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庭木の剪定とは
庭に植栽されている樹木は、放っておくと枝が混みあい、樹形も悪くなりますし、風通しも悪くなるために害虫や病害の発生に繋がります。花木や果実の木であれば、花付きや実付きも悪くなるでしょう。それらを防ぐために枝切りなどの剪定作業を行うのです。繁った枝や無駄に伸びてしまった不要な枝を伐採し、繁り過ぎた枝間の風通しを良くし陽当りも良くすることによって、樹木自体の生長の促進にもなり、病害虫の予防にもなります。剪定作業には、庭木の種類によって、時期的なものと剪定の仕方や手入れの基本となるコツなどがそれぞれ異なることがあります。
庭木剪定の基本
庭木を剪定する定義とは、植栽されている樹木の整枝のことで、枝切り、若しくは枝落としと呼び伐採することです。枝同士が混んで繁ってしまっている場合は、さて、どの枝から手を付けて整理して良いのか考えてしまいます。そんな時には、まず枯れ枝を除くことから始めるのが剪定のコツのひとつです。
枝落としの基準
枝切り剪定をいざ始める際に気をつけたいのは、慣れないと枝先から切り落としてゆき、次ぎに太い枝に移るということをしてしまいます。これ実は間違いです。木全体をまず眺めて切るべき枝を見極め、こんな枝はいらないなと感じた枝を元から伐採します。この手法、造園屋さんは「野透かし」と呼び、太い枝を間引いて整枝することを言います。切落としの順序は太、中、小枝の順と憶えておいて下さい。
切る勘所
慣れないと切る場所に戸惑い”怖くて切れない”という方がいます。枝を伐採することを「切り込む」とも言います。この「込む」は、枝を切った後に新しい枝が密生することを意味します。ですから、よほど切る箇所を間違えなければ、切った後には新しい元気な良い枝が出ますので、怖がらずに切ることです。
庭木の剪定時期
植栽された樹木の剪定の時期は、種類によって異なります。時期を間違えて枝切りをすると、花木であれば開花時期に全く花が咲かないか、疎らな咲き方になり、実物であれば実が付かない結果となってしまいます。基本的に枝落としはむやみに行わず、剪定したい庭木の種類について良く理解することが大切です。
夏の剪定
夏に行う剪定は、成長し過ぎてしまった枝を切り落として樹形を整えます。庭木の種類によって若干手法などが異なりますが、混み合ったり、枝同士が絡みあったりしているものを整理して日光が良く当る様にしたり、風通しを良くします。
冬の剪定
冬の剪定は、落葉樹など落葉後に行います。樹木が成長を始める春先を目安に、発芽する前の休眠中に行いますが、冬季は樹液の流れが悪いので切り口が枯れてしまうことがあります。年明け前に枝切りを行う場合の仕方は、枯れ枝を間引く程度か、樹姿を見ながら不用な枝のつけ根から切らずに上の方だけを切っておき、春3月~4月になったらつけ根から切落とします。
庭木の種類による剪定時期
剪定の基本的な時期については述べてきましたが、庭木の種類によってはそれぞれ枝切りを行うのに適した時期があります。
常緑樹(針葉樹)の剪定時期
松や杉、コニファー類などの常緑の針葉樹は、芽吹き時の3月~4月の期間が基本的な剪定時期です。気温の低い冬場でも刈り込みは可能ですが、枝先が枯れる恐れがあります。生垣やトピアリーなど樹形を整えたい時は、夏後半から秋口頃にかけて軽く借剪定をしておくことも可能です。
常緑樹(広葉樹)の剪定時期
椿や山茶花(サザンカ)、カシ、ツツジ類などの常緑広葉樹についても、芽吹き前の3月~4月頃が適期ですが、新らしい葉が出揃う5月末~6月頃に行っても良いでしょう。9月~10月頃に樹姿を整えるための軽い枝落としをしてもOKです。休眠期の冬季と樹勢の衰える夏の高温時の剪定はしてはいけません。
落葉樹の剪定時期
ハナミズキやアオダモ、ナナカマドなどの落葉樹の類は前述の通り葉がすっかり落ちた後に軽く枝落とし剪定をし、樹木の種類によってですが2月~3月の成長を始める前に本剪定をします。4月~8月の生育が活発な時期の枝切りは行わない様にします。
