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ノコギリクワガタの幼虫の飼育ガイド!マット飼育より、成長が早い飼い方もご紹介!

ノコギリクワガタの幼虫の飼育方法にはマット飼育・材飼育・菌糸ビンなどありますがおもに幼虫のエサの関係でやり方により同じ期間で成長の差が生じることも。今回はノコギリクワガタの幼虫の体重を増やしやすい飼い方注意点(温度管理やマット交換時期時期など)を解説します。
更新: 2023年7月25日
佐藤3
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目次

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はじめに:ノコギリクワガタの幼虫の飼育方法

幼虫から育てるノコギリクワガタ飼育

Photo by バイク便八王子立川所沢

巨大に進化した2本の大あごがかっこいいノコギリクワガタは、日本の夏にはよく見つけることができる国内に数多く生息する甲虫類として人気の昆虫です。

成虫を雑木林などで見つけてきて寒くなるまで飼っているという人は多いですが、中にはメスが卵を産み幼虫が生まれたという方もいるのではないでしょうか。成虫の飼育は比較的方法が知られていますが幼虫飼育となるとまた育て方が変わってきます。

ノコギリクワガタの幼虫を短時間で成長させる

ノコギリクワガタをはじめとするカブトムシ・オオクワガタなどの飼育方法で一般的なのがマット飼育や材飼育です。ケースの中に飼育用の土(マット)や木(産卵材)を入れて育てる育て方となっています。

しかし一般的といわれるマット飼育や材飼育よりも成長時間が早く、大きくなりやすい飼育方法があるとしたら試してみたくないですか?今回はそんな菌糸ビンでの飼い方についても解説していきましょう。

幼虫飼育の前に知りたいノコギリクワガタのこと

幼虫を飼い始める前にまずはこのノコギリクワガタという昆虫について知りましょう。分類や見た目の特徴をご紹介します。

ノコギリクワガタの基本情報

出典:https://photo-ac.com/

科・属 クワガタムシ科ノコギリクワガタ属
学名 Prosopocoilus inclinatus
分布 日本・韓国など
見つけられる木 クヌギ・コナラ・ミズナラなどの広葉樹

ノコギリクワガタの見た目の特徴など

出典:https://photo-ac.com/

ノコギリクワガタの名前の由来ともなった大あごが特徴的な甲虫です。オスメスでこの大あごの長さも非常に差があり、オスは体の半分以上の長さにも達しますが、メスは控えめに頭部の先に小さなものが付いている程度となっています。

体の色は黒っぽいものが多いですが時々赤みが強い個体も見かけることができるでしょう。急に強い衝撃を受けると擬死(死んだふり)をして木から落下するため、昔から昆虫採集の際に木を蹴って落とすという方法が使われています。

ノコギリクワガタの幼虫の体重は

通常のノコギリクワガタの3齢幼虫だと平均10-12グラムといわれます。今回は大きく育てたいので、12グラムを目標にしっかりエサの交換や温度など管理していきましょう。ノコギリクワガタの幼虫だと15グラムというサイズも観測されていますので、このサイズを目指してみるのもよいですね。

成長が早くなる!ノコギリクワガタの幼虫飼育

ノコギリクワガタなどの甲虫類はさなぎから羽化するときに大きくなることはありませんので、幼虫からさなぎの大きさによって成虫の大きさが決定します。

ノコギリクワガタのサイズは飼育環境と幼虫のときの栄養などの成長度合いに左右されるでしょう。幼虫を早く大きく育てたいという方へ飼育方法を解説します。

ノコギリクワガタ幼虫飼育の大まかな流れ


細かな解説はそれぞれしていきますが、まずはノコギリクワガタの幼虫の飼育をどのような流れでやっていくかご説明します。まずは孵化した幼虫の割り出し作業で次にマット飼育の準備です。

大きさだけでなく失敗しづらい飼育を目指していますので、大きさを確認しつつマットで育ててから菌糸ビンに移すという工程になります。常時必要になる温度や湿度管理についても解説していきましょう。

ノコギリクワガタの幼虫飼育1.

クリアボトル

出典:楽天

ノコギリクワガタ飼育で用意するものは、飼育ボトル(クリアなものだと地中にいることが多い幼虫を観察しやすくておすすめ)・土(マットとも呼ばれる甲虫飼育用のもの)または材飼育用の木または菌糸ビン・水分を与えるための霧吹きと成虫飼育よりも少なくて済みます。

成虫を飼っているマットと同じものでよいですが、幼虫のエサはこのマットとなりますのであまり低価格で品質が心配なものは避けた方が無難です。

ノコギリクワガタの幼虫飼育2.

