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登山でよく聞く縦走とは?そんな疑問にお答え!魅力や初心者におすすめルート4選も!

日本独自の登山形態といってもよい縦走登山は、何といっても天空を歩く様な雄大な景色を眺めながら開放感の中、素晴らしい山歩きの醍醐味を感じるのが縦走です。そんな縦走の魅力をお伝えすることと、初心者からベテランまで楽しめる縦走ルートをご紹介しましょう。
2021年7月29日
Meigen Oka
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目次

縦走とは

Photo by Iwao Kobayashi

縦走とは、独峰(どっぽう)と呼ぶ独立した山に登り、山頂を極めてそのまま下山する登山とは違い、ピーク(頂上)同士を繋ぐ、馬の背の様な尾根と呼ぶ稜線(脊梁:せきりょう)の連なりを歩く登山法のことを言います。

縦走は基本的に尾根を歩きながら、それぞれの山頂を経由して山脈を踏破することをいいますが、縦走するルートによっては、急峻な岩稜やキレット(急峻な鞍部)を避けて山頂を目指さずに進んでも縦走と定義されます。

縦走の魅力

Photo by Iwao Kobayashi

北アルプス表銀座縦走ルートがよく知られていますが、縦走といってもさまざまなルートがあります。経験と体力を要する岩稜などを乗越す難関縦走ルートもありますが、緩やかな尾根が続き、ハイキング気分で伝い歩ける縦走ルートもあります。

縦走の魅力は何といっても、稜線から周囲の山々の連なりを見渡せる雄大な景観と、天空に居るかの様な開放感を感じることです。所々に植生のある高山植物のお花畑を眺めながら歩くのも縦走の楽しみでしょう。

縦走は日本だけの登山形態

フリー写真素材ぱくたそ

海外では、ヒマラヤ山脈8,000m級の山々を望みながら、約1,700kmのトレッキングルートを東から西にかけて横断する「グレートヒマラヤトレイル」が有名ですね。天空の回廊と言われています。

グレートヒマラヤトレイルは、ピークからピークへ伝い歩く縦走は大変厳しく、それぞれのピークの山麓を歩くルートとなっています。ヨーロッパアルプスなどでも同様で、尾根を伝い歩く縦走とは日本だけといってもよいでしょう。

縦走に必要な装備

フリー写真素材ぱくたそ

標高の高い山への山行でも相応の装備・服装の用意は必要ですが、縦走となると日数を掛けることと、長い行程のために天候の急変にも対応できる装備や、縦走コース上に山小屋がなければテント泊の用意も必要です。

テント泊の他、縦走ルート上にある無人の山小屋(避難小屋)では自炊が不可欠ですので、縦走の行程に合わせて用意。併せて調理セット、燃料、シュラフ、マットなども用意しなければなりませんから、かなりの重装備となります。

装備について

Photo bykalhh

縦走は長時間の山行になるため、持参する荷物も多く重いザックを背負って歩かなければなりません。長時間歩きますので、縦走ルートの状況や山小屋など事前によく把握をし、荷のチェックリストを確認して用意をしましょう。

縦走路を歩くにはストックは必要不可欠、登山靴は靴底がしっかりしたもので足首をホールドできるものがおすすめです。食料は手間のかからないお湯で作れるものがよく、軽くて済みます。服装もチェック表を参考にして用意しましょう。

縦走に用意したい装備

目的別装備         アイテム
山行用装備 ザック(40~50ℓ)、ザックカバー、ストック
ヘッドランプ、軽アイゼン、グローブ、ヘルメット
水筒、細引きロープ、地図・コンパス
宿泊装備 テント、シュラフ(カバー、マット)、ランタン
調理道具 バーナー、燃料、コッヘル、ナイフ、食器、
必要備品 ビニール袋、タオル、予備電池、トイレットペーパー
医薬品、スマホ用充電器
食料品 パックご飯、レトルト品、行動食、(日数分用意)
水(飲料用、炊事用)
服装 雨具(必携)、フリース、防寒衣料、インナー、帽子
※衣類は速乾性で保温力のある化繊のものがベスト)

