テンナンショウってなに?
テンナンショウとは、サトイモ科テンナンショウ属(英名:Arisaema)に分類される多年草の総称を指します。テンナンショウという植物は存在しておらず、「マムシグサ」や「ウラシマソウ」などの有名なテンナンショウ属を指したりします。 赤い斑点模様の葉や、実と球根に毒を含むなど、様々な特徴を持っています。
テンナンショウは性別が変わる
テンナンショウには性別がありません。本来、植物なら雌しべと雄しべによって性別が分かれていますが、テンナンショウは栄養状態によって性別が変化します。 球根部分が栄養不足になると「雌」に、逆に肥えると「雄」へ、育て方によって変化するのです。育てる際には肥料で調整することもできます。
テンナンショウの名前の由来
テンナンショウは英名(属名)と和名の名前の由来が違います。国交がされていない時代に名付けられたため、由来が二つあるのです。とは言っても、どちらも同じ「テンナンショウ属」の名称です。日本人なら「テンナンショウ」で通じますので、特に気にする必要もないでしょう。
英名:Arisaemaの由来
「Arisaema」とは、テンナンショウと同じサトイモ科の植物である「Arum(アラム属)」に、ギリシャ語の「arima(血のように赤い色)」が合わさった造語のことです。 テンナンショウの赤い斑点模様の葉が、由来の理由だとされています。
和名:天南星の由来
テンナンショウとは、漢字で「天南星」を書きます。 由来の元となる物は、中国の宋の時代(960~1296年頃)に記載された「開宝本草」という書物にあり、これによると、「南星とは形が竜骨座のカノープス(南極老人星)のような形状から名付けた」と記されているそうです。
テンナンショウの別名
テンナンショウは他にも別名で呼ばれたりもします。 ・ヘビノシャクシ ・ヘビコンニャク ・ヘビノシタ ・ヘビノコシカケ ・クチナワビシャク など、色々な呼び方があります。特に多いのが「ヘビ」が付く別名です。テンナンショウは毒をもつことや、毒々しい色合い、細長い形状などが「蛇」を連想させ、別名にヘビが付くと考えられています。
テンナンショウの分布
テンナンショウは、北海道から九州まで日本各地で自生しています。の広い範囲にある、山地や原野、樹木の下などの湿った林床に自生します。だだ、テンナンショウは種類が多く、種類によって分布が異なるため、すべてのテンナンショウ属が日本全国に分布しているわけではありません。
日本以外のテンナンショウ
テンナンショウは日本以外にも自生しています。南アジアやメキシコなどの温帯や熱帯に分プしています。世界中で約150種類ほどあり、日本では30種類ほど見られる、世界的に有名な植物なのです。
テンナンショウはどんな花を付けるの?
テンナンショウは、ラッパのような花の形をしています。サトイモ科に見られる肉穂花序(にくすいかじょ)の周りを包むように仏炎苞(ぶつえんほう)があります。また、ラッパのふちをふさぐように仏炎苞(ぶつえんほう)が伸びているのも特徴的です。種類によって色や形は異なりますが、独特な形と目立つ色とガラが、どことなく不思議で不気味な印象を与えます。
開花時期はいつ頃?
テンナンショウの開花時期は、大体4~5月ごろが一般的です。春になるとともに、テンナンショウが一斉に花を咲かせます。 ただし、中にはアマミテンナンショウのように、冬に花を付け夏に休眠する種類もあります。よく種類の確認をしてから管理してください。
テンナンショウの花言葉
テンナンショウの花言葉は「壮大な美」と「壮大」です。 なぜ、壮大だと名付けられたかは詳しくは分かってはいませんが、天南星の由来である、星空に輝く竜骨座のカノープスから連想されたのではないかと考えられています。 ちなみに、開花時期が終わる6月6日の誕生花に選ばれています。
テンナンショウはどんな実を付けるの?
テンナンショウは花が散る秋ごろになると実を付けます。実は、小さい粒が合わさりあった形状をしており、トウモロコシのような形状を作ります。色はテンナンショウの種類によって違いますが、多くは熟した赤い色をしており、パッと見は毒々しむも美味しそうな色合いをしています。一つ一つの粒の中に数個の種子が含まれており、それが傾倒したり、鳥に食べられ種が日本中に広がっていきます。
テンナンショウの実には毒がある
テンナンショウは、食品である里芋科であることと、熟した色合いから食べられる果実と思われがちです。ですが、実際には毒があり、食べることができません。実と球根部分に「シュウ酸カルシウム」と呼ばれる毒素が含まれており、直接触れたり食べることで発現します。 ただ、テンナンショウの球根は漢方の生薬にしたり、アイヌやヒマラヤ東部では毒を取り除き食用としている場所もあります。そのため、まったく食べられないわけではありません。ですが、それでも毒が含まれているのですから食べるのはお勧めしません。
毒の特徴
テンナンショウは、食べることで「下痢」「嘔吐」「しびれ」などを発症し、最悪の場合「心臓麻痺」を発症し死亡してしまう恐ろしい植物です。また、食べる際にも喉や口内に「激痛」や「苦み」を感じ、簡単に呑み込めるものではありません。実際に飲み込んでしまい重体となって病院へ搬送された人もいたほどです。 サトイモ科であり、美味しそうな見た目かもしれませんが、絶対に食べないことをお勧めします。
テンナンショウにはどんな種類があるの?
