たけのこの栄養について学ぼう!
たけのこは、竹の地下茎から出てきた若い芽のことです。春の訪れを知らせる栄養価の高い野菜として、春に旬を迎えますが、品種によっては夏や秋などにも出回るたけのこもあります。たけのこの栄養分の多くが食物繊維です。
しかし、ほかにもビタミン類をはじめとするさまざまな成分が含まれていて、こうした栄養成分は、調理方法やほかの食材との組み合わせ方で効率的に栄養を摂り入れることができるようになります。
たけのこは調理方法を工夫して上手に摂り入れたい
たけのこのさまざまな栄養を上手に摂り入れるためには、調理方法や摂取方法を工夫する必要があります。このちょっとした工夫は知っておくととても便利ですので、日々の食生活にぜひ摂り入れていきましょう。
今回はそんなたけのこの栄養素や、その栄養分による効果・効能をはじめ、上手に摂り入れるための調理方法などについてご紹介します。ぜひたけのこを使った健康的な食生活を目指しましょう。
たけのこ100gのエネルギーや成分は?
たけのこの100gのエネルギーは30kcalです。この100gのエネルギーは、たまねぎやにんじん、ブロッコリーなどと同じぐらいのエネルギーとなります。また、糖質は2.5gで、食品全体で見ると糖質も低いため、ダイエットなどにも効果や効能が期待できる食品と言えます。
ただし、たけのこを食べすぎると、食物繊維が豊富に含まれていることから、下痢や腹痛などを生じることも考えられます。このため、たけのこの摂りすぎには注意が必要です。
たけのこは食品の状態でエネルギーが変わる
たけのこは、食品の状態によって、エネルギーが異なります。生の若い芽は26kcal、ゆでた状態の若い芽は30kcal、水煮の缶詰だと23kcal、また、めんまは19kcalです。
エネルギーが異なると、それぞれの栄養素も変わってきます。とくに、水煮の缶詰は、生やゆでた状態のたけのこの若い目よりも栄養価が下がることが多く、めんまはほかの状態よりも塩分が高いことから、ナトリウムなどの栄養価が高くなるようです。
たけのこは保存方法によって長持ちする
たけのこは、竹林にニョキッと生えてきますが、採種から時間が経つと、えぐみが増し、生のままで放っておくと硬くなってしまいます。このため、採種したらすぐにゆでてしまいましょう。アク抜きした後、水煮にします。根元にくしが通るようになったら火を止め、そのまま冷ました後、水にひたしておけば1週間程度保存できます。
また、水をしっかりと切れば冷凍保存も可能です。保存方法をうまく変えて、たけのこを存分に味わいましょう。
たけのこの採取方法は簡単
たけのこはスーパーなどで販売されている水煮の状態しか見たことがないという方もいらっしゃるかもしれません。しかし、旬の時期に竹林などに行くと、芽を出したたけのこを収穫することができます。品種にもよりますが、多くの場合、3月~4月ごろに多く見つけることが可能です。
たけのこの採種方法は実に簡単です。たけのこが芽を出しているのを見つけたら、若芽の周囲を掘り起こし、根元を切ったら鍬でえぐり出します。動画が参考になりますので、ぜひ確認してみましょう。
たけのこで気になる6つの栄養素
たけのこの栄養素について調べてみると、90%以上が水分であることがわかります。残りの成分に含まれている栄養素は、三大栄養素では炭水化物が最も多く、たんぱく質の量も少なくはありません。炭水化物には食物繊維の割合が高く、脂質はほとんど含まれていないため、ヘルシーな食品であると言われています。
ビタミン・ミネラルでは、葉酸やカリウムが多く含まれています。ほかにもさまざまな栄養が含まれていますので、その詳細をチェックしてみましょう。
①不溶性食物繊維セルロース
たけのこの栄養素の中で最も多く含まれているのが炭水化物です。炭水化物は糖質と食物繊維で構成されていますが、たけのこの栄養で特筆するべきはこの食物繊維で、たけのこの食物繊維は不溶性食物繊維と呼ばれるセルロースが豊富に含まれています。
セルロースは、腸内で水分を吸収しながら移動し、腸内の有害物質を体外へと押し出す働きをします。つまり、たけのこに多く含まれる栄養素であるセルロースは排便を促すため、腸内環境をよくする働きも特筆することが可能です。
たけのこの栄養から期待できる効果や効能