縦走登山の注意点


Photo by megu0919

縦走登山は、ある程度の登山経験と体力を必要とします。長時間の尾根歩きですから、天候の急変など予測できない事態も発生しますので、縦走ルートの確認と気象情報を事前に確認しておき、体力も万全にしておくことも大切です。

標高の高い縦走では、経験を積んだパートナーおよび二人以上のパーティーを組み、単独行は避けましょう。体調の不調を感じたり天候の悪化が予測される場合は決して無理をしないことです。ストックも上手に使いましょう。

登山ルールを守ろう

Photo by megu0919

縦走には登山ルールを守ることも大切です。植生の保護には十分気を付け、縦走路から外れて歩くことは遭難に繋がります。“キジ打ち(トイレ)”は必ず声掛けをすることと、雨水に溶けない紙類を使用するのは厳禁です。

初心者におすすめ縦走ルート4選

1、高尾山から陣馬山縦走(入門コース)

Photo by jetalone

東京都の西に位置し、明治の森高尾国定公園の指定がある修験道の山「高尾山」から奥高尾と呼ばれる「陣馬山」まで縦走路が続いています。この登山道はよく整備されて歩きやすく、縦走登山の入門コースとしておすすめです。

約18kmの長めのコースとなりますから、装備はしっかりと整えましょう。高尾山頂から城山、小仏峠、景信山と歩きますが、縦走路の途中からは展望が開ける場所が数箇所ありますので、景観も楽しめますよ。

コース概要

高尾山口駅をスタートして6号路を登ります。高尾山薬王院を参拝して山頂へ進み、展望を楽しんだら、陣馬山への縦走路を歩き、大垂水峠分岐から展望デッキのある一丁平に着いて休憩。富士山や丹沢山系が見られます。

小仏城が有った城山から旧甲州街道の分岐小仏峠を過ぎて景信山の茶屋で休憩。少々アップダウンのある奥高尾縦走路を歩いて陣馬山に到着。広い山頂からの展望は素晴らしいですよ。陣馬高原下に下山します。

アクセスルートDATA

登山口までのアクセス 【高尾登山口】
京王線高尾山口駅から徒歩約5分
車:圏央道高尾山ICより約5分(駐車場有り)    
【陣馬高原下】
高尾山口駅へバス利用約30分
山行 日帰り
難易度:☆☆☆★★ 体力度:☆☆☆★★
アクセス情報 距離:約18.9km 累積標高差:上り1,544m・
下り1,535m  地図上標準コースタイム:約6時間30分
コースタイム 高尾山口スタート⇒(100分)高尾山頂⇒(20分)一丁平⇒(30分)城山⇒(20分)小仏峠)⇒(40分)景信山⇒(120分)陣馬山⇒(60分)陣馬高原下ゴール

2、霧降高原~男体山縦走(初心者コース)

標高1,200mの高原地帯でニッコウキスゲの群落で知られる、日光国立公園「霧降高原」のキスゲ平から赤薙山(標高2,010m)、女峰山(標高2,464m)を経て志津峠から男体山(標高2,486m)に至る縦走ルートです。

霧降高原から女峰山までは景色もよく歩きやすい登山道ですが、志津峠まではガレ場もあり、登山道も狭いので注意が必要です。日帰りもできますが、初心者は無理をせずに唐沢避難小屋に1泊する山行にします。

コース概要

霧降高原キスゲ平園地からスタート。1,445段の木の階段を一気に登ります。丸山分岐から赤薙山への稜線がきれいです。赤薙山から水場のある一里ヶ曽根独標を過ぎて女峰山に登頂し、唐沢避難小屋に宿泊します。

黒岩尾根登山道との分岐を馬立へと進みます。馬立へはガレ場の登山道ですので注意が必要です。馬立分岐から志津峠へと向かって男体山に登り、二荒山神社中宮祠前に下山します。


