さつまいもの育て方・品種と方法を決めよう
さつまいもは園芸作物の中では比較的簡単に栽培できます。苗を確保してそれを畑に挿し、あとは水をやっておけばさつまいもは収穫できるでしょう。ただ、よりおいしいさつまいもを収穫するには、ある程度の手間や育て方の知識が必要です。初めてでも立派なさつまいもができる育て方を詳しく紹介していきます。※この記事は2021年8月の情報によります
育てるさつまいもはホクホク系?ねっとり系?
さつまいもが江戸時代初期に沖縄経由で九州に伝わってから約400年あまり。現在にいたるまで品種改良が絶え間なく行われてきました。現在栽培されている品種は数十種と推定されますが、食味によってほくほく系、しっとり系、ねっとり系に大別されます。
さつまいもの食べ方は、焼き芋、干し芋、蒸し芋、天ぷらなどがあり、それぞれに向いた食味があります。せっかく育てるのだから、好きな食べ方ができるさつまいもを選びましょう。
栽培しやすいさつまいもを食味によって分類
家庭菜園やプランターでさつまいもを育てるなら、簡単に育って病気や害虫に負けないさつまいもを選びたいものです。そういった多くの品種の中で、食味によって3つに分類してみました。この中から自分の好みのさつまいもを選んで育ててください。
ほくほく系さつまいもの種類とは?
まずほくほく系の品種を紹介します。でんぷん質が多く、昔から栗と比較されてきた品種です。干し芋以外は何でもおいしくいただけるでしょう。
紅アズマ | 関東以北に普及、育てやすく上品な甘味 |
鳴門金時 | 西日本で生産、育てやすく高糖度 |
紅こがね | 東日本に多く、ややしっとり質も併せ持つ |
ねっとり系さつまいもの種類とは?
次はねっとり系です。昔はほくほくが人気でしたが近年はねっとりブームが起き、人気度は上昇傾向にあります。焼き芋がおいしいと評判ですが、特に干し芋にすると絶品です。
安納芋 | 人気度急上昇、収穫後の冬に甘味が増す |
クイックスイート | 2017年登場、粘度が高くレンジで焼ける |
紅春香 | 安納芋のライバル、甘くてなめらか |
しっとり系さつまいもの種類とは?
続いてしっとり系です。ほくほくとねっとりの中間的な存在になります。適度な粘りがあって焼き芋でもふかし芋でもオールマイティですが、焼き芋がベストでしょう。
紅まさり | 糖度抜群でスイーツ並み、1~3月が食べ頃 |
シルクスイート | 代表的なしっとり系、なめらかで焼き芋向き |
めんげ芋 | 甘味が強く繊維が少ない、加工もOK |
育て方の最初は種芋から?それとも苗から育てる?
さつまいもにも花が咲いてタネがとれます。それを蒔いて芽を出させる育て方もできますが、そうやって伸びてくるツルからは、さつまいもになる不定根という根があまり出ません。普通はたくさん収穫したいので、この育て方を選ぶ人はあまりいないでしょう。家庭菜園やプランターで栽培する場合、基本的に種芋を使うか苗を買うかどちらかの育て方になります。
さつまいもの栽培は苗を買う育て方がおすすめ
種芋からの育て方では、まず種芋から発芽させ30㎝ほどになったツルを採ります。これを苗として家庭菜園などに植える育て方です。種芋を植えてから苗が採れるまでに約40~50日かかり、その間水やりから温度管理まで手間と時間を取られます。
さつまいも農家でも、苗を買う育て方のほうが多いようです。種芋だと前年からの管理が大変だし、発芽から苗採りまででもかなり手間がかかります。それよりも手っ取り早く苗を買って、植えるだけの育て方のほうがはるかに簡単なのです。
さつまいも栽培を楽しむ種芋からの育て方
趣味としてさつまいもを栽培するのなら、種芋から芽を出させる育て方も楽しいものです。芽を出したさつまいもは、よくインテリアにもされます。種芋は市販の大ぶりな芋で十分で、簡単な水耕栽培がおすすめです。苗を植える時期は5~6月なので、それから逆算して3月ごろにはとりかかりましょう。
苗の育て方・温度管理下で40~50日で苗が完成!
