ホップ苗
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ホップとは
ホップの基礎知識
ホップは、西アジア原産のアサ科カラハナソウ属のツル性植物。雄株と雌株に分かれていて、雌株は松かさを緑にしたような毬花(きゅうか)をつけます。毬花の独特の苦みと香りはビールの風味付けに使われることでお馴染みです。少し難しいといわれるホップ栽培のコツを4つに分けてご紹介します。
ホップの栽培適地
6月の高温多湿な季節が苦手で、日本では東北や北海道で主に栽培されている植物です。主な産地から、風雨が少なく涼しい気候が適地と言えるでしょう。適地と似た条件を考えて、栽培する場所や品種、土壌などを整えるのが、栽培のコツです。
植え付け時のコツ
植え付けの季節
ホップの苗を植える季節は春です。3月から4月の植え付け適期になると、園芸店で苗が売り出されます。好みの品種を選びたい場合は、インターネットで苗や根の販売をしている栽培農家を探してみましょう。
ホップを栽培しているかたから根株を分けて貰って、植えるという方法もあります。枝を貰って挿し木するのも、ひとつの栽培方法です。
苗選び
病気に強く香りがよいのはカスケードという品種です。育てやすく収穫も多いので、初心者におすすめとなります。
日本の気候に合うハラタウは、ドイツで伝統的に栽培されている品種です。フローラルな香りが特徴となります。
ホップ苗
グリーンカーテンにおすすめの園芸品種
グリーンカーテンとして栽培するなら、ゴールデンタッセルという園芸品種がよいでしょう。通常、ホップは10m前後につるが伸びるので、支柱を立てるのが大変ですが、ゴールデンタッセルは2mほどで、栽培しやすい品種となっています。
ホップ栽培に適した場所
日当たりと水はけがよい場所で栽培します。庭に適当な場所がない場合はプランターで栽培して、移動できるようにしておくと管理しやすいです。高温多湿が苦手なので、植物が多く蒸れやすい所は向きません。
ベランダで栽培する場合は、プランターの下にブロックを置いて風通しをよくするのがおすすめ。日当たりのよい南東のベランダに、プランターを置いてください。
ホップ栽培に適した用土
アルカリ性の石灰質土壌を好みますので、野菜用培養土に苦土石灰を混ぜて2週間ほど置いてから植え付けます。カキ殻石灰など天然由来の石灰は、培養土に混ぜてすぐ使えるのでおすすめです。
家庭菜園で栽培する場合は、石灰を馴染ませた後、たい肥や野菜用の化成肥料を入れて土と混ぜます。10cmぐらい土を高く盛り上げたところへ植えて、水はけをよくするのがコツです。
育て方のコツ
温度条件と水やり
菜園で栽培する場合は、雨水で充分です。晴天が続いているときは、株元の土が乾燥していたら水やりが必要になります。
プランターや鉢植えで栽培している場合は、土の表面が乾燥したら、底から水が出てくるまでたっぷり水やりをしましょう。特に、夏の温度が高い季節は、乾燥に気をつけてください。
ホップの肥料
植え付けるときに肥料を入れていますが、6月の成長期に追肥が必要になります。株の周囲に野菜用の化成肥料をやって、スコップで土と軽く混ぜてください。液体肥料なら、1~2週間に1回与えます。
ツルの誘引と摘心
6月頃にツルがたくさん伸びてきたら、太くてしっかりしたものを5~6本残して、あとは切ってしまいます。支柱を立ててツルをゆるく結びつけ、支柱に沿って誘引してください。
園芸用のネットやラティスを利用することもできます。グリーンカーテンにするなら、園芸用ネットに誘引しましょう。
害虫対策
ホップによくつく虫はアブラムシです。新芽や先端のほうの茎につきやすいので、スプレータイプの殺虫剤で駆除します。殺虫剤にもさまざまな種類がありますので、アブラムシに対応しているか確認して購入することが大事です。
病気対策
梅雨の季節や雨の多い夏には、ベト病が出やすくなります。葉の色が薄い黄色になり、しだいに茶色になり、葉先が枯れてくるのが特徴です。この病気にかかると成長が悪くなりますので、変色した葉は取り除き、殺菌剤を散布してください。
