はじめに
桜が咲くあたたかな季節。たくさんの山菜が芽を出し、春の訪れを知らせています。独特な苦みと香りのする山菜は、古くから日本人に親しまれてきました。1年の中でも特に4月、5月、6月は山菜の収穫が盛んな季節。山菜ってどんな種類があるの?山菜の美味しいレシピは?と思っている人も多いのではないでしょうか。この季節に楽しめる山菜の種類を美味しい食べ方と一緒にご紹介していきます。
山菜って何?
山菜とは、山野で育ち食べることができる植物です。野菜と異なり独特の苦みや香りがあります。山菜は、日本全国に広く分布しており、春から冬までそれぞれの季節に応じた山菜を採ることができます。地域によって種類が異なるため、その土地特有の山菜料理を提供している店も多いです。許可があれば個人で山菜採集が可能ですが、毒をもった植物との見分けが難しく死に至るケースもあるため、専門の知識を有した人と一緒に山菜採りを楽しみましょう。
春の山菜おすすめ①-ふきのとう
旬の時期
1月下旬~5月中旬と、長い間収穫が可能です。山菜の中でも芽吹きが早く、「春の訪れを知らせる」と言われています。
特徴
山菜特有の鼻を抜ける香りと苦みが特徴です。大きい物は苦みが強いので、小ぶりな物を選びましょう。カリウムが多く含まれ、老廃物の排出やむくみに効果があります。
美味しい食べ方
天ぷら、パスタ、グラタンなどに適しており、和風から洋風まで幅広くアレンジできる山菜です。3分ほど塩水で下茹でした後冷水にさらすと、山菜の苦みが抑えられ食べやすくなりますよ。
オススメレシピ一覧
ふきのとうパスタ
材料(1人分) ふきのとう7~10個 パンチェッタ20g 西京味噌10g リコッタチーズ30g 生クリーム大さじ2 牛乳大さじ2 パスタ80~100g サラダ油大さじ2
茹でたふきのとうをパンチェッタと一緒に炒め、調味料で味付けした後パスタと和えます。まろやかさの中に山菜のほんのりとした苦みが楽しめます。
ふきのとう味噌
ふきのとう … 80~100g ※中サイズで8〜10個ほど サラダ油など … 大さじ1~1と1/2 味噌 … 大さじ4(約75g) みりん … 大さじ2 砂糖 … 小さじ1
山菜は生だと日持ちしないので保存食として加工するのもおすすめです。ふきのとうを細かく刻んで炒め、調味料を合わせて作った味噌ダレと混ぜます。煮詰めて水分を飛ばしたら完成です。山菜の苦みと味噌のコクがご飯のお供にぴったりです。
春の山菜おすすめ②-たらの芽
旬の時期
4月上旬~5月下旬がピークです。桜の季節と同時期に芽吹く山菜とも言われています。
特徴
「春の山菜といえばたらの芽」という人も多く、非常に有名な山菜です。「山菜の王様」として肉厚の芽とクセのない味が人気です。βカロテンを多く含み、生活習慣病の予防や肌荒れにも効果があります。
美味しい食べ方
天ぷら、唐揚げ、和え物におすすめです。ベストな大きさは3cm~5cmで、芽のつぼみが少し開いたものを選ぶようにしましょう。さっと茹でて、ポン酢やごまダレで食べると山菜のコクを味わえます。
おすすめのレシピ一覧
たらの芽の白和え
材料(2~3人分) たらの芽10本程(20g位) しいたけ3個 にんじん30g Aだし1/4カップ しょうゆ小さじ1 みりん小さじ1 B木綿豆腐150g いりごま大さじ2 砂糖大さじ1/2 みりん大さじ1 塩小さじ1/6
切った山菜や野菜をだしを効かせた調味料で煮た後、Bの材料で味をつけた木綿豆腐と和えます。山菜の苦みをだしのコクがまろやかに仕上げてくれます。
たらの芽の肉巻き
材料 (2人分) たらの芽60g(6個程度) 豚薄切り肉200g(8枚程度) 塩適宜 こしょう適宜 レモン1/4個
豚肉に山菜を巻いて焼き、塩と胡椒で味をつけるだけです。シンプルな味付けが山菜の旨味を引き出してくれます。
春の山菜おすすめ③-こしあぶら
旬の時期
4月初旬ごろから芽が出始め、5月下旬にかけて旬を迎えます。標高が高い山間部では6月まで収穫可能な山菜です。
特徴
たらの芽のライバル「山菜の女王」です。ジューシーな芽とタンパク質な食感が人気の山菜ですが、生産量が少ないため、たらの芽に比べると市場には出回っていません。多くの山菜の中でも珍しく、ポリフェノールを含み、抗酸化作用や動脈硬化予防に効果的です。また、食物繊維によりダイエット効果も期待できます。
美味しい食べ方
汁物、卵とじ、炊き込みごはんなどが美味しいです。柄がまっすぐに伸びているものを選ぶようにしましょう。山菜は大きいものだと雑味がするので、芽が出始めたばかりがおすすめです。
