ニンニクの育て方で重要なのは植え付け時期
ニンニクはさまざまな料理に使われる野菜です。独特の香りは食欲をそそり、いつも切らさないように注意しストックしてあるご家庭も珍しくないでしょう。
近頃ではチューブや瓶詰が人気ですが、やはり収穫したての生のニンニクから得られる風味は格別です。育て方のコツを押さえれば簡単においしいニンニクを収穫できることもあり、家庭菜園や園芸作物として人気の野菜でもあります。
ニンニクとは
ニンニクはヒガンバナ科ネギ属に分類される香味野菜です。主に球根部を食べますが、茎も食べられ、「ニンニクの芽」と呼ばれて販売されています。
ヒガンバナ科ネギ属の野菜や園芸作物は多く、野菜は玉ねぎ、らっきょう、白ネギなどです。園芸作物はハナニラやアリウムなどが挙げられるでしょう。ヒガンバナ科に範囲を広げるとさらに園芸作物は増えます。
植え付けから収穫までの期間は?
ニンニクは植え付けから収穫まで約8か月もの期間がかかる野菜です。1つのちいさな小片から大きな球根に肥大させていく園芸方法なのでそれだけ期間が必要なのも当然でしょう。それぞれの時期・期間に応じた園芸・管理方法をとり適切な育て方をすることが収穫までこぎつけるコツといえます。
ニンニクの育て方【基本の栽培・管理方法】
ニンニクはさまざまな料理の香りづけや風味アップに欠かせない香味野菜です。植え付けから収穫まで8か月もの園芸期間を要するため、それぞれの時期・期間に応じた適切な管理方法に注意が必要です。基本的な育て方は球根を植えて大きくする方法で、種まきはあまり行われません。
栽培準備は秋から始めます。そこから厳しい冬を超え春を迎え、6月の収穫を目指しましょう。
育て方【基本の栽培・管理方法】①土作り
植え付ける土は水はけのものにします。水はけのよさは育て方で重要です。ニンニクはややpHが中性~やや弱酸性の土壌で育ちます。事前に土壌pH試験紙で注意してチェックしておくと確実。酸性に完全に偏っている土には苦土石灰を散布します。
植え付け2週間前に堆肥、植え付け1週間前に化成肥料をまいて畝立てします。畝の高さは10cm、幅は30cmほど。プランター栽培の場合は野菜専用の土を使用します。
【育て方のポイント】植え付け時期
ニンニクの育て方で植え付け時期は注意が必要だと繰り返していますが、具体的にはどのように植え付け期間を決めればよいでしょうか。それは土の温度です。
球根は9~10月に出回りますが、このころの土の温度を確認しましょう。育て方で冷涼な環境は非常に重要。温度が高すぎると育ちにくくなります。土の温度が20℃になるころが植え付け時期の目安。また、植え付けが遅すぎると球根が十分に成長しません。
育て方【基本の栽培・管理方法】②植え付け
育て方でポイントになるのが植え付ける球根の選び方です。野菜・園芸作物として販売されているニンニクの球根の鱗片をばらし、それを植え付けます。あまりに小さな鱗片は成長が見込めないので注意して取り除きます。薄皮はそのままで構いません。
鱗片はとがった方を上にし植え付けましょう。深さは5cmほど、鱗片どうしの間隔は15cmほどあけます。
種まきで育てられる?
基本的には種まきでは育てません。アリウムのように鑑賞が目的の園芸作物の場合、種まきで育てることもありますが、野菜のニンニクは種まきよりも1つの球根をばらして植える育て方が主です。そのほうが種まきよりも大きな収量を見込めるからです。
ただし、一度ニンニクを栽培し、花を咲かせて種(むかご)が収穫できればそれを種まきして大きくすることも可能です。
育て方【基本の栽培・管理方法】③水やり
植え付け後、約1週間で芽を出すでしょう。ニンニクの育て方は球根を少しずつ肥大させていきます。球根は過湿が続くと腐ってしまったり病気になったりしてしまいます。ほかの多くの園芸植物にも言えることですが、土が乾燥しているときに水やりをし、常に水が湿っているような状態は避けましょう。
育て方【基本の栽培・管理方法】④追肥
続いて重要となる育て方は追肥です。小さな球根のかけらを元の球根の大きさにまで肥大させるため、多くの肥料を要求します。そのため、追肥の時期や与え方は育て方で大切なポイントです。
追肥の期間は12~3月の間に2~3回おこないます。化成肥料を1㎡あたり50g、株元にぱらぱらと施肥しましょう。降雪地帯では積雪によりニンニクは休眠するため、積雪の期間の追肥は不要です。
追肥でとくに重要な時期はいつ?