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食用きのこに由来する成分で出来たうどんこ病やベト病の予防剤です。
冬越しの方法
ホップは、冬は地上部分が枯れてしまいますが、根は生きて冬を越します。冬の水やりは、雨水だけで充分です。鉢植えは、1か月に1回ぐらい土が乾いたら水をあげてください。
2月に寒肥をあげると、3月頃に根本から芽が出てきます。この時期の肥料は緩効性のものを選びましょう。
収穫のコツ
ホップの開花時期
7月頃、ツルの先端のほうに松かさを小さくしたような毬花(きゅうか)が開花します。色は明るい緑色で、爽やかな景観を与えてくれます。1年目には花が少ないこともありますが、2年目以降花の数が増えます。
ホップの収穫時期
ホップの収穫時期は8月から9月頃です。毬花(きゅうか)と呼ばれる松かさのような花の花びらのような部分の根本に黄色の粘り気のある粒が付きます。これはルプロンという苦味成分が結晶したもので、この結晶が見られる時期が収穫に適しています。
ホップの収穫の方法
毬花の付け根をはさみで丁寧に切り取り、ざるなどに広げて風通しの良い所で陰干しします。熟して色が黄色から茶になってしまうと、苞と呼ばれる花びらのような部分が散ってしまいますので、色が緑のうちに収穫してください。
毬花(きゅうか)の利用法
ホップの毬花が乾燥したら、ビールに浮かべて香りを楽しむのも良いですね。自家栽培ならではの風味が味わえます。
ホップは、ヨーロッパでは安眠のお茶として知られているハーブです。ペパーミントなどとブレンドしてハーブティーにする方法もあります。野草のように天ぷらにするのも、自分で栽培したホップならではの味わいです。
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手作りビールに収穫したホップを使いたいかたは、こちらをチェック。本格的にホップを使うには、ビールから作るという方法もあります。
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毬花で作るクラフト
毬花を切り取らずにツルごと乾燥させて、ゆるく巻いてリボンを付けると、涼し気なリースが出来ます。また、葉書サイズのコットンやリネンの袋に、乾燥させた毬花を詰めると、安眠枕の出来上がりです。爽やかな香りは古くからヨーロッパで親しまれています。
増やし方のコツ
挿し木の方法
4~5月にその年に伸びた若いツルを15cm切り取って、挿し木用の土に挿します。1か月ほど経って根がたくさん出てきたら、野菜用の培養土を使って鉢に植え替えてください。挿し木の場合は、2~3年育てると開花します。
株分けの方法
春に大きな株を植え替えるときに、株元をスコップで2つに切り分けてください。手で根を2つに分けると、株分けが出来ます。それぞれの株を2鉢に分けて植えましょう。地植えでも株が大きくなり過ぎたら、掘り上げて株分けすると、勢いが良くなります。
種まきの方法
ホップの種は発芽しにくいので、種まきの温度管理が大事です。乾燥したまま冷蔵庫で5℃で3か月冷やして、気温が20℃になったら蒔くのが理想的と言えます。
2~5月に育てる場所に2粒ずつ蒔いて、本葉が2~3枚になったら元気の良い芽を残します。4~6月が定植に適した時期です。
ホップ栽培のまとめ
ホップ栽培の楽しみ
中級者向けと言われるホップ栽培ですが、コツを押えて育てれば収穫が期待できるでしょう。多年草なので、栽培に適した条件を整えれば毎年爽やかなホップの香りを楽しめます。
株を大きくして増やしたり、翌年の芽生えを待ったり、一年を通してさまざまな方法でホップと親しんでください。収穫した毬花の使いかたも、いろいろ工夫することができます。
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出典:unsplash.com