美味しくて食べやすい山菜「ミズ」
みなさんは「ミズ」という山菜をご存知でしょうか。主には、東北地方で日常的に食されている、クセがなく、シャキシャキとした食感がとても美味しい山菜です。
一般的に「ミズ」とは
ミズと呼ばれる山菜は、一般的に流通している赤ミズと希少性の高い青ミズがありますが、見た目はとても似ていますが、全く別のものです。今回は赤ミズについてご紹介します。
山菜「ミズ」の生息地は?
ミズは、北海道から九州とほぼ日本全国が生息地です。主には東北の青森県の津軽半島、秋田県、山形県が生息地として有名で、昔から親しまれ、よく食べられています。地元では、好まれて食べられているミズですが、他県に出回ることが少ないため、知る人ぞ知る山菜と言っても過言ではありません。
ミズの育つ場所
ミズは、日当たりの悪いジメジメとした場所を生息地とします。森や山間部の日当たりが悪く水気が多い場所を好んで群生します。水のきれいな渓流わきや岩場などを探してみてください。大量に群生していることがほとんどなので、見つけやすいのも特徴の1つです。
生息地 秋田県民が一番食べる山菜は「ミズ」
山菜の宝庫と名高い秋田県も、ミズの生息地です。特に北秋田市の山菜は、都内の高級スーパー等では、ブランド品として高値で販売されています。フキノトウ、フキ、ワラビ、ゼンマイ、姫たけのこなど数々の山菜が名を連ねる中、秋田県民が一番多く食べている山菜は「ミズ」と言われています。ミズを漬け物にしたり、味噌汁やきりたんぽ鍋に入れたり、炒め物にしたりと各家庭の食卓に多く並らび、老若男女問わず好まれる山菜です。
山菜「ミズ」の見分け方
生息地でミズを見つけるときに大切なのが、見分け方です。赤ミズと青ミズの見分け方はもちろん、他の山菜との見分け方もをしっかり覚えて美味しいミズを手に入れましょう。
赤ミズ・青ミズの見分け方
2つのミズの見分け方はとても簡単です。茎の根元が赤、茶褐色なのが赤ミズ(ウワバミソウ)、根元まで緑色1色なのが青ミズ(ヤマトキホコリ)です。つまり、見分け方は根元を見ることです。では、赤ミズ、青ミズそれぞれの特徴を紹介します。特徴を知っていると、見分け方がよりわかりやすくなります。
赤ミズ(ウワバミソウ)の特徴
赤ミズは、茎の部分にねばり気があります。茎の根元の部分が赤くなっていることと、9月〜10月頃に葉の根元の部分にむかごと呼ばれるコブができるのが特徴です。また、茎の部分にはぬめりがあります。大量に群生していることが多く、難しくなく見つけることができます。
青ミズ(ヤマトキホコリ)の特徴
青ミズは、茎の部分が緑色です。赤ミズのようなぬめりはなく、ムカゴもつきません。数があまり取れないため、生息地でも食べることがあまり多くは食べることのない山菜です。
他の山菜との見分け方
赤ミズと他の山菜を間違うことはほとんどないと思いますが、ミズの仲間は青ミズ意外にもあります。そんな時は茎の根に近い部分を見てください。赤、もしくは茶褐色しているものが赤ミズになります。
山菜「ミズ」の旬の時期は
多くの山菜は春に旬の時期を迎えます。ミズは茎、ムカゴの2つの部位が食べられます。それぞれ旬の時期が異なります。ミズの茎の旬の時期は、おおよそ4月下旬〜7月下旬です。スーパー等に生のミズの茎が多く並ぶのは5月〜7月下旬までです。8月のお盆あたりには、ほぼ見かけなくなってしまいます。
また、ムカゴは9月〜10月が旬の時期と言われており、秋に収穫できます。こちらは水煮にしたものがパックに入ってスーパー等で1年中販売されています。
山菜「ミズ」が購入できる場所
ミズは旬の時期には生息地の地元のスーパーや道の駅、直販所などで生のものを下ゆでされたものが販売されます。また、ネット販売もされているので、一度食べてみたいけれど、地元では売られていないという方はネット販売を利用するのがオススメです。
山菜「ミズ」の上手な下ごしらえ
ミズはすでに下ごしらえがされているものと、下ごしらえがされずに販売されている場合があります。水煮にしてあるミズはそのまま調理できますが、採られた生の状態で販売されているものは多くの山菜が、そうなようにミズも食べる前に下ごしらえが必要です。アクの少ない山菜ではありますが、全くないわけではありません。
