はじめに
秋は紅葉の季節です。毎年10月~11月下旬にかけて、紅葉を見に行きたいとふと思うものです。そんな時、登山初心者でも気軽にハイキングや登山初心者でも簡単に日帰りで行ける紅葉の綺麗な山はどこなのでしょう。
この時期は、紅葉が美しい名所や観光スポットなどの特集がこぞってさまざまな情報雑誌などで見受けられますが、たくさんあり過ぎて迷ってしまいますよね。もちろん紅葉が美しい山は日本各地にたくさんありますし関東にも多くあります。ここでは、その中でも特に紅葉が絵画のように美しく見えると評判の栃木県那須郡「茶臼岳」と呼ばれる山をご紹介します。
茶臼岳とは?
栃木県那須郡にある那須岳は日本百名山のひとつで、登山客にも人気の山です。那須岳は主に茶臼岳・旭岳・三本槍岳を含めた3つの山から成り立っており、その主峰とされている標高1915mの茶臼岳は、9合目までロープウェイがあり、ふもとからわずか30分ほどで広い山頂に立つこともできるので、登山だけではなく、ハイキングとしてもとても気軽に登れる山として人気です。
また、この茶臼岳は今なお噴煙をあげる活火山でもあります。そのため登山道の付近からは歩いていると噴気が少しですが見える場所もあります。そんな茶臼岳山麓は、もとは広葉樹を中心とする植生でした。
夏は緑が豊かで秋は多種多様な紅葉が見られるという魅力いっぱいの山ですが、最近は特に紅葉が絵画のようで美しく、登山初心者でも気軽に登れる山として、多くの人に親しまれています。
茶臼岳は初心者の日帰りでの登山にもおすすめ
この茶臼山への登山は、日帰りでも登れるため、登山初心者の人に向いています。ハイキング感覚で日帰りで気軽に登れるところも魅力で、ロープウェイ山頂駅からでも気軽に登山できることから、子供連れの家族も多くいます。登山コースも整備されておりとても歩きやすい道なので、幅広い年齢層の人にも親しまれています。
そんな茶臼岳の山頂では噴火による砂礫が覆う場所もありますが、そのほとんどは見晴らしがよく、登山道が整備されているので初心者でもとても安心です。斜面は緩やかなコースとなっており、案内板やマーキングなどの目印も付けられているため登山初心者や小さな子供がいる家族での日帰りの登山やハイキングもおすすめです。
茶臼岳の歴史
茶臼岳は昭和23年頃までは硫黄鉱山として栄えていました。そして現在の茶臼岳の鉱山事務所跡には硫黄の精錬所があり、今でもその名残が残っています。そして、茶臼岳近くの温泉郷では、硫黄の香りの源泉かけ流しの温泉も楽しめるとあって、登山客の間で人気を集めています。この茶臼岳が初心者の登山客でも気軽に登れるようになったのは、昭和37年以降のことで、きっかけは那須ロープウェイが完成したためでした。このロープウェイができたことで、誰でも登山ができるようになり、茶臼岳はハイキングや初心者の登山でおなじみの山になったといわれています。
茶臼岳の魅力とは?
茶臼岳は、登山初心者でも気軽に日帰りで登山を楽しめるところも魅力です。そして、それ以外にもまだまだ茶臼岳には魅力がたくさんあります。ここではそんな茶臼岳の知られざる魅力をご紹介していきます。
①茶臼岳はアクセスが良好
まず第一に、茶臼岳までは、公共交通機関でのアクセスも容易なのが嬉しいポイントです。那須ロープウェイに向かうバスは、黒磯駅か那須塩原駅から乗ることができます。那須塩原駅からなら1時間15分ほどで那須ロープウェイに到着します。那須塩原駅は在来線と新幹線がどちらも発着するので、都心からアクセスするのにも便利です。新幹線停車駅なので、お土産や駅弁も充実しているので、記念にこの地域の駅弁を楽しむのもいいですね。
②茶臼岳の近くには源泉かけ流しの温泉がある!