栽培容器は2ℓのペットボトルを縦割りにしたものが手軽です。種芋を48度のお湯で熱湯を足しながら40分間殺菌してください。ペットボトルには芋の3分の1が浸る量の水と水耕栽培用肥料の混合液を入れます。気温が25度以下にならないよう、日当たりのいい暖かい場所での育て方が理想的です。
水が濁るのは雑菌の繁殖です。そうならないよう毎日水を替えて温度管理しながら発芽を待ちます。発芽の後40~50日後に、ツルが30cmほど伸びて本葉が6枚前後に育てば苗の完成です。
さつまいもの育て方・栽培するスケジュール
さつまいもは熱帯が原産地です。温帯の日本では寒さの影響を受けやすいので、夏に成長、秋に収穫といったタイミングが育て方の基本になります。おおむね上記のスケジュールになりますが、地域により寒暖差が大きいので、あくまで目安の育て方です。
さつまいもの育て方は気温が最大のポイント
まず植え付け時期ですが、平均気温が18度以上、地温が15度以上になったら植え付けの適期です。そうはいっても細かい平均気温などはわからないので、遅霜の心配がなくなり、日中日差しがあれば汗ばむ陽気、という季節を目安にすればいいでしょう。
遅くとも梅雨入りまでには植え付けを済ませます。成長期には梅雨明けから真夏にかけての強い日射と高温を目いっぱい利用する育て方がベストです。収穫は最高気温が20度台で安定する秋口からで、遅れて早霜に当てないように注意しましょう。
さつまいもの育て方・苗の植え方を詳しく解説
さつまいもは苗を植える畑の整備が育て方の基本
さつまいもの育て方の本番・植え付けですが、植える前には土壌の準備が欠かせません。さつまいもは水はけがよく養分の少ないやせ地でよく育つので、肥料分が少なく乾燥しやすい砂混じり土が最適地。水はけが最優先です。
よく肥えた土や保湿性がある粘土質の土での育て方では、ツルばかり伸びるツルボケという状態になるので注意してください。さつまいもが育てやすい畑というのは、「水はけがよく乾燥したやせ地」なのです。
肥料は最低限度にするのが育て方のポイント
家庭菜園の場合は、植え付け前に1㎡当り苦土石灰100g、堆肥2㎏、窒素の少ない芋用肥料200gを混ぜ散水して1週間おいてください。次に幅60㎝、高さ30cmほどの畝を作り、マルチと呼ばれる黒いビニールで覆います。保水・保温・雑草除けが目的です。
プランターを使う場合は、苗の間隔が取れる幅60㎝以上、深さ最低30cmの大型を用意、赤玉土4:腐葉土・バーミキュライト6の割合の土を使います。肥料はバケツ1杯の土に苦土石灰10g、芋用肥料20gが目安で10日ほど放置すればOKです。
植え方によって収穫量が違うさつまいも
順調に成長して本葉を数枚出し、30㎝ほどに育った苗をいよいよ植え付けていきます。買ってきた苗はしなびているかもしれませんが、それは心配いりません。植え付けると葉の大半は枯れても、同時に根が伸びるのですぐに芽も出てきます。
マルチで覆った家庭菜園の場合は、シートに30cm間隔で切れ目を入れ、用意した苗を1本ずつ挿して行きます。プランターなら長細いくぼみを掘ってそこへ植え付けます。どの育て方にしても、苗の生長点がある先端部は必ず地表に出してください。
さつまいもの数が増える斜め植えと水平植え
少し手間がかかる植え方ですが、畑の畝に長細い溝を掘り、そこに苗を横たえるように置くのを水平植え、さらに中央部を深くへこませるのを船底植えと呼びます。どちらも節がたくさん地中に入るので、それだけ収穫量が期待できます。
マルチを使う場合は、切れ目から斜めに穴を開け、そこから苗を差し込む斜め植えが簡単です。苗が活着しやすく収量も多いので、農家がよく使います。どの方法も先端を地表に出すのは同じです。苗の間隔は、どの方法でも30cmを確保してください。
さつまいもを垂直植えにする育て方で大きな芋ができる
一番簡単なさつまいもの植え方は、畑に棒で垂直に穴をあけ、そこに苗を差し込む方法です。一番手間のかからない植え方ですが、芋ができる節(葉が出ている部分)が地中にあまり入らないので、さつまいもの数が少なくなります。ただ、1個あたりのサイズは大きくできるでしょう。
ちなみに、さつまいもの苗は「挿し穂」と呼ばれます。稲穂のように実のなる茎なので穂と呼んだのでしょう。土に挿すので挿し穂と、とても直感的な呼び名です。挿し穂を育てるのが、最も簡単なさつまいもの育て方になります。
さつまいもの育て方で苗を植えた後の水やりは?
