ジクサー250ネイキッドを徹底検証:初めに
軽快な操作感と寄り添うスペック
スズキのジクサー250は2020年の6月にリリースされた排気量が250㏄のネイキッドバイクです。2021年の5月にはモトGPカラーのトリトンブルーメタリックが追加されました。
ここではスズキのジクサー250を徹底検証します。なお、フルカウルのジクサーSF250と区別するためジクサー250ネイキッドと呼びますね。また、この記事は2021年7月15日現在の情報をもとに作成しますことをご了承ください。
スズキ車の特徴
スズキには個性の強いバイクが多く、性能と見た目のイメージが一致しないこともあり、不思議に思うところもあります。
しかし、スズキは製品開発のコンセプトを明確するバイクメーカー。開発のコンセプトを理解できれば、スズキほどわかりやすいメーカーはありません。基本性能で手を抜かないのもスズキ車の特徴です。
ここでは、ジクサー250ネイキッドの性能と試乗動画を確認し、コンセプトを明らかにしますね。
ジクサー250のネイキッドとしての資質
セオリー通りでありながら個性的!
ジクサー250ネイキッドはネイキッドスポーツの基本を押さえたデザインに仕上げられています。フレッシュな熱意を内に秘めたデザインで、若い世代の傾向を反映したかのようです。
ネイキッドはこうあるべきという先入観をリセットすれば、ジクサー250ネイキッドはベテランライダーにも納得できるデザイン。ベテランライダーがジクサー250ネイキッドに乗れば、思考停止していないかっこいい上級者ライダーに映ります。
グラマラスでセクシーなデザイン
ジクサー250ネイキッドはグラマラスなデザインがかっこいいですね。盛り上がった燃料タンクや低く取り付けられたシュラウドがセクシーなくびれを強調しています。
シルエットはスポーティ。同一ラインの流れでつながれたシュラウドとテールカウルや、低く取り付けられた薄型ライトは、大型ネイキッドのGSX-Sに通じるシルエットです。
鍛え上げられたアスリートのような疾走感があり、実車は画像で見るよりも迫力があります。
エンジン性能に見合ったフレーム
ジクサー250ネイキッドには、ジクサー150のフレームをベースに剛性を高めたダイヤモンドフレームが用いられています。
むやみに剛性を上げず、エンジン性能に見合ったフレームです。メインフレーム(背骨部分)とエンジン吊り下げ部のフレームが強化され、ねじれ剛性が高められています。
ジクサー150のフレームはあくまでもベース。肉盛りされてジクサー250ネイキッドに流用されたフレームではありません。
フレームカバーもかっこいい!
ジクサー250ネイキッドのフレームはフレームカバーで覆われているのも特徴です。フレームカバーはジクサー250ネイキッドの妖艶なデザインに貢献しています。
フレームカバーを開ければバッテリーにアクセスできます。フレームカバーが覆う面積は大きいので、USB電源やドライブレコーダーの配線を上手に隠せるのもジクサー250ネイキッドの美点。フレームカバーをカラーチェンジするカスタムもおすすめです。
過不足ないサスペンション
ジクサー250ネイキッドのサスペンションには、剛性感を得られるΦ41mmの正立フォークとシンプルなリンクレスのモノサスが用いられています。リヤのプリロード調整は7段。ハンドリングは後述の試乗動画で検証しますね。
出荷時のプリロード値は4です。ジクサー150では直接リヤサスペンションにアクセスできるのですが、ジクサー250ネイキッドのプリロード調整をするにはチェーンケースを外さなければなりません。
オールマイティな出力特性
ジクサー250ネイキッドには油冷SOHC4バルブの単気筒エンジンが搭載されています。オイルジャケットをまとい、電動ファン付きのオイルクーラーで積極的に冷却するエンジンです。
