後立山連峰・五竜岳の登山コースをご紹介
五竜岳は、後立山連峰の主峰として、鹿島槍ヶ岳とともに北アルプスに鎮座します。日本百名山に数えられ、2814mの標高を有し、富山県黒部市と長野県大町市にまたがる美峰です。
北アルプスといえば登山者が憧れる山脈で、登山の初心者には手が届かない存在でもあります。しかし、ある程度の経験を積めば、日帰りではむずかしいものの、1泊2日の登山で挑戦することが可能です。ぜひ北アルプスの絶景を楽しむためにも、五竜岳を目指しましょう。
五竜岳の周辺にはトレッキングコースも
五竜岳の山頂まではまだむずかしいという初心者の方におすすめのコースが、白馬五竜のトレッキングコースです。こちらは、五竜岳への登山コースの途中にあるコースで、本格的な登山の前に経験を積むにはちょうどいいトレッキングコースとなっています。
北アルプスに登ることを目指し、経験を積みたい方はぜひこちらのコースからはじめてみてはいかがでしょうか。高山植物が観察できる散策コースなどのトレッキングコースとなっています。
五竜岳の山頂を目指すには
五竜岳の山頂を目指す登山コースはおもに2コースあります。登山経験をされた方であれば、五竜岳からの縦走コースも多様にあるのでおすすめです。
今回はそんな憧れの後立山連峰の主峰、北アルプスの五竜岳の登山コースをご紹介します。各コースの歩行時間、登山口までのアクセス情報のほか、登山の季節などについてもご紹介しますので、ぜひチャレンジしてみましょう。なお、本稿は2021年7月21日現在の情報を元に作成しております。
山頂の眺めが美しい五竜岳とは?
五竜岳の基本情報
五竜岳は、富山県黒部市と長野県大町市にまたがって鎮座してます。この地理的位置からもわかるように、五竜岳は北アルプスの北部にあり、後立山連峰の中央部を形成する山で標高は2814mです。南側に位置する鹿島槍ヶ岳とともに日本百名山に数えられる人気の山となっています。
山頂は富山県側に位置し、8月の最高気温が15度程度です。登山の季節や服装をしっかりと考えて登山に臨まなければなりません。
北アルプスや後立山連峰って?
北アルプスとは飛騨山脈の通称で、新潟県、富山県、岐阜県、長野県と4県にまたがる山脈のことです。この北アルプスには、立山連峰や後立山連峰などが連なっています。後立山連峰は、北アルプスの中でも黒部川頭部に位置する山脈です。
なお、後立山連峰の最高峰は白馬岳で、標高は2932mとなっています。五竜岳よりも高い山は、鐘ヶ岳2903m、鹿島槍ヶ岳2889n、朝日岳2867m、針ノ木竹2820mなどです。
五竜岳山頂からの雄大な眺めとは?
五竜岳からの眺めは、北アルプスの山々が非常に美しく、多くの登山者を魅了します。天気がいい日は、後立山連峰の最高峰である白馬岳や朝日岳の山頂はもちろん、立山連峰の山々もはっきりと眺めることが可能です。
美しい山が連なるこの壮大なスケールの眺めは、五竜岳ならではの絶景といえます。この眺めを見るためにここまでやってきたという達成感がより深まること間違いなしです。
五竜岳のおすすめのトレッキングコース3選
五竜岳登山の山頂まではハードルが高いという方は、五竜岳への登山道の途中の小遠見山までのコースを歩いてみてはいかがでしょうか。トレッキングにちょうどいいコースとなっていて、道標もわかりやすく、体力に応じて3つのコースがあります。
①アルプス平自然遊歩道【難易度:初心者~/歩行時間:30分】
こちらは、アルプス展望リフトからスタートし、アルプス平を1周する自然遊歩道を散策するコースです。地蔵の頭と呼ばれる印象深いケルンを通り、黒部渓谷の名の由来となったクロベの大木を通り、四季折々の花が楽しめる湿原を散策します。地蔵の沼を通ってスタート地点に戻っていくというコースです。
5月下旬にはミズバショウ、7月に入るとドウダンツツジ、中旬にはウラジロヨウラクやニッコウキスゲ、下旬にはシモツケソウなど、高山植物が好きな方はぜひ散策をおすすめします。
登山口までのアクセス方法は?
