ロードバイクは知れば知るほど面白い
近頃、日本でもよく目にするロードバイク。ロードバイクの祖先である乗り物の誕生はおよそ200年前、日本に伝わったのはわずか100年前と言われています。時代とともにさまざまな技術が発明され、注目されるロードバイクへと進化しました。
日本では、宅配サービスの需要が高まってきたことも影響し、急速にロードバイクが広がっています。そんなロードバイクはどのように誕生し、どのような歴史をたどってきたのでしょう。
ロードバイクの歴史【発祥編】
自転車の歴史は、1817年ドイツで森の管理をしていたドライス男爵が、人力二輪車『ドライジーネ』という乗り物を発明したことから始まります。これが、ロードバイクの根源となる「自転車の誕生」です。
『ドライジーネ』は全体が木製でつくられており、ペダルやブレーキはなく木の骨組みに回転する木の輪っかを取り付けた単純な構造をしていました。
ハンドル操作は歴史的発明
ハンドルで前輪を動かし進みたい方向を決める技術が、現在の自転車にも継承されています。
今では当たり前のように乗っている自転車ですが、「誕生当初の技術が現代にも生きている」という歴史はとても感慨深いものです。
その反面、動力のかけ方が全く違い、ペダルがない『ドライジーネ』は地面を足で蹴ることで前に進みました。まさに、大人用キックバイクと言えるでしょう!
両足を交互にキックして時速15kmを出すことができ、当時の移動手段であった馬車よりも早く移動できる歴史的な発明だったのです。
また、馬に必要なエサや蹄鉄が不要な『ドライジーネ』は、貴族たちの間で娯楽やスポーツにも用いられるようになります。
地面から足が離れた歴史的瞬間
1861年フランスパリの馬車職人によって『ボーンシェイカー』という自転車が誕生しました。この乗り物の新たな技術は、ペダルと車輪が同時に回転することです。初めて乗る人の足が地面から離れ、現代の自転車へとつながる歴史的な第一歩となります。
車輪には、木製の輪に鉄の輪を巻き付けるという技術が誕生しましたが、フランスの石畳の道を走るにはとても乗り心地が悪かったようです。全身が揺さぶられる乗り物だったため、『背骨ゆすり』=『ボーンシェイカー』と言われています。
大量生産で大衆へも自転車が広がる
『ボーンシェイカー』は乗りづらい自転車であったものの大量生産され、大衆へも自転車が認知されました。
自転車の普及とともにパリで自転車レースが開催され、貴族階級だけでなくアメリカやヨーロッパの若者を中心に、娯楽やスポーツとして自転車が広がります。また、日本に最初に持ち込まれた自転車も『ボーンシェイカー』だったようです。
ロードバイクの歴史【車輪編】
スポーツとして自転車の歴史が動き出したのは、1870年代『オーディナリー』というまだ前輪駆動時代。
前輪が後輪に比べてはるかに大きいのは、速く走るためです。レーサーたちはペダルひと回転で長い距離を進むことができるよう、直径1.5mの巨大な車輪をつけた自転車に乗ってレースに挑むこともありました。
非常に危険な自転車
しかし『オーディナリー』は、自転車の歴史の中で最も危険な乗り物と言われています。止まるためブレーキをかけた瞬間、地面に足がついていないレーサーが勢い余って前にふっ飛び、地面にたたきつけられてしまうのです。
加速すればするほど止まれなかったのですが、圧倒的なスピード感によってスポーツとして注目され、アメリカへと伝わります。
自転車のフレームが木製から鉄製に
『オーディナリー』において歴史に残る大きな進化は、自転車の本体が木製から鉄製になった技術です。
そして、ゴムタイヤが初めて装着され、タイヤを取り付けて回転させる技術によってさらに早く走れるようになりました。このことは、自転車の歴史において大きな追い風となります
ロードバイクの歴史【動力編】
歴史史上最も危険な乗り物『オーディナリー』でレースをしていた時代、より安全にスポーツで活躍したいという願いから、1879年頃にイギリスで誕生したのが『ビシクレット』です。現在の『バイシクル』の語源に影響したと言われています。
ペダルと後輪をチェーンでつなぐ発想
