あま~いサラダビーツ
食用ビーツ デトロイト・ダークレッド
ビーツは家庭菜園でも作りやすい
ビートやテーブルビートとも呼ばれるビーツ
ボルシチの材料として有名なビーツは、アカザ科やヒユ科に分類される野菜です。ビートとも呼ばれ、同じ科名の野菜にはホウレンソウやスイスチャードなどがあり、砂糖の原料となるテンサイも同じ科になります。砂糖をとるためのシュガービートと区別してテーブルビートともいい、家庭菜園で簡単に育てることができます。
ビーツの簡単な育て方とポイント
育て方の概要:家庭菜園でビーツを栽培する方法
ビーツは暑さに弱く冷涼な気候を好むので、春または秋に種まきをします。酸性土壌に弱いため、畑で栽培するなら植え付けの約2週間前に苦土石灰を施しておきましょう。
間引きは2回、葉の展開後と本葉が3枚以上になった時に行います。本葉の間引きが終わったら、適宜追肥を与えてください。ビーツの根の直径が5cmほどになったら収穫します。収穫までの期間は70日前後です。
育て方の概要:ビーツのとう立ちや病害虫の原因と対策
とうとは茎のことで、ビーツは低温になるととう立ちします。とう立ちすると根の発育や食味が悪くなるので春はまきどきに注意します。さらに、春まきは秋まきに比べて生育環境の違いから病害虫が発生しやすいので、栽培環境の見直しや防虫ネットをかけるなどの対策が必要です。株同士の間隔が適切かどうかも確認しましょう。
育て方の概要:家庭菜園ならビーツは秋まきがおすすめ
ビーツは夏の暑さに弱いので、家庭菜園で簡単に栽培したい方や収穫を楽しみたい方には秋まきがおすすめです。春まきでも育てられますが、とう立ちや病害虫に注意する必要があります。なお、ビーツは収穫が遅れると根がかたくなり、繊維分が増えて食感が悪くなるので収穫のタイミングを逃さないようにしましょう。
ビーツの育て方のポイント
- 共通の育て方:ビーツの種まきは涼しくなってから行う
- 畑での育て方:植え付けの2週間前に畑に苦土石灰を施す
- 共通の育て方:葉が展開したら1回目の間引きを行う
- 共通の育て方:本葉が3枚になったら2回目の間引きを行う
- 共通の育て方:2回目の間引きが終わったら適宜追肥を与える
- 共通の育て方:根の直径が5cmになったら収穫する
ビーツの育て方:畑やプランターの準備
畑での育て方:苦土石灰・完熟堆肥・肥料をまく
雨が多い日本では、石灰分が流出して土が酸性に傾きやすいので、酸性土壌に弱いビーツを畑で栽培するにはアルカリ性の肥料で土を中和しておく必要があります。植え付けの2週間前を目安に1平方メートルあたり120~200gの苦土石灰を施すとともに、2~3kgの完熟堆肥と約60gの有機配合肥料をまいてよく耕し、土壌を改良します。
プランターでの育て方:培養土を準備する
ビーツをプランターで栽培する場合、自分で配合して土をつくるか、市販の野菜用培養土を用意して種まきの準備をします。初心者の方には市販の培養土を使用する方法が簡単でおすすめです。肥料分が含まれていない培養土は肥料を入れて使用してください。なお、プランターの水はけが悪い場合は鉢底に鉢底石や大粒の赤玉土を入れておきましょう。
畑での育て方:苦土石灰や完熟堆肥で土壌改良が簡単に
苦土石灰はアルカリ性の石灰質肥料の1つです。種まき前に施すことで土壌を中和し、生育をよくします。消石灰や生石灰でも中和できますが、土壌の微生物が減るなどの影響があるのでここでは使用しません。
堆肥は悪臭がなく簡単に扱える完熟堆肥がおすすめです。未熟な堆肥は病害虫が発生する原因にもなるので、完熟させてから使用してください。堆肥を完熟させる方法は「家庭菜園のための土と肥料の基礎知識」の項目で解説しています。
ビーツの育て方:土づくり
- 畑での育て方:苦土石灰を施し完熟堆肥と有機配合肥料をまく
- コンテナ栽培:培養土を準備する
- コンテナ栽培:鉢底石などで水はけをよくする
ビーツの育て方:種まきと水やりの方法
共通の育て方:ビーツの種まきは夏の暑さが過ぎてから
ビーツは夏の暑さが過ぎてから種まきをします。冷涼地では7月中旬~8月上旬、中間地や暖地では9月上旬~9月下旬がまきどきの目安です。ビーツの発芽温度は10~25℃、生育適温は15~20℃なので、天気や温度など実際の気象状況に注意して種まきを行います。
共通の育て方:ビーツの種は水に浸しておく
ビーツはそのまま種まきすることもできますが、種の皮がかたいので、1日水に浸してからまく方法をおすすめします。水に浸してからまいた場合、発芽までの日数は約8~12日です。畑で栽培する方は幅90cm、高さ10cmほどの畝を立てておきましょう。
