多肉植物・神刀の育て方を解説!
近年、空前のブームといわれている多肉植物の栽培。サボテンやアロエ、リュウゼツランなど数多くの種類を育てて楽しむ方が増えました。その種類の大半はアフリカやアメリカ大陸の乾燥した地方が原産国です。
気象条件によって実にユニークな形を楽しめる多肉植物の中で、今回は南アフリカを中心とする地方を原産国とするベンケイソウ科クラッスラ属の神刀の休眠期の管理や、根腐れを回避する水やり方法をはじめとした育て方を解説します。
多肉植物・神刀の特徴
クラッスラ属の多肉植物
神刀はベンケイソウ科クラッスラ属の多肉植物です。学名はCrassula falcata(=Crassula perfoliata var.falcata)と表記します。クラッスラ属はベンケイソウ科の代表的な属で、主に南アフリカやマダガスカルを原産地とする多肉植物です。
クラッスラ属の多肉植物は砂漠や草原、岩場の荒涼とした環境に自生し、葉の厚い種類が多いのが特徴で、神刀もその1つとなります。
神刀は原種で多くの園芸品種がある
神刀は原種で、神刀からたくさんの園芸品種が誕生しています。神刀が元の品種となる園芸品種にはクラスラ属の仲間の「アイボリーパゴダ」や、同じくクラスラ属の仲間の「紀の川」なども有名です。
アイボリーパゴダは神刀と紀の川の交配による品種。三角形の肉厚の葉が密接に重なる草姿をしている紀の川は「稚児姿(ちごすがた)」という品種と神刀の交配による品種です。
葉を左右交互に出し上に生長する
神刀の仲間であるクラッスラ属は南アフリカを中心に500種類ほど知られている魅力的な多肉植物の一大グループです。いろいろな種類がありますが、基本的には日当たりと風通しのよい場所を好みます。
クラッスラ属の中で神刀は、刀型の葉を左右交互に出して垂直に生長するのです。そして大株に育つと子株が脇から出てきます。直径20~30cmくらいの高さまで生長するのが一般的です。
冬に休眠する種類
クラッスラ属は、同じ属の中でも夏型種、冬型種、春秋型種という種類に分かれ、それぞれ生長期が異なります。その中で神刀は夏に生長する夏型種。冬場は休眠します。
神刀は、ベンケイソウ科の中でロケア属の尖刀に近い種類で、緑色で白い粉が付いているように見える刀型の葉が特徴です。夏には株の中心から花茎が伸び赤い花が咲きます。丈夫で育てやすいですが耐寒性が低いので、冬は日当たりのよい室内で管理しましょう。
神刀の上手な育て方のコツについて
管理場所は日当たりと風通しのよい場所
神刀を育てるにあたりどこで育てるか場所を決めましょう。そもそも多肉植物とは湿度が低く乾燥した、肥沃ではないけれど太陽がよく当たり水はけのよい環境に自生しています。
また昼と夜の寒暖差が大きい土地に育つ植物です。神刀も原産地の環境を考えと、管理する最低条件は日当たりと風通しのよい場所で管理すること。湿度が高い場所に置くと根腐れや葉に病気が出る場合があるので注意してください。
屋外で管理する場合
神刀を屋外で管理する場合は、雨にあたらない場所で管理することが大切です。梅雨時期や台風などの時は雨ざらしにならないように、室内に移動させることをおすすめします。
夏場の高温にも注意が必要です。直射日光が長時間あたるような場所では、よしずなどかけて日光を遮断してください。鉢植えでも土の上に直接置おくと夕立などで泥が跳ねかえり葉が痛み、またコンクリート上は夏は熱くなるので花台に置くことがおすすめです。
丈夫な神刀の選び方
初めて神刀を育てる場合は、園芸店などで神刀の株を購入して育てるのが一般的です。購入する時の株の選び方は、葉の付け根の部分が伸びていないものを選びます。また下葉をよく見て、葉が枯れたり弱っているのもはやめましょう。
よいものは色がよく、株の中心部分にある生長点の色がきれいなもの。白っぽいものはすでに日照不足でひ弱です。神刀は上に向かって伸びるので、グラつきのないしっかりしたものを探してください。
用土は市販のサボテン・多肉植物の土
鉢に使う用土は、市販のサボテン・多肉植物用の土を使うと便利です。多肉植物に最適な土を自分で配合する方もいますが、初心者や忙しい方は市販の土はすでに多肉植物の向いている状態に配合されているので手軽で簡単に使えます。
鉢の中には水はけをよくするために鉢小石と呼ばれる軽石のようなゴロゴロとした石を敷きましょう。根腐れが心配なら市販の「根腐れ防止剤入り」の鉢底石を使用するのもよいです。
夏型の神刀の季節ごとの管理方法
神刀をはじめ夏型の多肉植物の育て方では、季節ごとにこんな管理をするのが上手な育て方のコツです。夏型の神刀の株は春~初夏にかけて購入。夏に生長するので生長する前に入手するのが適切です。
