ベニバナトキワマンサクとは
ベニバナトキワマンサク(紅花常磐万作)とは、中国が原産地で、科目はマンサク科トキワマンサク属の常緑小高木です。トキワマンサクの変異品種であり、花は紅色をしているのが特徴で、樹高はあまり高く生長しません。
ベニバナトキワマンサクの緑色の葉は、光沢があって葉脈がはっきりと出た卵形で、毛が密に付き、縁には鋸歯はなく互生します。葉色に2品種があり、若葉の頃は赤紫色ですが、後に緑色に変化する“青葉種”と、最初から紅色をしている“紅葉種”があります。
ベニバナトキワマンサクの花
分枝した枝先に、頭状花序(多くの花が密に集まって付いている状態)を3~8個ほど付け、ねじれたリボンの様に、2cmほどの特徴的な紅色の4枚の花弁を形成します。春の開花期には株全体が花色に覆われて見事な美しさです。
ベニバナトキワマンサクの花後には、えんどう豆の様な長楕円形の朔果(さくか:心皮が2枚からなり、熟すと裂ける)となり、秋の始め頃に熟すと黒っぽい種子が飛び散ります。
ベニバナトキワマンサクの仲間
早春に山野に咲く黄色い花のマンサクは、マンサク科マンサク属で、ベニバナトキワマンサクとは分類が異なります。トキワマンサク属はただ1種だけで、その変異品種としてベニバナトキワマンサクがあるのです。
また、園芸品種として葉色が異なる品種と、1本の株で赤色と白色の花を咲き分ける「源平トキワマンサク(咲き分けトキワマンサク)」があります。
ベニバナトキワマンサクの名と花言葉
ベニバナトキワマンサクの学名は、「Loropetalum-chinese-var.rubra」で、Loropetalum(ロロペタルム)は皮ひもを意味する“ロロン”、花弁の意味の“ペタロン”とで、ひも状の花となります。別名にアカバナトキワマンサクとも呼ばれます。
また、rubra(ルブラ)とはギリシャ語の“真っ赤”の意味で、chinese(チャイニーズ)は原産地の中国を表します。ちなみに、トキワマンサクは、常緑で早春に花をいっぱい咲かせることから“まず咲く(まんさく)”からと転訛した語です。
ベニバナトキワマンサクの花言葉
ベニバナトキワマンサクの花言葉は、情熱的な紅色の花をたくさん咲かせることから「私から愛したい」、東北地方では早春に咲くマンサクの花の咲き具合から、その年の作物の出来の吉兆を占ったという故事から「まじない」「霊感」と付けられたものです。
ベニバナトキワマンサクの植栽管理
ベニバナトキワマンサクの育て方①/植栽場所
ベニバナトキワマンサクは、耐暑性はありますが、耐寒性についてはやや弱い傾向ですので、地植えにする場合は、関東以西の暖かい場所が適しています。寒冷地では鉢植えにして冬季間は温かい場所で管理します。
ベニバナトキワマンサクという品種は、耐陰性もありますが、日当たりが悪いと花付きが悪くなる恐れがあるので、西日の当たらない半日陰の場所が適します。また、乾燥には弱い性質ですので、夏の高温時には注意が必要です。
ベニバナトキワマンサクの育て方②/水やりと肥料
ベニバナトキワマンサクへの水やりは、鉢植えの場合は表土が乾いていたらたっぷりと水を与えます。地植えでは、特に水やりの必要がありませんが、真夏の高温時では表土が乾燥気味でしたら潅水する様にしましょう。
肥料は、地植え鉢植えとも2月に寒肥として、固形の有機質緩効性肥料を施肥しておきます。5月の開花後と秋10月頃にお礼肥として、やはり有機質緩効性肥料を適量施肥します。
ベニバナトキワマンサクの育て方③/植え付けと植え替え
ベニバナトキワマンサクの苗木を植え付けるのは、春4~5月、秋9月彼岸明け頃が適期です。鉢植え、地植えとも苗木を植え付けたら、風などで倒されない様に、添え木として支柱を立てて紐で縛っておきましょう。
