春菊は育て方が簡単な香りある葉物野菜
春菊は香りが特徴的な葉物野菜です。冬の鍋料理はもちろん、常備菜のおひたしや新芽を使ったサラダなども人気です。カルシウム、鉄分、リン、ビタミン類など栄養分も非常に豊富で家に植えてあると重宝する野菜といえるでしょう。
また、育て方が簡単でプランター栽培も可能なのもうれしいポイントですね。
春菊とは
春菊は地中海沿岸を原産地とするキク科キク属の野菜です。一口に春菊といっても、日本で栽培できる春菊の品種は多く、葉の切れ込み具合によって3つに大別されます。
また、収穫方法によっても分類可能で、苗を引き抜くもの、出た葉をカットして収穫する方法をとるものなどさまざまです。このように自分に合った栽培スタイルが選びやすい野菜でもあるため、家庭菜園初心者にもおすすめできます。
【育て方の疑問】栽培期間はどのくらい?
春菊は栽培期間が短いのが特徴であり魅力です。種まきをしてから2か月前後という短い期間で収穫できるようになります。そのため水やりや病害虫対策にかける時間も少なく、忙しいなか挑戦する家庭菜園の野菜にもおすすめです。
春菊の育て方【基本の栽培・管理方法】
春菊の栽培時期は年2回。種まきを春にする春まきと秋に種まきする秋まきです。もともとは冷涼な環境で育つ作物ですが、品種改良によって春でも栽培可能になりました。
ただし、長日に反応するとトウ立ちし、葉や茎が固く食味が落ちるため最初の栽培は育て方も簡単な秋まきがおすすめです。
育て方【基本の栽培・管理方法】①土作りの手順
春菊の育て方で注意すべきは土壌pHです。春菊は酸性土壌に向きません。畑は何度も繰り返し作物を育てるうちに酸性へとpHが傾きます。そのため、種まき前に苦土石灰でpHを弱アルカリ性に調整しましょう。
種まき2週間前に土に苦土石灰を散布しよく耕します。次に種まき1週間前に堆肥と化成肥料を散布してよく耕してから畝立てしましょう。
育て方【基本の栽培・管理方法】②畝立ての手順
畝の高さは10cmほどにします。畝立ての際に土に混ざる石はなるべく取り除き、土の塊はあらかじめ砕いておくと発芽をそろえやすくなります。また、畝幅は1つの畝にまく種筋によって決めましょう。筋の間隔は品種にもよりますが最低20cmは開けます。
育て方【基本の栽培・管理方法】②種まきの手順
春菊の主な種まき方法は筋まきです。表面を平らにした畝に平行に浅く筋を入れ、そこへ種を一列にまいていきましょう。一見単純に思える筋まきですが、育て方のなかでも繊細さが要求されます。種と種の間隔は1cmを保ちましょう。
種まきを終えたらうっすらと土をかぶせます。春菊の発芽には光が必要で深く覆土すると発芽しません。
【育て方の疑問】種の間隔が1cm以下ではなぜだめなの?