梅の枝落とし
梅の木を植栽している庭を多く見かけますね。梅の枝落としは”花後に行え”との記述がありますが、一概に間違いという訳ではありませんが、これは樹形作りが主眼の盆栽で行う作業であって庭木とは異なります。梅の花芽は8月末頃までに決まりますので、それ以前に枝落としをすると葉芽の勢いの方が勝ってしまい花芽がつかない事があります。造園屋さんは10月~11月頃の剪定作業をしますが、花芽か葉芽の判別が難しい時は、秋に徒長枝だけを根元から切落とし、12月頃になって花芽がはっきり分かる様になってから剪定しても良いでしょう。
梅の剪定のコツ
梅は勢いの良い樹木ですので、枝先が伸びやすく、放置すると枝が繁ってしまって花の付く位置が上の方だけになってしまい幹回りが寂しくなってしまいます。幹近くに花芽を付けさせるには、長い枝は短めに切落としましょう。枝切りは、ふところ枝や徒長枝を出さない為に必ず外芽(外側に向いている芽)の上で切ることです。徒長枝を放置すると枝が絡まりあってしまいますから必ず元から切落としましょう。
庭木剪定の種類
植栽されている庭木の種類や性質によって様々な基本となる剪定や伐採、手入れの方法があります。その仕方については専門的な用語が付けられています。
刈り込み
ヒムロ杉や玉イブキ、ツゲ、ツツジ類など、生垣やトピアリーにしている庭木の突出している細かい枝などを刈り込みハサミやエッジトリマーを使って樹形を均一にし、きれいに刈り込む方法です。
切り戻し
伸びすぎた枝を整理するために半分ほどに枝切りをします。コツとしては、むやみに切ってしまうと細かい枝が出てしまうので、若枝を残して親枝を切落とします。主に果樹などの剪定方法です。
透かし剪定
樹姿を眺めながら混み合っている枝や不要の枝を切り落す方法です。風通しを良くし、樹間や根元の土壌にも良く陽が当る様にします。
芽つみ(みどりつみ)
主に盆栽の専門用語ですが、松などの針葉樹の新芽を指で摘んで取り除く方法です。5月~7月始めに行います。芽を摘まずにおくと葉が繁り過ぎて樹形が見苦しくなってしまいます。新しすぎる芽は柔らかくて摘みづらいですから、芽が10cmほどになり固まってから摘むのがコツです。9月~10月の新芽が固まった時期に「もみ上げ(古葉引き)」といって混みあった古葉や枯れ葉を整理、手入れをすると樹姿がすっきりします。
庭木を剪定する枝の名称
庭木は種類によって剪定する時期や手入れの仕方が異なるのですが、枝落としをするいらない枝を、盆栽用語で「忌み枝(いみえだ)」と言いますが、植栽されている庭木でも同じことが言えます。剪定をする時はいらないなと感じた枝の見定めから始めます。大抵の場合不要な枝は元から伐採します。
不要な枝の名前
【逆枝】下方向に伸びた枝の事を言い、垂れ枝や下がり枝とも言います。
【立ち枝】横に広がるべき枝が立ち上がってしまっている枝。
【からみ枝】名前の通り、重なりあい、絡みあってしまっている枝。
【車枝】幹や太枝の一ヶ所から何本もの枝が車輪の様に出てしまっている枝。
【徒長枝】勢い良く真っ直ぐに伸びた枝。
【懐枝】幹の近くの太枝から出ている細い枝で風通しや陽光の妨げとなる。
【胴吹き枝 】幹から直接出ている細枝で樹形を悪くする枝。
【かんぬき枝】かんぬきの様に幹を貫いて左右対称に出てしまった枝。
【交差枝】枝同士が交差してしまっている枝。
【ひこばえ・ヤゴ】木の根元から出る枝で、木が弱ると出やすく、放置すると親木に養分がいかなくなり一層弱らせてしまう。
【平行枝】幹からの枝が重なり合う様に上下並行に出ている枝。
【腹切り枝】幹と太枝がぶつかり合っている。
庭木剪定の方法(コツ)
植栽されている庭木の伐採や剪定の仕方は、なるべく樹木に負担を掛け過ぎない様にして、樹姿もきれいに整える手入れが剪定のコツです。
切り返し・切り戻し