地植えの場合は、植え替えは移植を除いて必要有りません。鉢植えにした場合は、根が伸びすぎて鉢内で根詰まりを起こしますから、2年に1度植え替えをして、一回り大きめの鉢に植え替えます。
植え付けの手順
植え付けの際には、予め植穴を掘り、底に水捌けを良くするために軽石の大粒を敷き詰め、苗を置いたら、赤玉土(小)5:鹿沼土(小)2:腐葉土3の混合土を入れて植え付けたら、ヘラなどでよく突き込んでおきます。
鉢植えの植え付け、植え替えの手順も上記の要領で行います。生垣用に植栽する場合は、苗木の間隔を30~40cmほど空けて植え付けましょう。植え付けてすぐに肥料は与えずに、根が落ち着く2週間後に株元から離して与えます。
ベニバナトキワマンサクの育て方④/剪定
ベニバナトキワマンサクは比較的生長が早い樹木ですので、枝が混みあったりすると風通しが悪くなり、病害虫の発生に繋がりますので剪定を行います。通常は花後に剪定を行いますが、夏以降の剪定は次の年に花が咲かない原因となります。
剪定の方法は、まず、枯枝を切り落とし、次に混みあったり、枝同士が絡みあったりしている枝を元から切ります。枝先だけ切るのではなく、不要な枝は元からはずす様にするのがコツ。それだけで形が整います。
ベニバナトキワマンサクの育て方⑤/増やし方
ベニバナトキワマンサクの増やし方は、主に挿し木の方法で行います。花後の6月下旬から7月下旬が適期です。新しく伸びた枝を15~20cmほど切り取り、上部の葉を2~3枚残して下部の葉は取り去り挿し穂を作ります。
挿し口を斜めに削ぎ、2時間ほど水に浸けて水揚げをしてから、赤玉土(小)5:鹿沼土3:バーミュキライト2の用土に挿し込みます。水を切らさない様に半日陰で管理をし、1ヶ月ほどで発根しますので、鉢上げをします。
ベニバナトキワマンサクの育て方⑥/病害虫
ベニバナトキワマンサクは、比較的病害虫には強い樹木ですが、枝が混み合って風通しが悪くなったり、高温多湿の時期では、うどんこ病、さび病、立枯病、害虫では、アブラムシやカイガラムシの発生が見られます。
病害虫は症状を見落として被害が大きくなると、枯れる原因にもなってしまいます。水やりの折など、葉や枝などを良く観察して症状を発見したら、早めに殺虫殺菌剤を散布するか、被害葉や枝を取り除いて廃棄しましょう。
病気
うどんこ病は、葉の表面にうどん粉を塗した様になり、光合成ができなくなって、発育を阻害します。さび病は、葉に斑点が生じ、ひどくなると斑点が大きくなって表皮が破れ、褐色のサビの様な粉を飛散させます。
立枯病は土壌から病菌によって感染し、根や株元の茎から病害が広がります。これにより生育が不良となり下葉や茎から枯れる原因になりかねません。症状が出た場合他にも移りますので、残念ですが、株ごと掘り取って処分します。
害虫
アブラムシは新芽や枝に発生し、繁殖力が旺盛で、葉や茎から養分を吸汁して弱らせてしまいます。カイガラムシは茎や枝に寄生して、貝殻(かいがら)の様な硬い殻をかぶり、やはり養分を吸汁して弱らせます。
どちらも、排泄物によってスス病などの病害の発生にも繋がり、植物を枯らしてしまいます。見た目も悪いですから、発見次第、殺虫剤を噴霧して駆除しましょう。カイガラムシは歯ブラシなどでこすり落とすか、枝を切り取って廃棄します。
まとめ
ベニバナトキワマンサク(紅花常磐万作)は、開花時期には、みごとな紅色の花を株全体を覆う様に咲かせることから、庭園を彩るシンボルツリーとして、また、樹高もそれほど高くならず、葉も美しく繁ることから生垣としても需要があります。育て方や増やし方など管理の仕方をご紹介しました。
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