アクセスルートDATA

登山口までのアクセス 【霧降高原キスゲ平園地】
JR日光駅よりバス利用約30分
車:日光宇都宮道路日光ICより約30分
【二荒山神社前】
JR日光駅までバス利用約40分
車:日光宇都宮道路清滝ICまで約20分
山行 1泊2日
難易度:☆☆☆★★ 体力度:☆☆★★★
アクセス情報 距離:約19.4km 累積標高差:上り2,678m・
下り2,750m 地図上標準コースタイム:約12時間
コースタイム
(1日目)
【約5時間20分】
霧降高原キスゲ平スタート⇒(30分)丸山分岐
⇒(80分)赤薙山⇒(50分)赤薙奥社跡⇒
(60分)一里ヶ曽根独標⇒(70分)女峰山⇒
(30分)唐沢避難小屋(泊)
コースタイム
(2日目)
【約6時間40分】
唐沢避難小屋⇒(40分)馬立⇒(20分)馬立分
岐⇒(70分)志津峠分岐⇒(130分)男体山⇒
(30分)八合目⇒(60分)四合目⇒(20分)三合目⇒(30分)二荒山神社中宮祠前ゴール

3、北八ヶ岳縦走(初心者コース)

Photo bydaisukeeee

長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳連峰の北側にあって、赤岳など急峻な岩場などが連なる南八ヶ岳に比べて、なだらかな山稜で緩やかな斜面と岩場なども少ないのが北八ヶ岳と呼ばれています。

その北八ヶ岳を麦草峠を登山口に標高2,403mの縞枯山、標高2,480mの北横岳へと進み、標高2,531mの蓼科山の山頂から、蓼科牧場ゴンドラリフトの御泉水自然園駅に下山する、1泊2日の北八ヶ岳縦走ルートです。

コース概要①/麦草峠から北横岳

麦草峠をスタート。歩きやすい登山路を歩き、茶臼山ピークにはガレ場を進んで登頂後、一旦鞍部に下って登り返し、縞枯れ現象と呼ぶ多くの樹木が立ち枯れている様子を見ながら縞枯山に登頂。

縞枯山から雨池峠分岐を北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅方面に進み、坪庭から三つ岳分岐より北横岳ヒュッテで休憩後、北横岳南峰を経て北峰山頂上(標高2,480m)に登ります。

コース概要②/蓼科山から御泉水自然園駅

北峰から樹林に囲まれ、静寂を感じる亀甲池を眺めながら、将軍平分岐から将軍平に建つ山小屋「蓼科山荘」に着いて宿泊。翌日、岩だらけの急斜面を登って蓼科山に登頂。山頂からの絶景が楽しめます。

将軍平に戻り、分岐から枯れ沢で岩の多い登山路を進んで、蓼科山七合目へと下り広大な自然観察園に設けられている、蓼科牧場ゴンドラリフト御泉水自然園駅から蓼科牧場に下山します。

アクセスルートDATA

登山口へのアクセス 【登山口】
麦草峠:JR茅野駅よりバス利用約65分
車:中央道諏訪ICより約60分(駐車場有り)
【下山口】
蓼科牧場:バス乗り継ぎでJR茅野駅まで約60分 車:中央道諏訪ICまで約60分
山行 1泊2日 
難易度:☆☆☆★★ 体力度:☆☆★★★
アクセス情報 距離:約13.6km 累積標高差:上り1,228m
下り1,521m 地図上標準コースタイム:約10
時間10分

コースタイム
(1日目)

【約7時間20分】
麦草峠スタート⇒(65分)茶臼山⇒(45分)
縞枯山⇒(30分)雨池峠⇒(80分)北横岳
ヒュッテ⇒(30分)北横岳北峰⇒(80分)
亀甲池⇒(30分)将軍平分岐⇒(80分)蓼科
山荘(泊)
コースタイム
(2日目)
【約2時間50分】
蓼科山荘⇒(40分)蓼科山頂⇒(30分)将軍
平分岐⇒(80分)蓼科山七合目⇒(20分)
御泉水自然園駅ゴール

4、谷川岳~平標山縦走(初心者コース)