セルロースは、腸内環境をよくする働きがあることからもわかるように、便秘を解消する働きがあります。このため、大腸ガンなどの予防、ダイエット効果なども期待できます。ただし、食物繊維は、摂取しすぎると下痢などの症状も引き起こしますので注意しましょう。
②たんぱく質に含まれるアミノ酸のアスパラギン酸
たけのこに含まれる三大栄養素のうち、炭水化物の次に多いのがたんぱく質で、このたんぱく質に含まれるアミノ酸のうち、多く含まれているのがアスパラギン酸です。
アスパラギン酸とは、体内で窒素やエネルギーの代謝に働き、アンモニアと結合して体内に排出して中枢神経系統を保護するほか、カリウムやマグネシウムを細胞に運び、疲労物質でもある乳酸をエネルギーに変える働きをします。また、アスパラギン酸はうま味成分でもあるため、他の食材と調理して利用するとおいしさ倍増です。
たけのこの栄養から期待できる効果や効能
アスパラギン酸は、中枢神経系を保護する働きをし、疲労物質である乳酸を燃焼させる働きがあることから、疲労回復の効果が期待できます。また、尿の排出を促すことから、体に有毒な成分を排出する効果も期待でき、健康体へと体調を変えることも可能です。
③造血のビタミン・葉酸
たけのことは、あまり多くのビタミン類は含有されていません。しかし、そんな中でも葉酸の量が多いのは特筆するべきです。
葉酸とは造血のビタミンと呼ばれる栄養素で、妊娠初期に遺伝の情報などにかかわるDNAの合成をしたり、胎児の発育にとって必要な働きをしたりする栄養素でもあり、胎児の神経管閉鎖障害などのリスクを減らすこともわかっています。代謝に関係するビタミンとして、体の生育にかかわる重要な栄養素のひとつです。
たけのこの栄養から期待できる効果や効能
葉酸はビタミンB12とともに赤血球の形成を助けることから、不足すると貧血などの症状が見られることもあります。また、葉酸は、さまざまな酵素に必要な補酵素としての働きがあるため、成長を促し、皮膚や粘膜などを強くする効果も期待できそうです。
さらに、葉酸は、血栓を形成して動脈硬化の原因となるホモシステインというアミノ酸を分解するのを助けるため、血流の停滞を改善することから脳の機能を改善する可能性もあるなど、積極的に摂取したいビタミンです。
④カリウム
たけのこは、ほかの野菜と同じくカリウムの量が多く含まれています。カリウムは、胎内の余分なナトリウムを体外に排出する働きがあることから、塩分を多く摂りすぎる方はしっかりと摂取するべき栄養素です。
なお、近年、食生活が変化したことで、塩分の摂取過多が問題となっています。カリウムは積極的に摂取するべき栄養成分です。
たけのこの栄養から期待できる効果や効能
たけのこに比較的多く含まれる栄養素であるカリウムは、体内の塩分を排出することから高血圧などの予防のほか、むくみの改善などに働く成分です。また、カリウムは筋肉の収縮にかかわって癒えることから、筋肉の動きを正常に保つ効果なども期待できます。
⑤亜鉛
たけのこに含まれるミネラルの中で、ほかの野菜類よりも多く含まれているのが亜鉛です。亜鉛は、体内の代謝に働く酵素の構成成分として重要な栄養成分で、三大栄養素の代謝をはじめ、さまざまな代謝にかかわります。
亜鉛は、微量ミネラルの中でも欠乏しやすい栄養素であるため、積極的に摂取したい成分です。
たけのこの栄養から期待できる効果や効能
微量ミネラルである亜鉛は、細胞を生まれ変わらせるための代謝にかかわる栄養素であることから、新陳代謝や成長を促す効果が期待できます。また、亜鉛は、生殖機能を維持し、髪の毛の健康に働き、二日酔いを予防し、生活習慣病などの予防に貢献するなど、さまざまな効果が期待できる成分です。
⑥銅
たけのこに含有されている微量ミネラルの中で、銅もほかの食品に比べると多く含まれています。銅は、体内で鉄分を利用できるようにするための代謝に働き、通常の食事では不足することはありません。
しかし、銅の量が少ない人工のミルクなどで乳児を育てると銅不足となり、貧血が起こりやすくなるほか、骨がもろくなる、発達障害が起こるなどの症状が現れます。
たけのこの栄養から期待できる効果や効能
ミネラルのひとつである銅は、体内の鉄を助け、貧血などを予防することがよく知られています。さまざまな代謝に働く栄養成分であることから、免疫を高める効果や動脈硬化を予防する効果、成長を促進する効果などが期待できる成分です。
たけのこの効能アップを図る3つの食べ方
