日本の毒蛇について徹底解説
アウトドアでの脅威の1つに毒蛇による被害があります。実は日本にも毒蛇は存在しており少数ですが、毎年のように被害が発生しているのです。とはいえ、日本に生息している毒蛇は咬まれても大事に至るケースはほとんどありません。
しかし、対処法を誤ると、最悪の事態に発展することもあります。この記事ではそんな日本に生息している毒蛇の種類やその特徴、見分け方や対処法などについて解説するのでぜひ参考にしてください。
日本に生息する主な毒蛇について
日本に生息する主な毒蛇を一覧で紹介します。日本で特に注意が必要な毒蛇は主に3種類です。この3種類の以外にも毒蛇自体は生息しているのですが、それらは比較的脅威が低いため、そこまで危険な毒蛇ではありません。
そんな毒蛇を一覧で紹介します。それぞれの写真も掲載するので、特徴を把握する参考にしてください。
日本に生息する毒蛇①ニホンマムシ
ニホンマムシは主に北海道や本州、四国、九州など、沖縄を除く広い地域で見られます。体長は大きくても100cmを超えることはありません。
頭の先端がとがっており、細長い形状をした瞳孔、銭形模様が主な特徴です。毒蛇の中でも比較的見分けやすい個体だといえるでしょう。写真を参考にして特徴を把握してください。
ニホンマムシの生態
夜行性の個体なので、主に夜に活発に活動します。しかし、日中でも日向に出てきて日光浴をすることもあるため、注意が必要です。カエルを好んで食べるため水辺周辺では特に多くみられます。
性格は比較的攻撃的です。そのため、人が近づいてきても逃げ出さずにじっと待っていることが多く、気づかずに咬まれることが多く発生しています。
毒の危険性
ニホンマムシは日本で最も被害件数が多い毒蛇です。そのため、日本では最も警戒するべき毒蛇でしょう。しかし、万が一咬まれても死が確定するわけではなく、適切に処置すれば大事には至りません。
冷静に対処すれば問題ないため、まずは冷静になることが重要です。毒の性質は出血毒で、組織を破壊し徐々に痛みが増していきます。咬まれても冷静になり、医療機関を受診しましょう。
日本に生息する毒蛇②ヤマカガシ
日本の代表的な毒蛇の1つにヤマカガシがいます。ヤマカガシは九州や四国、本州などの広い地域で見られる毒蛇です。体長は大きい個体だと150cmおり、丸い頭と丸い目をしている上、体色がアオダイショウという無毒蛇に酷似していることから間違われることもあります。
しかし、腹部にカラフルなオレンジ色の模様があるため、腹部を見ればすぐに判別できるでしょう。写真を確認して、腹部のカラフルなオレンジ模様を確認してみてください。
ヤマカガシの生態
性格が非常におとなしいため、人がむやみに攻撃しない限り攻撃されることはありません。また、毒牙が口の奥の方にあり、毒牙が刺さらないことがある上、毒を入れる力自体も強くはないため、咬まれたとしても毒が体内に入らないこともあるそうです。
水辺や藪などの地域を住処としていることが多く、カエルやオタマジャクシを主にエサとしています。ヤマカガシ自身の毒と合わせてエサであるヒキガエルの毒も首元に蓄えているため、被害例が少ないからといって捕まえようとするのは非常に危険です。
毒の危険性
ヤマカガシが持っている毒は溶血毒と呼ばれる毒で、おそらく日本の毒蛇の中では最も強い猛毒とされています。血液凝固作用があり、血管内に血栓を作り、皮下出血や内臓出血、脳出血などを引き起こすのです。
血清がないため、噛まれると甚大な被害をもたらすでしょう。おとなしい性格な上、毒牙が刺さりにくいということが救いだともいえますね。
日本に生息する毒蛇③ハブ