ジクサー250ネイキッドの油冷エンジンは、エンジンの軽量化を狙って採用されました。SOHCエンジンはエンジンヘッドが軽量でコンパクトですので、低重心化に貢献しています。4バルブが採用されたのは高出力を得るためです。
軽二輪バイクの平均値に近い最高速度
ジクサー250ネイキッドは9000回転で26馬力の最高出力を、7300回転で2.2kgfm・mの最大トルクを発生させます。2気筒モデルの250㏄ネイキッドバイクよりはアンダーパワーですが、水冷DOHC4バルブの単気筒エンジンを搭載したCB250Rと互角です。
理論上の最高速度は6速9000回転で132.4km/hで、これもライバル車のCB250Rとほぼ同じ。軽二輪バイクの平均値に近い最高速度です。
法定速度内で余裕のある高速道路走行
250㏄ネイキッドで気になるのは高速道路での出力特性。ジクサー250ネイキッドの理論上のエンジン回転数を計算すると、6速100km/hで6799回転、最大トルクを発生させるエンジン回転数数の93.1%です。
ジクサー250ネイキッドは低いエンジン回転数で最大トルクを発生させる出力特性で、高速道路での巡航速度では最大トルクを発生させるエンジン回転数に近いものの、やや余裕があるといえます。
名車の薫り漂う出力特性
ジクサー250ネイキッドは実用性に長けたバランスのいい出力特性です。低中回転域ではSOHC単気筒エンジンならではの粘り強さを、高回転域ではショートストロークエンジン(ボア76.0×ストローク54.9mm)ならではの軽快さを発揮します。
出力損失を極限にまで抑えたエンジンはスムーズです。エンジン回転数を上げるほど有機的なフィーリングを帯びます。スズキ車の名車に多くみられる出力特性ですね。
装備は必要最小限
ジクサー250ネイキッドの装備は必要最小限に抑えられています。トラクションコントロールや走行モードなどの最新装備は備えていません。
その潔さがスズキ流!ジクサー250ネイキッドは、フレームやサスペンションの挙動を感じながらアクセルレスポンスを楽しめます。
快適装備に守られないジクサー250ネイキッドは若い世代に新鮮かもです。腕が鳴るぜ!とつぶやきたくなるベテランライダーも多いことでしょう。
エンジン関連の装備
ジクサー250ネイキッドはワンプッシュでエンジンを始動できるスズキ・イージースタートシステムを装備しています。エンジンのスタートボタンを押し続けるのは地味に面倒ですものね。
しかし、ジクサー250ネイキッドのエンジン関連の装備はそれ以外になく、アシスト&スリッパークラッチすら装備していません。アシスト&スリッパークラッチの装備に慣れ、シフトダウンが上手になれないバイク乗りは多いのではないでしょうか。
外装関連の装備
ジクサー250ネイキッドの外装装備で目立つのは、スイングアームにマウントされたリヤフェンダーです。スタイリッシュなリヤビューを実現しながらも、雨天走行での泥はねを効果的に防いでくれます。軽量な樹脂製ですので、ばね下荷重の重量増には影響ないと考えていいでしょう。
また、エンジン下部のアンダーカバーが全体の印象を引き締めています。シートカウルと同色のグラブバーもかっこいい装備ですね。
ジクサー250の試乗インプレ動画集
ジクサー250ネイキッドの試乗動画を確認し、走行性能を検証します。ジクサー250ネイキッドの試乗動画は少なめです。人気はフルカウルを装備したセパレートハンドルのジクサーSF250に押され気味だといえます。
ジクサーSF250はレーシーなデザインがかっこいいですね。ジクサー250ネイキッドより馴染みやすいデザインで、幅広い年齢層から支持されています。ジクサーSF250との違いも確認していきましょう。
ジクサー250ネイキッド試乗動画①
モトベーシック氏がジクサー250ネイキッドに試乗した動画を紹介します。エンジン性能はスズキの小排気量モデルでよく用いられる設定とのこと。最大トルクを発生させるエンジン回転数を意識したギヤ比で、速度に見合ったエンジン回転数で走行できると評価されています。
