ポタジェガーデンを作ってみよう！
単なる畑や家庭菜園にとどまらず、見た目に美しいポタジェガーデン。植物を育て、収穫する喜びに加え、観賞する喜びも一緒に味わえるとあって、人気です。
複数の植物を一緒に育てるポタジェガーデンは、庭の片隅やベランダなど、限られたスペースで野菜や花を育てる方にこそおすすめ。ぜひ野菜や植物の選び方・植え方に少しこだわって、デザイン性豊かな、おしゃれなポタジェガーデンを作りましょう！
そもそもポタジェガーデンとは？
ポタジェとは、フランス語で家庭菜園のこと。「ポタジェガーデン」はフランス風のキッチンガーデンのことを指します。実用的な畑との最たる違いは、ポタジェガーデンが見た目の美しさを重視した、観賞価値の高い家庭菜園であることです。
野菜のみならず、果樹や花、ハーブを一緒に植え込むのがポタジェガーデンの特徴。植物の色彩や草姿を上手に組み合わせた植え方をして、デザインされた家庭菜園、観賞目的を兼ね備えた畑を作るのです。
ポタジェガーデンの歴史
ポタジェガーデンはもともと、中世ヨーロッパの修道院の庭に作られた菜園が始まりです。野菜やハーブを育てて、自分たちの食事や生活に取り入れる、という自給自足の発想でした。
その際、植栽スペースをきっちりと区画してデザインしたり、多様な植物を限られたスペースに混植することで、見た目にも美しく、眺めて楽しいポタジェガーデンのスタイルが出来ました。現代では、世界中の多くのガーデナーに好まれる、人気の楽しみ方となっています。
ベランダでもポタジェガーデン！
土のある庭がないから、とあきらめなくても大丈夫。ベランダのプランター菜園だって、上手に配置デザインすれば立派なポタジェガーデンが作れます。プランター栽培は配置換えが容易ですし、高さの違う鉢を使うことで簡単に高低差を作り出すことができます。ベランダのフェンスを利用して、つる性の植物を這わせるのもひとつのアイデアですね。
限られたスペースを最大に活かして、ベランダ菜園の新しい楽しみ方を見つけましょう。
ポタジェガーデンの作り方（1）植える場所を作ろう
それでは、普通の畑やプランター菜園がどのようにすればおしゃれなポタジェガーデンに変わるのでしょうか。ポタジェガーデンの作り方にはいくつかの押さえるべきポイントがあるのでご紹介していきます。
植える場所をデザインしよう！
ポタジェガーデンでは、植物を植える土の部分とその周囲を花壇のようにきっちりと区画整理して、畑をデザインする作り方をします。レンガや枕木などをレイアウトし、植える場所と周辺を区別するのです。
土のスペースとその間の小道をきちんと分けると、デザイン的に優れているだけでなく、雑草防止や野菜への泥はね防止、連作障害を防ぐための管理がしやすくする、といった実用的なメリットも生まれます。
ポタジェガーデンに細長い畝（うね）は要らない？
普通の畑の作り方では、縦に長い畝（うね）を何本か作るのが王道です。しかし、ポタジェガーデンでは必ずしも細長い畝を立てる必要はありません。土の部分は長方形、正方形、半円形、扇形など好きな形にレイアウトします。
板や枕木を使って「植え升（ます）」、いわゆるレイズベッドを作るのもひとつのアイデア。花壇のように高さが出て水はけがよくなる上、きっちりと囲まれた升（ます）が空間を引き締めるので人気があります。
区画整理にはおしゃれな素材を使う
土と土のスペースを区切る小道には、レンガや枕木など、雰囲気のある素材を使いましょう。小道は植物の世話をする際の作業スペースにもなるので、人が一人、ぎりぎり通れるほどの幅でかまいません。素敵な小道が作れたら、おしゃれなポタジェガーデンにぐっと近づくことができますよ。
本格的なポタジェガーデンでは畑の周囲を低い垣根で囲って空間を区切ることもあります。木製の低い柵を使って囲っても素敵ですね。
ポタジェガーデンをDIYで作る！
レンガ、板、枕木などを使った区画の整理・小道づくりはプロの業者に頼まずとも、自分で作ることが可能です。ホームセンターにはDIYのためのおしゃれな素材がたくさん揃っているので、まずは場所に合わせたデザインを紙に描き出してみましょう。
レンガを使ったDIYの仕方については、下記の記事に詳しく載っています。気になる方は参照してみてください。簡単な花壇やレイズベッドなら作り方を見てチャレンジできそうです。
【簡単DIY】ガーデニング初心者でも出来るレンガの敷き方！7つのコツを伝授！
ガーデニングレンガを敷いた小道や花壇まわり、洋風の庭の情景を思い浮かべると、「いいなぁ～」とあこがれてしまいます。でも、「なんか敷居が高くて...
