はじめに
ミズバショウ(水芭蕉)
夏が来れば思い出すという歌い出しで有名な歌。音楽の授業や合唱コンクールで歌ったという経験がある方も多く日本人である程度の年齢の方なら誰でもご存知の花でしょう。またこの花を見ることができる場所はとても有名で、開花時期にはとても多くの人が足を運ぶ季節を代表する観光スポット。なかなかそこまで足を運べないという方は市販の苗を植え付けて自分で栽培してみてはいかがでしょうか。ここでは、水やりや日当たりなど注意したいミズバショウの手入れ方法や植え替え方法・増やし方解説を行います。
ミズバショウ(水芭蕉)について
育て方をご紹介する前にまずはこの植物の姿や原産地など基本情報を御覧いただきましょう。日本でも地域は選ぶものの自生している花ですので、栽培も可能です。耐寒性や耐暑性などもチェックしておくことで夏や冬の管理もしやすくなります。
基本情報
科・属:サトイモ科ミズバショウ属
原産地:日本・東アジアの北部
英語名/学名:skunk cabbage/Lysichiton camtschatcensis
草丈や花色・開花時期
草丈はやや低めの30-60センチ程度。ひとつの株の中心からスッと伸びた茎の先に、カラーとよく似た白色の花を付ける植物です。日本の本州北部あたりでは3-4月ころが開花時期となりますが、尾瀬などミズバショウの観光スポットではそれよりも少し遅く5月ころまで花を楽しむことができます。
耐暑性・耐寒性
耐寒性は優れており冬の寒さは平気ですが、夏のじめじめした暑さは苦手。このことは特に人が多く住むような平地での栽培には要注意が必要な部分でしょう。
ミズバショウ(水芭蕉)の特徴や注意
特徴1.湿地の華
ミズバショウの特徴といえば湿地に咲いている花というのがまずあげられます。水の上に咲く花というのは蓮などを代表としてその花色がとても映えることもあり日本や中国ではとても多くの人から好まれる人気の植物が多いです。この植物もそんな湿地の水の上に咲くおもむきのある花のひとつです。湿地だけでなく沼地のような環境でも自生しているのを見つけられるでしょう。
特徴2.花に見えるのは実は葉
姿で特徴があるのは何といっても白い花。この花は実ははなびらではありません。正確には苞といって葉が変形したものに分類されています。本物の花はその中央にある柱状のものでこれは花序と呼ばれる小さな花の集合体です。
特徴3.絶滅危惧種指定
またこれは特徴というよりもミズバショウ見学などにでかけたときに注意して欲しいことですが、自生している株の数が減少しており絶滅危惧の指定を受けているということ。もちろん自然界にある株を持ち帰るなどということは絶対にしてはいけません。数が少ない貴重な種類の植物となっていますが、市販されているものは栽培・増やしているものですのでしかるべき園芸店から苗などを買うのには全く問題はありません。
ミズバショウ(水芭蕉)の手入れ・育て方1.日当たり
実はミズバショウの栽培には日光は必要ですが逆に水の気温をあげる要素として当てすぎないということも大切。他の植物とは少し違う日当たりの考え方をした方がよいでしょう。
ミズバショウに向く日当たりは
この植物は湿地から沼地などに自生するためジメジメした環境は好み乾燥は苦手とします。特に種の状態では乾燥は厳禁で自宅で種まきなどで増やしたいと考えている方は特に気をつけて欲しいこと。日なたも良いのですができれば半日陰程度の日当たりで育てると良いでしょう。
季節で日当たりを調整する
水をたくさん含む用土で栽培する植物ですので、夏の暑さで水温が上がることは避けてください。季節によって置き場所を替えられると良いですね。もしひとつの場所しかない場合はよしずなどで日陰にしたり、頻繁に水温調整できるよう水換えなどの手入れが必要となります。
栽培のポイント
日光は嫌いではないですが、日当たりの良い場所は温度上昇につながりますので季節ごとの日当たり調節が必要となります。半日陰でも開花しますので、日なたよりも日陰に置くようにすると少しは楽に栽培できるでしょう。
ミズバショウ(水芭蕉)の手入れ・育て方2.用土
水に対してあまりこだわらずに何とかなるのが栽培用土です。もちろん適した土というものはありますが、それほど神経質に選ぶ必要はないでいしょう。土が手に入りにくい方は市販の草花用の培養土でも。
ミズバショウの用土は
湿地に生息する植物なので土も難しそうに感じるかも知れませんが、実はこの土は肥沃であればあまりこだわる必要は不要。一般的な用土であっても利用可能で、特に保水力がある土であればなお良いでしょう。もし手に入るのであれば水稲に使われる田の土が最適です。
用土に水苔をプラスして
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用土は田んぼの土などが適していますが、ない場合は一般的な用土に水苔をプラスして水分を補ってあげてください。これは季節に関係なく水が必要となるため植え替え時だけでなく1年を通して様子を見ながら水苔の取り替えや散水には気遣ってください。
栽培のポイント