「ジクサーSF250と基本性能は同じなのに、フィーリングは違う」というコメントが多いですね。ジクサー250ネイキッドのほうが、元気で軽快な印象を受けます。
ジクサー250ネイキッドの試乗動画①検証
ジクサー250ネイキッドはひじから倒しこむ乗り方が似合うハンドリングです。軽快でいて安心感のあるハンドリングで、視線を移した方向へ旋回します。
ジクサー250ネイキッドの前後の荷重バランスはジクサーSF250よりリヤよりです。フロントフォークの剛性感が高く、フロントヘビーな印象はあるものの、ストリートファイターやモタードのような、トリッキーでクイックなハンドリングではありません。
ジクサー250ネイキッド試乗動画②
ユーチューバーのアオグロ氏がジクサー250に試乗した動画を紹介します。動画ではマスツーリングで走行する様子しか見られませんが、コメントは興味深いですね。
足つき性はシート高が高い(800mm)割には良好で、低中回転域で粘るエンジンと手強さを感じさせない軽い車重を高く評価されています。街乗りも軽快に楽しめるとのこと。
ジクサーSF250よりも扱いやすく、ツーリングでも疲れにくい印象を受けます。
ジクサー250ネイキッド試乗動画②検証
ジクサー250ネイキッドはダイレクトすぎない操作感、イージーな旋回性、街乗りでの軽快さなどが美点です。その要因は2つ。1つは上半身の体重移動で旋回できるバーハンドル、もう一つは軽量で低重心なエンジンが要因だといえます。
ジクサー250ネイキッドの試乗動画で多く見られるのは「扱いやすい」「乗りやすい」といった抽象的なコメントです。全体のバランスが優れたネイキッドバイクだといえます。
試乗動画での共通点
シートの傾斜
ジクサー250ネイキッドのシートはやや前に傾いています。モトベーシック氏は「ハンドルに体重を預けるストリートファイター的」、アオグロ氏は「着座位置が徐々に前へずれる」とのこと。
これらのコメントはユーザーレビューでも多く見かけます。体格に合わせて調整やカスタムをしたほうがよさそうです。
ちなみに、ジクサーSF250のレビューでは「ステップの位置が前気味」というコメントに変わります。
着座位置を最適化するカスタム
ジクサー250ネイキッドは2人乗りの設定で出荷されています。初期設定値の4から最弱の1や2までプリロードを調整し、解決したユーザーは多いですね。
それでだめなら、シートのカスタムを検討しましょう。シートのスポンジの底を削るカスタムをしたユーザーを見つけましたので、リンクを張り付けておきます。
シートがやや前に傾斜していると、ニーグリップで足と腹筋が疲れたり、長距離ツーリングでお尻が痛くなったりします。
ジクサー250ネイキッドを徹底検証:まとめ
オールマイティなジクサー250
ジクサー250ネイキッドはオールマイティなバイクです。走行性能は申し分なく、豪華装備のCB250Rに匹敵します。しかも、軽量な車体、重心の低いエンジン、操作しやすいバーハンドルは軽快なハンドリングをもたらし、扱いやすさは抜群です。
初心者向けという情報も見かけますが、厳密にいえば初心者を上達させるバイク。ベテランライダーも納得できる性能を備えています。長く愛せるキャラクターはスズキ車ならではです。
維持費を助ける燃費も秀逸!
インドは燃費に厳しいお国柄。インド生まれのジクサー250ネイキッドは燃費性能も良好で、維持費が安く済みます。ユーザーレビューでは、最大トルクを発生させるエンジン回転数に達しないよう走らせると、燃費はさらに向上するとのこと。
しかし、ジクサー250ネイキッドの燃費を悪いと評価するバイク乗りもいます。ジクサー150の燃費性能が突出して優れているからです。維持費重視ならジクサー150も検討しましょう。
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