プランターによる育て方では、苗を植えた直後一週間は、発根を促すためにたっぷり水やりをしてください。マルチシートを使う場合はかぶせる前に水やりしておくので、植えた直後に根元に水やりすれば、あとは必要ありません。
どんな育て方でも、苗を植えた後には必ず葉がしおれます。場合によっては枯れてしまうこともありますが、気にしないで大丈夫です。先端の成長点が生きていれば、必ず新芽がでてきます。水やりは根付かせるためで、苗の葉を元気にするためではありません。
さつまいもの育て方・植えてからやるべきこと
さつまいもは、育て方が簡単とか栽培しやすい園芸作物とよく言われます。それは事実で、苗を植えて無事に新芽が出始めたら、あれこれ世話をやかなくてもちゃんと育てられます。それでも放置できるわけではなく、育て方への注意点を以下にまとめました。
さつまいもの発根後の育て方は基本的に雨水だけで肥料は不要
さつまいもの原産地は、中米の乾燥した熱帯地方です。そのために、他の作物が育てられない荒地でも収穫できる貴重な作物で、アフリカや中国、東アジアで広く栽培されています。そのため水利のいい日本でも、あえて水の心配をする必要がありません。
日本では基本的に雨水だけの育て方ができます。真夏に晴天が長く続くような場合だけ、畝間に水やりをしてください。ただ、プランターの場合は表土からの蒸発が多いので、土が乾ききったら水やりします。生育中の肥料は特に必要ありません。
さつまいもの育て方で除草は必須の作業
さつまいもを植えてしばらくの間は、どうしても雑草が生えてきます。植えてから地面が見えている間は、できるだけ頻繁に雑草を抜いてください。やがてツルが伸びると地面が日照不足になって、雑草もあまり生えなくなります。
植えてから1ヵ月ほどまでの間で雑草取りをしないと、8月頃には雑草と芋が絡まり合って成長してしまいます。8月ごろに雑草取りをすると雑草と共に若い芋までいっしょに抜いてしまう恐れがあるので注意してください。
病害虫には強いさつまいもなので特に対策は不要
さつまいもに発生する病害虫はいろいろあります。それぞれに対応しようとする育て方では大量の薬剤が必要になるので、完璧に排除することは素人には難しいでしょう。
幸いなことに、さつまいもは病害虫に比較的強い作物です。壊滅的な被害を受けることは少ないので、何か虫を見つけたら汎用の殺虫剤をまく程度の育て方で収まるでしょう。ただ、病害虫は連作すると次第に増えるので、連作を避ける育て方も有効な病害虫対策になります。
さつまいもの育て方・収穫の時期と保存方法
さつまいもの育て方最終段階・収穫時期を知る方法
さつまいもは地中にあるので、収穫時期がよくわかりません。夏が終わって涼しくなれば掘ってみたくなりますが、その時点ではまだ糖やデンプンを貯め込んでいます。収穫時期は、植え付けてから120~140日後、葉が活動を止め黄色くなり始めるのが目安です。
収穫時期を知る方法で何より確かなのが試し掘りです、畝の横から園芸用移植ごてなどで1~2本掘り出してみましょう。食べてみて甘味が十分ならOK。収穫を開始してください。
さつまいもの収穫は晴れた日がベスト
掘り出したさつまいもは湿気を嫌います。水分を飛ばせるように、晴れた日の午前中に掘り出してください。まず、ツルを根元で刈り取り、マルチをはがします。次は畝の横からクワを入れ、畝を崩します。さつまいもが現れたら、ツルをつかんで一息に収穫しましょう。
掘った芋は、風通しのいい日陰に並べて乾燥させてください。そのまま10日~2週間おくと、デンプンが糖化して甘味が増します。その後、新聞紙で1個ずつ巻いて、ダンボール箱などで物置に保管すれば長期保存が可能です。
ねっとり系のさつまいもは長期保存で甘味アップ
ねっとりした食感の安納芋や、しっとり系の紅まさりといった品種は、長期保存するうちにデンプンが糖に変わり、より一層甘味が増すという特長があります。
一般的ないもの保存は冬の初めまでですが、この焼き芋向きの品種は、年を越して3月頃まで保存できます。保存するほど甘くなるという安納芋、紅まさりは、まさに冬がおいしい焼き芋のためのさつまいもといっていいでしょう。
味を落とさないで上手に保管する方法と保存期限
さつまいもは熱帯地方の出身なので、保存する場合は冷蔵は避けてください。できるだけ10度以下に下がらない場所で保存します。そのため保存期間は限られていて、一般的には収穫後1ヵ月程度でしょう。冬になって寒くなると、低温の影響で傷み始めます。
保存する場合は、畑で収穫した土つきのままで保存しましょう。洗ったりすると乾燥し過ぎて甘味が失われます。また、収穫期が早い鳴門金時などは冷蔵保存もできますが、野菜室に入れるか温度調整で10度以上を保ってください。
さつまいもの育て方・意外と簡単に育てられる
さつまいもにはいろいろな種類があって、食べ方もいろいろ。自分が好きなさつまいもをたくさん食べたい人は、自分で育ててみてください。育て方は決して難しくはありません。
ツルが伸びるので、できれば家庭菜園があればベストですが、プランターを使う育て方でも大丈夫です。土選びを間違えなければ、植えた後は初期の草取りと最低限の水やりだけで育てられます。特に手間をかけた育て方をしなくても、約4ヵ月でおいしいさつまいもがどっさり収穫できるでしょう。
家庭菜園でできる野菜の育て方が気になる方はこちらをチェック!
育て方が簡単なさつまいもが成功したら、次は何を作ろうかと考えるはずです。少し難易度の高い育て方にも挑戦したくなるでしょう。そんな方に役立つ記事を挙げておきますので、これを参考にワンランク上の野菜の育て方にチャレンジしてみてください。

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