那須岳のふもとには温泉街が広がっており、無料で足湯をできる場所もあります。もちろん温泉旅館もいくつかあり、そのほとんどが良質な泉質で、源泉かけ流しをリーズナブルな値段で楽しめると人気です。登山やハイキングで疲れた体を温泉で癒す人も多くいて、登山客にとても人気です。
鹿の湯温泉
茶臼岳に行った観光客の人たちが、帰りに立ち寄る事が多いおすすめの那須温泉・元湯「鹿の湯」は、1300年以上の歴史を誇る古湯で、鹿が傷ついた身体を休めていたことから鹿の湯と名付けられたそうです。明治・大正時代から使われている建物は、昭和の香りがまだ残る懐かしい雰囲気が漂う温泉です。源泉かけ流しでうっすらと硫黄の香りの漂う浴槽は41度~48度の6種類があり、短時間入浴を繰り返している人が多いのが特徴です。
三斗小屋温泉 煙草屋旅館
那須の三斗小屋温泉は、茶臼岳を含む那須岳にある秘湯とも呼ばれ、登山客に大変人気です。残念ながら休憩や日帰り温泉ではないので、宿泊のみでの利用となりますが、山を見渡せる絶景の露天風呂は、何といっても露天風呂から見る景観が素晴らしく、夕焼けで染まる山の鮮やかな光景もめったに見られない光景なので、茶臼岳の紅葉を楽しんだ後、ここに宿泊して登山の疲れをとるにはとてもおすすめのスポットです。
情緒あふれる岩作りの露天風呂.や三槽木造りの共同風呂があり、女性専用の内風呂もあります。露天風呂は基本的には混浴ですが、女性専用の時間帯などもあるため、女性だけでも安心して入浴できると人気です。お湯は源泉かけ流しのため、さまざまな効果効能のあるお湯が、歩き疲れた体を包み込むように温めながら癒してくれます。
③茶臼岳では四季を通して美しい絶景が楽しめる
茶臼岳は、四季をはっきりと感じることができることも魅力の山で、春は芝桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪化粧をした風景が季節ごとに楽しめて、四季を肌で感じることができます。
冬~春の茶臼山
冬に那須ロープウェイから冬の茶臼岳を見渡すと、一面銀世界を見ることもできます。そして春に近づくにつれて山肌を覆っていた雪が溶け始め、高山植物の若芽が徐々に芽吹いてきて、3月頃になると徐々に春の訪れを感じるようになります。
春~夏の茶臼山
春になり、涼しくはあるものの徐々に茶臼岳の草木が花をつけ始めます。山肌にはツツジが美しく咲き、多くの草花がこの山を美しい色彩で彩ります。春は山肌から多くの新芽が萌えだします。
日々濃さを増す青空と、日差しに照らされて光る雪が高山植物を明るく照らし、徐々に夏を迎えて活気ある新緑の情景が見られるようになります。夏は茶臼岳の山肌に緑が溢れる時期です。那須ロープウェイから茶臼岳を見下ろすと、美しい新緑が眼下に拡がり、まるで緑色の絨毯が鮮やかに敷き詰められているようにも見えます。
夏~秋の茶臼岳
夏の茶臼山は美しい新緑で生命力を感じられる活気ある山肌で、適度に涼しく避暑には最適です。夏から秋にかけては、この茶臼岳の動植物が徐々に秋支度を始める時期となります。
そして、最も観光客が多くこの茶臼岳に押し寄せる紅葉シーズンは、一面に広がる少しの緑と紅葉、そして黄葉の色彩が美しいコントラストを創り出し、鮮やかな色彩で山一面が彩られます。それはまるで絵画のように美しく、訪れた人は思わずその光景に見入ってしまうほどです。
初心者でも楽しめる茶臼岳の登山コース
初心者でも日帰りで楽しめる登山コースをここでは2つに分けてご紹介します。トレッキングコースはまだ難しいという人でもこのコースなら気軽に日帰りでも登れるとあって家族連れなどにも人気です。