白馬五竜テレキャビンで山麓のとおみ駅からアルプス平駅ま8分ほどです。さらにアルプス平駅からアルプス展望リフトに乗って10分、降りたところからアルプス平自然遊歩道がはじまります。道標に従って上っていくと、登山口ともいえるポイントの地蔵の頭が現れ、トレッキングのスタートはここからです。
帰りは来た道を戻りますので、登山前に最終の運行時間などを確認し、余裕を持った登山計画を立てましょう。
②見返坂コース【難易度:初心者~/歩行時間:20分】
こちらのコースは、アルプス展望リフトから地蔵の頭を通り、ブナ林を通りながら見返坂まで登るコースです。見返坂は、上ってきた急な道を振り返ると、アルプス平の眺めがすばらしいビューポイントとなっています。ここまでの歩行時間は20分です。
見返坂は標高1740mの地点にあり、眼下に地蔵の頭、目を遠くに移すと、雨飾山や戸隠連峰、志賀高原などが望めるポイントとなっています。五竜岳まではハードという方はぜひ五竜岳への登山道を少し体験してみましょう。
登山口までのアクセス方法は?
登山口はアルプス展望リフトを降りた場所からはじまるアルプス平自然遊歩道です。地蔵の頭を目指して進み、あとは道標どおり、見返坂を目指しましょう。
なお、このアルプス展望リフトを使わずに、アルプス平駅からトレッキングをスタートする場合、地蔵の頭まで20分ほどかかります。もう少し距離を歩きたいという方はアルプス平駅からトレッキングをスタートするのもおすすめです。
③小遠見山コース【難易度:初心者~/歩行時間:1h30】
アルプス展望リフトから地蔵の頭に向かい、そのまま小遠見山の山頂まで目指すコースです。この先には五竜岳への登山道ものびています。
見返坂のビューポイントを過ぎる現れる一ノ背髪が、このコースの中間ポイントです。二ノ背髪から尾根沿いとなり、この登山道こそ小遠見山の頂上へと通じています。山頂は標高2007m、360度の眺望が可能です。ここから五竜岳までは本格的な登山道となるため、ピストンで戻ります。歩行時間は90分ほどです。
登山口までのアクセス方法は?
こちらの登山口も、上記ふたつのコースと同じで、アルプス展望リフトの降り場からはじまります。地蔵の頭や見返坂を過ぎ、小遠見山の頂上まで登って行きましょう。
なお、とおみ駅には駐車場があります。とおみ駅まではJR大糸線神城駅より徒歩20分ほどです。車でのアクセスは、長野ICや安曇野IC、糸魚川ICよりおよそ1時間で、国道148号線の白馬五竜交差点からテレキャビンのとおみ駅へと上っていきます。
五竜岳のおすすめの登山コース3選
①遠見尾根コース【難易度:中級者~、歩行時間12h~】
こちらは白馬五竜テレキャビンのアルプス平駅から小遠見山を経由して五竜岳まで登るコースです。小遠見山山頂まではトレッキングコースを進み、そこから稜線のアップダウンを繰り返しながら、中遠見山、大遠見山へと進みます。
大遠見山から池のある西遠見、さらに西遠見山を経ると、白岳まで鎖場の連続です。遠見尾根分岐を経ると、眼下に五竜山荘が見えます。ここで一泊し、翌朝に五竜岳への登頂です。なお、五竜山荘から五竜岳山頂までは往復2時間ほどかかります。
登山口までのアクセス方法は?