ハブも日本の代表的な毒蛇の1つです。主に沖縄などの南の地域に生息している個体で、九州や四国、本州での目撃例はありません。マムシと同様に三角形の頭、細長い瞳孔が特徴です。体長は大きいもので200cmを超える個体まで目撃されています。
写真を掲載するのでぜひ参考にしてください。
ハブの生態
主に森林や草地、水辺などの地域を住処としており、ネズミをエサとしています。そのため、ネズミを探して、民家や畑などに出没することもあるので注意しなければならない種類だといえるでしょう。また、家の中にも入ってくることがある要注意個体です。
夜行性のため、夜間に活動的になりますが、日中でも活動することがあります。
毒の危険性
ハブの毒自体は強いものではありません。しかし、毒が他の毒蛇よりも多く注入されるため、大きい被害をもたらすのです。
咬まれると患部の腫脹、筋肉の壊死、皮下出血などの症状が表れます。また、重症化すると、腎機能障害などが引き起こされ後遺症が残ることもあるため、噛まれたら早急な対処が必要です。
日本に生息する毒蛇④その他の毒蛇
ここからは、上記で紹介した毒蛇以外の個体を一覧で紹介します。日本には上記の3種類以外にも毒蛇が存在していますが、その被害は多くはありません。そのためここで紹介する毒蛇はそこまでの脅威とは呼べないでしょう。
しかし、日本に生息するウミヘビに関しては非常に強い毒を持っているため、注意しなければなりません。
ヒバカリの仲間
日本に生息するヒバカリという蛇の仲間であるガラスヒバァなどの蛇が毒蛇だとされており、本州や四国、九州など広い地域に生息しています。しかし、これらの蛇は毒牙が未発達であるため、噛まれてもまず、毒の被害に遭うことはありません。
日本の毒蛇の中でも比較的脅威が低い毒蛇だといえるでしょう。また、写真を見ればわかるかと思いますが、非常に小さいため保有している毒の量もそこまで多くはありません。
コブラの仲間
世界的にも有名な毒蛇であるコブラと同じ種類の猛毒を持つ毒蛇が実は日本にいます。ハイやクメジマハイなどと呼ばれる蛇にはコブラと同様に猛毒があるのです。しかし、これらの毒蛇は口が小さいため、毒牙を刺すどころか人間にかみつくこともできません。
そのため、日本での過去の被害報告は皆無なのです。性格も非常におとなしく人間に攻撃する際も咬むのではなくしっぽで叩いてくるだけなので、見方を変えれば可愛らしい毒蛇でしょう。
ウミヘビの仲間
前記で紹介した毒蛇に次いで、被害件数が多い毒蛇です。日本近海に生息するウミヘビにはそのすべての種類に猛毒があります。また、被害に遭う際は海の中だということもあり、毒の麻痺により、そのまま溺れてしまう危険性もあるのです。
また、種類によっては人に近づいてくる非常に攻撃的なウミヘビもいます。そのため、日本でウミヘビを見かけた際は海から上がるようにしましょう。
毒蛇に咬まれないようにするためには
ここからは日本の毒蛇による被害を未然に防ぐ対策法について解説します。蛇に近づかないことは当然ですが、蛇による被害のほとんどは蛇に気づかずに近づいてしまうことによるものです。
そのため、気を付けていても蛇に咬まれてしまうことがあります。そんな毒蛇による被害を未然に防ぐ方法を解説するので参考にしてください。
蛇がいそうなところに近づかない
日本の毒蛇は基本的に水辺付近の草地などに身を潜めています。そのため、そのような場所には近づかないことが被害を防ぐ方法として最も有効です。また、やむを得ずそのような場所に足を踏み込まなければならない場合は、常に周囲を警戒するようにしましょう。
被害に遭いにくい服装を心がける
素足で草地を歩くことはほとんどないかと思いますが、足が露出するようなサンダルなどで歩く際には特に注意が必要です。露出部多ければ多いほど咬まれる可能性がある箇所が多くなります。そのため、草地を歩く際は靴を履きましょう。
