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ムサシアブミ(武蔵鐙)とは?開花期、花の大きさなど特徴をご紹介!花言葉も!

ムサシアブミは日本に広く自生するので、散策の際に見かけることもあるでしょう。山野草であるムサシアブミは、春頃になると個性的な花を咲かせます。この記事ではムサシアブミの花の特徴や名前の由来、似ている花との違いや花言葉などをご紹介します。
2021年7月2日
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目次

ムサシアブミ(武蔵鐙)とは?

出典:photo-ac.com

ムサシアブミ(武蔵鐙)は日本に広く分布する山野草で、海岸近くの林内や野山に生育しています。花は仏炎苞とよばれる大きな苞に包まれ、2枚の大きな葉の間に花柄がのびる形をした、高さ30~60cmになる個性のある形状の多年草です。

海岸近くの林内に生育

ムサシアブミは本州の関東地方から西、四国、九州、沖縄にかけて分布し、海外では朝鮮半島や中国に分布します。多くは海岸近くのやや湿った林の中でみられますが、湿った環境を好むため、海岸の近くだけでなく山地の谷沿いなどでもみられるでしょう。

ムサシアブミ(武蔵鐙)の名前の由来

和名「武蔵鐙」の由来

出典:photo-ac.com

ムサシアブミは漢字では「武蔵鐙」と書きます。「鐙(あぶみ)」とは馬具の名前で、馬に乗った時に足を乗せて支えるものです。武蔵鐙の名前は、かつての武蔵の国で良質な鐙が作られており、ムサシアブミの花(仏炎苞)をひっくり返した形がその「鐙」に似ていたことに由来します。

学名

ムサシアブミの分類はサトイモ科テンナンショウ属で、学名は「Arisaema ringens」です。「Arisaema」とはテンナンショウ属の意味で、ギリシャ語で「血のような斑点が葉にある」という表現に由来します。「ringens」は「開口形の、口広く開けた」という意味をもった言葉です。

ムサシアブミの特徴

ムサシアブミはその個性あふれる姿の他にも独自の特徴を持つことが知られています。その多くはサトイモ科テンナンショウ属にみられる独特の特性です。ここからはムサシアブミのユニークな特徴についてみていきましょう。

特徴①花のような仏炎苞

葉の間にあるグローブのような部分は一見花のようにみえますが、これは仏炎苞(ぶつえんほう)とよばれるものです。この性質はサトイモ科の植物にみられ、本当の花の部分は肉穂花序(にくすいかじょ)といって仏炎苞に包まれています。

仏炎苞とは

出典:photo-ac.com

仏炎苞(ぶつえんほう)とは肉穂花序を包む大きな苞のことで、花をまもるためにまわりを包む葉のようなものです。仏像の後ろにある炎の飾りの「仏炎」のようにみえることが由来しており、ミズバショウやザゼンソウといったサトイモ科植物にみられます。

花の特徴と大きさ


花を包む仏炎苞の色は紫色、または緑色で白い筋が隆起しています。仏炎苞のフタの部分は袋状になって巻き込んで先端が突き出た独特な形です。大きさは8cm程度。開花期は春頃の3~5月、仏炎苞に包まれた花を咲かせます。

仏炎苞に包まれている肉穂花序(にくすいかじょ)とは、太い花軸の表面に小さな花が多数密集したものです。仏炎苞の中には白い棒状の付属体があり、この付属体の下に花である花序がつきます。

特徴②2枚の大きな葉

出典:photo-ac.com

ムサシアブミのもう一つのトレードマークと言えるのは2枚の大きな葉。2枚は同じくらいの大きさで、さらに3枚の小さな葉に分かれています。小葉は菱状で幅の広い卵型、光沢がある葉です。

葉の先端は糸のように細く尖っていて、開花時には10~30cmほどの大きさになります。2枚の葉の間から出る花序は人の頭にも見え、まるで人が大きく手を広げているかのようで非常にユニークです。

茎のようで茎でない偽茎

土から出た茎のように見えるものは偽茎(ぎけい)といって、葉の付け根が茎を鞘状に包む葉鞘(ようしょう)が幾重にも重なったものです。ムサシアブミはこの偽茎から葉柄と花柄に分岐しており、偽茎より長い2つの葉柄から葉がのびています。

特徴③鮮やかな色の実

出典:photo-ac.com

花期が終わるとまわりを包んでいた仏炎苞が落ち、実をつけます。果軸にびっしりと実がついたトウモロコシのような形状です。はじめは美しい翡翠色、その後鮮やかな朱色に熟します。きれいな色ですが毒性があるため、誤飲すると中毒症状を起こす恐れがあるので口にはしないでください。

特徴④毒をもっている

ムサシアブミの特徴で注意すべき点は、葉や花、実に毒をもっていることです。毒の成分はシュウ酸カルシウムでその汁中に含まれます。根茎は漢方として用いられるため誤解されがちですが、有毒なので食べられません。

未熟な実をトウモロコシと間違えて口にしてしまう例が報告されています。接触するとかぶれ、誤飲すると激しい口内炎や胃炎を引き起こすので注意しましょう。

特徴⑤性転換する

ムサシアブミは「雌雄異株(しゆういしゅ)」ですが、性転換する植物です。まだ株が小さいときや土壌などの栄養状態が悪いと雄株となり、根茎が大きくなると雌株になるという具合に、その年によって性別が入れ替わります。

ムサシアブミは栽培できる?