購入後、鉢物はそのまま、ビニールポットのものは前項で解説した鉢底石と用土を鉢に入れて植え替えます。この時期、夏型の神刀は生長期なので多少根を傷つけてしまったも回復が早いため、この時期に入手するのがよいのです。
神刀の春の育て方
春、3~5月になると神刀は生長を始めます。屋外で育てるなら日当たりと風通しのよい軒下などで管理し、室内なら窓際の涼しい場所で管理しましょう。
この時期の水やりは鉢の用土が乾いたら鉢底から水が流れてくるくらいしっかりと与えます。鉢の大きさにもよりますが、1週間に1度くらいが目安です。
神刀の夏の育て方
夏、6~8月の神刀の育て方で注意したい点は、梅雨の雨などにあてないようにすることです。雨にあたりしかも風通しが悪いと、蒸れて葉が腐ってしまう場合があります。
また真夏の時期は強い日ざしも避けてください。葉焼けしてしまうからです。真夏、7月下旬~8月はしっかりと水を与えます。晴天が続くなら3日に1回くらい水を施すと安心です。
神刀の秋の育て方
秋、9~11月の神刀の育て方のコツは、よく日に当てることと、水やりを徐々に少なくしていくことです。11月になると生長が徐々に鈍くなるので、水やりも控えめにします。
秋に水を与えすぎると冬の寒さで根が傷みやすくなることも水を控える目的です。またこの時期は夏に大きくなった株を株分けしたり、植え替えたりするのに最適な時期となります。
神刀の冬の育て方
神刀は、冬、12~2月になると休眠期に入ります。休眠期といっても葉は枯れるわけではないので、神刀の刀型の葉は十分に楽しめるのです。この時期は屋外で管理していたものも、室内に移して管理しましょう。なにせ神刀は寒さに弱いので。
室内でも暖房のきいた暖かな場所に置くと生長を始めてしまい徒長してしまうので、暖房の入っていない場所で管理することをおすすめします。
夏型の神刀の上手な水の与え方は
神刀は雨の降る季節に水分を蓄えて、冬に蓄えた水分を少しづつ使いながら休眠します。春から徐々に始める水やりは葉の間に水がたまると腐ってしまう場合があるので、水は株元の土に施すようにしてください。
水やりは春~初夏は好天気時の明るい時間、夏場は涼しくなった夕方に水やりします。夏は気温の上昇で水が土の中で熱湯になってしまうから涼しくなってから水を施してください。
肥料はほとんど必要なし!
神刀の生長過程では、肥料はほとんど必要ありません。しいて言うなら、5~7月の生長期に、市販の多肉植物用の液体肥料を、規定の倍率に薄め月に1回程度与えます。
神刀をはじめ、多肉植物のほとんどは、原産地でも栄養分の少ない土地に生育しているので、他の植物栽培・育て方のように栄養となる肥料をあまり必要とはしません。
2~3年に1回植え替えする
神刀を育てる過程で親株は2~3年に1度は植え替えしましょう。ほかの植物栽培のように毎年植え替えする必要はありません。しかし植え替えしないと根詰まりを起こし、途中で枯れてしまいます。
神刀の植え替えの適期は夏型の多肉植物なので春(3月~梅雨前)か秋(11月頃)が適期です。鉢穴から根が出てきたら根詰まりを起こしているサイン!株よりも2~3cm大きな鉢に植え替えします。
神刀のように根の太いものの植え替え方法
神刀は根が太いので鉢から取り出すときは、鉢を軽く叩いてまず株をゆるくします。鉢から抜くと根がいっぱいになっているので、丁寧に土を落としてください。新しく用意した鉢に鉢底石を引いて湿らせた土を入れておきます。
抜いた株は乾かさずにすぐに用意した新しい鉢に植えましょう。植え付けたら鉢の穴から水が出るくらいたっぷりと水を与えます。
増やし方は葉挿しか株分け
神刀の増やし方ですが、葉挿しでの増やし方と、株分けする増やし方の2通りの増やし方があります。葉挿しの増やし方は葉をつけ根から採って土の上に置いておくだけです。
切り口からやがて柔らかな根がでてきます。葉挿しの増やし方は1枚の葉から1つの株に生長させる方法で、少し時間はかかりますが、1度にたくさん増やせることがメリットです。
株分けする増やし方
神刀を株分けで増やす方法は、植え替えの時に一緒に株分けしてしまうのがおすすめです。子株が付いている場合は根は親株と子株は繋がっていないので、親株と子株を分けて植え替えして増やしていきます。
病害虫について
日当たりがよく、風通しのよい場所で育てれば、深刻な病害虫に襲われることはほとんどありません。ただし屋外で雨などにあたってしまったり、日当たりが悪い場所に置きっぱなしにすると葉がカビで灰褐色になることがあります。
また雨ざらしにすると葉に黒い点が残る黒点病も心配です。その場合ひと夜で葉は枯れてしまいます。病気になった葉は取り除き新芽を出させます。対策は先の解説のように良好な環境で管理することです。
稀に付く害虫は薬剤で退治!
