒、砂糖、醤油を入れ、煮立ったところで水溶き片栗粉を加えて、とろみをつけます。その後、器に盛りつけたら完成です。
和の食べ方⑤ふきのとうの炊き込みご飯
ふきのとう独特の香りを楽しむ和の料理といえば、炊き込みご飯も外せません。「炊飯器で炊くだけ」というシンプルな調理方法で失敗が少なく、具材によってさまざまな食べ方が楽しめるのが、炊き込みご飯の一番の魅力です。
ふきのとうの炊き込みご飯の美味しい食べ方のポイントは、下ごしらえで冷水にさらす時間にあります。さらす時間の長さに比例して苦味が薄らぐので、苦味が苦手な方は冷水にさらす時間を長く取りましょう。
材料
米2合
ふきのとう10〜20個位お好みで調整して下さい(今回は20個使用)
筍(水煮でも)100g位
豚肉細切れ(切り落としでも)100g
*味噌大さじ1と1/2
*みりん大さじ2
*料理酒大さじ2
*砂糖小さじ1
*醤油大さじ1と1/2
塩(下茹で用)小さじ1
調理の仕方
一番にすることはふきのとうの灰汁抜きと苦味取りです。水洗いしたふきのとうを、塩を入れた湯で下茹でします。3分茹でたら冷水で粗熱を取りましょう。フライパンで細かく切った筍、ふきのとう、豚肉を炒めたら、砂糖、酒、みりん、醤油、味噌を混ぜあわせます。
炊飯器に具材と洗った米、水を入れて炊けば、炊き込みご飯のできあがりです。
ふきのとうの美味しい食べ方【洋食3選】
洋の食べ方①ふきのとうのパスタ
パスタ料理も、ふきのとうの独特の風味を引き立てる食べ方です。パスタを茹で上げ、具材とからめるシンプルな調理方法は、手間も時間もそれほどかからないため、ふきのとうの香りと風味を損ねません。
ふきのとうだけでなく、春が旬のほかの食材と組みあわせれば、季節感たっぷりのおしゃれなおかずに仕上がる点も大きな魅力です。ジェノベーゼやペペロンチーノなど種類も豊富なので、好みにあった食べ方を楽しめます。
材料 (3人分)
パスタ(今回はタリアテッレ)270g
ふきのとう10個位
オリーブ油100ml
塩小1
粉チーズ小3
木の実15g
調理の仕方
オリーブオイルを入れた鍋を弱火にかけ、みじん切りにしたふきのとうを加えます。10分煮込んだら、粉チーズとみじん切りにした木の実を加え、さらに2分~3分煮込んでいきます。
木の実の種類は何でもかまいません。クルミやピーナッツ、松の実など、一番好きなものを選びましょう。たっぷりの湯で茹で上げたパスタを加えて、さっと炒めてから皿に盛りつけて、できあがりです。
洋の食べ方②ふきのとうのグラタン
グラタンも、ふきのとうと相性がよい料理です。チーズの風味と油脂分が、ふきのとうの苦味を緩和して食べやすくしてくれます。寒い季節なら、熱々のグラタンがメインのおかずとして一番美味しく感じられるでしょう。
このレシピは「グラタンベースを緩めに作り、リングイネやペンネにからめ、焼かずにそのまま食べる」など、調理方法と食べ方を少し変えてみても、美味しく食べられますよ。
材料 (二人分)
オリーブオイル大さじ2
バター5g
小麦粉大さじ1
鶏モモ肉120g
牛乳160cc
ベイリーフ1枚
マカロニ80g
フキノトウ適宜
シメジ半パック
パルメジャーノ大さじ2
Pizza用チーズ適宜
調理の仕方
鍋にバターとオリーブオイルを溶かし、小麦粉を炒めます。小麦粉がきつね色になったら、2cm角に切った鶏肉を加えてさらに炒め、牛乳とベイリーフを加えて全体をなじませてら、グラタンベースの準備完了です。
グラタンベースを、灰汁抜きしてざく切りしたふきのとう、シメジ、茹で上げたパスタと和えて、グラタン皿に盛りつけます。チーズをたっぷりと乗せて、250℃のオーブンで焦げ目がつくまで焼き上げたら完成です。
洋の食べ方③ふきのとうのピクルス
ピクルスは、ふきのとうの保存によく利用される料理です。冷蔵庫を使えば1年保存できますし、ほどよい酸味は肉料理友魚料理ともよくあいます。調理方法もシンプルで、ふきのとうの香りと風味を損ねません。
ふきのとうは変色しやすいため、湯がく際は湯に少量の塩を入れ、湯がいた後はすぐ冷水に浸すのがポイントです。ピクルスの食べ方は、メインのおかずの付けあわせが一般的ですが、お酒のおつまみでも美味しいですよ。
材料
ふきのとう小20個
お酢100cc
水40cc
砂糖大さじ1杯
塩小さじ1/3
胡椒少々
ローリエ1枚
鷹の爪1個
調理の仕方
一番に行う作業は、ふきのとうの色止めです。ふきのとうを20秒~30秒湯がき、冷水にさらします。その後は漬け液作りです。砂糖、塩、コショウ、酢、ローリエ、鷹の爪、水を鍋に入れ、沸騰しないように混ぜあわせながら加熱します。
水気を切ったふきのとうを容器に移し、熱いままの漬け液をそそぎます。粗熱を取ったら冷蔵庫に入れ、ほどよく冷えたらできあがりです。
ふきのとうの美味しい食べ方【中華2選】
中華の食べ方①ふきのとうのチャーハン