幼虫をたまごから飼育している人は、まず行うのは割り出しという作業です。これはノコギリクワガタのオスとメスをペアリングさせ産卵木やマットの中に生まれたたまごから孵化した幼虫を個別に幼虫用のボトルに分けていくこと。

このボトルに入れるのは一般的にエサとなるマットですが、今回ご紹介したいのは菌糸ビン(菌糸ボトルとも)と呼ばれる栄養たっぷりの幼虫飼育ボトルです。こちらに割り出した幼虫を1匹ずつセットしていきましょう。

ノコギリクワガタ幼虫割り出しのやり方

ノコギリクワガタのオスとメスのペアリングから1-2ヶ月を目安として(1ヶ月ごとに2回おこなうのが一般的)産卵木を慎重にマイナスドライバーなどを用いて割ったり、マットの中を探ってみて幼虫を取り出します。これが割り出し作業と呼ばれます。

取り出した幼虫は用意した菌糸ビン(小さなうちはビンやボトルではなくプリンカップのようなものでもOK)に乗せてあげると、自分からエサとして食べつつ潜っていくので簡単です。

ノコギリクワガタの幼虫飼育3.

コストをかけたくない方はマット飼育でもOK

マットや材飼育と菌糸ビンの何が違うのかというと、マットは木や落ち葉などを腐らせ発酵させたいわゆる腐葉土と呼ばれるものの一種です。それだけでも栄養はありますので通常の幼虫飼育には十分なものとなっています。材飼育は朽木を使った幼虫飼育方法で自然環境に一番近いですが難易度はあがるでしょう。

特に早く大きく成長させなくてもよいので、ローコストでノコギリクワガタの幼虫飼育をしたいという方はマットをびんに詰めたものか飼育ケースで材飼育をして幼虫を育てます。

幼虫飼育に使われる菌糸ビンとは

一方菌糸ビンは木にきのこ菌を付けて分解を促して、より幼虫が食べやすい栄養に変えたものでいわば栄養のかたまりです。今ではノコギリクワガタのような甲虫類の幼虫飼育に使われていますが、もともとはきのこ栽培の道具がサイズがぴったりなので使われはじめました。

リグニンが幼虫が消化できる朽木を作る

菌糸ビンの中に入っているきのこ菌は自然界でリグニンを分解できる唯一の存在です。リグニンがあると幼虫はいくら腐っている木であっても食べることができません。

菌糸ビンの中身はおが粉と呼ばれる木を細かく削ったもので、そこにきのこ菌を入れることにより培養するのですが、ノコギリクワガタなどクワガタのエサとしても非常に優秀でしかも食いがよく早く大きく育つものとして知られています。

ノコギリクワガタの幼虫飼育4.

ノコギリクワガタのよい栄養となる菌糸ビンですがいきなり孵化してすぐの幼虫を入れると稀に菌に幼虫が負けて死んでしまうことがあります。

たくさん幼虫がいて、より健康で強い個体を大きく育てるという目的なら最初から菌糸ビンやカップから飼育してもいいですが飼育数にこだわるなら最初はマット飼育かはじめた方がセーフティです。


マットの幼虫飼育環境の作り方を動画で確認

上の動画はカブトムシ飼育(ちなみにカブトムシは菌糸ビンで飼育できない)をされている方のマット交換の様子です。ノコギリクワガタ用でも新たにマットの飼育ケースを作るときにもやり方は同様なので参考にしてください。

またこちらで使われているペットボトルの幼虫飼育ケースの作り方についても別に記事を作成していますので、作り方が気になる方は記事末のリンクからご参照ください。

マットで大きくなった幼虫を菌糸ビンに移す

幼虫をできるだけ失敗せずに大きくするために、1齢から2齢の初期くらいまではマットで飼育するのがおすすめです。

このときの幼虫の見分け方は大きさとなります。ノコギリクワガタの幼虫は脱皮をして大きくなりますので、あきらかに大きさが変わってきて初心者の方でもわかりやすいでしょう。2段階体が大きくなったら菌糸ビン飼育にシフトすると考えてください。

ただし頭が大きいものには注意

脱皮したてはいきなり体が大きくなるわけではありません。脱皮直後の幼虫は頭だけは大きくて体はまだ小さな状態。しばらくマットで様子を見て体が頭に比例して大きく育ったら移し替えるとよいですね。

またこのような頭の大きな脱皮したての幼虫を齢が小さなものと勘違いすると、移し替えタイミングが遅れてしまうのでそこにも注意が必要となってきます。

ノコギリクワガタの幼虫飼育5.