追肥はニンニクの育て方で重要ですが、とくに重要なのは冬が訪れる前の11~12月です。この時期の肥料が球根の大きさを決めるともいわれています。
育て方【基本の栽培・管理方法】⑤トウを摘む
春が訪れると冬の期間、力を蓄えていたニンニクから新しい芽がでてきます。冬はいったん地上部の葉が枯れてしまったかのように見えますが、球根が生きていれば春とともに芽吹くでしょう。つぎつぎと出てくる葉のなかに、先端に小さなツボミをもった「トウ」がたちます。
このトウを残しておくとこちらに栄養を送り球根が育たなくなるため摘んでおきましょう。摘んだものはニンニクの芽として食べられます。
【育て方のポイント】芽かきも重要
鱗片を1つしか植えていないのに、地面から2つ茎が出ている場合は細く脇からでているものを摘みましょう。これは芽かきといって、1つの球根に栄養を集中させるために重要な育て方です。じゃがいもの栽培などでも大きなサイズを収穫するのに重要な育て方になります。
種まき用の種を収穫したいときは?
ニンニクの球根ではなく、種まき用の種(むかご)を収穫したいときはトウを摘まず、そのまま花を咲かせます。紫色の丸い花を咲かせた後に種ができるのでこれを収穫し種まきしましょう。前述したとおり種まきから育てた場合、同じような育て方をしても収穫できる球根のサイズは小さくなります。
育て方【基本の栽培・管理方法】⑥収穫
4月~5月の春の期間、葉を伸ばし青々と茂りますが6月ごろになると生育が落ち込み葉が枯れだします。冷涼な環境を好むニンニクは日本の6月ごろの気候を越せません。
そのため、収穫期間は6月。土の中で放っておくと球根部の養分を使ってしまうので地上部の葉が枯れ始める6月に収穫してしまうのが育て方のポイントです。
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ニンニクの育て方【病気・害虫対策】
ニンニクの基本的な栽培・管理方法をご紹介しました。基本的な育て方をしていても収穫にたどり着けないときがあります。それは病気や害虫の被害にあったときです。
栽培期間が長いため、それだけ病害虫のリスクにもさらされやすい野菜です。育て方で大切な病害虫対策についてご説明します。
育て方【病気・害虫対策】①病気
ニンニクがかかりやすい病気はさび病と春腐病(はるぐされびょう)です。さび病はネギ属の野菜に多く発生する病気で葉を枯らすため収量に影響を与えます。いずれも水はけが悪く、蒸れやすい場所で発生しやすいため下草や雑草処理は重要な予防策です。
さび病の特徴と対策
さび病は窒素過多な土地や、周りにさび病に感染している野菜があると広がりやすいため、早めの発見・対策が重要です。窒素量は適切な量に抑え、雑草や下草は適切に処理しましょう。発生前・発生初期の薬剤散布は効果的です。
春腐病の特徴と対策
春腐病は軟腐病の一種で野菜や園芸作物に発生し、茎や葉を溶かし異臭を放ちます。長雨が続くときや水はけが悪い場所で発生しやすいため、雨による泥はねから苗を防ぐためにマルチシートを張ったり畝を高くすることも効果的です。
さび病同様、発生前・発生初期の薬剤散布が有効。感染した苗は早めに取り除きます。
育て方【病気・害虫対策】②害虫
ニンニクにつく害虫は多く、アブラムシやアザミウマ、サビダニなどさまざまです。予防策としては十分に土壌殺菌した土を使い、害虫が発生しにくい風通しのよい環境を作ること、そしてうまく薬剤を使用することでしょう。
園芸によく用いられるオルトランはさまざまな害虫の発生に効果的なためおすすめ。時期を確認しながら使用を検討します。
