花も紅葉も楽しめるドウダンツツジ
ドウダンツツジはよく見る庭木のツツジとは全然違います。小さな緑の葉、白いすずらんのような小さな花、そして秋に紅葉し、冬に落葉する庭木です。同じツツジ科といっても、サイズも性質も似ていません。
日本原産の低木で育てやすく、庭木や植え込み・生け垣などに使用されています。強めに剪定しても枯れないので、好きな樹形にして楽しめることから公園や学校の校庭などにも植えられている樹木です。
ドウダンツツジの特徴と種類
ドウダンツツジの特徴や種類、サイズについてご紹介します。お花を楽しみたい方、紅葉を楽しみたい方の両方が満足できる庭木です。どういう特徴があり、何種類ぐらいあるのでしょうか。植えてみようかと迷っている方は、ぜひ御覧ください。
ドウダンツツジのデータ
ドウダンツツジのデータは
分類 | 庭木・花木 |
形態 | 低木 |
原産地 | 日本(本州、四国、九州)台湾 |
樹高 | 1~2m |
開花期 | 4月下旬から5月上旬 |
耐暑性 | 強い |
耐寒性 | 強い |
となっています。日本原産なので、日本の気候にあっていて成長速度も早く、とても育てやすい庭木です。野生のドウダンツツジは、今植えられているものより葉が大きく、枝の出方も繊細ではなくあら目で、ヒロハドウダンツツジという種類だと言われています。
ドウダンツツジの名前の由来は?
ドウダンツツジの”ドウダン”は、昔明かりとりに使われていた結び灯台の形がドウダンツツジの枝ぶりと似ていたことから”灯台躑躅(つつじ)”と名付けられ、その”灯台(とうだい)”という読みが”ドウダン”に変化したと言われています。
また漢字で”満天星躑躅(どうだんつつじ)”と書くのは、中国で故事を由来としてそのように表記していてるからです。花言葉は白い花にちなんで”上品”と付けられています。
ドウダンツツジの特徴
樹高サイズ1~2mの落葉低木樹です。萌芽性が強く、剪定に耐えるので植える方の好みの樹形にすることができます。初春の時期に芽吹き、すずらんのような小さくて白い壺型の花を咲かせ、秋には紅葉し、1年中楽しめる樹木と言えるでしょう。
大きく自然形に育てるとシンボルツリーとして利用でき、短めに刈り込むと生け垣にも利用できるので、万能な樹木として重宝されています。サイズもちょうど良く、育て方も簡単な上成長速度も速く、初心者でも育てやすいです。
ドウダンツツジの種類
ドウダンツツジには白い花を咲かせる種類のほか4種類あります。ピンク色の花を咲かせるのは2種類で、淡いピンク色の花を咲かせる”サクラドウダンツツジ”、赤みの強いピンク色の花を咲かせる”ベニサクラサドウダンツツジ”です。
残り2種類は、葉っぱの幅のサイズが広めの”ヒロハドウダンツツジ”、緑白色の花を咲かせる”アブラツツジ”で、この2種類は山岳地帯に自生しています。
ドウダンツツジは紅葉が楽しめる
春先の花がかわいいイメージがあるドウダンツツジですが、実は秋の紅葉時期も見事です。モミジのように真っ赤になり、落葉します。一般的なツツジは紅葉も落葉しないので、あまりイメージはないかもしれません。
モミジは小さな花をひっそりと咲かせるだけですが、花の時期と紅葉の時期の両方を楽しめるドウダンツツジは庭木の主役にしてみてもいいでしょう。
ドウダンツツジの鉢植えでの育て方
ドウダンツツジの鉢植えでの育て方は難しいのでしょうか。庭木や公園周りなど地植えにしてあるので、地植えならば育てやすそうですが、鉢植えでの管理はどこに注意すればよいのか、ご紹介します。
置く場所は
まず、鉢を置く場所ついてです。ドウダンツツジは日当たりの良い場所を好みます。半日陰よりも明るい場所に置けるようにしましょう。西日が当たらない場所なら、夏場の水切れの心配もないので安心です。
用意する用土は
ドウダンツツジは酸性土壌を好むので、赤玉土や鹿沼土の小粒を半量ぐらい、それに用土を酸性にする酸度未調整ピートモスや有機質を多く含む腐葉土を混ぜます。水はけと保水力の両方を併せ持つ用土を使用しましょう。
もちろん普通の園芸用土を使用することもできます。その時は、赤玉土の小粒を用土と同量ぐらいブレンドするなど保水力を高めましょう。腐葉土などは肥料代わりにもなります。土でその後の成長速度が変わりますので配合は大切です。
植え付け
ドウダンツツジが販売される時期は、だいたい春先です。したがって、新芽が伸び始める前3月~4月に植え付けるのが最適です。もしそれより早く入手するのならば、落葉する時期に植え付けましょう。ただし、厳寒期は避けてください。