テンナンショウは日本だけでも30種類以上自生しています。下記以外にも、 ・ヒガンマムシグサ ・マムシグサ ・ムサシアブミ など、テンナンショウには様々な種類があります。
ウラシマソウ
ウラシマソウの「ウラシマ」は浦島太郎の事です。ウラシマソウから出る長い蔦が、浦島太郎が持つ釣り糸のようだと、命名されたそうです。
ムサシアブミ
ムサシアブミの「アブミ」は、乗馬に使用する鐙の事です。当時は日本の武蔵ノ国で作られた鐙が良質であったことから、「ムサシアブミ」と命名されたそうです。
ユキモチソウ
ユキモチソウとは漢字で「雪餅草」と書きます。花の中央に、雪のように白い餅に見える部位があることから、命名されたそうです。
ヤマトテンナンショウ
仏炎苞が長いのが特徴のテンナンショウです。「ヤマト」とは大和のことで、奈良県の旧日本国名である大和に由来しています。日本原産の有所正しいテンナンショウです。
イナヒロハテンナンショウ
縞模様が特徴のテンナンショウです。元々はヒロハテンナンショウの変種とされていたが、2008年に一つの種類として認められました。
テンナンショウの育て方 その1「置き場所」
テンナンショウは種類によって違いますが、総じて直射日光と乾燥に弱い植物です。また、花を付け始めた時期は雨にも弱いため、置き場所にはよく注意しましょう。
夏の置き場所
テンナンショウは直射日光に弱いです。特に、夏場の日差しが強い時期は、直射日光により葉焼けしてしまいます。外で育てるのなら、直射日光の影響のない木陰などの明るい日陰が置き場所として最適です。室内なら、遮光カーテンなどで直射日光を避ける置き場所を選びましょう。 また、花のつけ始めは雨にも弱いです。6月の梅雨の時期は雨が多くなりますので、つぼみができ始めたら、軒下や室内へ置き場所を移動するようにしてください。
冬の置き場所
テンナンショウは寒さに強い植物です。そのため、特に何かをする必要はありません。夏場と同じように直射日光をさけ、エアコンなどの風邪を避ける置き場所を選びましょう。
テンナンショウの育て方 その2「用土選び」
テンナンショウは用土を選びません。庭に直接植える育て方でも大丈夫です。ただ、水はけが悪いと根腐れを起こし、雑菌が繁殖してしまう場合もあります。そのため、鉢植えなどでは水はけがよい用土を作った方がいいです。 市販の用土をそのまま使用してもいいですが、赤玉土(小粒)4:軽石(小粒)4:腐葉土2の割合ぐらいの、水はけがいい用土をお勧めします。
テンナンショウの育て方 その3「肥料選び」
テンナンショウには特に肥料は必要ありません。肥料を使わない育て方でも十分育ちます。もし肥料を与えるのなら、液体肥料を10日に一回程度、または、花が散る時期(大体6月ごろ)と葉が枯れ始める時期(大体10月ごろ)に油かすや有機肥料を与えるようにしましょう。
肥料の量によって性別が変化する
テンナンショウは栄養状態によって性別が変化します。そのため、種を採る目的なら、肥料を与える育て方が必要です。種は雌雄がそろって花を付けないと採れませんので、雄の株には肥料を沢山、雌の株には肥料を少なめに管理するようにしましょう。
テンナンショウの育て方 その4「水やり」
テンナンショウは湿気を好みます。というよりも乾燥を嫌います。そのため、土の表面が乾いたら水やりをするようにしてください。置き場所に注意し、土を乾燥させない育て方が大切です。
夏の水やり
夏は生長期であり乾燥しやすくもあります。そのため、水やりは欠かせません。日差しが強くない置き場所で、一日一回程度で十分ですので、土が乾いたらたっぷりと水やりをしましょう。
冬の水やり
テンナンショウは休眠期である冬でも水やりを行います。土の中で球根は生きていますので湿気が必要になります。ただし、夏場と違い毎日水やりをする必要はなありません。土が乾いたら水やりをするようにしましょう。
テンナンショウの育て方 その5「植え替え」
テンナンショウは地上部が枯れ、花が咲くまでの10~3月ごろに植え替えをします。 1:テンナンショウを球根ごと掘り起し、用土や古い根を適度に取り除く 2:敷石を敷き、肥料と用土を入れた鉢を用意する 3:鉢の深さ、大体2/3ほどの位置に球根を植え替える 4:用土をしっかりと被せ、たっぷり水やりをしたら完成。 大体1~2年ごとに植え替えを行うといいです。
テンナンショウの増やし方 方法1「分球」
テンナンショウは球根を分ける増やし方があります。テンナンショウは種からの増やし方もありますが、少々面倒で難しいです。そのため、分球が一般的な増やし方といえます。ただ、ユキモチソウなどの一部の種類は分球できない場乾燥を嫌います。日陰などの直射日光を避ける置き場所で管理しましょう。
子球を分ける増やし方
テンナンショウは、育てることで親球の周りに小さい子球を付けます。その子球を採り出し、植え替えることで増やすことができます。植え替えが成功していれば、植え替えから1~2年程で芽を出します。すぐには結果が出ませんので、気長に待ちましょう。 子球を分ける方法が、最も簡単な増やし方だと思います。
親球を半分にする増やし方
あまりお勧めしませんが、親球を切る増やし方もあります。ジャガイモなどと同じように半分に切り、別々の鉢に植え替えます。上手くいけば根が張り生長していきます。ただし、失敗すると球根は腐りダメになります。 増やし方としては難しいものではありませんが、失敗する可能性があることを念頭に植え替えをしましょう。
植え替えと一緒に分球をする
分球をするタイミングとして、植え替えのついでに行うといいです。鉢から球根を取り出すのもそうですが、子球ができるのが大体1~2年と、植え替えのタイミングとよく合います。無理に増やす必要はありませんが、せっかく植え替えるのなら、そのタイミングで増やしてみてはいかがでしょうか?