ニンニクの育て方【栽培の注意点】
ニンニクは育て方のポイントさえ押さえれば大量に収穫できる野菜です。まず最初に冷涼な時期に植え付けること、その土地に合った品種を選ぶこと、適切な農薬を使用し病害虫の発生を未然に防ぐことなどがより品質のいいニンニクを収穫するコツといえるでしょう。知っておきたい育て方のポイントをご紹介します。
育て方【栽培の注意点】①植え付け時期・品種の選定
9~10月に球根が出回り始めますが、購入してすぐ植え付けるかどうか、事前にしっかり検討しましょう。前述したようにニンニクは冷涼な環境を好むため土の温度が高すぎると腐って芽がでないこともあります。
寒冷地、温暖地それぞれの育て方に適した品種もあるためパッケージをチェックしましょう。
育て方【栽培の注意点】②適切な農薬管理
いくら冷涼な時期を選んで植え付けをしても気候は変化します。冷涼になったと思って植え付けても急に暑さが戻ったり、思わぬ長雨が続いて病害虫が発生することもあるでしょう。発生前の予防・発生初期の対策に少量の農薬は有効に働く場合が多いです。
ただし、農薬によっては収穫から逆算して使用期限が定められているものもあるため使用するタイミングには注意が必要です。
育て方【栽培の注意点】③未然に病害虫を防ぐ
農薬を使わない育て方をしたいのであれば、病害虫が発生しにくい環境づくりが重要。たとえばマルチシートは有効な手段です。マルチシートで雑草の発生が抑えられ害虫や病気の発生が減らせます。
また、雨による泥はねは病原菌が広がる原因の1つですがそういったものもマルチシートによって防げるでしょう。これはほかの作物の育て方にも共通しています。
おすすめのニンニク品種
さまざまなニンニクの育て方のポイントをご紹介してきました。ニンニクの育て方で重要なのは植え付け時期・追肥・病害虫対策ですがそれらと同じくらい育て方に影響を与えるのが品種選びです。
病気への抵抗性を持つ品種などもあるため初心者はそういった品種を選ぶのもおすすめです。人気のニンニクの品種をご紹介します。
おすすめのニンニク品種①福地ホワイト六片
「福地ホワイト六片」は青森県が発祥の地です。ブランドニンニクとして不動の地位を築いている品種ともいえるでしょう。青森が原産地というだけあってより冷涼な土地を好むため、寒冷地の栽培におすすめ。ごろりと大きく風味が豊かな「福地ホワイト六片」は温暖地での育て方はやや困難です。
おすすめのニンニク品種②上海早生
上海早生(しゃんはいわせ)は温暖な地域で栽培可能な品種。福地ホワイト六片のようにごろりとした大きな鱗片ではなく、やや小ぶりな球根ですが成長が早く短い管理で済むのが魅力です。夏の訪れが早い関東以西での栽培におすすめの品種でしょう。
おすすめのニンニク品種③遠州極早生
遠州極早生(えんしゅうごくわせ)は静岡県で古くから栽培されている品種です。温暖な地域で栽培するため、冬に休眠せず成長し続けます。そのため栽培期間が短く、暖地系品種の中でもより早く収穫可能です。
通常、ニンニクの収穫は6月ごろですがこの遠州極早生は休眠しないため4月に収穫期を迎えます。
育て方のコツを押さえてニンニク収穫!
種まきではなく、主に球根の鱗片を植えて大きくする育て方をするのがニンニク栽培の特徴といえるでしょう。栽培期間が長いのがネックではありますが、冬にあまりやすい畑のスペースを埋めてくれる野菜ともいえます。育て方のコツを押さえて香り豊かなニンニクを楽しみましょう。
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