野山に生育するムサシアブミですが、球根や苗も市販されているためご家庭で栽培することも可能です。葉の大きさから存在感があるため、広い庭園や庭のメインとしても利用されます。性転換する性質のため開花後に実をつけて種をとるには、雌株にするために肥培させて育てることが必要です。

ムサシアブミに似た植物との違い

テンナンショウの仲間たち


ムサシアブミと同類のサトイモ科テンナンショウ属の植物は、それぞれ特徴がよく似ています。それぞれを見分けるコツは、葉の数や小葉の数と形、仏炎苞の形や模様、偽茎の模様や長さなどを比較していくことです。こちらではムサシアブミと同類のテンナンショウの仲間との違いをご紹介します。

マムシグサ

出典:photo-ac.com

山地で見かけることが多いマムシグサはいろいろなタイプがあり、仏炎苞の色の違いなどから別名もさまざまなものを持ちます。分布する土地や生育環境がムサシアブミに似ているので、山地で同時にみかけることもある種類です。
 

分類 サトイモ科テンナンショウ属
学名 Arisaema serratum
分布 関東から九州の山地や原野
生育地 平地から山地の野原、林緑、林下
開花期 4~6月

花の色と大きさ

マムシグサも仏炎苞が肉穂花序を包む形をしています。仏炎苞の色は緑色のものが多いですが紫色のものもあり、白い筋があるのはムサシアブミと同じです。仏炎苞の大きさは10cm程度。蛇が鎌首をもたげた姿にも見え、ムサシアブミに比べると全体的に細長くスッキリとした印象です。

大きな違いは葉の数と偽茎の模様

出典:photo-ac.com

マムシグサは花の性質や姿が似ていますが、葉の数を見ると違いを見分けられます。葉の数はムサシアブミと同じく2枚ですが、小葉の数が違うからです。ムサシアブミが小葉を3枚持つのに対してマムシグサは7~15枚と多く、鳥足状についています。

また偽茎は長く紫褐色のまだら模様です。この偽茎の模様がマムシの体の模様のようにみえることが名前の由来ともなっています。葉の数と合わせて偽茎で違いを見分けてもよいですね。

POINTムサシアブミとマムシグサの違い

  • 小葉の数がマムシグサのほうが7~15枚と多い
  • マムシグサの偽茎の方が長く、マムシのような模様がある

ウラシマソウ

マムシグサと同じく、ウラシマソウもムサシアブミに似た植物です。大きな葉の下に花をつけ、ムサシアブミと間違えやすい形をしています。仏炎苞の色は紫褐色でマムシグサとも近い形状ですが、苞からのびた付属体が目印です。
 

分類 サトイモ科テンナンショウ属
学名 Arisaema urashima
分布 北海道南部、本州、四国、九州
生育地 平地から低山地の野原、林縁、林中
開花期 3~5月

長く糸状にのびる付属体

ウラシマソウの特色は仏炎苞の口から長くのびる付属体です。その細長い付属体を、浦島太郎の垂らした釣り糸に見立てたのが名前の「浦島草」の由来となっています。ムサシアブミとは、仏炎苞から中にある付属体がのびているかで違いを見分けられるでしょう。他にムサシアブミとは小葉の数が11~17枚と多く鳥足状につく点が違います。

POINTムサシアブミとウラシマソウの違い

  • ウラシマソウは仏炎苞から付属体が釣り糸のように垂れる
  • ウラシマソウは葉が1~2枚、小葉の数も11~17枚と多い

ユキモチソウ

ユキモチソウは三重県、奈良県、四国など一部の地域に分布します。仏炎苞からのぞく付属体は白く輝いて見え、非常に神秘的です。

分類 サトイモ科テンナンショウ属
学名 Arisaema sikokianum
分布 本州(三重県、奈良県)、四国
生育地 山地の林下
開花期 4~5月

名前の由来になった付属体


出典:photo-ac.com

ユキモチソウは付属体の先端が膨らんだ球状です。名前である「雪餅草」は、仏炎苞から顔を出す先端部分が雪のように白くやわらかで、つきたてのお餅のようなことからきています。葉の数はムサシアブミと同じく2枚ですが、こちらも小葉の数が3~5枚で鳥足状につくため、小葉の数の違いでも見分けられるでしょう。

POINTムサシアブミとユキモチソウの違い

  • ユキモチソウの付属体は先端が丸く、雪のように白く餅のよう
  • ユキモチソウの小葉の数は3~5枚、鳥足状につく

ムサシアブミの花言葉

威厳

ムサシアブミの花言葉は「威厳」です。林内で大きな2つの葉を広げ仏炎苞に包まれた花をつける姿は堂々として、まるで両手を空へ向かってのばしているかのようで神々しさを感じられます。「威厳」という言葉はまさにムサシアブミに相応しい花言葉ですね。

偉大な勇者

もうひとつに「偉大な勇者」という花言葉があります。これは和名「武蔵鐙」の由来でもある、馬具の鐙に仏炎苞を見立てているからでしょう。5月5日の誕生花であることから、勇ましい武者が馬に乗る姿も想像できます。

姿も特徴もユニークなムサシアブミ

ムサシアブミはその姿も特徴もとてもユニークです。林の中で大きな葉を広げた立ち姿は、貫禄があって花言葉である威厳の言葉がよく似合います。野山へ散策に行かれる際には、ぜひ探してみてください。大きな葉に隠れて花が見えないこともあるので低い位置を探してみてくださいね。

ムサシアブミが気になる方はこちらもチェック

サトイモ科テンナンショウ属の仲間や、仏炎苞を持つ花の仲間は他にもたくさんあります。こちらの記事では育て方や管理方法についても詳しく紹介していますので、興味のある方はこちらの記事もチェックしてみてください。