根鉢より一回り大きな鉢を用意し、根鉢を1/3ほどくずして根を広げて深植えにならないようにして浅めに植え付けます。浅植えなので、株がぐらつくのならば支柱を立てて倒れないように支えましょう。
ドウダンツツジのお手入れ方法
次に、ドウダンツツジのお手入れ方法です。育てやすいからといって、放置しておくときれいな紅葉が見れなくなります。育て方の注意点をチェックしてみました。水やり、肥料、剪定の仕方についてご説明します。
水やり
庭木として地植えにしていれば、ほとんど水やりの必要はありませんが、鉢植えの場合はそういうわけには行きません。自然の雨だけでは足りないので、毎日チェックして乾燥していればしっかりやりましょう。
春から夏にかけてと秋の水やり
ドウダンツツジは成長速度が早いので、水切れをおこさないように毎日チェックします。土の表面が乾いていたり、新しい枝や葉が垂れ下がっていたら、水切れのサインです。鉢底から水が流れ出すぐらいたっぷりやりましょう。
真夏の水やり
真夏の時期は乾燥しやすいので、鉢を涼しくて西日のあたらない半日陰に移動させます。浅く根を張るので、水切れしやすくドウダンツツジが弱ってしまうからです。朝夕2回、しっかり水やりをしましょう。
昼間は高温のため、暑い時間に水やりをすると根が蒸れて枯れてしまうので、なるべく涼しい時間帯に水やりをしてください。
冬季の水やり
落葉しているので、毎日かかさず水やりをする必要はありません。数日に1回やる程度で大丈夫です。落葉していて休眠期でも、全くやらないまま放置すると枯れてしまうので注意してください。
肥料
春によく芽がでるように2月~3月の休眠期と、花後のお礼肥として、窒素・リン酸・カリが同じ割合で配合されている緩効性化成肥料や、固形の油かすのような有機質肥料をやります。成長速度を見ながら加減しましょう。
ただし落葉したあとに植え付けや植替えをしたならば、休眠期の肥料は必要ありません。
剪定
必ず剪定する必要はありませんが、鉢植えならば綺麗な樹形に保ちたいでしょう。剪定に適した時期は、新芽が伸びる花後の5月中旬~6月中旬です。夏に次の年の花芽がつくので、その前に済ませたほうがいいでしょう。
ただ、紅葉だけを楽しむのならば、特に駄目な時期もなく年中通して剪定できます。紅葉が終わって落葉した後、成長速度の早い枝を選定して、好みのサイズに樹形を整えるといいでしょう。
ドウダンツツジの病害虫は?
ドウダンツツジの病気
ドウダンツツジは病気に強く、あまりなりません。一番発生しやすい病気はサビ病で、雨が多いと発生します。葉の裏に黄色や白の斑点ができ、進行すると盛り上がって葉表にも目立つようになってくる病気です。
綺麗な紅葉が楽しめないだけでなく、放置しすぎると枯れてしまうこともあります。みつけた場合、できるだけ早く殺菌剤を散布しましょう。
ドウダンツツジに発生する害虫
ドウダンツツジに発生する害虫は、ハダニ・アブラムシ・テッポウムシ(カミキリムシ)・カイガラムシです。どの害虫も小さいサイズで見落としがちですが、4月から10月頃のドウダンツツジが成長する時期に発生します。
他の庭木と一緒に消毒すると防げますが、育て方通りにしても発生を防げません。それぞれの害虫にあった種類の薬剤を使って防除や殺虫しましょう。
ドウダンツツジの増やし方
ドウダンツツジの増やし方には、挿し木・種・接ぎ木などの方法がありますが、挿し木で増やすのが一般的です。挿し木による増やし方は成功しやすく育てやすいので、今回は挿し木による増やし方をご紹介します。
挿し木による増やし方
花後の時期で枝がしっかりしてくる6~7月ごろが適期です。枝を10cmから15cmぐらいに切り、先端に葉を残して他は取り除きます。清潔でよく切れるカッターで切り口を斜めにカットした後、1~2時間ぐらい水揚げします。
その後、しっかり水分を含ませた清潔な挿し木用土や、赤玉土や鹿沼土に挿し、風通しのよい半日陰で管理しましょう。発根促進剤を使えば成功率が上がります。だいたい1ヶ月ぐらいで根っこが出てくるので、しっかり根がでれば鉢上げしましょう。
種での増やし方は
ドウダンツツジは、花後に長さ6~9ミリほどの実を付けます。10月頃、実が熟すと中からたくさんの種が飛び出します。種のサイズが小さい上に、成長速度も早くないので、種での増やし方は一般的ではありません。
ドウダンツツジの挿し木で盆栽を楽しむ
挿し木したドウダンツツジは、穏やかに成長します。鉢植えにして楽しむサイズになるには年月がかかるため、小さい鉢に植えて盆栽としても楽しめます。小さい方が自分好みの形に育てられるので、盆栽にするのならば早い時期から準備しましょう。
鉢植えで紅葉させる育て方のコツ