稀に白い小さなワタをつけたような害虫(ワタムシ)が付くことがあります。その時は薬剤などで駆除してください。アルコールをひたした脱脂綿でも除去することもできます。お試しください。
そのほかもしアブラムシなどの害虫を見つけた時は、すぐに薬剤などで駆除することをおすすめします。
神刀の根腐れを防ぐ水やり方法
梅雨の時期は水やりを控える
神刀の育て方で心配になる根腐れですが、基本的には梅雨や雨天の続く時期は水を与えないこと。湿度と気温が高い時期は根腐れしやすいので、土の中まで乾ききるまで(細い棒などを刺して濡れ具合で確かめる)水を与えないようにしましょう。
水やりの方法でも解説しましたが、真夏、日中に水やりすると水が土の中で熱湯化してしまうので、これも根腐れの原因となります。真夏は夕方から夜間にかけて水やりするようにしてください。
根詰まりしたら植え替えする
鉢の底の穴から根が出ているのは根詰まりのサインだと先ほど解説しましたが、根詰まりしたままだと根腐れの原因となります。植え替えの時期がきたら、もしくはそのサインを感じた時は植え替えして根詰まりを解消してください。
神刀の休眠期の管理方法
休眠期は水やりしない
神刀は冬、休眠期に入ります。休眠期の時期はほとんど水を与えず乾燥気味に育てます。与えても月に1回程度です。水を施す場合は用土がしめる程度で構いません。
夏型の神刀は秋が深まるころになると生長が鈍くなるので、水のやりすぎには注意してください。その時期から鉢の中が完全に乾いたら水やりするようにします。また春、4月頃になると完全に休眠時期から目覚めるので、4月にはいったらしっかり水を与えましょう。
日当たりのよい室内で管理
休眠期の神刀も葉が枯れるわけではありません。生長が止まっているだけです。水やりの必要はありませんが日照不足には注意する必要があります。
休眠期に日照不足であった神刀を、春になって急に日に当てると、葉が痛んでしまうので気を付けてください。春になって日を当てるときはできるだけ風通しのよい場所で午前中のみ日光を当てるようにしましょう。
神刀の花言葉
花言葉とは
花言葉というのは、ほとんどの植物に付いていています。花言葉はその植物を象徴する言葉です。花言葉の由来はギリシャ神話の中で語られているその植物の誕生伝説であったり、古代の文化、宗教、習慣、その植物の植物学上の特徴や見た目の特徴が由来となり、その植物をイメージする言葉が花言葉とされています。
多肉植物の中にも花言葉の付いているものもありますが、残念ながら神刀には象徴する花言葉が今のところ見当たりません。
「幸運を招く」「不老長寿」
しかし神刀だけではありませんが、神刀が属するクラッスラ属には花言葉があります。その言葉は「幸運を招く」「不老長寿」という言葉。この花言葉の理由や由来は、残念ですがその根拠に乏しいのが事実です。
ただ1説ではクラッスラ属の種類の多肉植物は、神刀をはじめ「神」とか「寿」という字が付く名前のものが多いので「幸福を招く」という理由でこのような言葉が付いたという説があります。
「不老長寿」という花言葉の由来の1説
神刀が属するクラッスラ属の「不老長寿」という花言葉の由来もさなかではありませんが、1説では、クラッスラ属の多肉植物は南アフリカやマダガスカルなどの砂漠や岩地など荒涼とした地に原種が咲いているため、このような花言葉で表現されているのではないかという説があります。
多肉植物の神刀を上手に育てて楽しもう!
乾燥に強いというイメージの多肉植物ですが、間違った育て方をすれば枯れてしまいます。クラッスラ属の神刀は冬に休眠する夏型の多肉植物です。
春~秋まではよく日に当てて水を与えて育てます。冬は休眠期に入るので水をきるかごく少なく与えます。梅雨時期など雨の多い季節や湿度や気温の高くなる季節も水は与えません。上手に育てて刀型の美しい葉を楽しんでください。
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出典:https://unsplash.com/photos/0TPT2B2VsxU