那須ロープウェイ山麓駅~峠の茶屋~峰の茶屋跡~朝日岳~峰の茶屋跡~茶臼山山頂
那須ロープウェイ山麓駅から峠の茶屋まで登り20分、峠の茶屋から峰の茶屋跡まで登り50分、峰の茶屋跡から朝日岳往復1時間30分、峰の茶屋跡から茶臼山山頂まで登り50分、茶臼山山頂から那須ロープウェイ山頂駅まで下り30分でおよそ4時間~5時間ほどかけて登山する初心者向けのコースは、多くの登山客から人気です。行きは少しきつい道もありますが、帰りはほぼ山頂からロープウェイに乗るので、帰りが楽なのが特徴です。
那須ロープウェイ山頂駅~牛ヶ首分岐~茶臼岳山頂
日帰りで登れる初心者向けの気軽に登れる登山コースは、那須ロープウェイ山頂駅から歩き始めます。そのため、小さい子供連れの人やお年寄りでも登れるとあってこちらも人気です。ほとんどの登山客の人々は、そこから「牛ヶ首分岐」まで行き、登山道を歩きます。ロープウェイ山頂駅からこの牛ヶ首分岐までは比較的ゆるい傾斜でツアーや観光ついでの時は、ここで紅葉を楽しんで、ふもとまで折り返すコースもあります。
日帰り登山の場合は、そこから少し歩いていくと岩がたくさんあり、浮き石に足を取られないように気をつけてください。普段着にスニーカーっぽい軽装で登ることもできますが、できれば軽トレッキングシューズを履いていくといいでしょう。途中には大岩という5m以上ある岩もあり、しばらく行くと鳥居がみえてきたら、そこが山頂です。茶臼岳山頂はおよそ標高1915mで、そこからは。
那須ロープウェイ山頂駅~姥ヶ平~茶臼岳山頂~火口後
なかでも初心者向けの登山コースはロープウェイ山頂駅から茶臼岳山頂まで歩いて、火口跡を一周します。そして山頂駅に戻るというコースも登山初心者の人には人気です。時間がある人や、登山中級の人なら、ロープウェイを使わないルートで下山してもいいでしょう。所要時間は、山頂に行って戻ってくるだけなら1時間半もかかりませんが、この茶臼岳の山頂からの眺めや紅葉を堪能するには2時間~3時間くらいはみておいた方が無難です。
登山客が1年のうちで最も多いのが、登山道が紅葉で真っ赤に染まる10月~11月頃です。この時期はこの茶臼岳を歩いていると、多くの登山客と会うので、とても賑やかな印象を受けます。
初心者でも楽しめる茶臼岳のハイキングコース
駐車場~白笹山~南月山~牛ヶ首~姥ヶ平
車で来たハイキングの人々に人気なのが、この日帰りハイキングコースです。この駐車場から牛ヶ首分岐を経由し、那須岳西側の「姥ヶ平」に向かいます。そして姥ヶ平で広がる紅葉は、山肌に徐々に紅葉シーズンになるととても鮮やかに色付き始めます。多くのハイカーがこの姥ヶ平では、10月下旬~11月にかけて紅葉狩りを楽しんでいます。その時だけいつもよりも観光客が多く訪れるため賑やかなので、たくさんの人とふれあうことができます。
そんな活火山でありながら手軽なハイキングが楽しめる茶臼岳は、あちこちから噴煙が立ち上り、硫黄のにおいを感じながらハイキングを日帰りで楽しむことができて、活火山ならではの噴煙を間近に目にすることで、すごいところ来ているという特別な気持ちにもなります。そのうえ茶臼岳は森林限界が低いので、高所登山気分が味わえるのもうれしいポイントです。
茶臼岳までのアクセス
ここからは、電車やバスを利用して茶臼岳に行く場合と車で茶臼岳に行く場合に分けてアクセス方法をご紹介していきます。
電車・バスを利用する場合