日本の毒蛇の毒牙は登山靴など分厚い靴を貫通することができません。また、大きめのサイズのパンツなどを履くことも効果的です。肌に貼りつくようなタイトなパンツの場合は咬まれたらほぼ間違いなく肌に毒牙が刺さるでしょう。
気が付いた時には足者に蛇がいた場合
近付くまで蛇の存在に気付かず、気が付いた時にはすでに足元に蛇がいた、という場合は、すぐにその場を離れましょう。日本の蛇の移動速度は人が走った速度よりも早くはありません。そのため、走って逃げれば追いつかれることはないのです。
むやみに追っ払おうとすると攻撃される危険性があるため、こちらから刺激することは決してしてはいけません。
無毒蛇と毒蛇の見分け方
毒蛇と無毒蛇の見分け方について解説します。実は日本に生息する毒蛇と無毒蛇の見分け方は蛇に詳しくない方にとっては非常に難しいでしょう。しかし、見分けることは被害に遭った際の対処を行う上で非常に重要です。
ここからはそんな日本の無毒蛇と毒蛇の簡単な見分け方を解説するので参考にしてください。
大きさによる違い
まず日本に生息する蛇の大きさによる違いです。基本的に日本の毒蛇はサイズが小さめだとされています。しかし、無毒蛇の中にも小さいサイズの蛇はいますし、毒蛇の中にも大きいサイズの蛇もいるため、目安程度に理解しておきましょう。
サイズが大きいから無毒蛇だと決めつけると実は毒蛇だった、ということもあるため、過信は禁物です。
目の形状
蛇に咬まれて冷静に目を確認できる方はほとんどいないかと思いますが、目の形状の違いでも無毒蛇と毒蛇が見分けられます。前記でも紹介した日本の代表的な毒蛇であるマムシとハブの目の瞳孔は猫のように細長くなっているのです。
そのため、瞳孔の形状でも判断できます。しかし、ヤマカガシは無毒蛇と同じく瞳孔の形が丸みを帯びているため注意が必要です。
頭の形状
頭の形状での見分け方を紹介します。日本に生息するマムシとハブの頭は先端が三角形のようにとがっている形状をしていると説明しました。そのため、頭の形がとがっている蛇は毒蛇だという認識を持ちましょう。
しかし、この見分け方も確実ではありません。ヤマカガシの頭は丸い形をしていますし、日本には頭がとがっている無毒蛇もいるため、過信は禁物です。
咬み痕
おそらく最も見分けやすい見分け方だといえるでしょう。日本の無毒蛇は咬まれても歯形が付くだけですが、毒蛇の場合は歯形に加えて毒牙による傷跡が残ります。基本的に2つの丸い傷ができるのですが、このような傷があれば毒蛇だと考えてよいでしょう。
また稀に毒牙の傷跡が1つの場合がありますが、歯形以外にも傷があれば毒蛇だと考えて対処することをおすすめします。
毒蛇に咬まれた際の対処法
毒蛇に咬まれた際の対処法について解説します。どれだけ気を付けていても被害に遭うこともあるのです。そんなときに適切な対処方を覚えておかなければ最悪の事態にもなりかねません。そんな対処方について一覧で紹介します。
毒蛇に咬まれた際の対処法を把握してアウトドアを楽しみましょう。
咬まれた直後に行うこと
毒蛇に咬まれた直後に行う対処法を一覧で順に紹介します。ついやってしまいがちなことが実はダメな行為であることがあるのです。そんな間違った対処をしないように適切な対処法を必ず把握しましょう。
体をできるだけ動かさない
毒蛇に咬まれた直後はできるだけ早く病院へ行こうと慌ててしまいがちですが、まずは落ち着いて体を動かさないようにしましょう。むやみに身体を動かしてしまうと、毒の回りが早くなってしまいます。
日本の毒蛇は咬まれたからといってすぐに症状が現れるわけではありません。まずは落ち着いて冷静に対処しましょう。
傷口から血を絞り出す