苗の成長とともに間引きという作業が必要になりますが、種と種の間隔が狭すぎると間引き作業が非常に厄介になります。また、間引く際に残しておくべき苗を傷つけることもあるため、種の間隔を守るのは重要な育て方のポイントです。
育て方【基本の栽培・管理方法】③水やり
種まきを終えたら柔らかな水流で水やりします。前述したように春菊の発芽には光が必要ですが、その一方で発芽までの期間は乾燥に弱いという特性も。そのため、種まきから発芽までは乾燥に気を付けながら水やりをしましょう。
成長が順調であれば種まきから約1週間で発芽します。その後は土が乾燥しているときは適宜水やりをおこないます。プランター栽培の場合はとくに乾燥に気を付けましょう。
育て方【基本の栽培・管理方法】④間引きの手順
間引きは種まき後、込み入った芽を摘んで残した芽を大きく育てる育て方です。春菊も間引きの工程は重要で、葉の展開に応じて2~3回おこないます。
プランター栽培でも同様に、苗と苗の間隔を保つために間引きましょう。間引きしないと苗が込み合って日光が遮られ、成長阻害を起こしたり病害虫発生の原因になったりします。
1回目の間引き期間
1回目の間引きは春菊の本葉が2~3枚になったころ行います。苗と苗の間隔が3cm前後になるように調節しながら、生育の悪い苗を優先して引き抜きましょう。このとき、一緒に周りに生えた雑草も抜いておくと手入れが一度で済みます。
2回目の間引き期間
2回目の間引きは本葉が5枚になったころします。株と株の間隔はさらにあけ、6cmほどを保ちます。このときに再び雑草防除もしてしまいましょう。
なお、前述したように春菊には根から引き抜いて収穫する品種と、出た葉をカットして根は土に残しておく摘み取り型の品種があります。引き抜いて収穫する品種の間隔は6cmほどあければよいですが、摘み取り型品種は株の間隔が10~15cmになるまで間引きを続けましょう。
育て方【基本の栽培・管理方法】⑤追肥・土寄せの手順
追肥が育て方で重要な野菜もありますが、春菊の肥料要求性はそこまで高くありません。そのため、追肥は2回目の間引きのときに与える程度で十分です。収穫までの期間が短く、追肥も少なく済みます。
2回目の間引きが終わり、雑草防除をおこなったあと、化成肥料を1㎡あたり30~40g程度追肥しましょう。畑であれば畝の間、プランターであれば株元に追肥します。その後、春菊の根が露出して乾燥しないように土寄せしましょう。
【育て方のポイント】液肥で追肥するのもおすすめ
プランター栽培などでは追肥に液体肥料(液肥)を使うのもおすすめです。水やりの水に適量の液肥を薄めて与えるだけで追肥が完了します。液肥は即効性があるため、肥料切れを起こして生育が落ち込んでしまったときにも効果的です。
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育て方【基本の栽培・管理方法】⑥収穫の手順
株こと土から引き抜いて収穫する品種の収穫の目安は本葉が8枚ほど、草丈が20cmほどになったころです。根ごと土から引き抜き、根を切り落としましょう。
葉をカットして摘み取る品種は本葉が8~10枚になったころに収穫します。下の葉を3~4枚残るところで茎ごとカットしましょう。その後はわき芽が出てきますので、下の葉を数枚残しながら収穫を続けます。
【育て方のポイント】春まきは収穫を早めに
摘み取り型の品種はいつまでも収穫できるように思いますが、春まき品種は収穫時期が短いことを覚えておきましょう。春菊は長日に当たるとトウだちしやすく、花を咲かせてしまいます。
トウだちすると茎や葉が固くなり食味が損なわれます。早めの収穫がおいしい春菊の育て方のポイントでしょう。
春菊の育て方【病害虫対策】
春菊は栽培期間が短いため、病害虫に襲われるリスクも少ない野菜です。それも家庭菜園やプランター栽培で人気の理由の1つでしょう。
しかし、適切な育て方をしていないと春菊であっても病害虫の被害にあうことがあります。春菊の育て方で重要な病害虫対策についてチェックしておきましょう。
育て方【病害虫対策】①主な病気
春菊がかかりやすい病気にはべと病や炭そ病が挙げられます。いずれも風通しよく水はけのよい環境を作ることで発生を減らせるでしょう。そのため、間引きや雑草防除は重要な予防手段です。
しかし、長雨が続くような時期は発生しやすくなります。そのようなときは薬剤散布もひとつの手段です。早めの対策で病害虫の被害拡大を押さえましょう。
育て方【病害虫対策】②主な害虫
春菊につくおもな害虫はアブラムシやネキリムシ、ヨトウムシなどです。少しの発生であれば手で駆除してしまいましょう。アブラムシなどの害虫は風通しの悪い場所で発生しやすいため、病気の対策同様に風通しがよく水はけのよい環境づくりが有効です。
毎年大量発生してしまうといったときは、種まき時にオルトランなどの薬剤を土壌散布する方法もおすすめです。
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春菊の育て方【注意すべきポイント】
基本的な育て方をしていてもうまく春菊が育たない場合はこれから紹介するポイントをクリアーできているか確認してみましょう。春菊は育て方が簡単で、プランター栽培も容易な野菜です。ひとつひとつの育て方を押さえておけばきっと改善できるでしょう。
春菊の育て方【注意すべきポイント】①土壌pH
春菊の育て方で重要なのが土壌pHです。酸性土壌で春菊はうまく育ちません。土に苦土石灰を混ぜ込んでpH調整をしなかったり、以前使ったプランターの土を使いまわしていたりするとpHは酸性に偏りがちです。土壌pHが原因で栽培を失敗しやすいのであれば、土壌pHメーターを購入するのもおすすめです。
ひとつ土壌pHメーターがあればいつでも簡単に測定でき、栽培する植物や野菜に合った土作りをしやすくなります。
【育て方のポイント】覆土の厚さもチェック!