Photo by Hirotaka Nakajima (nunnun)

ある程度の登山経験があることが条件で、初めて縦走を経験する縦走初心者向けのおすすめルートです。谷川岳から平標山へと続く長い縦走ルートですので、前夜泊をする2泊3日の山行となります。

この縦走ルートは、谷川岳、万太郎山、仙ノ倉山、平標山と4っのピークを辿りながら、上越の山々の雄大で爽やかな稜線を楽しむことができ、南・北アルプスなどにも引けを取らない魅力ある縦走ルートです。

コース概要①/土合口から谷川岳肩ノ小屋

前夜泊をして早朝に土合口をスタート。西黒尾根の樹林帯を抜けて、クサリ場のある岩場を過ぎ“ラクダの背”に着くと展望が開けます。山頂までは急登となりますが、高山植物の花々を楽しみながら登ることができますよ。

双耳峰と呼ぶ意味の谷川岳のトマの耳(標高1,963m)、オキの耳(標高1,971m)と進み、オキの耳からは周囲の上越の山並みが眼前に広がり絶景です。肩ノ小屋で休憩。これから進む平標山への縦走路の稜線もきれいに見えます。


コース概要②/大障子避難小屋から万太郎山

平標山に向かって、歩きやすい尾根道を進むと、とんがり帽子の様なオジカ沢ノ頭が見えてきます。岩場の巻き道を歩いてピークと避難小屋を過ぎ、気持ちのよい笹原の縦走路を進んで大障子避難小屋に到着し宿泊。

山小屋から20分の場所に水場がありますが、足場が悪いので注意しましょう。大障子の頭からの下りは滑りやすいので注意。ニッコウキスゲ、ハクサンイチゲが咲いています。登りがきつい万太郎山(標高1,954m)に登頂。

コース概要③/仙ノ倉山から平標山

万太郎山から一度下り、毛渡乗越、エビス大黒の頭から仙ノ倉山(標高2,026m)に登り返します。仙ノ倉山から木道を歩いて、最後のピーク平標山(標高1,984m)に登頂後、平標登山口に下山します。

アクセスルートDATA

登山口までのアクセス 【土合口】
JR土合駅より徒歩約20分
車:関越道水上ICより約20分(駐車場有)
【平標登山口】
JR越後湯沢駅へバス利用約40分
車:関越道湯沢Cへ約30分
山行 前夜泊2泊3日
難易度:☆☆★★★ 体力度:☆☆★★★
アクセス情報 距離:約21.7km 累積標高差:上り2,976m・下り2,665m 地図上標準コースタイム:約14時間20分
コースタイム
(1日目)
【約6時間30分】
土合口・西黒尾根登山口スタート⇒(160分)ガレ
場のコル⇒(90分)トマの耳⇒(10分)オキの耳⇒
(20分)谷川岳肩ノ小屋⇒(60分)オジカ沢の頭⇒
(50分)大障子避難小屋(泊)
コースタイム
(2日目)
【約7時間50分】
大障子避難小屋⇒(90分)万太郎山⇒(40分)毛渡
乗越⇒(80分)エビス大黒の頭⇒(70分)仙ノ倉山
⇒(50分)平標山⇒(140分)平標登山口ゴール

縦走/まとめ

Photo byKanenori

魅力ある縦走ルートでは、北海道「大雪山系縦走」、東北にあって人気の高い「飯豊連峰縦走」、登山経験も体力も必要となりますが、北アルプスの「表銀座縦走」、九州では「九重山系縦走」などがよく知られています。

ここでは縦走登山の初心者向けに比較的やさしいルートをご紹介してみましたが、経験者との同行が望ましく、装備もしっかり整えて、無理をしない山行をおすすめします。また、山小屋の情報も確認しておきましょう。

登山情報など気になる方はこちらもチェック!

登山ルートや装備についてなどの情報をもっと知りたい方は「暮らし~の」のWEBマガジンでも数々の登山に関する情報の記述がありますので、ぜひ参考にご覧になってください。