咬まれた患部をつねるようにして血を出しましょう。咬まれた付近の血液に毒が残っている場合があります。そのため、血を出すことで症状を少しでも和らげることができるのです。この時絶対に口を使って傷口を吸ってはいけません。
口から蛇の毒が回ることがある上、感染症にかかる可能性があります。血を抜くポイズンリムーバーなどがあれば、噛まれた直後に使用しましょう。しかし、時間が経つとほとんど効果が無くなってしまうため、使用するなら咬まれた直後が理想です。
医療機関を受診
毒蛇に咬まれた際には医療機関を受診しましょう。日本の毒蛇は咬まれた直後は特に症状は表れませんが、30分から1時間も経つと、歩けなくなるほどの激痛に襲われる可能性があります。そうなる前に必ず医療機関を受診しましょう。
日本の毒蛇による死亡事故のほとんどが大丈夫だろうと医療機関の受診を怠ったことによるものなのです。
誤解されがちな対処法
毒蛇に咬まれた際の誤解されがちな対処法を紹介します。応急処置のつもりで行ったことが実は逆効果だった、ということがあるのです。毒蛇に咬まれた際には適切な対処を行いましょう。
傷口付近を縛る
噛まれた患部から心臓側をきつく縛り、毒の巡りを遅くしようとする方もいますが、この対処法はやってはいけない対処法です。むしろ、毒の影響ではなく酸素欠乏で、組織が壊死する可能性があります。
危険な対処法なので絶対にやってはいけません。行う際はきつく縛るのではなく、血が止まらない程度に軽く縛りましょう。
口で吸いだす
一昔のドラマや映画などで、毒蛇に咬まれた患部を口で吸って毒をぬく、というシーンをよく見ましたが、実はこの行為もやってはいけない対処法の1つなのです。誤って、毒を飲みこんでしまうことがある上、口の中の細かい傷や虫歯などから毒が入る可能性があります。
日本の毒蛇の毒では命の危険性は低いとはいえ、吸い出した方にも被害が表れる可能性があるため、絶対にやめましょう。
毒蛇を理解して被害を最小限に抑えよう
蛇はそこまで頻繁に見ることはありませんが、アウトドアをしていたり、畑作業をしている方は、よく見かけることがあるでしょう。特にアウトドアをしているときに毒蛇の被害に遭うと、病院まで行くのに時間が掛かることがあります。
そのため、日本の毒蛇に関する知識を熟知しておく必要があるのです。すぐに死亡するような猛毒を持っている毒蛇は日本にはいないため、咬まれても落ち着いて対処しましょう。落ち着いて対処することで被害を最小限に抑えることができますよ。
日本に生息する有毒生物に興味がある方はこちらもチェック
今回の記事では日本にする毒蛇について解説しましたが、日本には様々な有毒生物が存在します。海水浴やキャンプなど様々なシーンで出くわす危険性があるのです。そんな日本に生息する有毒生物が気になる方はこちらの記事もチェックしてみてください。
日本の有毒生物に関する情報が具体的に解説されていますよ。日本にも数々の有毒生物が生息していることが理解できることでしょう。ぜひ参考にしてください。
カバキコマチグモとは?噛まれると危険!日本最強の毒を持つクモをご紹介!
皆様「カバキコマチグモ」はご存知ですか?実は、日本全土に生息していて、国内のクモ刺咬症例の大半を占める非常に危険な毒グモなんです!今回はカバ...
【毒魚】触る・食べるは危険!川・海釣りでよく釣れる毒魚と対策方法
私たちの周りには、毒魚と言われる魚たちが居ます。毒魚とは毒を持った魚たちです。身近に居る彼らの特徴を理解する事で、もしもの時の対策を知る事が...
日本にも潜む危険な「毒虫」の種類5選!その毒性や症状までご紹介!
世界には様々な害虫がいて毒性の強い種類も多いのですが、日本にも数多くの害虫が潜んでいます。中には世界でも最強クラスの毒性を持つものがいるので...