共通の育て方:間隔をとって3粒ずつ点まきする
畑なら20cm間隔、プランターなら8cm間隔を目安に畝や用土にまき溝をつけ、3粒ずつビーツの種が重ならないように点まきします。溝の深さは種の大きさの2倍程度にしてください。
1つ1つの種を指で軽く押さえてまくと、種が土に密着して発芽しやすくなります。ビーツの種は好光性なので覆土は薄くかぶせるようにして、たっぷりと水を与えましょう。
共通の育て方:水やりの方法は発芽前後で異なる
発芽するまでは、土の表面が乾き過ぎないように水やりを行います。発芽後は土の表面が乾いた時が水やりのタイミングです。土の乾燥は目で確認する方法の他に、土の表面を触って確かめる方法もあります。午前中に1回、たっぷりと水を与えるのが基本の方法です。プランターは畑より保水性が低いので水切れに注意してください。
ビーツの育て方:種まきと水やり
- 共通の育て方:夏の暑さが過ぎたら種まきをする
- 共通の育て方:種は1日水に浸してからまく
- 畑での育て方:幅90cm、高さ10cmの畝を立てておく
- 畑での育て方:20cmの間隔をとって3粒ずつ点まきする
- コンテナ栽培:8cmの間隔をとって3粒ずつ点まきする
- 共通の育て方:浅めのまき溝に薄く覆土する
- 共通の育て方:発芽前は乾燥しないように水やりをする
- 共通の育て方:発芽後は土の表面が乾いたら水やりをする
ビーツの育て方:間引きのタイミングと方法
共通の育て方:双葉が展開したら1回目の間引き
ビーツの双葉が展開したら1回目の間引きをします。生育が悪い株や葉が傷んでいる株、混みあった部分の株を引き抜きましょう。他の株が抜けないように、間引きする株の株元を指で押さえて引き抜くのがコツです。畑なら1か所2株に、プランターなら1か所3株に間引きます。
共通の育て方:本葉が3枚になったら2回目の間引き
本葉が3~4枚になったら2回目の間引きを行います。他の株の根を傷めないようにハサミを使って株元から切り、1か所1株になるようにしてください。株間の目安は10~12cmです。本葉と本葉が触れ合う程度の間隔になるように間引きするのがポイントです。間引いた葉はベビーリーフとして食べられます。
ビーツの育て方:間引き
- 共通の育て方:双葉展開後1か所2~3株に間引く
- 共通の育て方:本葉が3枚になったら1か所1株に間引く
ビーツの育て方:追肥の方法と選び方
共通の育て方:追肥には有機配合肥料の8-8-8を使う
2回目の間引きが終わったら追肥をします。追肥には8-8-8の有機配合肥料が簡単に使えるのでおすすめです。畑なら必要に応じて条間に追肥を施し、株元に土寄せします。
プランターなら土の表面に肥料をまき、ほぐすように肥料と土を混ぜてたっぷりと水を与えましょう。プランターは畑に比べて肥料不足になりやすいので、1か月に1回を目安に追肥します。
畑での育て方:葉の色が悪くなったら追肥が必要
ビーツの葉の色が悪くなったら肥料不足が起こっているので、畑でも追肥が必要です。追肥では速効性の高い肥料を与えてください。肥料の袋などに書かれている8-8-8という数字は窒素、リン酸、カリがそれぞれ100g中8g含まれていることを表しています。
窒素は葉や茎の、リン酸は花や実の、カリは根の生育に重要です。それぞれ「葉肥」「実肥」「根肥」ともいわれる肥料の三要素で、これらの成分は数字が大きいほど多く含まれています。
共通の育て方:緊急の追肥には液体肥料を与える
ビーツの葉の色が悪くなったまま放っておくと下葉から枯れてきます。もし追肥が遅れてこのような状態になってしまったら、速効性がより高い液体肥料を与えてください。通常の追肥では速効性と緩効性をあわせもつ固形肥料を使用します。
共通の育て方:化学肥料と有機質肥料
化学肥料は天然鉱石などを、有機質肥料は家畜のふんなどを原料にした肥料です。化学肥料は有機質肥料より速効性が高く、有機質肥料は化学肥料より緩効性が高いという特徴がありますが、化学肥料は単独で使い続けると土の中の微生物が減少して土壌が悪化します。
有機配合肥料やぼかし肥は有機質肥料のひとつ、化成肥料や配合肥料は化学肥料のひとつです。追肥したらカビが生えないように、肥料を土とよく混ぜ合わせておきましょう。
ビーツの育て方:追肥
- 共通の育て方:追肥には有機配合肥料8-8-8を使う
- 畑での育て方:葉の色が悪くなったら追肥する
- コンテナ栽培:1か月に1回を目安に追肥する
- 共通の育て方:肥料は土と混ぜ合わせてたっぷりと水をやる
ビーツの育て方:収穫方法と収穫後の注意点
共通の育て方:栽培日数と根の直径を目安に収穫する
