アヤメの花言葉を解説!
「いずれがアヤメかカキツバタ」という慣用句でお馴染みのアヤメ。この慣用句はどちらも美しく優劣が付けられないという意味のたとえです。アヤメ科の花は、花姿がよく似ていますが、アヤメは花びらの付け根が黄色く、網目模様が入っていることでほかのアヤメ科の花と区別します。
水辺の植物のように思われがちですが、実は乾燥に強く水はけのよい土地を好む花です。今週は青色や紫色の優雅な花が魅力的なアヤメの花言葉を解説します。
アヤメの特徴
アヤメ科アヤメ属の球根花
アヤメはアヤメ科アヤメ属の花。秋に球根を植えて春に花が咲く球根花です。学名は Iris sanguineaと表記します。「Iris(イリス)」とはギリシャ語で「虹」という意味で、ギリシャ神話の中に登場する虹の女神の名前から由来しています。
原産地は日本、アジア北部、朝鮮半島、シベリアなどです。30~60cm程の茎の先に優雅な花を咲かせます。カキツバタとよく似ていますが、花びらの付け根の模様で区別するほか、カキツバタは水の中に生え、アヤメは土壌の乾燥地に生えると見分けても間違えはありません。
開花の季節は春!
アヤメの開花の季節は春。4月~6月に見ごろの季節を迎えます。カキツバタも同じ季節に咲きだしますが、先ほども解説したように、水辺に咲くのがカキツバタで、地面に咲くのがアヤメ。アヤメは日当たりのよい土壌でよく育ちます。
アヤメの本来の花色は青や紫色です。青い花が凛と咲いている姿はとても美しいものです。園芸種には白やピンク、黄色、薄茶などの花色があります。また本種も園芸種も花には香りはありません。
別名アイリスともよばれる
アヤメは植物図鑑などには「アイリス」という名でも紹介されています。ですからアヤメのことを「アイリス」と呼ぶ方も少なくありません。そのほか「ハナショウブ」と呼ばれることもあります。
アヤメは漢字で「菖蒲(あやめ)」と書きますが、端午の節句に用いる菖蒲湯の「菖蒲(しょうぶ)」とは違う植物です。どちらも同じ漢字表記ですが、端午の節句の「菖蒲(しょうぶ)」はサトイモ科の植物です。
「アヤメ」の名前の由来
アヤメの名前の由来は、葉に入っている模様が織物の綾目模様(アヤメ模様)に似ていたことから、文目(あやめ)と呼ばれるようになったのだと。漢字表記では「文目」「網目」「菖蒲」と表記されます。
端午の節句のショウブと同じ「菖蒲」と漢字表記する理由には諸説があり、それぞれややこしい内容です。その1説の中に大和時代に朝廷が端午の節句に用いるショウブを「菖蒲」と書いて「ショウブ」と読み与えたという説があります。
こんな説もある
アヤメ科のアヤメも、サトイモ科のショウブもどちらも同じ「菖蒲」という漢字表記をされながらも呼び名が違う両者。しかしどちらも似た葉を持っていました。
そのため昔はショウブにはない美しい花を咲かすアヤメを「花菖蒲(ハナショウブ)」と書き、サトイモ科のショウブを「草菖蒲(クサショウブ)」と表記していたいう説もあります。それが時の経過とともに同じ漢字表記でも呼び名が違うようになったという1説もあります。どの説にせよ、同じ漢字表記ですが2つは違う植物だということには変わりありません。
花言葉に由来するアヤメの伝説
アヤメは虹の女神イリスの化身!
アヤメの誕生説ともなる伝説がギリシャ神話の中で語られています。神々の王ゼウスに求愛されて困った侍女のイリスは、ゼウスの妻である女神ヘラにお願いして、虹を渡る女神に姿を変えてもらったのです。
こうしてイリスは、虹の女神として神々の使者となりました。ヘラから七色の首飾りをもらい、神々が飲む神酒を頭にふりかけてもらって虹の女神となった時の神酒が地上に垂れ落ちたところから1輪の花が咲いたのだと。それがアヤメの誕生説で、アヤメはイリスの化身だと言われています。
神々の伝令を担う花!