①たけのこは食べ過ぎるとかえって便秘になることも
もともと便秘のトラブルを持っていらっしゃる方が、不溶性食物繊維が豊富に含まれているたけのこを多く摂りすぎてしまうと、便をうまく輩出できず、かえって便秘がひどくなることがあります。
このため、たけのこは一度にたくさん食べるのではなく、ほかの食品とバランスよく摂り入れて、日常的に便秘を改善させることが大切です。食べすぎには気を付けましょう。
②カルシウムとの組み合わせで尿路結石症を予防
採種したたけのこには独特の苦みがありますが、これはシュウ酸と呼ばれる成分です。シュウ酸は、カルシウムに結合して体外に排出されるため、カルシウムが多く含まれた乳製品、魚介類、海藻類などと組み合わせて摂ることで、シュウ酸による尿路結石症などの症状を予防することができます。
③たんぱく質と合わせて食べれば代謝アップが図れる
たけのこに含まれている亜鉛は、動物性のたんぱく質といっしょに摂ることで、代謝がアップされます。野菜と肉の炒め物などでたけのこを利用するなど、摂り入れ方にはさまざまなバリエーションが可能です。また、亜鉛はビタミンCといっしょに摂ると吸収しやすくなるため、柚子胡椒などで風味を加えることで、さらに効果的となります。
たけのこを使った簡単な調理法3選
①たけのこの煮物
材料 (2人分)
たけのこ1本
重曹適量
しょうゆ大さじ3
みりん大さじ2
出汁300ml
かつおぶし適量
たけのこのシンプルな煮物は、アクを抜いた後、出汁を使って作りましょう。適当な大きさにカットしたたけのこは、水と重曹でしっかりとアク抜きします。茹で上がったら火を止め、出汁に分量の材料を加え、さらに煮込ませ、味が染み込んだらかつお節を加えてできあがりです。かつお節のたんぱく質によって、栄養吸収のいいたけのこの煮物となります。
②チンジャオロース
材料(2~3人)
豚肉(こまぎれでもOK)200g
にんにく1/2かけ
生姜1かけ
ピーマン3~4個
たけのこ(水煮)細切り150g
【肉の下味】
しょうゆ大さじ1弱
片栗粉大さじ1
サラダ油大さじ1
水大さじ2
こしょう少々
【合わせ調味料】
水大さじ2
しょうゆ大さじ1
こしょう少々
砂糖小さじ1
オイスターソース小さじ1/2
鶏ガラスープの素小さじ1弱
水溶き片栗粉大さじ1
ゴマ油大さじ1弱
こちらのレシピは、豚肉でも牛肉でも使える便利なレシピです。肉を細かく切り、肉の下味の材料を加えて20分ほど置きます。野菜はピーマン、たけのこ、にんにく、しょうがを細かく切って準備OKです。フライパンまず肉をしっかりと炒め、取り出してから野菜を炒めて肉と合わせます。最後にごま油で香りを引き立ててできあがりです。
こちらのレシピは、ビタミンCが豊富なピーマンやたんぱく質の肉を使って効果・効能アップのレシピとなっています。
③たけのこと玉ねぎのミルクスープ
材料 (1人分)
オリーブオイル4g
新玉ねぎ20g
ゆで筍20g
ブロッコリー2ふさ
水25g
鶏ガラスープの素小さじ1
牛乳100g
食塩3g
ブラックペッパー適量
たけのこを使った栄養満点のスープがこちらです。玉ねぎは薄くカットし、たけのこは好みのサイズにカットします。オリーブオイルで野菜を炒めたら、水と鶏がらスープの素で煮ていき、野菜が煮えたところで火を止めて牛乳を入れて調味料で味を調整するだけです。
牛乳のカルシウムに野菜たっぷりの栄養価の高いスープです。好みで野菜をさらに加えるのもおすすめします。
栄養価の高いたけのこで病気予防を!
たけのこは、三大栄養素の中でも食物繊維を主とした炭水化物やたんぱく質が豊富に含まれ、また、ビタミンやミネラル類といった栄養も豊かな野菜です。
竹林などで採取したたけのこは、アク抜きをして保存も可能ですし、バランスよく日頃の食生活に摂り入れていくことで、ダイエットにも生活習慣病などにも効果や効能が期待できますので、ぜひたけのこを使った栄養満点レシピを挑戦してみましょう。
もっとたけのこが気になる方はこちらもチェック!
栄養価の高いたけのこについても、もっと知りたいという方はこちらの記事もぜひご覧ください。アク抜きの方法、栄養価の高い調理方法など、魅力的な内容となっています。さっそく今日のレシピはたけのこを使ってみましょう。

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