JR宇都宮線・黒磯駅もしくは東北新幹線那須塩原駅から東野バスで那須ロープウェイ山麓駅まで乗ります。そして、那須ロープウェイに向かうバスは、黒磯駅か那須塩原駅から乗ることができます。那須塩原駅からなら1時間15分ほどです。
車を利用する場合
・東北自動車道那須ICより30分、ボルケーノハイウェイの終点(峠の茶屋駐車場) ・秋の紅葉シーズンはいつもより混雑するため、駐車場はあるものの、明け方から満車の日が続くので注意が必要です。
茶臼岳の紅葉がおすすめ
関東では、一番にこの那須岳の山肌が紅葉で色づいてくるといわれており、早ければ10月中旬~下旬頃から紅葉の見ごろを迎えます。茶臼岳山頂からの眺望は鬼面山と朝日岳の紅葉が特に赤みがあり素晴らしく、そこからの東側の姥ヶ平方面を見ると10月中旬~11月下旬にかけて紅葉が色づいて特に美しい光景が広がります。
この東側の姥ヶ平方面は、ハイキングコースとしても有名で、登山初心者の人でも気軽に登って来れるため、紅葉シーズンになると紅葉がお目当ての登山者や、ハイカー、そしてカメラマン、観光客が入り乱れ、大変なにぎわいをみせています。他にもこの茶臼岳は標高が高い山のため立ち入り禁止エリアといわれる場所はどこにもありません。紅葉を好きなだけ堪能できるのも人気のポイントといえるでしょう。
茶臼岳はロープウェイに乗って紅葉を楽しむのもおすすめ
茶臼岳への初心者向けの登山やハイキングコースをめぐるのに欠かせないのが、茶臼岳の7合目から9合目までを結ぶ那須ロープウェイです。気軽に時間をかけず茶臼岳山頂に登りたい人にはもちろん、紅葉の時期にはすばらしい景色が見られると人気もあり、10月~11月下旬までは多くの人で混み合います。このロープウェイは1回に月111人乗れる大きなゴンドラのため、あまり並ばずに乗車できるので安心です。その乗車時間はおよそ5分ほどで、その間に目下には茶臼岳の色彩豊かな山々の色づきを楽しむことができます。
茶臼岳の紅葉シーズンで気を付けるべきこととは?
紅葉シーズンになると、10月~11月にかけて早朝から駐車場は満車となり多くの観光客や登山客でにぎわいます。そのため駐車スペースがなくなってしまうことも多いので、注意しましょう。もしも不安な場合は電車やバスを利用することをお勧めします。
茶臼岳の登山道に入るとトイレがないので、出発前にお手洗いに事前に立ち寄ることも大切です。忘れずにトイレを済ましておきましょう。そして、この茶臼岳周辺の天候は非常に変わりやすく、強風や落雷警報でロープウェイが運休することがとても多いです。ロープウェイの駅でもその日の天候の情報を知ることができますが、悪天候のときは運休になる場合もあるので、天候には十分な注意が必要です。
茶臼岳を登山中、山頂近くのごつごつした岩場は落石に十分な注意が必要です。ロープウェイの山頂駅から茶臼山山頂までは1時間弱で登れますが、そのコースの間にはきちんと印をいくつもつけてくれているので山歩きに慣れていない人でも迷いにくいため、安心です。
おわりに
ここまでは、茶臼山の魅力や登山初心者の人向きのコースや、登山が苦手でも簡単に行けるハイキングコースなどを紹介してきましたがいかがだったでしょうか?茶臼山は四季を通じてあらゆる風景を楽しむことができる素敵な山なので、家族でのんびりハイキングに来るのもいいですし、登山好きの友人と一緒に初心者向きの登山コースに挑戦するのもいいでしょう。
きっと頂上の景色の美しさに圧倒され、きっと何度登っても飽きずに家族や友人たちと一緒にそこからの光景を楽しめることでしょう。