『ビシクレット』の歴史的な進化を遂げる大きな技術は、後輪駆動の発明です。ペダルと後輪をチェーンでつなぎ、ペダルを回転させることで後輪が回転し前進します。後輪駆動の技術こそが、自転車の歴史において劇的な進化です。
「前輪は進む方向の舵取り、後輪は前に進むための駆動」というように、前後の車輪に別の役割を持たせることによりスムーズに走行できる自転車が誕生しました。
ブレーキが取り付けられ安全に
後輪駆動により、スピードが出ていても足が地面に届きます。そして重心を低くしてペダルが漕げるため、乗る人の体勢が安定しました。
ブレーキが取り付けられ安全に走れるようになったことで、アメリカやヨーロッパの一般庶民にも広がります。自転車が進化していく歴史の中で、さまざまなジャンルの自転車が生まれ、そのひとつがロードバイクなのです。
ロードバイクの歴史【速度編】
後輪駆動がきっかけとなり、アメリカをはじめ世界中にワクワクする自転車の歴史が始まります。移動や輸送のためだけでなく、本格的にスポーツとして使われる自転車が開発され、スピードに特化したのがロードバイクです。
さまざまな技術が搭載されるロードバイクは、活躍するレーサー達の「もっと速く走りたい」という望みからスタートしました。
パーツを自由にカスタムできる
ロードバイクの最大の魅力は、車体に取り付けるあらゆるパーツを自由に選んでオリジナルなロードバイクを作れる点です。
ロードバイクを構成するパーツには特許を持つ技術があったり、今もなお進化しています。さらに速く走るための技術や軽量化は、レーサーにとっては永遠のテーマです。
人力とは思えないスピード
ロードバイクは、一般の自転車とは比較できないほどスピードが出ます。下り坂では素人でも容易に時速40kmを出せるため非常に危険という反面、非日常を味わえる魅力的な乗り物です。
現在に至るまでの歴史を知りつつ現代のロードバイクに魅了されると、自転車という概念を超えて新ジャンルの乗り物と感じることでしょう。
なかなか手を出しにくいロードバイクですが、初心者でも安心!コチラを参考にしてくださいね。

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活躍するロードレーサー
世界のロードバイクレースでは、最高時速70km以上、平均時速40kmという速さで試合が行われます。選び抜かれたプロのレーサーが活躍できる競技とはいえ、車と並んで引けをとらないほどスピード勝負の世界です。
テレビメディアなどでよく目にするレーサーの脚の太さが、一般人のウエストくらいあって驚いたことがあるでしょう。そこまで鍛え上げてこそ、歴史のあるロードバイクレースで活躍できるのだと納得できます。
ロードバイクの歴史【軽量編】
最初に誕生した自転車の素材は木製でした。歴史の流れによってさまざまな素材で作られるようになり、軽量ロードバイクへと進化します。
使われる素材によって影響するのは、自転車の「重さ」「丈夫さ」「柔軟さ」です。見た目に明らかな違いはありませんが、素材によって全く違う乗り心地になります。
フレーム素材の歴史:クロモリ
ロードバイクの本体になるフレームの主な素材も歴史とともに進化し、現在ではクロモリ、アルミ、カーボンの3種類が主なフレームの素材です。
クロモリとはスチールの一種で、軽くて丈夫という特徴から、歴史的に古いロードバイクの素材はほぼクロモリが採用されていました。
フレーム素材の歴史:アルミニウム
歴史ある素材であったクロモリの次に流行するのが、さらに軽量、丈夫、錆びにくいと三拍子がそろったアルミニウムになります。
アルミニウムは製造や加工がしやすくコストが抑えられるため、ロードバイク初心者には最適な素材です。
フレーム素材の歴史:カーボン
そして現在、ロードバイクの多くが、カーボンでつくられています。カーボンは炭素繊維の重ねる枚数や重ね方を変えたり自由に加工ができ、レーサーが活躍するためには非常に優秀な素材です。
ロードバイクの目的に合わせて配合されたカーボンを使うことによって、「軽い」「丈夫」「しなり」を自由にカスタムできます。
カーボンは歴史的な軽量化を実現しましたが、やはり有能なものには比例して、庶民には手が出ないほど高価です。
パーツの軽量化にも歴史