虹の女神となったイリスは天上界の王妃であるヘラの忠実な使者として、七色の衣を身にまとい、空に弓型の橋を架けて天と地を行き来しながら、ヘラの言葉を伝えました。
そのような内容がギリシャ神話に記されています。この伝説がイリスの化身ともいわれるアヤメの花言葉の由来となっています。
アヤメ(アイリス)の花言葉
「よい便り」
アヤメ(アイリス)を代表する花言葉は「よい便り」という花言葉です。この花言葉はイリスが虹の女神になったギリシャ神話に由来します。虹を渡って届けられるメッセージにちなむ花言葉です。
ヨーロッパでは虹が出るとよいことが起こる前兆だと言われています。虹は女神イリスが使者として通る道。イリスが急いで走っていく姿を表しているということで、イリスの化身ともいわれるアヤメは「よい便り」という花言葉でイメージされているのです。
「希望」
アヤメは「希望」という花言葉でもイメージされています。この花言葉の意味は、虹のように美しい花を咲かせること、そしてアヤメの色が光輝くような色彩であることから「希望」という花言葉でイメージされているという説があります。
「永遠の至福」
あまり知られていないアヤメの花言葉ですが、虹の女神イリスにちなむ花言葉に「永遠の至福」という花言葉があります。愛する人のお墓にこの花を植えることは虹の女神イリスへの贈り物となるのだと。
女神イリスが亡き人を危険な冥界ではなく、天国へ導いてくれるという伝説があり、その伝説に由来してひそかに「永遠の至福」という花言葉でもイメージされています。
アヤメ科の花はよく似ている
豪華な花を咲かすジャーマンアイリスなど
アヤメ科アヤメ属の花はどの花もとてもよく似ています。最初に解説したカキツバタも切り花として飾るとよく観察しなければ見分けがつかないこともあります。
アヤメとよく似ているアヤメ科アヤメ属の花には、カキツバタのほかに、アヤメ属の仲間の中で一番華やかな花を咲かせるジャーマンアイリス、山野草として知られるシャガ、アヤメ属の中では珍しい黄色い花を咲かせるキハナショウブなどがあります。
アヤメ属の花言葉
アヤメと比較されるカキツバタの花言葉は「幸せは必ず来る」です。ちなみにアヤメ属の中でも豪華な花を咲かせるジャーマンアイリスの花言葉は「燃える思い」、シャガは「決心」、キハナショウブは「嬉しい知らせ」「心意気」です。
アヤメ属の花の花言葉はどの花も元気や勇気が出る花言葉でイメージされているので、頑張っている人を応援したいときに贈ると喜ばれる花束となることでしょう。
花言葉を知ってアヤメを観賞しよう!
アヤメは庭に地植えして楽しむほか、鉢植えでも十分楽しめます。日当たりのよい場所でよく育ち、花が咲き終わったら花がらを摘みとると栄養がほかの花に行き届き次の花がまた咲き始めます。
もちろん切り花としても楽しめる花。切り花にした場合、花もちは10日前後です。アヤメの花言葉を知って観賞すると、何かよい便りが届くかもしれませんね。花言葉を知ってとくと観賞されてください。
花言葉についてもっと情報を知りたい方はこちらもチェック!
当サイト「暮らしーの」では花言葉について他にもまとめています。言葉では表せない想いを花言葉に託して花を贈るという習慣は、ヨーロッパから伝わり、今では日本でも花言葉に想いを託して花を贈ることがみられるようになりました。
花言葉を知ると日ごろの花選びもぐんと楽しくなります。当サイトでは月曜日は特に連載で季節のお花を追いながら、その花言葉やその花にまつわる伝説、花名の由来を解説しています。花言葉についてもっと知りたい方はこちらもチェックしてみてください。

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出典:https://unsplash.com/photos/OBtrCoiKlZo