ミズの茎の皮むき
まず、葉がついていたら、茎から葉をきれいに取り茎のみにし、流水できれいに泥や汚れを洗い流します。その後、茎の皮を剥きます。根元から5センチ上の部分をポキっと折り、皮を引き上げるような形で剥きます。残った皮も同じ要領で剥きます。一気に長く皮を向くのが大変な場合は、食べやすい大きさ(5〜6センチ間隔)に折りながら皮を剥く方法がおすすめです。この剥き方をすると、後から包丁で切る必要はありません。
ミズの茎のゆで方
ミズを美味しく食べるには、ゆで方がとても大切です。上手なゆで方をぜひ覚えてください。
大きな鍋に少量の塩を入れ、たっぷりとお湯を沸かします。沸騰したら、ミズを入れてきれいな黄緑色になるまでゆでます。ミズのゆで方で大事なことは大きな鍋を使うこと。そしてたっぷりのお湯で茹でることです。特に長いままのミズをゆでる時は気をつけてください。大きなお鍋がない時は一気にゆでるのではなくて、お鍋に入る大きさにミズを切ってから少量ずつゆでてください。
短く折っり切ったミズのゆで方も同じです。短く折ったり切ったミズの方が火の通りが早いので、くれぐれもゆで過ぎないようにしてください。ゆで過ぎてしまうとせっかくのシャキシャキ感がなくなってしまうので、注意してください。
ミズがきれいな黄緑色になったら、一度ザルにあげてから、ミズがかぶるくらいの冷水につけて、しっかりと冷まします。可能であれば、水につけたまま冷蔵庫一晩寝かせましょう。そうすることによって、灰汁が抜けてさらにきれいなミズに仕上がります。
ミズのムカゴのゆで方
まずは、ムカゴを1粒ずつ切り離すように折っていきます。茎の先端にムカゴがついているような形にするのがおすすめです。ムカゴのゆで方も茎のゆで方と基本的に同じです。大きな鍋に少量の塩が入ったたっぷりのお湯、きれいな緑色になるまでゆでます。茹で上がったら、一度ザルにあげてからミズがかぶるくらいの冷水で冷やしてください。
ミズのゆで方の注意ポイント
ミズのゆで方で注意したいポイントをおさらいしましょう。・大きめの鍋でたっぷりのお湯でゆでる・ゆで過ぎない・ゆで上がったミズはかぶるくらいの冷水でしっかり冷ます。この3つのゆで方のポイントを守ることで、料理にも差が出ます。
山菜「ミズ」の保存方法
しっかりと冷ましたミズは、水気を切りビニール袋などに入れて冷蔵庫で保存します。できるだけ、美味しいうちに早めに食べるようにしましょう。
ミズを長期保存したい時は
ミズを長期保存したい時は、塩漬けにするのがおすすめです。まずはミズを下漬けします。ミズの重さに対して約30%塩と、ミズが入る大きさの煮沸した瓶をを用意します。瓶に塩→ミズ→塩→ミズ→塩と、塩でミズを挟むように漬け、最後に重石を置きます。塩が完全にとけて水気が上がってきたら、ザルにあげて水気をしっかりと切ります。
その後、本漬けをします。下漬けと同じくミズが入る大きさの煮沸した蓋が金属製ではない瓶を用意し、元のミズの重量に対し40%の塩で、下漬けと同じ容量でミズを塩で挟み漬けます。いちばん上の塩がたっぷりになるようにしてください。瓶の蓋をしっかりしめて冷蔵庫で保存してください。
食べる時は、必要な分をきれいなお箸やスプーンなどで塩漬けされたミズを瓶から出しザルにあげ、塩を洗い流してから、ボウルなどに入れて冷水に漬けます。何度か水を変えてすっかり塩抜きができたら料理に使用してください。ミズを食べて塩っ辛くなければ、塩抜きができています。
山菜「ミズ」の美味しい食べ方と調理法
では実際に、ミズを美味しくいただくレシピをご紹介します。生産地で旬の時期になるとよく食べられているオススメの食べ方と調理法です。
美味しい食べ方と調理法その① ミズの和え物
「ミズの塩昆布和え」は、作り方がかんたんで生息地では居酒屋メニューにも登場する食べ方です。下ごしらえされたミズを塩コブと一緒に和える簡単レシピは、これがクセになるほど美味しい。シャキシャキとした食感と、独特のねばりをシンプルに味わうことができます。旬の時期にミズを手に入れたならまずはチャレンジしてみたいレシピです。