テンナンショウの増やし方 方法2「種まき」
種からの増やし方は、分球と大体同じです。ただ、種を採取するのが面倒で手間がかかります。そのため、初心者にはあまりお勧めしない増やし方です。 1:種を用意する(購入または実から採る) 2:敷石を敷き、肥料と用土を入れた鉢を用意する 3:種を等間隔で蒔き、用土を薄く被せる(大体1~2cmほど) 4:水で流さないようにゆっくりたっぷりと水やりをする 種も用土の乾燥を嫌います。直射日光をさせる置き場所で管理し、土が乾いてきたら水やりをしましょう。 芽が出始めるのは分球よりも遅く、大体4~5年後くらいに出始めます。気長に待ちましょう。
種の採り方
種は受粉することで実が育ち、そこから採取できます。 テンナンショウの本来の受粉方法は、虫を介して行います。ですが、人工的に行うのならそのようなことはしません。花の周りを覆っている仏炎苞をはぎ取り、雌花の花序付属体下部にある柱頭に、直接雄しべをくっつけてしまいます。上手く受粉するば実が育っていきます。 実が赤く成熟し、茎が折れたら実をほぐします。粒一つずつに種がありますのですべて取り除き、そのまま用土へ巻きましょう。
種を採る際の注意点
種を実から採る際はビニール手袋をすることをお勧めします。 テンナンショウは球根と実に毒を含みます。種を採る際に直接実に触ることで、手に毒が付着してしまいます。また、親球を切る際も同様に注意が必要です。毒の付着を防ぐためにもビニール手袋はした方が良いでしょう。 それと、くれぐれも毒の付いた手袋で目などをこすらないようにしてください。大変危険です。
テンナンショウの管理法 「害虫駆除」
テンナンショウの管理方法で注意するのは害虫や病気です。しっかり管理していないと、バッタやナメクジといった虫に葉を食われたり、病気や根腐れで枯れてしまうことがあります。また、虫だけではなく、冬場はネズミなどによる食害もあります。 元気に育つためにもこまめに確認して、虫の駆除や病気の予防などしっかりと管理しましょう。
葉水をする
葉水をすることで、ハダニやアブラムシなどの害虫を防ぐことができます。葉水をすることで乾燥を防ぐこともできるため、水やりとは別に葉水をするといいでしょう。 ただ、ナメクジや芋虫といった大きな害虫には効果がありません。また、病気の予防もできません。あくまでも簡単な予防策だと認識しておきましょう。
まとめ
テンナンショウは独特の形と色が不気味に思うかもしれません。毒をもつことから、気後れしてしまう人も少なくないでしょう。ですが、テンナンショウほど目立つ、インテリアにお勧めする植物はありません。血のように目立つ赤い色もそうですが、独特な形は一度見たら忘れられない形といえるでしょう。「変わった植物を育てたい」「目立つ植物を飾りたい」という人にお勧めします。 家を飾るインテリアの一つとして、是非育ててみてはどうでしょうか?
他にもこんな記事があります。
より観葉植物について知りたいなら、下記のような記事があります。 観葉植物の管理の仕方や、お勧めする観葉植物などを紹介しています。

観葉植物の水やり!頻度やタイミングなど、正しい方法と注意点を解説
癒しの為に観葉植物の購入を考える人も多いはず。しかし、水やりなどのお手入れがはなんだか難しそうなイメージがあり観葉植物の購入を躊躇してしまう...

観葉植物に発生するコバエを退治!効果的な4つの駆除方法や、対策の仕方をご紹介!
観葉植物にコバエが発生してしまった!キノコバエでお困りの方、退治・駆除の方法教えます。 薬に頼らずコバエを寄せ付けない環境作り、コバエの発...

観葉植物|日陰や寒さにも強いおすすめ植物12選をご紹介!
日陰や寒さにも強い、初心者でも育てやすい観葉植物を12種類紹介します。観葉植物のちょっとした育て方のコツなども説明しているので、育てるときの...