登山口までのアクセス方法は、白馬五竜テレキャビンの山麓駅であるとおみ駅を利用します。このコースをピストンで登山する方は、テレキャビンの最終時間を確認し、無理のない登山計画を立てるようにしましょう。五竜岳山頂からなるべく早めに下山し始めるようにした方が安心です。
五竜岳登山コースの山荘情報
こちらの五竜岳登山コースを利用する場合、山頂手前の五竜山荘で宿泊します。五竜山荘は完全予約となっていますので、登山計画を立てたらすぐに予約をしましょう。こちらの山荘から山頂までは往復2時間ほどです。
ここからピストンで来た道を戻る場合、下山にかかる歩行時間は体力などにも寄ります。おおむね登りの所要時間と同じぐらいとなるようです。なるべく早めに出発し、テレキャビンの時間に余裕をもって間に合うようにしましょう。
五竜山荘
- 電話番号0261-72-2002(予約センター9h~16h30)
- 公式サイトURLhttps://www.hakuba-sanso.co.jp/yamagoya/goryusanso.html
②八方尾根コース【難易度:中級者~、歩行時間13h30~】
こちらは、各種リフトを乗り継いで八方駅から黒菱平駅または八方池山荘まで登り、少し進んだところにある八方尾根登山口から登山開始するコースです。1日目は八方山ケルン、第二ケルン、八方ケルンなどを通り、八方池、丸山ケルンなどのポイントを通過して唐松岳頂上山荘へと至ります。唐松岳頂上山荘から唐松岳までは20分程度です。
ここで1泊し、2日目は大黒岳、白岳を経て、五竜山荘、五竜岳山頂へ登頂します。五竜山荘で1泊し、3日目に遠見尾根を経て下山です。
登山口までのアクセス方法は?
八方尾根コースの登山口ともいえる八方池山荘まではアクセス方法が多様です。八方ゴンドラリフト・アダムで兎平駅まで登り、アルペンクワッドリフトで兎平駅から黒菱平駅、グラードクワッドリフトで黒菱平駅から八方池山荘まで登るなどの方法でアクセスします。
登山計画によって、八方池山荘で前泊し、唐松岳と五竜岳に登頂してから五竜山荘で1泊、2泊目に下山なども可能です。時間や日程を考慮して無理のない登山計画を立てましょう。
五竜岳登山コースの山荘情報【八方池山荘】
五竜岳の八方尾根コースの起点となる山荘です。このコースを使っての五竜岳への登山では、前泊して利用される方の多い山荘となっています。利用の際は予約が必要となりますので、忘れずに予約を入れるようにしましょう。
八方池山荘
- 住所〒399-9211
長野県北安曇郡白馬村神城21474-1 - 電話番号0261-75-3788
- アクセス黒菱第3リフトより徒歩20分
グラードクワットリフトより徒歩0分 - 公式サイトURLhttps://yamagoya.hakubakousha.com/
五竜岳登山コースの山荘情報【唐松頂上山荘】
唐松岳の山頂のすぐそばに位置する山荘です。五竜岳への登山ではもちろん、多くの登山者が縦走の拠点として利用する山荘となっています。山荘の裏山からはご来光を眺めることが可能です。テント泊も可能な山荘となっています。
唐松頂上山荘
- 住所〒938-0000
富山県黒部市宇奈月町黒部字黒部奥山 黒部奥山国有林36イ林小班 - 電話番号090-5204-7876
- 公式サイトURLhttp://karamatsu.jp/
③爺ヶ岳~五竜岳縦走コース【難易度:上級者~、歩行時間20h~】
五竜岳と鹿島槍ヶ岳のふたつの日本百名山を縦走する2泊3日のコースがこちらです。体力や経験など、あらゆる意味で上級者のコースとなっていますので、しっかりと計画を立てて登山に臨みましょう。起点は長野県大町市にあるバス停の扇沢駅で、柏原新道入口から種池山荘を経由して爺ヶ岳中峰、冷池山荘で1泊します。
難所の八峰キレットを経て鹿島槍ヶ岳そして五竜岳へ
2日目は布引山から鹿島槍ヶ岳の南峰、北峰を経てキレット小屋で宿泊します。この日は難所の八峰キレットを通るため、キレット小屋でしっかりと休息し、翌日に備えましょう。3日目は口ノ沢コル、北尾根ノ頭を経て、G5、G4のポイントから五竜岳に登頂です。山頂からは五竜山荘を経てアルプス平駅へと下山します。
登山口までのアクセス方法は?