だし醤油と鰹節で和えるシンプルな「ミズのおかか和え」もおすすめです。ミズの茎だけではなく、ムカゴと一緒にあえて、食感の違いをぜひ楽しんでみてください。
「ミズの松前漬け和え」は、下ごしらえしたミズのムカゴを松前漬けと和えたものになります。ミズの茎の部分は初夏から夏にかけたの味覚、ムカゴは秋の味覚になります。夏には夏の楽しみを、秋には秋の楽しみが楽しめるのも、ミズの魅力です。
美味しい食べ方と調理法その② ミズのたたき
下ごしらえしたミズとニンニク味噌を包丁で叩く「ミズのたたき」も、地元で好まれて食べられている食べ方です。
ミズとニンニク味噌を一緒にミズのの形がなくなるまでしっかり叩いて、熱々の白飯の上へ。最後にすりごまを散らせば完成です。白飯だけではなく、蕎麦や素麺のトッピングにしても、美味しくいただけます。ただし、その場合は麺汁の塩味がプラスされるので、ニンニク味噌の分量を若干減らしましょう。
下ごしらえしたミズを叩いて納豆と混ぜてご飯に。上から海苔を散らしたら完成です。納豆のネバネバと、ミズのシャキ&ネバの食感のコントラストが食欲をそそる1品です。ミズはシャキシャキ感を出すのがポイントなので、叩き過ぎず形をある程度残してください。お箸が止まらなくなる美味しさです。
美味しい食べ方と調理法その③ ミズの漬け物
下ごしらえされたミズ、ミズのムカゴと一緒に千切りにした生姜とみょうがを、冷めた少し塩味が濃い目のだし汁に一晩漬け込みます。あっさりとした1品は、お酒のあてにはもちろん、食欲がなくなる暑い夏にぴったりの漬け物です。盛り付ける時に、青しその千切りをトッピングすると、さらにさっぱりいただくことができます。
浅漬けを作る要領で、下ごしらえされたミズに軽く塩を振り、一晩漬け込みます。ミズだけでも十分美味しいのですが、きゅうり、かぶ、大根、セロリなどと一緒に漬けるとさらに美味しいのでおすすめです。
塩漬けももちろん美味しいのですが、「ミズの醤油漬け」はまたひと味違うミズの美味しさを楽しむことができます。下ごしらえしたミズをだし醤油につけて一晩寝かせたら完成です。また、だし醤油+ごま油+鷹の爪、酢醤油に漬けておくのもおすすめです。
美味しい食べ方と調理法その④ ミズの汁物
下ごしらえしたミズは、お味噌汁の具材にもぴったりです。「ミズと豆腐の味噌汁」や、「ミズと油揚げの味噌汁」などがおすすめです。また、豚汁の具材として入れるのも、とても美味しくておすすめです。
ぜひ試していただきたいのが、ミズときのこ類との組み合わせです。「ミズとなめこの味噌汁」は、なめこのぬめりとミズのぬめりの相性が抜群です。また、生息地の秋田県ではミズと舞茸を汁物で組み合わせることがとても多く、「ミズと舞茸の味噌汁」も絶品です。
美味しい食べ方と調理法その⑤ ミズの炒め物
下ごしらえされたミズは、炒めてもとても美味しくいただけます。ミズを豚肉や鶏肉、しらたき、しめじ、舞茸、ごぼうなどと一緒にごま油で炒めます。味付けは、塩味もおすすめですが、甘辛もおすすめです。また、お肉の代わりに竹輪を入れるとまた違った美味しさを楽しむことができます。
「ミズとベーコンのブラックペッパー炒め」は、意外な美味しさです。山菜ですが、さっぱりしていてクセがほとんどないミズは、洋風にしても美味しくいただけます。ブラックペッパーを多めに振りピリッと辛さを効かせるのがポイントです。
また、オリーブオイルとニンニクと鷹の爪で炒め、味付けはシンプルに塩・こしょうのみの、「ミズのペペロンチーノ風」はビールとの相性が抜群です。騙されたと思って、ぜひ一度試してみてください。
山菜「ミズ」の魅力
いかがでしたか?山菜「ミズ」には、たくさんの魅力があります。いちばんの魅力は「美味しい」ことです。その他にもまだまだ伝えきれない魅力がたくさんありますが、その魅力は、ぜひご自身で見つけ出してみてください。「ミズをまだ一度も食べたことがない……」という方は、ぜひミズを一度味わってみてください。そして、「久しくミズを食べていないな……」という方は、久しぶりにミズを食べてみませんか?ミズの美味しさの虜になること間違いなしです。
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