おすすめレシピ一覧
筍とこしあぶらの卵とじ
材 料(2人分) たまご2個 たけのこ80g こしあぶら80g 出汁100cc 酒大匙2杯 薄口醤油大匙1杯 塩少々
アク抜きをした筍とこしあぶらを醤油ベースの調味料で煮た後、卵でとじます。春の野菜×山菜で相性抜群。味の染みた山菜は香り豊かでご飯が進みます。
こしあぶらの炊き込みご飯
材料 コシアブラ適量 米2合 にんじん1/4本 鶏肉 ささみ60g ソーメンツユ50ml 水150ml 昆布だし(顆粒)小さじ1~2 醤油小さじ1~2
全ての具材を炊飯器に入れて炊くだけでOKです。蓋を開けると山菜の香りがふわーっと漂い、食欲をそそります。
春の山菜おすすめ④-わらび
旬の時期
4月初旬~6月中旬。山菜の中でも、比較的長い間収穫が可能です。
特徴
可愛いらしい形の山菜です。しかし見た目とは裏腹に山菜の中でも強いアクを持ち、アク抜きが必須です。ビタミンB2が多く含まれ、脂質などの代謝を促します。
美味しい食べ方
ナムル、山菜そば、パスタなどがおすすめです。中毒性があるので、必ずアク抜きを十分に行ってから調理しましょう。沸騰した水に重曹または木炭を入れ、わらびと共に加熱します。沸騰直前に火を止め冷めるまで待ちます。お湯が冷めたら水に交換をして、一晩さらしておけば十分にアク抜きできますよ。
おすすめレシピ一覧
わらびのナムル
材料(2人前) わらびの水煮130g ごま油小さじ2 しょうゆ小さじ2 酒小さじ1 すりおろしニンニク小さじ1/2 白ごま小さじ1 ごま油小さじ1
適当な大きさに切ったわらびをごま油で炒め、調味料で煮詰めていきます。新鮮なわらびを使えばより山菜の香りを楽しむことができますよ。
春の山菜おすすめ⑤-うど
旬の時期
3月下旬~5月初旬。春のうどは栄養価が高く、生薬などに用いられてきた山菜です。
特徴
山菜の中でも強いシャキっと感と、深みのある苦さが特徴です。うどに含まれるアスパラギン酸は、新陳代謝を高め、疲労回復を促してくれます。
美味しい食べ方
酢味噌和え、きんぴら、炒め物などは、食感を楽しみながら美味しく食べることができます。スーパーなどで売られるうどは栽培物の可能性が高いので、ぜひ天然物を手に入れて山菜特有の芳醇な香りを楽しんでみてください。
おすすめレシピ一覧
うどの酢味噌あえ
材料 (4人分) ウド1本 【酢味噌】 味噌大さじ2 酢、砂糖大さじ1 みりん小さじ1
皮を剥き4センチサイズに短冊切りしたうどに、合わせた酢味噌をかけてできあがり。新鮮なものであれば生食も可能です。生で食べられる山菜は少ないのでぜひお試しを。
春の山菜おすすめ⑥-せり
旬の時期
2月初旬~4月中旬。「春の七草」とも呼ばれ、1月頃からスーパーに出回ります。全国各地に自生しどの季節でも収穫が可能なため、1年中楽しめる山菜です。
特徴
独特の香りとシャキシャキな食感が魅力。乾燥させた物を煎じ、漢方としても利用できる山菜です。整腸作用や胃を休める効果が高く、食べ過ぎた胃をスッキリさせてくれます。また搾り汁には解熱作用があり、子供の解熱に役立つとされています。
美味しい食べ方
サラダ、お浸し、鍋におすすめです。秋田ではきりたんぽ鍋に必須の食材とされており、お鍋との相性は抜群です。アクが強いので、塩水で下茹でしてから調理しましょう。
おすすめレシピ一覧
せりのシンプルサラダ
材料(2人分) せり…1/3わ 赤パプリカ…1/2個 ドレッシング ・オリーブ油、酢…各大さじ1 ・塩、こしょう…各少々
せりとパプリカを食べやすい大きさに切ってドレッシングと混ぜたら完成です。山菜の食感が楽しい一品です。
せり鍋
材料(4人前) 鶏もも肉300g せり (根付き)300g 長ねぎ1本 焼き豆腐250g 水600ml 料理酒100ml しょうゆ大さじ2 白だし大さじ1 みりん大さじ1 塩
醤油と白だしベースのスープに、鶏肉やせりなどの材料を並べて煮ていきます。一度でたくさんの山菜を食べられるのが嬉しいポイント。山菜の旨味が溶け出したダシが格別です。
春の山菜おすすめ⑦-こごみ
旬の時期
4月下旬~6月中旬。一株から何本もの芽が生える山菜です。全て採集せず次のシーズンに残しておきましょう。
特徴
青と赤の二種類がありますが、青のほうが多く流通しています。山菜には珍しくアクがほとんどないため、新鮮な物であれば生食も可能です。抗酸化ビタミンのβカロテン、ビタミンC、ビタミンEをバランスよく含み、免疫力の向上や発がんの抑制に効果的です。
美味しい食べ方