ノコギリクワガタの幼虫飼育温度

菌糸ビンのことばかりになってしまいましたが、幼虫飼育には温度や湿度管理も大切です。ノコギリクワガタの飼育に適した温度は20-25度。下限は5度ともいわれていますが最低でも10度は下回らないような場所がよいでしょう。

菌糸ビンはべちゃっとしやすい

マット飼育なら土から水分が蒸発するため霧吹きで水分を補充して上げる必要があるのですが、菌糸ビンの場合は時間の経過とともに分解により水分がでてきて逆に水がたまるくらいです。

幼虫のために除湿剤でケアする

このような場合は逆に湿度をさげてあげるため風通しのよい涼しいところに置いたり、部屋の除湿剤を近くに置く方も少なくありません。菌糸ビンの中のおが粉の色が黒っぽく変色していると、カビなどの心配もあり幼虫が下痢をしますので交換してあげたほうがよいでしょう。

ノコギリクワガタの幼虫飼育6.

ノコギリクワガタ幼虫の菌糸ビンの交換

ノコギリクワガタはメスよりもオスが大きいのでオスメスでも交換回数を変えると無駄が防げます。目安として成虫のノコギリクワガタになるまでにオスが3-4回・メスが2-3回の交換が必要です。

菌糸ビンの中身はすべてノコギリクワガタのエサですので、食べて減るため成虫になるまで必ず何度か交換してあげてください。

ノコギリクワガタのエサの交換時期

今回はノコギリクワガタの幼虫の成長時間を早く体を大きく成長させるのが目的なので、菌糸ビンの中身が6割-7割減ったら即交換してください。菌糸ビンも安いものではないため、コストを気にされる方であれば成虫になるまでの時間を3で割ってその期間が来たら交換という方法でもOK。

このやり方でもよほど大食漢なノコギリクワガタの幼虫でない限り充分7割り食べきる程度の期間となるでしょう。


ノコギリクワガタ飼育の菌糸ビン交換時の注意点

ノコギリクワガタに限らず幼虫はとてもやわらかくて傷つきやすいです。取り出す時は爪を立ててしまったり、棒などでつつくなどは絶対してはいけません。

できるだけソフトに古い菌糸ビンから取り出し新しいビンの上にそっと置いてください。自分でエサを食べてもぐっていきます。

ノコギリクワガタの幼虫飼育7.

さなぎになるまでの時間

出典:https://photo-ac.com/

あとは菌糸ビンを交換しながらノコギリクワガタの幼虫がさなぎになり羽化するのを待ちます。一般的にノコギリクワガタは越冬して翌年さなぎになりますが、孵化タイミングが遅いと冬に冬眠状態になってしまい成虫が遅れ、さなぎになるのが翌々年になる場合もあるので心配せず気長に待ってみてください。

蛹室ができたら交換はストップ

さなぎになる時期は幼虫の色でもそろそろかなと予測することができます。幼虫ははじめは白いのですがだんだんと茶色みを帯びてきて蛹化するころにはかなり茶色いのでこの色で判断するのもひとつの方法。

また飼育しているビンに空洞(部屋)が確認できたらもうエサは不用ですので菌糸ビンの交換はせずそのまま羽化まで管理していきましょう。

まとめ:ノコギリクワガタの幼虫を育てる

ノコギリクワガタの幼虫を大きく育てよう

出典:https://photo-ac.com/

今回はノコギリクワガタの幼虫の飼育時間を早めたり大きく育てるために有効とされている、菌糸ビンでの飼育方法に特にスポットをあてて解説してきましたがいかがでしたか?

孵化したての小さな幼虫だと菌糸のパワーに負けてしまうこともあるので、はじめての方はある程度大きくなってから菌糸ビンに移動させるのがコツです。菌糸ビンで大きなノコギリクワガタの飼育にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

ノコギリクワガタが気になる方はこちらもチェック

暮らしーのではこのほかにもたくさんの甲虫類の育て方の解説記事をご用意しています。また本文中でも触れたノコギリクワガタの幼虫の個別飼育に適したペットボトル飼育ケースの作り方記事も是非参考にしてくださいね。