用土は用意できてもずっと水に浸っている状態にするのは難しいと感じる場合があるでしょう。庭に池がある方は、そのほとりなどに植え付けることでミズバショウの生育に必要な水が供給できる場合も少なくありません。水鉢に土を入れて育てるのも良い方法です。
ミズバショウ(水芭蕉)の手入れ・育て方3.水やり
株が水に浸ってるような状態で栽培するので、水やりというよりは水の取り替えと読み替えた方が納得できるでしょう。自然の環境ではどんな水で育っているのか考えながら、清潔で冷たい水を与えるように工夫してみましょう。
ミズバショウの水やりは
用土のところでご提案したとおり、ずっと水に浸ってるような状態で育てますので特に水やりを毎日欠かさずにおこなうという心配はないでしょう。しかし水温と鉢の水切れには注意をして乾燥させないよう心がけてください。
水やりの注意点
【水鉢】【ガーデンパン】「水鉢 ブラック」
日当たりのところで半日陰をおすすめしましたが、日陰であっても少しずつ水は蒸発していきます。水やりの手間がない水鉢で育てていてもついうっかり水を欠かせてしまうことも。水やりの心配よりも鉢の水分蒸発を気にかけるよう管理しましょう。
栽培のポイント
植物への水やりではなく鉢の水を絶やさないようするのがミズバショウの水やりのコツです。これは夏冬関係なく1年中おこなってください。
ミズバショウ(水芭蕉)の手入れ・育て方4.植え替え
植え替え時期は春
植え付けや植え替えはどちらも春3-4月が適期となります。2-3年して株が増えているようであれば、このとき一緒に株分けでの増やし方も試してみることができるでしょう。
根鉢は崩さずに植え替える
植え替え時の注意は根鉢を崩さないようにすることです。うえっぱなしでは土の養分も少なくなりますので、新しい用土に取り替えてあげることも大切です。
栽培のポイント
環境が悪いと花と葉の順番が違ってきて画像でよく見るようなミズバショウの花とならず観賞価値が下がってしまいます。綺麗に咲かせるためには環境をよくしてあげることが大切。そのためにも定期的に植え替えを行って新しい用土を使用するのもおすすめの方法です。株分け以外にも毎年新しい土に植え替えてあげましょう。
ミズバショウ(水芭蕉)の手入れ・育て方5.増やし方
ミズバショウの増やし方は種まきで
ミズバショウは実生が一般的な増やし方です。やはり1本だけでなく何本か群生しているのが美しい植物なので、花後に種が収穫できたら種まきで増やしていきましょう。
種まきの時期ややり方
本州の北部など栽培に向く地域では種が収穫できるのは6-7月ころ。こぼれ落ちるのを待つのではなく花についているものを直接採取して乾燥させないようすぐに種まきをおこなってください。種まき用の土は潅水する必要はありませんが水はたっぷりと切らさないようにしてください。種を乾燥させると発芽しなくなります。
1本ずつ根気よくが増やし方のコツ
自生している状況と似ている環境を作ってあげるのがミズバショウの手入れのコツですので、ある程度手がかかる植物。いっぺんにたくさんの湿地環境を用意してすべての株に対してベストな状態を作るのには慣れが必要なため、少ない数から少しすやつ増やしていくのが増やし方のコツでしょう。
栽培のポイント
株分けでも増やすことができますが、種から実生苗を作って増やしていくのが一般的な方法です。種まきをする土は水に浸っている必要はありませんが、土の湿り気は必要です。上から見ていても次第に発芽していく様子が確認できますので湿っているのに変化がない場合は、日陰に移動してみてください。その方が発芽環境としては管理しやすいでしょう。
ミズバショウ(水芭蕉)の花言葉は「美しいおもい出」
最後になりますがこの独特な美しい花の花言葉をご紹介しましょう。これは有名なあの歌から取られたと言っても過言ではない言葉と意味が付けられています。
花言葉の意味と由来
美しい思い出というのは、夏の思い出というミズバショウを歌った歌から取られた花言葉です。この舞台は尾瀬の湿地。湿地の足場の上から一面のミズバショウの花を見ながら、珍しい体験をしたことが忘れられない。よい夏の思い出となったと歌詞には綴られています。湿地や沼地に自生する花はどこででも見られるわけではなく、ましては群生している花を見るのはとても美しい思い出としてずっと心に残るという意味があります。
実際にミズバショウが咲くのは春
尾瀬でミズバショウの花が咲くのは5月ころ。一般的には初夏と呼ばれる時期ではありますが山ではまだまだ春といった気候。実際はミズバショウは夏の花ではなく春に咲く花です。これは里で栽培する場合に3-4月が開花時期となることからもわかるでしょう。
まとめ
ミズバショウ(水芭蕉)を栽培しよう
園芸用品種はなく、自生しているものの実生で栽培で増やした株が販売されているミズバショウ。有名な観光地で見たそのままの花を自宅で育てることが可能です。冷たく清らかな水がこの植物の生命線ともいえますので、育てるには水の管理を注意することがコツとなるでしょう。絶滅危惧に指定されている花ですが自宅で種や株分けで増やすことはできますので、ぜひ珍しい花を観光地にいかずとも楽しんでみてはいかがでしょうか。
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