お浸し、和え物、パスタなどに合います。ぬめりのある山菜なので、ぜひお浸しや和え物で美味しいぬめり食感を味わってみてください。
おすすめレシピ一覧
こごみのおかかおひたし
材料(2人分) こごみ6~8本 だし大さじ1 醤油大さじ1 みりん大さじ1 削りかつお節3g
茹でたこごみを調味料に浸して冷やします。手軽に山菜の旨味を楽しめる一品です。
こごみパスタ
材料 (1人前) こごみ10本位 ベーコン1枚 エリンギ適量 ニンニク1片 鷹の爪輪切り適量 オリーブオイル大さじ1 塩小さじ1 パスタ1人分
オリーブオイル、鷹の爪、にんにくなどと一緒にこごみを炒め、パスタと絡めます。味付けは塩だけ。こごみは炒めすぎないようにしましょう。苦みが少なく山菜が苦手なひとでも食べやすいです。
春の山菜おすすめ⑧-うるい
旬の時期
4月中旬~6月上旬。種類にもよりますが、主に北の寒い地域に自生します。
特徴
山菜ならではの苦みやアクが無く、シャキシャキとした食感が人気です。下処理せずそのまま調理できます。爽やかな辛味がありネギに似た山菜です。ビタミンCを多く含み皮膚や肌を健康に保ってくれます。老化予防にも効果的です。
美味しい食べ方
サラダ、浅漬け、炒め物などがおすすめです。シャキシャキ食感を味わうためにも、ぜひ素材そのままの旨味が出るシンプルな調理法がおすすめの山菜です。洋物との相性がいいのでパスタなどにも活用できます。
おすすめレシピ一覧
うるいとホタテのカルパッチョ
材料(2人前) うるい100g ミニトマト2個 ホタテ貝柱 (刺身用)50g EVオリーブオイル大さじ1 レモン汁大さじ1 塩こしょう小さじ1/4 ピンクペッパー適量
薄切りにしたうるい、ホタテ、トマトをレモンベースのドレッシングに和えて、塩とペッパーで味を調えます。他の山菜で試しても美味しいです。
春の山菜おすすめ⑨-葉わさび
旬の時期
3月~5月中旬。普段口にするわさびは茎の部分ですが、葉わさびは葉っぱの部分です。スーパーなどでの流通量が少ないため見かけたら是非味わいたい山菜です。
特徴
鼻を抜ける爽快な辛味とシャキシャキとした歯ごたえが人気です。抗菌作用や抗酸化作用があり、乾燥させて漢方にも用いられる山菜です。
美味しい食べ方
漬物、お浸し、薬味として利用するのがおすすめです。ピリッと爽やかな辛味があるので、他の食材と上手に組み合わせて調理しましょう。
おすすめレシピ一覧
葉わさびの醤油漬け
材料 (作りやすい分量) 花わさび(葉わさび) … 200g 濃口醤油 … 大さじ3 酒 … 大さじ1 みりん … 大さじ1 砂糖 … 小さじ1/2
下処理した葉わさびを、全ての調味料と一緒に密封できる容器で漬けていきます。山菜の漬物はご飯のお供にぴったりです。
春の山菜おすすめ⑩-行者にんにく
旬の時期
4月中旬~5月下旬。行者にんにくは、収穫できるまでに5年もかかる貴重な山菜です。山にこもる修験道の行者が食べたことから、行者にんにくと名付けられています。
特徴
にんにく同様強烈な香りがありますが、葉の部分は柔らかな舌触りでニラに似た山菜です。サッと茹でてそのまま食べられるので、にんにくよりも気軽に調理できるのが嬉しいポイント。アリシンという物質を多く含み、血行促進、滋養強壮に効果があります。βカロテンなどのビタミン類も豊富です。
美味しい食べ方
漬物、おひたし、炒め物がおすすめです。生のまま薬味として使用することもできます。漬物やお浸しでも食べ応えのある仕上がりになり、おかずに便利な山菜です。
おすすめレシピ一覧
行者にんにくの醤油漬け
材料 行者にんにく1袋(50g) 醤油50cc みりん大さじ1 ごま油大さじ1
熱湯でサッと茹でた行者にんにくを、調味料で1日~2日漬け込みます。山菜から醤油に溶け出した香りが食欲を掻き立てます。
行者にんにくの豚肉巻き
材料・調味料 豚肉 行者にんにく 塩コショウ 焼肉のたれ
豚肉に塩コショウで下味をつけ、行者にんにくを巻いて焼きます。山菜のコクがご飯と合います。
まとめ
4月、5月、6月におすすめの山菜10種類をご紹介しました。普段はあまり口にすることのない山菜ですが、アレンジひとつで食卓を彩る逸品に仕上げることができます。ご紹介した種類以外にもたくさんの品種があるので、ぜひ自分好みの山菜を見つけて春の季節を感じてみてください。山菜採りは6月末~7月頃まで楽しむことができるので、週末は山菜狩りに出かけてみるのもいいのではないでしょうか。
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