このコースの登山口は扇沢登山口です。こちらは、鹿島槍ヶ岳の登山口として利用される登山口で、JR信濃大町駅から路線バスで40分、扇沢バス停まで向かいます。
車でのアクセスは、長野自動車道の豊科ICからです。扇沢駅の近くには無料の駐車場もありますので、ここを利用しましょう。300台以上を収容する駐車場です。なお、トイレはバス停にも駐車場にもありますので、登山前にぜひ利用しましょう。
五竜岳登山コースの山荘情報【種池山荘】
五竜岳と並び、日本百名山の双耳峰、鹿島槍ヶ岳への足掛かりとなる山荘がこちらの種池山荘です。登山口からこの種池山荘までは非常に歩きやすい柏原新道が続いています。登山計画に応じてぜひこちらの山荘も利用したいです。
なお、宿泊を予定している場合は予約して利用するようにしましょう。テント泊も可能です。予約なしの場合、追加料金なども発生します。
種池山荘
- 住所〒930-1406
富山県中新川郡立山町芦峅寺 - 電話番号0261-22-1263
- 公式サイトURLhttps://www.kasimayari.jp/
五竜岳登山コースの山荘情報【冷池山荘】
こちらの山荘も五竜岳から鹿島槍ヶ岳を目指す方が利用する山荘のひとつです。扇沢登山口から二つの日本百名山を目指すコースでは、登山計画によって利用するのにちょうどいいシチュエーションとなっています。種池山荘の系列の山荘で、リピーターの多い山荘です。
冷池山荘も山小屋での宿泊やテント泊ができます。ともに予約をしてから利用するようにしましょう。当日の予約なしでの宿泊では別途料金がかかることもあります。
冷池山荘
- 住所〒398-0001
長野県大町市平5328 - 電話番号0261-22-1263
080-1379-4041 - 公式サイトURLhttps://www.kasimayari.jp/
五竜岳登山コースの山荘情報【キレット小屋】
キレット小屋は、後立山連峰の難所として知られる八峰キレットの北側に位置する山小屋です。鹿島槍ヶ岳と五竜岳の最低鞍部に建てられたこちらの小屋には、夏の登山シーズンには登山者が多く宿泊します。テント場はありません。宿泊の際は予約が必要となります。予約なしの場合、断られることもありますので、忘れずに予約をしましょう。
なお、この山小屋から五竜山荘まではだいたい5時間ほどです。登山計画の参考にしましょう。
キレット小屋
- 住所〒399-9301
白馬村八峰キレット北 - 電話番号0261-72-2002(予約センター)
- 公式サイトURLhttps://www.hakuba-sanso.co.jp/yamagoya/kiretto.html
北アルプスの主峰・五竜岳の季節や気温
五竜岳は7月~10月ごろがシーズン
五竜岳登山におすすめの季節は7月~10月となっています。この時期には雪が降らないため、登山しやすく、また登山者の心を和ませる高山植物がその姿を見せる季節だからです。
五竜岳登山のおもな登山コースである遠見尾根コースは、白馬五竜高山植物園を抜けて進みます。こちらの植物園では、200種以上、100万株の高山植物が登山シーズンを通して観察することが可能です。青いケシの花やエーデルワイスなどの高山植物も見られます。
8月の最高気温も15度を切る
五竜岳は北アルプス北部の山です。例年、登山シーズンの中でも気温が上がる8月の最高気温も15度を切るほど涼しい中を登山することになります。このため、真夏の登山であっても、しっかりとしたウエアの着用が必須です。
また、整備されたトレッキングコースから先のコースは本格的な登山道となります。登山靴などの着用はもちろん、天候の変動に対応した雨具などの準備など、しっかりとした登山装備で出かけるようにしましょう。
北アルプスの五竜岳を目指そう!
五竜岳は北アルプスの後立山連峰に鎮座します。日帰りで周辺のトレッキングコースを楽しめるほか、縦走しながら山頂を目指すコースが多様です。五竜岳の山頂までの日帰り登山はかなりハードですので、山荘を利用してのんびりと登山を楽しみましょう。北アルプスの広大で美しい眺めを満喫できるはずです。
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