ポタジェガーデンに向いたおしゃれな小物
観賞価値を兼ね備えたポタジェガーデンでは、より美しい眺めを生み出すためにおしゃれな小物類もよく使われます。洋風のガーデンチェア、木箱、植物の名前を書いたプレート、アンティーク風のジョウロやポットなど、ナチュラルで雰囲気のある小物類がポタジェガーデンをさらに素敵な風景に変えてくえるでしょう。
ポタジェガーデンの作り方（2）植物の選び方を知ろう
ポタジェガーデンでは、一つの区画に一種類の植物だけを植えるのではなく、複数の植物を組み合わせて植え込みます。いわば、野菜や花の「寄せ植え」というわけです。種類の違う野菜・花を同時に植えることで、植物の彩り、草姿が生み出すリズムや調和を楽しみましょう。
とはいっても、実際どんな植物を組み合わせて選んだらよいのか分かりにくいですよね。以下にポタジェガーデンに適した野菜・草花の選び方のポイントをご紹介します。
植物の性質を知ろう
野菜や草花を選ぶ際、まずはそれぞれの植え付け時期、収穫時期、水を好むかどうかなど植物の性質を知りましょう。きっちりそろえる必要はありませんが、大体の性質が重なるものを選べば、同時に楽しめます。
また、生長した後の草姿も考慮して植え付けをレイアウトしましょう。背が高くなるものは太陽の位置から見て後方、低く広がるものは手前に配置すれば、奥行が生まれるとともに、全体に日光が当たるようにすることができます。
コンパニオンプランツを知ろう
ポタジェガーデンに適した植物を選ぶ際には、コンパニオンプランツについて知ることが大事です。コンパニオンプランツとは、一緒に植えることで、害虫を防いだり、病気を予防したり、さらには成長を促したりできる植物の組み合わせです。
ポタジェガーデンにおいては、狭いスペースに複数の植物を混植することになりますから、よい影響を与え合うコンパニオンプランツをうまく取り入れることで、豊かな収穫を目指しましょう。
ポタジェガーデンにおすすめの植物をご紹介！
ここからは、ポタジェガーデン向きの、人気の野菜・草花とは何か具体的にご紹介します。それぞれの野菜と相性のよいコンパニオンプランツについても解説しているので、参考にしてくださいね。
ポタジェガーデンおすすめ野菜①ミニトマト
家庭菜園の代表選手、ミニトマト。大玉のトマトをきれいに育てるのは難しいですが、ミニトマトなら初心者でも育てやすく、夏の間次々と収穫を望めます。苗の植え付けは4月～5月上旬。こまめにわき芽を取って、実を充実させましょう。生長すると背が高くなるので、支柱を立てて支えます。
ミニトマトには赤色の他、黄色やオレンジ色などの品種もあります。色鮮やかな実は見た目にも可愛らしく、ポタジェガーデンに最適です。
ミニトマトのコンパニオンプランツ
スイートバジルはミニトマトに最適なコンパニオンプランツです。トマトの葉の青臭い香りを嫌ってバジルにアオムシがつきにくくなり、さらにトマトの生長で余りぎみな土中の栄養素、窒素がバジルの葉をより多く茂らせてくれます。
バジルの他にも、シソはトマトの病害虫を防いでくれるコンパニオンプランツです。
ポタジェガーデンおすすめ野菜②オクラ
ネバネバ成分が体によいヘルシー野菜、オクラはアフリカ原産で高温に強く、暑い夏の間に収穫が楽しめます。淡い黄色をしたオクラの花は美しく、とても上品で一見の価値あり。食べてよし、眺めてよし、と色んな楽しみ方ができる植物です。
