北アルプスの大日岳はどこにある?
北アルプスの大日岳がどこにあるか下の地図で説明しましょう。地図の東側に浄土山、立山、別山が南から北に並んでいます。別山から剣御前小屋のある別山乗越を経て北へ剣御前、剣岳と続きます。これが立山連峰の主脈です。主脈上にある剣御前から西に派生する大日尾根に奥大日岳(標高2,611m)、中大日岳(2,500m)、大日岳(2,501m)の順に大日三山が続きます。大日岳からは大日平を経て称名滝の手前にある駐車場まで下山路があります。(下の写真は室堂地獄谷越しに見た大日岳です。右は奥大日岳です。)
知る人ぞ知る北アルプス大日岳の魅力
知名度の高い立山連峰の立山や剣岳へ向かう登山者の圧倒的な多さに比べると同じ立山連峰の大日岳への登山者ははるかに少ないです。しかし、大日岳には知る人ぞ知る魅力があり、ベテラン登山者のリピーターが多いのです。大日岳がベテラン登山者を惹きつける魅力は、何と言っても大日岳からの360度の周囲の山々の景観のすばらしさでしょう。圧巻は大日岳からの剣岳で、ここから見る剣岳が最高だとされています。そのほか、立山、薬師岳なども絶景です。さらに遠くには後立山連峰、槍ヶ岳、白山なども見え、すぐ近くに奥大日岳が大きく見えます。また、ラムサール条約登録湿原である大日平の木道ウオーキングで池塘や高山植物が楽しめることも大日岳登山の魅力といえます。
山小屋が2か所にあります
大日平には大日平小屋(があり、大日岳直下で中大日岳との鞍部には大日小屋があります。4時間ほどの行程中に2か所も山小屋がありますので大日岳登山者には安心ですね。またラムサール湿地の大日平をじっくり楽しみたい人や朝焼け、夕焼けの山岳写真撮影を目的にする人にはありがたい存在でしょう。
北アルプス大日岳へのアクセスルートは?
大日岳へのアクセスルートとしては、まず室堂から新室堂乗越を経由して奥大日岳、中大日岳、大日岳と縦走して称名平へ下山するルートがあります。このルートは立山或いは剣岳への登山者が帰路に室堂へ下らずに大日尾根を縦走して下山する場合にも利用されます。もう一つのアクセスルートは逆に称名平から称名坂を登って大日平へ、大日平湿地の木道を歩いて大日小屋を経由して大日岳へ登るルートです。
称名平からのルートは日帰りが可能です
称名平から登るルートは厳しい登りが2箇所もありますが、ケーブルとバスを乗り継いで室堂まで行かなくて済み、日帰りで大日岳へ往復できるという大きなメリットがあります。
大日岳日帰りルート登山口へのアクセス
この記事での大日岳日帰り登山のスタート地点を称名平の駐車場とします。この駐車場(上の写真参照)は称名滝探勝の定期バスのターミナルになっていて、マイカーの大日岳登山者が利用する駐車場でもあります。これから、この駐車場へのアクセス及び大日岳への登山口やその周辺についての簡単な説明をします。
称名平駐車場へのアクセス
まず、称名平駐車場までのアクセスを説明しましょう。車利用の場合は北陸自動車道立山インター(上の写真)から県道6号線経由で約60分です。駐車場は約250台(無料)のスペースがあります。
電車利用の場合は富山地方鉄道立山駅から定期バスで約20分です。
なお、駐車場の少し手前にはゲートがあり、悪天候の場合には通行止めになります。また、このゲートが開いている時間は、7月8月は朝6時から19時、そのほかの月は朝7時から18時になっていますので注意してください。
称名平駐車場~大日岳登山口、展望台
称名平駐車場から舗装された道を称名滝方面に歩くと800mほどで左側に大日岳登山口の案内があります。ここから北に向かえば称名坂を登って牛首、大日平、大日岳へと続きます。滝へ向かってさらに進むと右手に八郎坂への入り口があり弥陀ヶ原の弘法まで続いています。