ロードバイクは、本体となるフレームに数えきれない種類のパーツを取り付けて一台のロードバイクとして成り立ちます。活躍するレーサーはひとつひとつのパーツにこだわり、わずか1グラムレベルの軽量化を求めてカスタマイズするのです。
歴史とともにロードバイク全体の軽量化が進んできたのは、自転車を構成するさまざまなパーツのひとつひとつが軽量化されてきたからと言えます。
車輪の軽量化の歴史
ロードバイクの中でも重要なパーツである車輪。タイヤを取り付けている輪っかの部品がホイールです。
一般的なホイールは、中心となるハブ、輪の部分をリム、ハブとリムをつなぐ棒状の部品をスポーク、スポークと輪をつなぐためのニップル、という4種類のパーツで構成されています。
前述にもあるように、自転車が誕生した当時のホイールは木製でした。ロードバイク全体の重量に大きく影響するホイールにおいても、驚くことに人間が作り出した軽量化の歴史があるのです。
通常のホイールで使われる複数の棒状スポークは、車輪が回転するたびに空気抵抗が発生します。空気抵抗がロードバイクを失速させてしまうため、最大限抑えるための円盤状ホイールが発明されました。
円盤状のホイールを取り付けることにより空気抵抗が発生しないため、歴史的なスピードが実現できます。
しかし、円盤状のホイールは風に左右されやすく、円盤部分に横風を受けると走るどころか簡単に吹き飛ばされるのです。そういった点から、円盤状ホイールを取り付けたロードバイクは、風の影響を受けない室内トラック競技で活躍するレーサーに多く採用されています。
ロードバイクの歴史【レース編】
レースの先駆けとなった『オーディナリー』は、その車体の丸いフォルムがかわいらしくて特徴的です。そんな外見からイメージする自転車レースは、ハムスターが回し車の中をコロコロと走っているようなほっこりとした雰囲気を想像します。
しかし、巨大な車輪を高速回転させながら活躍するレーサーを見ると、ハラハラドキドキが止まらない手に汗を握るスポーツでした。
最高峰レース『ツールドフランス』
自転車が軽量化され、あらゆる進化を経て、ロードバイクの本格的なレースが開催されるようになります。その中でも歴史的なレースと言えば『ツールドフランス』をよく耳にするのではないでしょうか。
日本ではあまり馴染みはありませんが、FIFAワールドカップ、オリンピックと並び世界三大スポーツイベントと言われるほど世界的に盛んなスポーツの祭典です。
歴史に名を刻むロードレース
『ツールドフランス』は毎年7月に行われ、「フランス一周」という意味があります。参加国はヨーロッパだけでなくアメリカ、オーストラリア、スペインなど世界中から集結し、鍛え上げられたレーサーたちが挑戦するのです。
勝利チームは歴史的に記録を残すことになり、フランスでは一大イベントとなっています。
歴史ある『ツールドフランス』には、さまざまな賞が設定されており、活躍したレーサーや勝利チームは名誉を手にするのです。
総合優勝で活躍した選手には『マイヨ・ジョーヌ』という黄色いレーサー用のジャージが与えられ、歴史に名を刻みます。
日本人が歴史に名を残す日も近い
残念ながら『ツールドフランス』に出場し活躍した日本人レーサーは数名ほどです。日本ではロードバイクの歴史が浅く、ロードバイクレースはまだメジャーなスポーツとは言えません。
しかし、東京オリンピックの影響で日本でもロードバイクの魅力が広がり、より多く人々が楽しめるスポーツになることもそう遠くはないでしょう。
ロードバイクが日本でもっと身近に
日本では歴史の浅いロードバイクですが、ヨーロッパでの誕生からアメリカ、日本に伝わり、今のロードバイクに至る発明や進化してきた歴史を知るととても面白いですね。
今後の日本でロードバイクが、スポーツや日頃の生活中でもっと身近な存在になることでしょう。
ロードバイクのカスタム方法はコチラをチェック!
ここではロードバイクの歴史や軽量化についてお話ししました。実際にロードバイクの軽量化にチャレンジしよう!という方はコチラの記事が参考になります。ロードバイクを軽量化したいとき、何をどうすればいいかのヒントにしてくださいね。

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