春菊は発芽させるのが第一関門です。種に土を厚くかぶせすぎると光が届かず、発芽率が下がります。種まきしたあとの覆土は1mm程度にし、うっすら種が見えている程度にしましょう。種まき前に一晩浸水させるのも発芽率を上げるために有効です。
春菊の育て方【注意すべきポイント】②乾燥
土壌pHに続いて春菊の育て方で注意すべきは乾燥です。春菊は乾燥に弱く、とくに種まきから発芽までは水やりが重要になります。発芽後も土がカサカサになる前に水やりしましょう。
ただし、水はけが悪い土や風通しの悪い場所で育てている場合は過剰な水やりは多湿の原因にもなり、病害虫が発生しやすくなります。春菊の葉のしおれ具合や成長度合いを見ながら水やりしましょう。
春菊の育て方【注意すべきポイント】③過湿
水やり以外にも過湿になる原因があります。間引きや雑草防除をせずそのままにしていると葉が込み合い、過湿になり病害虫が発生しやすくなるでしょう。病害虫の発生以外にも春菊が徒長したり、株の中が枯れてしまいます。健全な苗の育て方には間引きは欠かせません。
育て方が簡単!春菊の人気品種
春菊の基本的な育て方や病害虫対策、育て方のコツをご紹介しました。最後におすすめ品種をご紹介します。前述したように葉の大きさや収穫スタイルによって春菊の品種はさまざまです。
しかし、基本的な育て方はどれも同じ。自分が食べてみたいものや気になった品種の栽培に挑戦してみましょう。
【育て方が簡単】春菊の人気品種①中葉春菊
中葉春菊はもっともポピュラーな品種です。わき芽が多く出るため立派な株にしあがる品種にもかかわらず育て方も簡単。家庭菜園初心者にもおすすめです。香りが豊かで肉厚な葉のため鍋物やおひたしに人気があります。また、耐寒性にも優れた品種で12月ごろまで収穫可能です。
【育て方が簡単】春菊の人気品種②きくまろ
エスニックブームもあって、春菊を生で味わう食べ方も人気です。きくまろは生食もできる品種で通常の春菊より香りは控えめ。そのためサラダでたっぷり食べてもおいしく最後まで味わえるでしょう。もちろん鍋物などにも使えます。摘み取り型の収穫には不向きです。
【育て方が簡単】春菊の人気品種③さとゆたか
さとゆたかは摘み取り型品種です。もっとも食べられている中葉型で香りが強く春菊好きから人気があります。また、べと病にも強く、育て方が簡単なのも人気の理由でしょう。種まきを続ければ12月半ばまで栽培可能です。
鍋にお浸しに活躍!春菊を育てよう
育て方が簡単な春菊は一度コツをつかめばつぎつぎ収穫できる野菜です。春まき、秋まきと続ければほぼ一年中楽しめ、鍋にお浸しにと家庭で重宝するでしょう。ただし、春菊は連作障害をおこすため、同じ場所でずっと育てるのではなく一度収穫した場所は1~2年開けるようにしましょう。
春菊の育て方について気になった方はこちらもチェック
育て方のコツを押さえれば春菊はたっぷり収穫できますよ。採れたての春菊のおいしさを味わう人気のレシピについて紹介した記事はこちらです。

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