さらに先に進めば称名滝を見るための展望台に出ます。車やバスが入れるのは称名平駐車場までです。
この記事は2019年7月5日現在の情報に基づきます
称名平駐車場手前のゲートの開閉時刻をはじめこの記事の内容は2019年7月5日現在の情報に基づいています。
大日岳への日帰りルート:(1)称名平→大日平山荘
北アルプス大日岳日帰り登山のスタート地点を称名平駐車場とします。ここから大日岳まで登り、同じ道を戻ってスタート地点までを何分割かして、解説していきます。まず最初はスタートから大日平山荘まで2時間弱の行程です。
称名平駐車場から牛首まで
称名平駐車場から舗装路を15分ほど歩いて左手の登山口から称名坂に入ります。樹林帯の道ですが、適当に風も通り気持ちの良い登山路です。やがて急こう配の連続になりロープや階段も現れますのでゆっくりと着実に歩きましょう。50分ほどで称名坂を上り切りますが、大日平へ入る前に牛首という場所(表示板あり)があります。その付近は細い尾根になっていてそれを過ぎると鎖場の急こう配があります。スリップ、滑落に注意が必要な危険な場所ですので気を付けて歩いてください。
牛首から大日平山荘まで
牛首の危険区域を通過すると道は平坦になり大日平に入ります。展望が開けてきて、大きくどっしりとした薬師岳が見えてきます。広大な大日平を進むと道は木道になります。やがて「ラムサール条約湿地」プレートのポイントに到着します。ここから木道をしばらく歩くと前方に大日平山荘が見えてきます。牛首から山荘までは40分程度です。
大日岳への日帰りルート:(2)大日平山荘→大日小屋
大日平山荘からも木道が続きます。大日岳と中大日岳の間の谷筋を目指して池塘が点在する湿地の高原を歩きます。木道を歩いている間に最初の沢を通過しますが道に迷いやすい箇所ですので要注意です。ここを通過してしばらくすると木道区間が終わり、急こう配の岩の多い谷筋のジグザグ道になります。この登りでは6,7回沢に出会いますが、この沢渡たりも道に迷いやすいので岩に書かれたOKの意味の矢印や〇印、NOの意味の×印をよく確認しながら進んでください。なお、これらの沢の水は飲めます(木道区間の沢の水は飲めません)。
「風見鶏の大岩」ー分岐点ー大日小屋
最後の沢を通過するとすぐに「風見鶏の大岩」と呼ばれる大きな岩に到着します。この岩を巻いて、稜線の南斜面をしばらく進むと大日岳頂上と奥大日岳方面との分岐点があり、すぐ近くに大日小屋があります。小屋正面のベンチの置かれた広場から鋭くとがった剱岳の景観が望めます。大日平山荘から2時間弱の行程です。
大日岳への日帰りルート:(3)大日小屋→大日岳
大日小屋から2501mの大日岳頂上までは、尾根に沿った緩やかな斜面を15分から20分程度登ります。岩と高山植物が点在する雄大な草原を歩く感じで快適なルートです。大日岳の名前は大日如来からきていると言われています。昔は大日岳そのものが大日如来(太陽)として信仰されていたのです。大日岳山頂には石で組んだ祠の様なものがありますが、中には大日如来様がおられるとのことです。
大日岳頂上からの眺望
頂上からの360度の展望はすばらしいです。東面には奥大日岳を真ん中にして左側には鋭くとがった剣岳の絶景が望めます。剣岳の後方左側には白馬など後立山連峰が見えます。奥大日岳の右側には雄山、大汝山、富士ノ折立からなる独特の台形をした立山が望めます。南方にはどっしりとした大きな薬師岳の姿があります。西方には手前に鍬崎山、その右手後方には遠く白山が見えます。北方には近くに大辻山その左に常願寺川の流れがはっきりと見えます。その左方には富山湾や能登半島が望めます。