ドウダンツツジは花の時期を楽しんだり、挿し木をして増やしたりするだけでなく、紅葉を楽しむのも醍醐味です。遠くまで紅葉を見に行かなくても、自宅にいながら紅葉を楽しみましょう。
鉢植えで紅葉を楽しむコツ
ドウダンツツジがうまく紅葉しない、嘆く方もあります。ドウダンツツジで紅葉を楽しむには、木のサイズではなくちょっとした育て方のコツがあるのです。どうすればよいのでしょうか。3点ご紹介します。
鉢植えを日当たりの良い場所に置く
ドウダンツツジにしっかり日光を当てないと紅葉しません。日陰ではきれいに紅葉しないのです。ただ、あまり夏の日差しが強すぎる場所に置くと、葉焼けをおこしたり、乾燥しやすくなるので葉が傷んでしまい、落葉します。
春や秋口は一日中日差しがある場所、真夏は半日陰のように少し日差しを遮る場所に置くのが良いでしょう。
寒暖差のある場所に置く
きれいに紅葉するには、一日の寒暖差が大きくなることも大事です。朝晩の冷え込みが大きく、昼間は暑いぐらいの日が何日か続くときれいに紅葉します。霜が降りるほど寒くなるときれいに色付くと言われてきました。
大事に軒下などに置いていると、きれいに紅葉せず、そのまま落葉してしまいます。ドウダンツツジの生産者は紅葉するように根本近くの茎の皮を剥くそうです。
乾燥させないように水をやる
庭木と違って鉢植えは乾燥して水切れを起こしやすいです。地表近くに根を張る種類の木なので、水をやっても夏場は乾燥しやすくなります。乾燥すると、葉焼けを起こして落葉してしまうので、朝晩しっかり水をやりましょう。
ドウダンツツジの紅葉を楽しめるスポット
挿し木から育てたドウダンツツジは育て方通りに育てても、なかなか紅葉を楽しめません。鉢植えのドウダンツツジはきれいに紅葉しても、サイズが小さくもっとスケールの大きい紅葉を見たくなるでしょう。
挿し木や鉢植えで育てるのもよいですが、秋の紅葉シーズンにドウダンツツジの紅葉を見に行きませんか?ドウダンツツジの紅葉スポットを2ヶ所紹介します。
但馬安國禅寺(兵庫県)
兵庫県豊岡市但東町にある安国寺(但馬安國禅寺)は、本堂の裏庭に枝を10mほど上下左右にのばした樹齢150年以上といわれているドウダンツツジが紅葉します。本堂から見た紅葉は、建具が額縁のように見え一枚の絵画のようです。
紅葉の最盛期にはライトアップもされています。例年、11月半ばごろが見頃です。
但馬安国寺
- 住所〒668-0324
兵庫県豊岡市但東町相田327 - 電話番号0796-54-0435
- 営業時間8:00-19:00
- アクセス舞鶴若狭道福知山ICから約40分JR「豊岡」駅よりバス「出石」下車タクシーで約20分
呑山観音寺(福岡県)
福岡県にある呑山観音寺は、高野山真言宗の別格本山として知られています。標高450mの山中にあり、もみじ並木の紅葉も楽しめます。百観音堂の周辺は1000本のドウダンツツジがあり、そちらの紅葉も圧巻で、紅葉スポットとして有名です。
紅葉の見頃は10月下旬から11月半ば頃です。春には桜の名所スポットとして多くの観光客で賑わいます。
呑山観音寺
- 住所〒811-2403
福岡県糟屋郡篠栗町萩尾227-4 - 公式サイトURLhttps://www.nomiyamakannonji.com/
- 電話番号092-947-4423
- アクセスJR篠栗駅から車で約15分
大龍寺(岐阜県)
大龍寺はだるま観音として知られており、境内に達磨大師坐像が安置され、毎年1月中旬に「だるま供養」が行なわれ全国で有名です。庭園や裏山に樹齢350年以上といわれている古木も含め、約1,200本のドウダンツツジが植えられています。
春の白い花も見事ですが、秋の真紅の紅葉は圧巻です。春と秋には庭園を一般公開し、杉苔とドウダンツツジの庭園を楽しめます。
大龍寺
- 住所〒502-0001
岐阜県岐阜市粟野2339 - 電話番号058-237-3837
- 営業時間8:00~17:00
- アクセスJR岐阜駅または名鉄岐阜駅から岐阜バス「N80高富」、「N75山県市役所」行などで30分片道460円
「高富大竜寺前」下車 徒歩2分
ドウダンツツジを育てて紅葉を楽しもう
ドウダンツツジの育て方、挿し木による育て方、紅葉するコツや紅葉スポットについてご紹介してきました。紅葉が楽しめるサイズに育てるのは時間がかかりますが、自分が天塩にかけて育てたものはサイズに関わらず、かわいいものです。
今年はモミジの紅葉だけでなく、ドウダンツツジの紅葉も探しにでかけましょう。燃えるような紅葉に出会えますように。
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