高温を好むので、苗の植えつけはしっかり暖かくなった5月上旬～6月に行いましょう。角のない丸オクラは実が柔らかいのでおすすめです。
オクラのコンパニオンプランツ
オクラと一緒に植えるなら、シソ科のハーブ類、タイムやオレガノ、マジョラムが防虫対策になります。また、エンドウやエダマメなどマメ科の植物は土を肥沃にしてくれるので相性がよい組み合わせです。
ポタジェガーデンおすすめ野菜③キュウリ
夏野菜の代表キュウリは家庭菜園初心者でも簡単に育てられる植物です。植え付けから約1カ月で収穫できるスピードが魅力。つるが伸びるので支柱を立てたり、ネットを張るなどして栽培します。どんどん伸びるつるでポタジェガーデンに立体感と軽やかさを出し、次々と咲く黄色い花を楽しみましょう。
植え付けの適期は4月下旬～5月上旬です。生長が早いので、2週間に1回のペースで追肥を行い、長期間の収穫を目指しましょう。
キュウリのコンパニオンプランツ
キュウリのコンパニオンプランツはネギやニラです。ネギの根につく菌がウリ科の病害虫を予防してくれます。ネギは暑さに弱いので、ネギの仲間、ニラで同様の効果を得てもいいですね。
このほか、アブラムシやコナジラミ、アリなどを遠ざけるコンパニオンプランツとして、ナスタチウム、株元に植えて乾燥防止にもなるパセリがあります。また、トウモロコシもキュウリと相性がよい植物です。
ポタジェガーデンおすすめ野菜④ピーマン
ピーマンは丈夫で育てやすく、初心者向けの野菜です。カロテンやビタミンCなど栄養豊富で、暑さに強いのが特徴。草丈がそこまで高くならないので、ベランダでのプランター菜園にも最適です。
植え付けは暖かくなった5月上旬～下旬に行います。倒れないように支柱を立て、実が成り始めたら2週間に1回のペースで追肥しましょう。秋まで収穫が楽しめます。ピーマンもナス科の白く小さな花が控えめに咲くので、お見逃しなく。
ピーマンのコンパニオンプランツ
ピーマンと相性のよいコンパニオンプランツとしてシソがあります。シソは同じナス科のトマトやナスとも名コンビです。また、ピーマンの病気を防いでくれるニラなどのネギ類や、害虫を遠ざけるパセリなどもコンパニオンプランツとして知られます。
ポタジェガーデンおすすめ野菜⑤インゲン
マメ科のインゲンは日当たりさえ良ければ手間がかからない丈夫な野菜です。長期間収穫できる「つるあり種」と、1カ月くらいで収穫が終わる「つるなし種」があります。初心者におすすめなのは育てやすい「つるなし種」。草丈が低くコンパクトなのでベランダ栽培や畑の手前に植えるのに適しています。
インゲンの種まきは4月中旬～6月下旬に行います。種まき後約9週間で収穫できます。
インゲンのコンパニオンプランツ
インゲンのコンパニオンプランツにはルッコラがあります。ルッコラの香りが害虫予防になるとともに、インゲンの根の根粒菌によってルッコラも元気に育ちます。この他にも害虫予防としてゴーヤやセロリ、互いに生育促進する植物としてジャガイモやナス、トウモロコシがあります。
ポタジェガーデンおすすめ野菜⑥スティックセニョール
スティックセニョールは秋から冬にかけて収穫できる栄養豊富な緑黄色野菜、ブロッコリーの仲間です。苗の植え付けは8月中旬～9月中旬。花蕾と茎を収穫します。