立山という単独峰はない
北アルプス立山連峰の「立山」は、雄山、大汝山、富士ノ折立の3つの峰の総称です。立山という単独の山はないのです。雄山に登ってきて立山に行ってきた、という人が多くいますが雄山を「立山」というのは正しくないのです。また、立山と両隣の別山、浄土山を合わせて立山三山といいます。
大日岳への日帰りルート:(4)大日岳→称名平
大日岳頂上から称名平への戻りのコースは登ってきた道をそのまま戻ります。標準的な所要時間は正味3時間程度です。コースについては特に説明は不要と思いますが、付け加えたいことが2点だけあります。まず1点目は、大日小屋から大日平へ下り道と牛首からの下り道にある急こう配の下りは、十分気を付けてゆっくりと下るようにしてください。登りの時には厳しい登りと感じたことでしょうが、下りではそれ以上に大変なのです。膝を痛める人が大勢います。
2ツ目の注意点
2点目の注意点は日帰りの山行では帰りに称名平駐車場に何時までに到着しなければならない、という制約があることです。マイカーの人は帰路のゲート封鎖時刻が決まっていますし、バスで立山駅まで向かう人は最終バスに間に合う必要があります。この時間を把握しておいて、万一登山中に何らかのトラブルが発生した場合にはこのまま下山するか、あるいは2ツの山小屋のどちらかに泊まることにするかを決断しなければなりません。
称名滝探勝バス時刻表
称名平駐車場のすぐ先の桂台にあるゲートは18時に、7月8月については19時に閉まることは前に紹介しました。立山駅からの称名滝探勝バス始発は立山駅7:30-駐車場7:45、立山駅に向かう駐車場出発の最終時刻は16:40分です。7月21~26の土日祝日および8/13~15は17:20発が追加されます(4月下旬〜11月10日)。詳しい時刻表は下のサイトを参照ください。
時間があれば称名滝展望台に立ち寄ろう
称名平駐車場への到着リミット時間に1時間程度の余裕があれば、ぜひ日本一の落差の称名滝を見てかえってください。大日岳への登山口に到着後15分ほど歩けば滝の展望台につきます。展望台から登山口を通過して駐車場までは下りですので20分ほどで行けますので、1時間程度の余裕があれば十分に称名滝を堪能できます。時期が夏の早い時期(7月まで?)であれば、称名滝の右側に幻の滝といわれるハンノキ滝やソーメン滝もみられるかもしれません。
称名滝
称名滝は4段の滝で上から40m,58m、96m,126mに分かれて全体で350mの落差があり、日本一の落差の滝です。大きな滝つぼに流れ落ちる水はすさまじい水煙を上げて周囲に冷気を振りまいています。
ハンノキ滝
雪解け水や雨の多い4〜7月にだけ、称名滝の右側に現れる滝です。滝が現れる時期が限定的なので幻の滝と呼ばれています。滝の落ち口は称名滝よりも高い位置にあり、落差は500mあって称名滝の350mよりはるかに大きいのです。1年中見られれば、こちらが日本一となります。また、ハンノキ滝の右側にソウメンのように流れ落ちる滝が見えるかもしれません。これもハンノキ滝と同様に幻の滝で、一時期しか見られません。
おわりに
ここまでお読みいただきありがとうございます。いかがでしたか?
大日岳への日帰り登山を中心にご紹介してきました。観光地と化した室堂、登山者が列を成す立山(上の写真)、剣岳にくらべ、人が少ない大日尾根への登山は静かな山歩きが楽しめます。帰りには時間があれば落差日本一の称名滝を見れます。さらに幻の滝のハンノキ滝やソウメン滝を見ることもできるかもしれません。ぜひ大日岳登山を計画して見てください。
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