秋まきのビーツの収穫時期は冷涼地では10月上旬~11月上旬、中間地や暖地では11月上旬~12月下旬が目安です。種まきから60~70日後、根の直径が5cmほどになったら収穫します。葉のつけ根を持って引き抜いて収穫しましょう。収穫が遅れると根がかたくなり、筋が入って食感が悪くなるのでタイミングを逃さないように注意します。
共通の育て方:ビーツを同じ土で続けて栽培しない
連作障害が起きてビーツの生育が悪くなるので、収穫後少なくとも1年はビーツやビーツと同じ科の野菜を同じ土で栽培しないようにします。連作障害を防ぐ簡単な方法は科の異なる野菜を栽培することです。プランター栽培であれば、土を再生させてから再利用する方法もあります。
ビーツの育て方:収穫方法と注意点
- 共通の育て方:根の直径が5cmになったら収穫する
- 共通の育て方:葉のつけ根を持って引き抜いて収穫する
- 共通の育て方:同じ土でアカザ科やヒユ科の野菜を連作しない
ホームセンターで購入できるビーツの品種
強健で作りやすい品種「デトロイトダークレッド」
食用ビーツ デトロイト・ダークレッド
デトロイトダークレッドは、ビーツの中でも強健で作りやすい晩生(おくて)の品種です。球体の根は肉質が柔らかく緻密で甘みが強いのが特徴で、サラダやピクルス、ボルシチなどに利用できます。畑で栽培する方におすすめの品種です。
プランターで栽培できる品種「あま~いサラダビーツ」
あま~いサラダビーツ
あま~いサラダビーツは、成熟するまでの期間が長い晩生の品種ですが、株の勢いが強いので初心者の方でもポイントを押さえておけば簡単に栽培できます。赤色の鮮やかな根はサラダに好適で、ビーツをプランターで栽培したい方におすすめです。
家庭菜園のための水やりの基礎知識
夏場は朝に、冬場は昼前に水やりを行う
土が乾燥したら、気温が高くなる前に水をたっぷりと与えるのが基本的な水やりの方法です。そのため夏場は朝のうちに水やりを行い、水分が不足した時にはさらに日中追加の水やりをします。一方、冬場は朝に水やりを行うと寒さで土が凍ってしまい根を傷めてしまう可能性があるので、気温が高くなる昼前が水やりのタイミングです。
発芽するまでは土を乾燥させない
ビーツ以外の野菜を栽培する場合も、発芽するまでは土を乾燥させないように注意します。プランターで栽培するのであれば、鉢皿などに水を張って鉢の底から水を吸水させる方法も可能です。この方法は水分不足で葉がしおれた株の水やりにも使えます。
ビーツのような好光性の種をまいた時は、種が流れないように注意して水やりをしてください。あらかじめ土をたっぷりの水で湿らせてから種をまき、種まき後は種と土を密着させる程度に水を与える方法もあります。
家庭菜園のための土と肥料の基礎知識
堆肥の効果と使用方法
堆肥とは、家畜のふんや落ち葉やわらなどの有機物を堆積して発酵させた肥料のことで、土をふかふかにする土壌改良効果があります。完熟のものを元肥として土に混ぜて使ってください。
牛ふん堆肥や鶏ふん堆肥などは動物性堆肥、バーク堆肥や腐葉土などは植物性堆肥です。においがあるものやベタベタしたものは未熟なので、土に混ぜて2~3週間おいてから使用します。
培養土の効果と使用方法
培養土とは、数種類の用土が配合されていて野菜などの栽培にそのまま使える土です。通気性や保水性を高める効果があり、肥料分が入っている培養土の場合は肥料分を補う効果もあります。自分で土を配合することもできますが、家庭菜園初心者の方には肥料分が入った培養土の使用がおすすめです。
鹿沼土と赤玉土の効果と使用方法
鹿沼土とは、関東ローム層でとれる軽石のことです。水はけがよく保水性があり、粒が硬いほどこれらの効果が高くなります。一方、赤玉土とは赤土を乾燥させたもののことです。通気性や保水性、保肥性に優れています。
大粒の赤土は水はけをよくするためにプランターの底に入れることもあります。乾燥が不十分だと粒が潰れやすいので、よく観察して購入してください。
秋の家庭菜園はビーツの栽培を楽しもう
ビーツは育て方が簡単で初心者にも作りやすい
今回はビーツの育て方を解説しました。ビーツは晩生で栽培期間こそ長めですが、作業が簡単で、プランターでも栽培できるので野菜づくりがはじめての方にも作りやすい野菜です。収穫したビーツはゆでたり焼いたりするだけでも食べられるので、たくさん収穫してさまざまなビーツ料理をお楽しみください。
秋まき野菜が気になる方はこちらをチェック!
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