茎ブロッコリーと呼ばれるスティックセニョールは収穫期間が長いのが特徴で、栽培方法はブロッコリーと同じです。茎の先端にできる頂花蕾を2～3㎝ほどの大きさで摘心してしまい、その後次々にでてくるわき芽（側花蕾）と20㎝ほどに伸びた茎を収穫します。
スティックセニョールのコンパニオンプランツ
アブラナ科のブロッコリーにはアオムシがつきやすいので、モンシロチョウやコナガを遠ざけてくれるリーフレタスがコンパニオンプランツとして活躍します。レタスと同じく、独特の香りがある春菊も防虫効果が。スティックセニョールと同時期に植えつけることができます。
ポタジェガーデンおすすめ野菜⑦葉物野菜
日々の料理に欠かせない葉物野菜。育てていれば、新鮮なものを使えてとても便利です。育てやすいものとして、結球しないリーフレタス、ほぼ一年中収穫できる小松菜、茎と葉脈の色が赤く美しいスイスチャード、夏場にもどんどん育つ中国野菜のクウシンサイなどがあります。
ポタジェガーデンおすすめのハーブ
ポタジェガーデンでは、ハーブも積極的に取り入れられます。香りによる防虫効果とあわせて、ハーブの美しい花が畑に彩りを添えてくれるからです。ミントなど生育旺盛に育ち過ぎる種類もあるので、その場合は鉢植えにして一緒に育てましょう。
育てやすいハーブには、サラダに使えるルッコラ、料理に役立つバジル、パセリ、タイム、セージがあります。和のハーブであるシソやミツバなども育てやすくおすすめですよ。
ポタジェガーデンおすすめの花
ポタジェガーデンに彩りを添えてくれる花。花が楽しめるハーブとしては、ラベンダー、ナスタチウム、ボリジ、ワイルドストロベリー、セージ類があります。
その他、食べるなど実用的な用い方はできませんが彩りを添えるために植える花としては、土の中のセンチュウを予防してくれるマリーゴールド、花期の長いビオラやスイートアリッサム、ペチュニアなどが丈夫で好まれます。
まとめ～ポタジェガーデンを楽しもう！
以上、ポタジェガーデンの作り方、そしておすすめの野菜と草花についてご紹介してきました。食べられる植物を育てる家庭菜園は、それだけでも自然の営みを身近に感じ、さまざまな感動を与えてくれるものです。
しかし、そこにもう一工夫して、見た目や組み合わせにこだわったポタジェガーデンが作れれば、ガーデニングの楽しみと喜びはますます大きいものになるでしょう。まずは少しずつ、簡単にできる範囲でチャレンジしていきたいですね。
その他の家庭菜園おすすめ野菜が気になる方はこちらをチェック！
育てて楽しい野菜や植物は他にも沢山あります。慣れてきたら家族が喜ぶ人気の果実や珍しい野菜にも挑戦したいですね。興味がわいた方はこちらの記事を参考にしてみてください！植え方など栽培方法のコツが詳しく載っていますよ！
小玉スイカの栽培方法！家庭菜園で使える育て方のコツを解説！プランター栽培は可能？
小玉スイカならプランターでも栽培することができます。育て方自体は大玉スイカなどとあまり変わりませんが、支柱やネットを使うことで立体栽培するこ...
いちごの育て方！家庭菜園で初心者が失敗しない栽培のコツをご紹介！
いちごを家庭菜園で作ってみたいという人のために、詳しいいちごの育て方についてご紹介します。畑がなくてもプランターさえあれば、簡単な育て方で美...