短時間加熱で仕上げるチャーハンは、ふきのとうの香りと苦味を活かすのにぴったりの料理です。調理方法はシンプルですが、具材や味つけ次第で、さまざまな食べ方を楽しめます。
このレシピの場合は、焦がし醤油が美味しさのポイントです。焦がし醤油独特の香ばしさが、ふきのとうの香りと苦味を引き立ててくれます。焦がしてから調理しないと、普通の醤油味になってしまうので気をつけましょう。
材料 (1人分)
御飯1膳
ふきのとう小4~6個
竹輪半分
●卵1個
●塩・砂糖各少々
●油大さじ1
キッコーマン 特選 丸大豆しょうゆ小さじ2弱
調理の仕方
解きほぐした卵を塩と砂糖で味つけし、フライパンで半熟状になるまで焼いて取り出しておきます。強火で短時間で焼くのがコツです。卵を取り出したフライパンに、ご飯と粗みじん切りにしたふきのとうと竹輪を入れて、炒めていきます。
ご飯と具材がなじんだら、すき間をあけ、醤油を投入します。焦がしてから全体にからめるのがポイントです。その後、卵を戻して混ぜたらできあがりです。
中華の食べ方②ふきのとうの炒め物
高温加熱で短時間調理が特徴の炒め物も、ふきのとうの美味しい食べ方として、よく用いられる料理です。シンプルで時間がかからない調理方法は、ふきのとうの味や食感を損なわず、味つけや具材の組み合わせで、さまざまな味わいが楽しめます。
このレシピではイカを使っていますが、エビや鶏肉でも美味しい炒め物になりますよ。具材の種類をいろいろと試すことも、より美味しい食べ方を見つけるのに有効です。
材料 (4人分)
ふきのとう100g(17個でした)
いか150g
★酒小さじ1
★塩こしょう、おろししょうが少々
★片栗粉小さじ1+1/2
卵3コ
☆塩ひとつまみ
☆マヨネーズ小さじ1
マヨネーズ大さじ1
ガラスープの素小さじ1/2
ごま油小さじ1/2
調理の仕方
イカは食べやすい大きさに切ってから、酒、塩コショウ、生姜、片栗粉をつけて、下味をつけます。ふきのとうは食べやすく切りましょう。卵は塩と小さじ1杯のマヨネーズを加えて混ぜ、半熟状になるまで炒め、取り出しておきます。
フライパンに大さじ1杯のマヨネーズを入れて熱したら、イカとふきのとうを炒め、卵を戻し入れたらガラスープの素で味つけし、仕上げにゴマ油で風味をつけたらできあがりです。
ふきのとうの苦味の効果的な取り方
つぼみのうちに採集する
ふきのとうは独特の香りと苦味を楽しむ山菜ですが、苦味が苦手な方に敬遠されることも多いです。また、苦味も個体差があり、苦味が強過ぎる個体もあります。ふきのとうの美味しい食べ方には、苦味を抑えて食べる方法も重要といえるでしょう。
苦味を抑える方法は、できるだけ若い株を採集・入手することです。ふきのとうは花が開くと苦味が増すため、つぼみが開いていない若い株なら、苦味控えめで下ごしらえも楽になりますよ。
丁寧に下ごしらえする
ふきのとうの美味しい食べ方で、欠かせない作業が下ごしらえです。苦味や灰汁が強い種類が多い山菜のなかでも、ふきのとうは特に苦味や灰汁が強いとされています。下ごしらえでしっかり灰汁を抜くことが、ふきのとうの食べ方で一番重要なポイントです。
ふきのとうから上手に灰汁を抜けば、苦味やエグミも薄らいで、美味しく食べられますよ。
ふきのとうの灰汁の抜き方
- ふきのとうを、一晩水にさらしておく
- 鍋に水を張り、塩を入れて沸騰させる(塩の量の目安は、水1Lに対して塩大さじ1杯)
- 水気を切ったふきのとうを入れ、2分~3分茹でる
- 氷水にさらして冷ます
- ザルにあげ、手でしっかり絞り、水気を切ったら灰汁抜き作業完了
食べ方を工夫して早春の恵みを味わおう
ふきのとうのような山菜は「春の味覚」と親しまれる一方で、「下ごしらえや調理が難しい」という印象があります。実際は茹でたり、水にさらしたりとシンプルな方法で灰汁抜きができますし、レシピもシンプルで作りやすいものがたくさんある食材です。
下ごしらえに慣れたら、調理方法や味つけを工夫して、好みにあった食べ方を追求するのも楽しいですよ。自分にとって一番美味しいおかずレシピで、春の味覚を堪能しましょう。
山菜の食べ方について気になる方はこちらもチェック!
当サイトでは「天ぷら以外のレシピを知りたい!独特な香りがクセになる、ふきのとうの食べ方講座!」以外にも、山菜の特徴や調理方法、美味しい食べ方、シンプルなおかずレシピをたくさん掲載しています。
「ふきのとう以外の山菜の食べ方について詳しく知りたい」「天ぷら以外の美味しい山菜の食べ方や、美味しいおかずの調理方法を試したい」など、山菜の食べ方に関心がある方は、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。

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出典:photo-ac.com