枝をつけ根からではなく、枝の途中から切る仕方を「切り返し」又は「切り戻し」と言います。伸び過ぎた枝を切って生長を一時抑えたり、花木ものでは生長の良い枝を切って花を付ける小枝を多く出させたりします。樹冠を揃えたい時もこの切り方を行います。切り方は外側に向く芽のすぐ上で切ります。内芽を残してしまうと枝が内に向かって伸び、立ち枝や逆枝になる恐れがあります。
切り口の方向
枝落としをした際の切り口を目立たなくさせると仕上がりをきれいに見せます。切るコツとしては、目線より上にある枝は切り口を上向きに、目線より下にある枝は切り口を下向きにハサミを入れると良いでしょう。
切り口は勾配をつけて
枝切りを行った切り口には、長い間のうちには雨水とともに雑菌が入り込み、枯れ込みの原因にもなります。その為に切り口は斜めにして、雨水などを溜めないで流れる様にする「水切り勾配」をつけます。ハサミで枝を切る時は、枝に直角に当てるよりは斜めに入れた方が切りやすいこともあります。
枝垂れ(しだれ)ものの剪定
シダレウメやシダレモモ、シダレザクラなどの「枝垂れもの」と呼ばれる庭木の剪定で気をつけることは枝先を切ってはいけません。枝先を切り詰めると、細枝が何本も出てきれいな枝垂れの形になりません。枝垂れの枝は常に1本であった方が良いのです。混み合った枝を整理したい時は、上向きの芽を残して切ると、そこから段が出来て風情のある枝垂れになります。下向きの芽を大事に残しておくとだれてきてしまいますので、思い切って切ることも必要です。
庭木剪定の道具
植栽されている庭木を剪定する時は良い道具が必要です。切れないハサミやノコギリを使うと切り口の組織をつぶして凹凸を作ってしまい、そこに雨水などが溜まることにより、後の発芽を悪くしてしまったり、雑菌が入って腐らせてしまう原因ともなってしまいます。枝を切る道具は切れ味の良いものを使いましょう。基本的な道具では、「剪定バサミ」や細かい枝を切る「植木バサミ」、生垣やトピアリーを整枝する「刈り込みバサミ」や「エッジトリマー」、高所の枝を切り取る「高枝切り」や「高枝ノコギリ」、高所の枝などを整理する為の「脚立」も必要不可欠です。
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庭木剪定後の処理
幹や太枝などの枝落としをしたら、切りっ放しにするのは良くありません。切り口に腐れが生じ、酷くなると空洞が出来て枯れる原因になります。特に雨の多い日本では気をつけなければなりません。人間と同様、植物も剪定などをすることは手術と同じですので後の処理の手入れを必ずしなければなりません、では、どうしたら良いか。方法として、樹木を伐採したら、ホームセンターなどでも販売している木材の腐れ止めに使う「防腐剤」を切り口に塗布しておきます。そして、しばらくの間空き缶を被せておくと尚良いでしょう。少しの場合は、接木などに使用する「接ロウ」を塗っておいても良いでしょう。
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まとめ
庭の樹木が伸び放題で見苦しくなってしまっていたら、風通しや陽射しが悪くなったりしますので病害虫の発生にも繋がります。剪定という仕事は自然を相手の作業ですから、どの方法が果たして正しいのか決め付けかねる難しさがあるものです。ここに述べてきた事柄は、古来より日本の庭師さんたちが受け継いできた技能の基本的な剪定の作業方法です。いざ自分で剪定をと思い立ったら、ご紹介した枝切りや枝落としの仕方やコツと、剪定する時の守るべき事柄を良く留意していただいて作業することをおすすめします。
庭木の剪定についてはこちらもチェック!
庭木の剪定や植栽されている樹木の管理については、「暮らし~の」がご紹介する記事にも、いろいろと為になったり、成程と思わずうなってしまう参考の記述がありますので、ぜひチェックされてみてはいかがでしょうか。
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